H&K MP7

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H&K MP7
H&K MP7.jpg
H&K MP7
概要
種類 PDW
製造国 ドイツの旗 ドイツ
設計・製造 ヘッケラー&コッホ
性能
口径 4.6mm
銃身長 180mm[1]
ライフリング 4条右回り[1]
使用弾薬 4.6x30mm弾
装弾数 15・20・30・40発
作動方式 ショートストロークピストン式
マイクロ・ロッキング・ラグ
回転ボルト閉鎖
全長 340mm(ストック展開時541mm)
重量 1.2kg
発射速度 950-1,000発/分(MP7)[1]
850発/分(MP7A1)[1]
銃口初速 750m/s
有効射程 200m

H&K MP7は、ドイツヘッケラー&コッホ社がベルギーFN P90に対抗して開発したPDWである。

発表当初はFN P90を意識し、PDWという名称だったが、のちにPDWは一般名詞となり、この銃は短機関銃(MP:Maschinenpistole)を指すMP7の名前が冠された。

開発背景[編集]

MP7の開発は1990年代に始まる。当時アメリカ防弾ベストの着用が一般的になった戦場でピストルやピストル弾薬に代わる兵器、つまりPDWを検討するプログラムを行っていた。また、NATO諸国でも同様のプログラムがスタートしていた[1]

これらのプログラムにFN社はP90を提出したが、当時同様の兵器を開発していなかったH&K社はMP5Kサブマシンガンをベースにショルダーストックを追加したMP5K-PDWを提出した。しかし、従来のピストル弾薬を使用するMP5ではプログラムの要求に対して不十分であり、このことからP90に危機感を持ったH&K社は同社のMP5やUMPとは全く異なるコンセプトの兵器を開発することになる[1]

1999年に一般公開され[1]2000年に将来的に発展改良することを前提にドイツ連邦軍に仮制式兵器に選定され、MP7の制式名称を与えられている[1]

特徴[編集]

ドイツ陸軍に配備されているMP7A1。カール・ツァイスダットサイトエリコン製LAMが装備されている。また、セレクトレバー、ボルトリリースが右側にも付いている事がわかる

MP7の特徴は、先に述べたようにライバルとも言えるFN P90に対抗する目的でPDWとしての全く新しいカテゴリの銃として開発されており、弾丸H&K G11の4.7x33mm弾の開発データを元に開発した4.6x30mm専用弾薬を使用する。公式発表では、P90の5.7x28mm弾よりも威力があるとアナウンスされているが真偽不明である。

ディスカバリーチャンネルの番組「フューチャー・ウェポン」のシーズン第2の第3回においてケブラーヘルメット及びボディアーマーを貫通している。ただしセラミックプレートなどに対して効果があるかは不明である。

デザイン面については、P90とは趣が180度異なり、ステアーTMPUZIなどの既存の小型短機関銃と似たシルエットを持ちながらも、全長340mm、ストックオープン時は540mm(P90は504mm)、重量は1.2kg(マガジン込みで1.8kg、P90はマガジン抜きで2.8kg)とPDWに求められる携行性及び隠匿性に特化したデザインとなっている(因みに、MP7専用のホルスターがイーグル社で開発されている事からも、そのコンパクトさが伺える)。これは後方部隊やヘリコプター戦闘機パイロットの自衛用火器という、PDWの想定するケースにおいて特に有効である他、武器の隠匿を要し、車両での移動が多い要人警護の現場、小型武器が好まれるCQBの場などでも有効である事を意味する。また、セレクトレバー及びボルトリリースが左右に付いているため右利き、左利き問わずに使用できる。

機構に関しては、G3以来、H&K社の小火器の作動方式の大きな特徴であったローラー遅延式ブローバック方式ではなく、同社製G36アサルトライフルと同じくマイクロロッキングラグと回転ボルトによる閉鎖機構を持つショートストロークピストン式を採用している。これは奇しくもPDWの元祖ともいえるU.S.M1カービンと同じ発射メカニズムである。

前方に折りたたみ式のグリップが標準で装備されており、銃自体の反動はMP5以下で、消音器装備で発射した場合の静粛性もMP5SD6より静かである。命中精度もMP5以上のものとなり、200m離れた標的にも命中する集弾性を持つ。

2004年には改良型のMP7A1がリリースされており、ボルトストロークの延長を施し連射速度の低下を図った(弾切れが早くなってしまうための処置)他、前方側面に小型のピカティニー・レールを追加している。また、P90の5.7x28mm弾を使用した自動式拳銃FN Five-seveN」と同様の、MP7と銃弾共通性を持たせた後述の拳銃「P46」も開発されている。

アクセサリ等[編集]

サプレッサー、スコープ、40発マガジンを装備したMP7A1

MP7の特徴として、豊富なアクセサリが用意されている点が挙げられる。MP7は銃口フラッシュハイダーが標準で装備されているが、オーダーメイドのアタッチメントでサプレッサーも装備できるようになっている。また、ピカティニー・レールを上部に付ける事でダットサイトスコープの取り付けも可能となっているなど、拡張性にも富む。

