ミニミ軽機関銃

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ミニミ軽機関銃
M249 FN MINIMI DA-SC-85-11586 c1.jpg
M249初期型
ミニミ軽機関銃
種類 軽機関銃
製造国 ベルギーの旗 ベルギー
設計・製造 FN
年代 現代
仕様
種別 分隊支援火器
口径 5.56mm
銃身長 465mm
ライフリング 6条/右回り
使用弾薬 5.56x45mm NATO弾
装弾数 100発または200発(M27ベルトリンク
30発(M16マガジン
100発(C-Mag)
作動方式 ガス圧利用(ロングストロークピストン式)、ターンロックボルト
オープンボルト
全長 1,038mm
重量 6.9kg(無装填状態)
10kg(200発装填状態)
6.56kg(M249 Para)
5.32kg(MK46 Mod1)
8.17kg(MK48 Mod0)
発射速度 ベルト給弾時 毎分725発
マガジン装着時 毎分1000発
有効射程 FN発表値1,000m
米軍の方針:肩撃ち・点標的で600m、肩撃ち・面標的あるいは伏射・点標的で800m
オーストラリア陸軍の方針:伏射・点標的で400m
歴史
設計年 1982年
製造期間 1982年-現在
配備期間 1984年-現在
配備先 #各国の採用状況
関連戦争・紛争 湾岸戦争イラク戦争ほか多数
バリエーション 多数(本文参照)
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ミニミ軽機関銃(みにみけいきかんじゅう/MINIMI)は、ベルギーの国営銃器メーカー、FN社が開発した、5.56x45mm NATO弾を使用する分隊支援火器である。

概要[編集]

ACOGを取り付けたM249 Para
名称が示すようにパラトルーパー(空挺隊員)向けの改良型であるが、このタイプを標準装備として採用している国も多い

同社のFN MAGを元に、銃本体の重量を軽量化することにより機関銃手一人当たりの携行弾数を増加させる事に成功した。日本アメリカでは分隊単位に配備され、火力支援に使用される。給弾方式はベルトリンク送弾の他にSTANAG マガジンを使用することも可能。冷却は空冷式で、銃身交換も容易である。

MINIMIとは「ミニ・ミトラィユーズ MINI Mitrailleuse」の頭文字を取ったもので、フランス語で「小さな機関銃(英語表記にするならmini-machinegun)」の意味である。

二脚(バイポッド)が標準装備されており、簡単に携行できる分隊支援火器(SAW=Squad Automatic Weapon)として使用されるほか、アメリカ陸軍陸上自衛隊では三脚(トライポッド)を付けて使用することもある。

ソマリアイラクにおける各種作戦でも多用され、信頼度と射撃性能について優れた評価を受けている。

特徴[編集]

ベルトリンクにより繋がれた弾丸をフィードパンに乗せた様子
射手側から見た、STANAGマガジン(左)またはベルト(右)による給弾装置の位置関係

分隊の支援火器として、また、歩兵と同じ弾薬を共用できる軽機関銃として設計された。このことからM27ベルトリンクからの給弾のほか、M1689式5.56mm小銃をはじめ、NATO加盟国を含み広く採用されているSTANAG マガジンを装填しての射撃が可能となっている。切り替えの際に特別な操作は不要で、弾倉を装填するだけで使用できる。STANAGマガジン用の装填口には、ダストカバーを兼ねた弾倉止めが備わる。ただし、自衛隊では空包による射撃訓練ができなくなるため、使用されていない。

銃弾の薬室への装填は、ベルト式給弾方式の場合は引き金を引くと同時に遊底が前進し、それに合わせるように装填機能により給弾が開始されベルトリンクから弾が1発ずつ押し出され薬室に押し込まれ、遊底で固定され遊底内にセットされた撃針が雷管を叩いて銃弾が発射される。弾倉方式の場合は遊底部分が直接弾を押し出し薬室に装填される。

斜めに固定されたキャリングハンドルは、銃本体の運搬のみならず、銃身交換の際にも用いられる。このハンドルによって、射撃直後の銃身が熱せられた状態でも耐熱手袋などを必要とせずに交換が可能となった。銃身は交換レバーを押し下げ、銃身を前方へ引き抜く動作のみで外すことができる。

