恐怖の報酬
恐怖の報酬 | |
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Le Salaire de la peur | |
監督 | アンリ=ジョルジュ・クルーゾー |
脚本 |
アンリ=ジョルジュ・クルーゾー ジェローム・ジェロミニ |
原作 |
ジョルジュ・アルノー 『Le Salaire de la peur』 |
製作 |
レイモン・ボルデリエ アンリ=ジョルジュ・クルーゾー |
出演者 |
イヴ・モンタン シャルル・ヴァネル フォルコ・ルリ ペーター・ファン・アイク |
音楽 | ジョルジュ・オーリック |
撮影 | アルマン・ティラール |
編集 |
マドレーヌ・ギュ ヘンリ・ルスト |
製作会社 |
フィルムソノール C.I.C.C. ヴェラ・フィルム Fono Roma |
配給 |
Les Films Cinédis S.A. CEI Incom 東和 |
公開 |
1953年4月22日 1954年7月25日 |
上映時間 |
131分 148分(ディレクターズカット版) 153分(オリジナル版) |
製作国 |
フランス イタリア |
言語 |
フランス語 英語 スペイン語 ドイツ語 イタリア語 ロシア語 |
配給収入 | 1億3179万円[1] |
『恐怖の報酬』 (きょうふのほうしゅう、Le Salaire de la peur)は、1953年のフランスのサスペンス映画。監督はアンリ=ジョルジュ・クルーゾー、出演はイヴ・モンタンとシャルル・ヴァネルなど。中米を舞台に、危険なニトログリセリンを運ぶ仕事を請け負った4人の男たちを描いている。原作はジョルジュ・アルノーの小説『Le Salaire de la peur』。
1953年4月に開催された第6回カンヌ国際映画祭にてグランプリと男優賞を、同年6月に開催された第3回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した。
ストーリー
ベネズエラの場末の街ラス・ピエドラス。そこは職が無く、食い詰めた移民達が日々何もすることもなく暮らしている。マリオ(イヴ・モンタン)もその一人であった。そこに、ホンジュラスからジョー(シャルル・ヴァネル)がやってきた。マリオとジョーは同じフランス人、意気投合しながら遊んでいた。
そんなある日、500km先の油田で火事が起きた。石油会社は火を消し止めるためにニトログリセリンを500km先の現場までトラックで運ぶことに決めた。安全装置のないトラックでニトロを運ぶのは命がけである。そこで街の食い詰め者に2000ドルの報酬で運ばせることにした。
選ばれたのは、マリオ、ジョー、ルイージ(フォルコ・ルリ)、ビンバ(ペーター・ファン・アイク)の4人で、彼らは2台のトラックに分かれ、500km先の目的地に向かう。
道中は洗濯板のような悪路、転回困難な狭路、落石などいろいろな障害が待ち受ける。マリオと組んだジョーは怖じ気づいてしまい、運転はマリオ任せにして、何かあるとすぐに逃げ出す。「何もしないで2000ドルか」となじるマリオに対して、ジョーは「この2000ドルは運転の報酬だけではない、恐怖に対する報酬でもあるのだ」と答える。
さまざまな障害を何とか乗り越え、4人は目的地まで比較的安全な道だけを残すに至る。しかし、安心したのも束の間、前方を走っていたルイージとビンバのトラックがふとした油断で爆発し、遺体を含めて跡形もなくなる。その爆発の影響で原油管が破損し、道の窪みに大量の原油がたまる。マリオとジョーのトラックはそこを一気に走り抜けようとするが、その際に障害物をどかすためにトラックの前にいたジョーが轢かれ、片足に大怪我を負うと、結局、目的地に到着する直前で死ぬ。
何とか任務を完了したマリオはジョーの分を含めて4000ドルの小切手を受け取り、嬉々として帰路に着く。しかし、浮かれ過ぎたマリオは運転を誤り、トラックは崖下に転落してマリオは死ぬ。
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | ||
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NETテレビ版 | 日本テレビ版 | テレビ東京版 | ||
