FN SCAR

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
FN SCAR
FN SCAR rifle.jpg
SCAR-L(上)とSCAR-H(下)
FN SCAR
種類 軍用小銃
製造国 ベルギーの旗 ベルギー
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
設計・製造 FNハースタル
仕様
種別 カービン
口径 5.56mm, 7.62mm
銃身長

SCAR-L
254mm(short)
355mm(standard)
457mm(long)

SCAR-H
330mm(short)
406mm(standard)
508mm(long)
ライフリング 6条右転
使用弾薬 5.56x45mm NATO弾
7.62x51mm NATO弾
装弾数 20発/30発(箱型弾倉
作動方式 ガス圧利用(ショートストロークピストン式)、ロータリーボルト
全長

SCAR-L
・short
533.4mm(ストック折畳み)
723.9-787.4mm(ストック展開)
・standard
635mm(ストック折畳み)
825.5-889mm(ストック展開)
・long
736.6mm(ストック折畳み)
927.1-990.6mm(ストック展開)

SCAR-H
・short
635mm(ストック折畳み)
825.5-889mm(ストック展開)
・standard
711.2mm(ストック折畳み)
901.7-965.2mm(ストック展開)
・long
812.8mm(ストック折り畳み)
1,003.3-1,066.8mm(ストック展開)
重量

SCAR-L
3,040g(short)
3,290g(standard)
3,490g(long)

SCAR-H
3,490g(short)
3,580g(standard)
3,720g(long)
発射速度 550-600発/分
銃口初速 L:870m/s
H:714m/s
歴史
配備期間 2009年4月[1]-現在
テンプレートを表示

FN SCAR(FN スカー:FN Special operations forces Combat Assault Rifle:特殊部隊用戦闘アサルトライフル)は、ベルギー銃火器メーカーであるFNハースタル社がアメリカ特殊作戦軍(以下SOCOMと表記)向けに開発したアサルトライフルである。

概要[編集]

SCARを使用してCQBトレーニングを行なうアメリカ陸軍第10特殊部隊グループ

SCARは、2003年に行われたSOCOMのトライアルのために開発され、ロビンソンアーマメント社のXCRと共に参加していたが、XCRが部品調達の遅れによりトライアルから脱落し、結果SCARが選定された。

その後、2005年にはヘッケラー&コッホが開発したH&K XM8アメリカ陸軍が次期制式アサルトライフルとして同銃を発表したが、M16の製造元であるコルト社がロビー活動を展開、アメリカ海兵隊やSOCOMが猛反発し白紙となり、SOCOMはSCARを大量に購入してトライアルすることとなった。そのため一部の論者から、現在アメリカ軍が使用しているM16M4などの後継の大部分がこのSCARで統一される可能性があるとの見方がなされた。実際にイラク戦争アフガニスタン紛争に投入されている軍やDEA特殊部隊が使用しており、高い評価を得ている。

2009年4月に600挺のSCAR-Lが第75レンジャー連隊に配備された。

2010年5月にSOCOMがMK16(SCAR-L)およびMK17(SCAR-H)、MK13(FN40GL)の購入を正式に決定した。

しかし、後日SOCOMがMK16の購入を急遽キャンセルした。その理由は、現在使用しているM4カービンを中心としたウェポンシステムを更新するに足る利点がなかったことである。

2011年12月アメリカ海軍はMK16、MK17、MK20、MK13 EGLM、並びに機材保守サービスの追加調達を発表した[2]

特徴[編集]

SCARを携帯した第75レンジャー連隊の隊員

基本的には同社のFN FNCをベースに近代的な改良を加えるという設計だが、様々な改良を加えられた結果、事実上ほとんど別のライフルになっている。辛うじてFNCから継承されたといえるのはアルミ合金の削り出しロアレシーバーだが、これも最新ロット(後述)では樹脂製に変更されている。

作動機構はガス圧利用方式だが、M16チャンバー内のボルトキャリアまでガスを流入させるリュングマン式を採用したのに対し、SCARはショートストロークピストン式を取っている。そのため、命中精度は若干低下するものの、ボルトキャリアが汚れることはなくなった。他にも89式小銃のようなガス調整弁を備えて作動不良に備えるなど、M16で不満とされた信頼性を向上させる工夫が施されている。

