交響曲第103番 (ハイドン)

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フランツ・ヨーゼフ・ハイドン交響曲第103番変ホ長調 Hob.I:103は、ロンドン交響曲のうちの1曲で、太鼓連打の愛称で知られるハイドンの代表作のひとつ。第1楽章の冒頭と結尾で、ティンパニの長い連打があることからこのように呼ばれている。

作曲と初演[編集]

この交響曲は、ハイドンの2度のイギリス滞在の間に作曲された12の交響曲のうち、最後から2番目の交響曲である。

ハイドンのイギリス訪問以前から、ハイドンの作品はイギリスで広く知られていて、ハイドンの訪問は悲願であった。イギリスではハイドンは熱烈な歓迎を受けた。このようなことから、ハイドンのイギリス滞在は、ハイドンの人生のうちでも実り多い時期のひとつとなった。このような中で、ハイドンは1794年から1795年にかけての冬、ロンドンで太鼓連打交響曲を作曲した。

太鼓連打交響曲は1795年3月2日、王立劇場にて、オペラコンサーツと呼ばれるコンサートのなかで初演された。そのときの管弦楽団は、当時としてはかなりの大規模となる60人から成っていた。演奏の指導はコンサートマスターを務めたヴィオッティとハイドンが行った。

初演は成功であった。モーニング・クロニクルのレビュアーは次のように述べている。

Another new Overture [i.e., symphony], by the fertile and enchanting Haydn, was performed; which, as usual, had continual strokes of genius, both in air and harmony.

The Introduction excited deepest attention, the Allegro charmed, the Andante was encored, the Minuets, especially the trio, were playful and sweet, and the last movement was equal, if not superior to the preceding."

創意と魅力に富んだハイドンの新たな序曲(交響曲)が初演された。それはいつもの通り、旋律においても和声においても、全曲を通して天才的なひらめきに満ちたものであった。

序奏はこの上なく深い注目をそそり、主部のアレグロは魅惑的であり、アンダンテはアンコールされた。メヌエット、特にトリオは陽気で心地良く、終楽章は前の楽章以上ではないまでも、同様に優れていた。

ハイドンはフィナーレに少し手を加え、のちにウィーンでも演奏した。現在の指揮者もこの加筆を尊重している。

初演以来、太鼓連打交響曲はハイドンの交響曲のうちでも人気のある曲の1つであり、現在でも頻繁に演奏、録音されている。

楽器編成[編集]

編成表
木管 金管
Fl. 2 Hr. 2 Timp. 2 Vn.1
Ob. 2 Trp. 2 Vn.2
Cl. 2 Va.
Fg. 2 Vc.
Cb.

構成[編集]

  • 第1楽章 Adagio - Allegro con spirito - Adagio
    39小節にも及ぶ長大な導入部の冒頭にティンパニによる1小節の導入があり、これがこの交響曲のあだ名の由来となっている。主部は典型的なソナタ形式によるが、展開部でも第1主題の展開の合間に導入部の動機が取り扱われ、最後に第2主題の展開を経て、再現部につながる。再現部は圧縮され、第2主題の展開が終わると、すぐに変イ長調のフォルテでコーダに入る。その後、導入部が回帰した後、コデッタの再現で締めくくる。
  • 第2楽章 Andante più tosto allegretto
    2主題による複主題変奏曲。
  • 第3楽章 Menuetto - Trio
    トリオは102番のそれと同様に、レントラー風の旋律で、クラリネットがうたうもの。
  • 第4楽章 Finale. Allegro con spirito
    ソナタ形式。4小節のホルンによる導入の後、第1主題が提示される。第2主題は第1主題との関連性が強い。

演奏時間[編集]

約30分

外部リンク[編集]