マリオ | イヴ・モンタン | 臼井正明 | 広川太一郎 | 田中正彦 |
M・ジョー | シャルル・ヴァネル | 河村弘二 | 佐野浅夫 | 佐々木梅治 |
ルイージ | フォルコ・ルリ | 神山卓三 | 多々良純 | 天田益男 |
ビンバ | ペーター・ファン・アイク | 市村昌治 | 中多和宏 | |
リンダ | ヴェラ・クルーゾー | 森ひろ子 | 山像かおり | |
エルナンデス | ダリオ・モレノ | 宝亀克寿 | ||
ビル・オブライエン | ウィリアム・タッブス | 秋元羊介 |
- ・その他日本語吹き替え:猪野学、小島敏彦、後藤哲夫、田口昂、大黒和広、磯西真喜、横尾博之、清水敏孝、水野光太、原田奈美
- ・演出:松川陸、翻訳:細川直子、調整:飯塚秀保、効果:リレーション、担当:吉田啓介/田中秀歩(グロービジョン)、制作:テレビ東京/グロービジョン
作品の評価
Rotten Tomatoesによれば、批評家の一致した見解は「実存的サスペンスの古典である『恐怖の報酬』は、ノンストップ・サスペンスと辛辣な皮肉が融合しており、その影響は今日のスリラーにもいまだに感じられる。」であり、45件の評論の全てが高評価で、平均点は10点満点中8.92点となっている[2]。 Metacriticによれば、15件の評論のうち、高評価は13件、賛否混在は2件、低評価はなく、平均点は100点満点中85点となっている[3]。
リリース
前半部にアメリカに対して批判的な描写がある為大幅にカットされ、各国で公開されたときはそれが標準版とされ、1991年にカットされた部分を一部復元した148分がリリースされた[4]。2017年にオリジナルネガに基づき4K対応を行ないBlu-ray、DVDでリリースされた[5]。
リメイク
- 恐怖の報酬 (1977年の映画)
- ウィリアム・フリードキン監督、ロイ・シャイダー主演でリメイクされた。
- アイス・ロード
- 2021年のアメリカ合衆国のアクション映画。ジョナサン・ヘンズリー監督、リーアム・ニーソン主演。正確にはリメイクではないが、氷上版『恐怖の報酬』と指摘されている[6]。
その他
- 『深夜も踊る大捜査線 THE FINAL』にセリフの一部として登場する。
- マリオとルイージという名前は、任天堂のコンピュータゲーム『マリオブラザーズ』や、以降の「スーパーマリオ」シリーズで兄弟と設定されているキャラクター「マリオ」と「ルイージ」を連想させる[7]が、宮本茂と一緒に仕事をする機会があった竹熊健太郎が、この映画から採ったのか、と訊ねたところ、宮本はその事実(映画にマリオとルイージという登場人物がいること)を知らず、偶然だったとのことである[8]。
出典
- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)113頁。
- ^ “The Wages of Fear (1953)” (英語). Rotten Tomatoes. 2020年11月16日閲覧。
- ^ “The Wages of Fear (1953) Reviews” (英語). Metacritic. 2020年11月16日閲覧。
- ^ “洋画専門チャンネル ザ・シネマ コラム” (2017年1月20日). 2022年11月18日閲覧。
- ^ “DVDClassik Test BLU-RAY” (フランス語) (2017年10月24日). 2020年11月18日閲覧。
- ^ “アイス・ロード (2021) 映画短評”. シネマトゥデイ. 2022年11月12日閲覧。
- ^ “<面白っ!意外?映画史(4)>「スーパーマリオはどこから来た?」ルーツは傑作サスペンス「恐怖の報酬」”. Record China (2014年9月20日). 2020年11月11日閲覧。
- ^ @kentaro666 (2017年5月16日). "「マリオとルイージは『恐怖の報酬』から採ったのですか?」と訊いたら、宮本さんはその事実を知らなかった。". X(旧Twitter)より2020年11月11日閲覧。
外部リンク
- 恐怖の報酬 - allcinema
- 恐怖の報酬 - KINENOTE
- Le Salaire de la peur - オールムービー(英語)
- Le Salaire de la peur - IMDb(英語)