交響曲第18番 (ハイドン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

交響曲第18番 ト長調 Hob. I:18 は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが作曲した交響曲

初期の交響曲のひとつで、正確な作曲年は不明だが、フュルンベルク・コレクションに信頼できる筆写譜が所蔵されており、エステルハージ家に仕える以前の、ボヘミアのモルツィン伯爵に仕えていた時期(1757年から1760年頃)の作品と考えられている[1]

編成[編集]

オーボエ2、ホルン2、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリンヴィオラ、低音(チェロコントラバスファゴット)。

曲の構成[編集]

第1楽章が遅いテンポの教会ソナタ風の作品だが[2]、同様のほかの作品とは異なり、メヌエットで終わる3楽章形式になっている。演奏時間は約15分。

  • 第1楽章 アンダンテモデラート
    ト長調、4分の2拍子ソナタ形式
    第1楽章の緩徐楽章は通常「アダージョ」と指定されていることが多いが、この曲では「アンダンテ・モデラート」と指定されており、通常と異なっている。
    低音の8分音符による伴奏の上を、付点つきのリズムをもった主題をまず第2ヴァイオリンが演奏し、第1ヴァイオリンがそれを引き継ぐ、トリオ・ソナタに似た構成を持つ[1]。管楽器は終始補助的な役割に徹する。曲は の32音符の連続や、 の激しい交替によって区切られる。展開部と再現部の境目がはっきりしない。
  • 第2楽章 アレグロモルト
    ト長調、4分の4拍子、ソナタ形式に似た二部形式
    急速な音楽で、しばしばホルンによるファンファーレが聞かれる。展開部で第1主題と第2主題が聞かれた後に元の調に戻るが、ソナタ形式の場合と異なって主題は再現せず、推移部と終結部にあたる部分のみが再現する。
  • 第3楽章 テンポディメヌエット
    ト長調、4分の3拍子、三部形式
    通常のメヌエットと同様の三部形式だが、中間部分にはトリオとは書いてない。そこから最初の部分に戻ったあとは繰り返しが省略され、終わりに10小節のコーダが付随していて、最終楽章らしさを出している。
    メヌエット主部は3連符や付点つきのリズム、トリルなどを使用した華やかな音楽である。トリオにあたる箇所はト短調に変わる。

脚注[編集]

  1. ^ a b デッカ・レコードのホグウッドによるハイドン交響曲全集第1巻、ウェブスターによる解説。1993年
  2. ^ 音楽之友社ミニスコアのランドンによる序文

参考文献[編集]

  • 『ハイドン 交響曲集II(13-27番) OGT 1590』音楽之友社、1981年。 (ミニスコア、ランドンによる序文の原文は1964年のもの)

外部リンク[編集]