また、SCARの特徴の一つとして、高い汎用性が挙げられる。SCARには5.56x45mm NATO弾7.62x51mm NATO弾を使用するモデルが存在するが、二つのSCARの相違点を少なくした上で共通性を持たせる事で維持コストを下げ、新しい口径弾丸が開発されたとしても最小限の改良で対応できる。また、アッパーレシーバー上部とハンドガードにはピカティニー・レールが標準装備されており、各種アクセサリーの取り付けが可能。加えて、バレルのフリーフローティング化(ただし、下面レールのみバレルに直接取り付けてある)や、全長のみならずチークパッドの高さ調節まで行える折り畳み式ストックによって、狙撃からCQBにも対応できる多様性を持つ。他にも、マガジンキャッチやセレクターは左右両方から操作でき、チャージングハンドルは左右に付け替え可能(分解が必要)である。

度重なるテストによって年々改良を加えられており、現在のバージョンはGen3となる。変更点は以下の通り。

  • グリップをFNCタイプからM16タイプに変更。
  • ストックは三段階から六段階まで調節可能に。
  • アルミ製だったロアレシーバーを樹脂製に換装。
  • マガジンウェルもフレア(開口)に変更。
  • フラッシュハイダーをM16タイプから大型のオリジナルに変更。
  • 着脱式だったフロントサイトは折り畳み式に変更。
  • カラーリングをブラックとFDE(フラットダークアース)の2種類に。
FN40GL(MK13)グレネードランチャー

また、M203 グレネードランチャーの後継としてFN F2000用のGL1をベースとした専用のFN40GL(MK13)40mmグレネードランチャー(EGLM)も併せて開発された。このランチャーはM320のように砲身を横に向ける動作を加えたため、より全長の長い弾薬を使用できるようになった。更にトリガーグループはマガジンを迂回してライフル本体のトリガーの真下に配置されており、引き金を引く側の手の中指でランチャーの発射が行えるようになっている。

テスト[編集]

2007年7月にメリーランド州アバディーン試験場において、多量の埃がある環境で6,000発発射させる品質テストが実施され、M4カービンH&K XM8H&K HK416(M4カービンの近代改良型)と共にテストが行われた。この試験では各ライフルが10丁ずつ用意され、1丁につき6,000発が射撃され、全体では1つの種類につき60,000発が発射されたことになる。

テストにおいて、SCARは226回のジャム(排莢不良)を起こし、127回しか起こさなかったXM8に敗北した(M4は882回、HK 416は233回)。 もっとも、このテストはM4カービンの近代改良の有用性についての実験である。

バリエーション[編集]

5.56mm口径のSCAR-L(プロトモデル)
SCAR-L(Light)
5.56x45mm NATO弾仕様で、M4M16の後継とされる。通称MK16。
SCAR-H(Heavy)
7.62x51mm NATO弾仕様で、M14の後継とされる。通称MK17。また、現在導入が検討されている6.8×43mm SPC弾にもモジュールを交換するだけで即座に対応できるように設計されている。
IAR(Infantry Automatic Rifle)
5.56x45mm NATO弾仕様の分隊支援火器。海兵隊のIARプロジェクトに参加したモデル。
HAMR(Heat Adaptive Modular Rifle)
IARの改良型。薬室の温度によって、命中精度の高いクローズド・ボルトと銃身の冷却効果が高くコックオフを防止するオープンボルトを自動的に切り替える。
SCAR 16S/17S
SCAR-L/Hの民間用セミオートバージョン。両方とも16.25インチの銃身を持つ。16Sの値段は一丁2,994ドル[3]
SSR(Sniper Support Rifle)
7.62x51mm NATO弾仕様のマークスマンライフル。通称MK20。
SCAR-L Mk 16 PDW
5.56x45mm NATO弾仕様のPDW

登場作品[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ Matthew Cox (2009年5月14日). “75th Rangers will take SCAR to war”. Army Times. http://www.armytimes.com/news/2009/05/army_scar_051109w/ 2010年3月7日閲覧。 
  2. ^ [1]アメリカ海軍懇請書 N0016412RJN25
  3. ^ 月刊Gun 2010年5月号

関連項目[編集]

外部リンク[編集]