MP7A1では、更にフロントサイドにピカティニー・レールが追加された事で、フラッシュライトやレーザーモジュールの取り付けができる様になり、拡張性が拡大された。

H&K P46[編集]

P46
概要
種類 自動拳銃
製造国 ドイツ連邦
設計・製造 ヘッケラー&コッホ
性能
口径 4.6mm
銃身長 130mm
使用弾薬 4.6x30mm弾
装弾数 20発
全長 212mm
重量 843g(弾薬未装填)
銃口初速 603m/s

H&K P46は、ドイツ連邦H&K社がベルギーFN社のFN P90及びFN Five-seveNに対抗する目的で開発した自動拳銃である。

開発中は「UCP(Ultimate Combat Pistol)」と呼ばれていた。

特徴[編集]

「P90」と「Five-seveN」の関係であり、MP7と同様に4.6x30mm弾を使用する。革新的な閉鎖機構を採用しているとされるが、パテントの関係から非公開とされ、どのような機構なのかは不明。

フレーム先端下部にピカティニー・レールがあり、フラッシュライトなどのアクセサリを装着できる。

2003年のプロトタイプでは同社のH&K G11ピストル版とも言える様な直線的なデザインが特徴であったが、2004年のプロトタイプではグリップ、スライド形状が変更されたものが発表されている。

2009年、「拳銃の形から、十分な弾道性能が得られない」との理由で開発中止となった。

採用国[編集]

MP7への改名直後の2000年からドイツ連邦軍で試験運用が行われており、その後上記の改良を施したMP7A1が配備されたのは2004年7月にドイツ連邦軍に採用されたのが最初である。その後、ドイツのGSG-9KSK(ドイツ陸軍特殊作戦部隊)への導入をはじめ、P90より採用国が少ないものの、各機関に徐々に採用されている。

ドイツ連邦軍のIdZ計画のデモンストレーションで展示されるMP7A1
MP7を装備したイギリスの警察官
アルバニア警察のRENEAに配備[2]
EKOコブラで使用[3]
KSKをはじめとするドイツ連邦軍[4]及びGSG-9で使用[5]
アイルランド警察地方支援部隊に配備されている[6]
陸上自衛隊が4.6mm短機関銃(B)という名称の装備を調達しており、ヘッケラー&コッホ社製との記載があることからMP7と思われる[8][9]
一般部隊における配備は確認されていないため特殊作戦群向けと考えられる。 
海洋警察庁海洋警察特別攻撃隊(SSAT)に配備[10]。リンク先でMP7A1を持った隊員が確認できる。
MP5を置き換える為に、ノルウェー陸軍向けに6,500丁導入している。
英国防省直属の警察に配備。MP5、FN ブローニング・ハイパワーL85を置き換える目的で導入[11]。このMP7はシングルファイア仕様である。
アメリカ海軍特殊部隊DEVGRUサンタクララ郡警察で採用。特にDEVGRUではウサマ・ビンラディン殺害作戦において使用されたとされる[12]

登場作品[編集]

遊戯銃[編集]

現在、MP7A1の遊戯銃は、東京マルイアカデミー科学(商品名M7SMG)から電動ガンが、KSCと東京マルイからブローバックガスガンが発売されている。過去には頑住吉より、名前がPDWだった頃の無印MP7が固定スライドガスガンとして発売されていた。このモデルは啓平社製固定スライドガスガンUSPを内蔵するガレージキットで、グリップ角度が実物と異なっていた。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h 床井雅美 (2004). 月刊GUN 2004年2月号. 国際出版. pp. 38-53. T1102355020906. 
  2. ^ http://www.youtube.com/watch?v=pomD16sAV5s の40秒付近を参照
  3. ^ http://www.bmi.gv.at/cms/BMI_EKO_Cobra/publikationen/files/LawOrder.pdf
  4. ^ Gourley, S.; Kemp, I (November 26, 2003). "The Duellists". Jane's Defence Weekly (ISSN: 02653818), Volume 40 Issue 21, pp 26-28.
  5. ^ АРСЕНАЛ: ОРУЖИЕ НЕМЕЦКОГО СПЕЦНАЗА (Arsenal: Weapons of the German Special Forces)” (Russian). Bratishka. 2010年3月18日閲覧。
  6. ^ Tom Brady (2008年9月4日). “Quick-change armed gardai hit the streets — National News, Frontpage”. Independent.ie. 2009年9月14日閲覧。
  7. ^ a b Jones, Richard D. Jane's Infantry Weapons 2009/2010. Jane's Information Group; 35 edition (January 27, 2009). ISBN 978-0710628695.
  8. ^ 平成23年度装備品等(火器車両関連)に係る各種契約希望募集要項
  9. ^ 公告 第 輸調-350号平成 24年9月14日
  10. ^ 【週刊韓(カラ)から】韓国海洋警察に“潜入”取材 緊迫の対テロ訓練2009年7月5日付MSN産経ニュース
  11. ^ Steven Partridge. “A Modern Weapon for a Modern Role”. 2009年9月22日閲覧。
  12. ^ Nicholas Schmidle (2011年8月8日). “Getting Bin Laden: What happened that night in Abbottabad — New Yorker”. 2011年8月1日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]