M242 ブッシュマスター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
M242 ブッシュマスター
M242-1.jpg
種類 機関砲
原開発国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
運用史
配備期間 1972年-現在
開発史
開発者 マクドネル・ダグラス
製造業者 アライアント・テクシステムズ
製造数 10,000門以上
諸元
重量 110kg
銃身 2,175 mm (85.6 in)

口径 25x137mm弾
砲身 2,175 mm (85.6 in)
作動方式 チェーンガン方式
発射速度 最大 225rpm(調整可能)
初速 1,100 m/s (3,600 ft/s)
有効射程 3,000メートル (9,800 ft)
最大射程 6,800メートル (22,300 ft)

M242 ブッシュマスターは、アメリカ軍をはじめとするNATO加盟国によって使用されている25mmチェーンガンである。

M242は、火薬の発射ガスや反動に頼らず、外部動力源を用いて単射および連射をすることができる機関砲である。砲弾はメタルリンクに繋がれた状態で装填される。

M242は、軽装甲車ヘリコプターや低空を低速で飛行している航空機などに対して使用される他、敵陣地制圧などにも使用される。発射速度は最大200発/分。有効射程は、使用される砲弾によるが、最大2,000-3,000mにおよぶ。

この機関砲は、元々マクドネル・ダグラス(後にボーイングに吸収合併される)が開発生産していたが、現在ではアリゾナ州メサに本拠を構えるアライアント・テクシステムズ(ATK)によって生産されている。

デザインと歴史[編集]

存在する多くの自動作動するや砲と異なり、M242は、発射ガスや反動を砲弾の装填、排莢に用いない。その代わりに、機関部に設置された1馬力直流電動機チェーンと給弾機構を動かす。歯車を介して動作するチェーンとボルト(遊底)が連動することによって一連の発射作業が行われる他、歯車をクラッチ機構によって繋ぎ変えることで、航空機には焼夷榴弾軽装甲車には徹甲弾を使用する(二重装填機構装備)といった、柔軟な運用が可能である。

砲は、3つの主要パーツ、砲身、装填装置と機関部から構成されている。分解できるため、全体で110kgと非常に重量のあるM242を、一人の人間が組み立て、撤去することができる。

作りがシンプルであり、この機関砲の高い信頼性が評価され、世界で10,500門が使用されている。ジャム(弾詰まり)を起こす頻度は22,000発に一回であり、他の類似機関砲と比べて弾詰まりしにくい。

元々M242は、ヒューズ・エアクラフトによって1972年より開発が始まったが、1981年アメリカ軍M2ブラッドレー歩兵戦闘車が制式採用されるまで軍で使用されることは無かった。1990年以降、改良型25mm機関砲も開発製造されている。

砲弾[編集]

エリコンKBA用に開発されたこの25x137mm弾は、ブッシュマスターの他にもフランスGIAT M811GAU-12 イコライザーでも使用され、数多くの砲弾が開発されており、25mm口径弾でのデファクトスタンダードとなっている。

軽装甲車や、一部の(旧世代の)戦車などをほとんど撃破できる他、ヘリコプターや低速飛行中の固定翼機に対しても有効であるが、最新の装甲車両は、逆にこの25mm弾に耐えうる事が抗湛性の一つの指標になっている。

M791
装弾筒付き徹甲弾"APDS"(曳光弾)。現在までに570万発が製造された。APDS-Tは、軽装甲車両や自走榴弾砲の撃破に使用される。
M792
焼夷榴弾(自爆可能な曳光弾)。敵対戦車ミサイル発射陣地や、敵分隊の制圧に使用する。射程は最大で3,000m。
M793
訓練用教習弾(曳光弾)。1,150万発が製造された。M792と同じ砲弾特性を持ち、着弾と同時に破裂する教練弾。トレーサー火薬は2,000m以上燃え続けるが、M793の有効射程は1,600m。
M910
装弾筒付き教練弾(曳光弾)。M791と同様の砲弾飛行特性を持つ教練弾。装弾筒付き砲弾の砲撃練習に使用される。
MK210
焼夷榴弾(曳光弾)。22万8千発が製造された。アメリカ海軍Mk.38海軍艦艇搭載武器システム(後述)に使用される。
M919
装弾筒付き翼安定型徹甲弾"APFSDS"(曳光弾)。基本的にM791と同様の目標撃破に使用される。違いは、安定翼がついている点。

派生型[編集]

M242は、上述のように世界で10,000門使用されている。主な運用国に、アメリカ陸軍アメリカ海軍アメリカ海兵隊アメリカ沿岸警備隊ノルウェー陸軍スイス陸軍カナダ陸軍フィンランド陸軍オーストラリア陸軍オーストラリア海軍などがある。使用が広まるにつれてM242は、いくつかの派生型が開発製造されている。

車両搭載型[編集]

M2ブラッドレーの搭載砲

現在M242は、アメリカ陸軍M2歩兵戦闘車M3騎兵戦闘車アメリカ海兵隊LAV-25装輪装甲車に搭載されている。アメリカ軍以外でも、上記軍の歩兵戦闘車に搭載されている。

改良型25mm砲[編集]

1990年から、M242の改良がスタートした。砲身クロムメッキをかけることに始まり、給弾機構の改良、機関部の改良が行われた。また、より効果的なフラッシュサプレッサー、発射弾数計測計、補強型撃針、クラッチ機構などの開発、改良も施された。改良型は、M2ブラッドレー歩兵戦闘車の第三世代であるM2A3から搭載が開始された。

航空機[編集]

M242は、航空機には搭載されていない。AC-130U(スプーキー)ガンシップAV-8B ハリアーIIは、共に同じ25mm機関砲を搭載しているが、両機ともGAU-12という、5砲身ガトリング砲を搭載している。派生型(口径が異なるだけ)のM230 30mm機関砲は、AH-64 アパッチの機体下部に搭載されている。

海軍艦艇[編集]

艦載のMk.38システム

1977年アメリカ海軍は、それまで使用していたエリコン・コントラヴェスのMk.16 20mm機関砲の更新が必要であると考えるようになった。1986年には、この要求に基づいてMk.38 Mod 0が導入された。Mk.38はM242の派生型であり、砲本体とマウントから構成されている。艦艇から海上の敵(自爆攻撃ボート、警備艇、機雷、沿岸の敵など)に対して自衛、制圧砲撃を加えられる。

また、発射速度を上昇させたMk.46 Mod 0というタイプがRAMICS(Rapid Airborne Mine Clearance System:空中からMH-60S ヘリコプターを用いて機雷を探知撃破するシステム)計画に使用される。さらに、近年ではMk.38 Mod 2と呼ばれる更に給弾機構を改良し、電子照準装置測距装置を備えた新しい改良型機関砲が艦艇に搭載され始めている。

操作及び運用[編集]

M242は、手動および電動によって発射コントロールができ、セミオート、低速連射、高速連射の3タイプの発射速度調整が可能である。セミオートでは、発射桿を連続で握ると速射することが可能である。低速連射では100発/分、高速連射では200発±25発/分の射撃が可能である。

関連項目[編集]