リアサイトにはつまみが二つ付いており、前部のつまみを回すと左右に、後部のつまみを回すと上下にそれぞれ照門が移動する。

銃把(グリップ)上部に押しボタン式の安全装置が備わる。右側に押し出す(左側から押す)と安全装置がかかり、左側に押し出す(右側から押す)と解除となる。射撃は連発(フルオート)のみ。

直接照準眼鏡を装着したMINIMIのフィードカバーを開ける陸上自衛隊員

二脚を標準装備し、長さ調節は三段階。下部被筒内部には、MINIMI専用の手入れブラシや分解のための工具が収められている。

アメリカ軍カナダ軍ではピカティニー・レールを装備し、Elcan社M145やACOGなどの倍率付きスコープ、エイムポイント社やEOtech社の光学照準器を標準的に装着している。また、日本の陸上自衛隊でもフィードカバー上部に固定式のマウントベースを装着し、専用の直接照準眼鏡(スコープ)を搭載する場合がある。

なお、全てのM249にはMILES(レーザー戦闘シミュレーションシステム)用のレーザー装備を取り付けることができる。また、サードパーティー製のサプレッサーを取り付けることもでき、ジェムテック(Gemtech)製のものはNATO標準のフラッシュハイダーに取り付けられるように設計されている。しかし実際にこれを取り付けると持続射撃でサプレッサーがオーバーヒートを起こすため、あまり取り入れられてはいないようである。

派生型[編集]

アフガンにて敵と交戦中のアメリカ陸軍兵士。中央の兵士がM249を使用している
M249を装備したアメリカ陸軍兵士

MINIMIには様々なバリエーションが存在し、また、MINIMIを参考・模倣した軽機関銃の開発も行われた。

M249 Para
空挺バージョン。折り畳みストック(銃床)と短いバレルが特徴。空挺部隊用として、色々な戦闘局面に対応できるようコンパクトに設計されている。
M249E4
M249をベースにしたFNミニミ・特殊用途火器(SPW=Special Purpose Weapon)で、ピカティニー・レールをフィードカバーの上に取り付け、フォアグリップを装着し、銃身を短くして、空挺スタイルの折りたたみストックM5に改修したバージョン。その他の特徴として、軽量化のため、M16マガジン用ポート・三脚装着用金具・二脚を廃止した。
Mk46 Mod 1
アメリカ特殊作戦軍(USSOCOM)が採用したもので、M249E4と似ているが、改良されたレール型ハンドガード、ショルダーレストがなくM249E4のM5ストックよりも軽い標準タイプの固定式ストックなどの違いがある。MK46 Mod 0(M60E4 SEALsモデル)とは別物。
MK48 Mod0
ミニミの7.62x51mm NATO弾仕様タイプ、SEALsなど少数にて潜入任務などをこなす特殊部隊は、少数対多数の戦いになる事が多く従来の5.56x45mm NATO弾仕様のミニミでは威力不足とされ、米特殊作戦軍の要請のもと作製されたモデル。
大宇 K3
M249をベースに、大宇 K2との部品の共有などで互換性を高めたモデル。韓国陸軍の要求でFN社が設計[要出典]し、S&T大宇が製造している。
IMI Negev
イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ社が設計した分隊支援火器軽機関銃FN MAGとMINIMIの構造を参考とした。

各国の採用状況[編集]

アイルランドの旗 アイルランド
アフガニスタンの旗 アフガニスタン
アフガニスタン国軍がM249を採用している。
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
M249を装備したアメリカ海兵隊員
M249の名称で、1984年アメリカ陸軍に採用された。アメリカ海兵隊でも、分隊レベルでの支援火器として積極利用しており、特に4-5人で編成される沿岸偵察チームには必携となっている。熱対策のため、銃身上部にカバーを追加する改良が施されている。
10年以上使われ続けた為に機械強度が低下しているものが多いという評価があるが、実際は採用された時の基本設計から様々な改良が加えられ現行では第4世代であるため、現在ではもっとも進化しているであろうタイプでもある。
また、多くのM249がフィードカバー上へのピカティニー・レール取り付け改造を施された。これで、M68エイムポイントのような、市販の昼夜共用の光学スコープや、低倍率スコープを取り付けることができるようになった。さらに一部のM249は、初期装備のプラスチック製固定ストックから、金属チューブ伸縮式ストックに改修された。
アメリカ海兵隊は、分隊支援火器としてM27 IARを採用し、M249と部分的に置き換えている。M249は継続して使用され、その使用は中隊長クラスの判断による。


アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦
イギリスの旗 イギリス
L108A1で射撃訓練を行うイギリス海兵隊兵士、給弾にSTANAG マガジンを使用
SAWとしてはL108A1として、空挺用(Para)としてはL110A1としてイギリス陸軍で使われている。軽支援火器とGPMG(汎用機関銃:General Purpose Machine Gun)の中間の武器として採用された。特に、4人編成の分隊ではParaバージョンが重用されている。これらには、CWS(Common Weapon Sight)という、昼夜共用の光学サイトが多用されている。


イスラエルの旗 イスラエル
イスラエル国防軍(IDF)は、最初にミニミを5.56mm版SAWとして採用し、その品質を実戦で確かめた。限られた数のミニミが1990年代前半に購入され、南レバノンで実戦に使用された。ミニミは確実に動作し、高い評価を得たが、1995年イスラエル独自開発のIMI ネゲヴ(Negev)5.56mm軽機関銃が、よりイスラエル国防軍の要求に合致するものとして採用された。
イタリアの旗 イタリア
イタリア軍が採用している。供給はベレッタ社。
インドネシアの旗 インドネシア
オーストラリアの旗 オーストラリア
F89として現地生産したものがオーストラリア陸軍に採用された。特徴として、ピカティニー・レールと、1.5倍光学サイト(スコープ)が取り付けられ、また、フラッシュハイダーが長くなっている。9名からなる分隊が2丁を携行している。また、少数の空挺バージョンが、空挺部隊により使われている。
オランダの旗 オランダ
オランダ陸軍歩兵用のFN MAGの代替機関銃として採用した(FN MAGは車両搭載用機銃として使われ続けている)。
カナダの旗 カナダ
カナダ陸軍 C9A1
C9としてカナダ統合軍地上軍に採用された。標準的に製造されたミニミに金属製伸縮チューブ式ストックを付けたもの。C9A1は、ピカティニー・レールが採用され、3.4倍のElcan C79スコープが取り付けられるようになっている。C9A2は銃身が短くなり、部品に緑系の迷彩塗装が施され、プラスチック製マガジンの代わりに布製のマガジンとなり、M4カービンのようなテレスコピック・ストックと、折りたたみ可能なフォアグリップが取り付けられ、標準でレーザー照準デバイス(LAM/LAD)が取り付けられている。


ギリシャの旗 ギリシャ
ギリシャ陸軍特殊部隊にて採用。
スイスの旗 スイス
LMg 05(Leichtes Maschinengewehr 05)もしくはFM 05(Fusil mitrailleur 05)の名で呼ばれる。
スウェーデンの旗 スウェーデン
スウェーデン陸軍 Ksp 90
Ksp 90としてスウェーデン陸軍が採用している。


スペインの旗 スペイン
スペイン海軍がParaを採用している。通常の5.56mm NATO弾のほか、7.62mm NATO弾が使用できるモデルも採用。
スリランカの旗 スリランカ
スロバキアの旗 スロバキア
スロバキア軍がParaを採用している。
セルビアの旗 セルビア
タイの旗 タイ
中華民国の旗 中華民国台湾
細部に独自改良を加えた物をT75の名で採用している。
パプアニューギニアの旗 パプアニューギニア
F89の名で使用している。
ハンガリーの旗 ハンガリー
特殊部隊でSAWを採用している。
フィリピンの旗 フィリピン
フィリピン軍2002年に採用。
ペルーの旗 ペルー
ペルー海軍で採用。
マレーシアの旗 マレーシア
マレーシア陸軍HK11A1機関銃の後継として採用している。
ニュージーランドの旗 ニュージーランド
C9としてニュージーランド陸軍が採用している。また、7.62mm仕様のミニミ7.62 T.R.を7.62 LSW Minimiとして2013年より採用した。
ネパールの旗 ネパール
ネパール陸軍は5,500丁のミニミを使用している。2002年7月11日にベルギー政府により供給された。
ノルウェーの旗 ノルウェー
1980年代後半ごろより採用。
日本の旗 日本
写真上側が陸上自衛隊で採用されている5.56mm機関銃MINIMI
陸上自衛隊で採用されている5.56mm機関銃MINIMI
(直接照準眼鏡装着)
諸外国の物とは形状の異なるヒートカバー(上部被筒)
住友重機械工業ライセンス生産を行い、「5.56mm機関銃MINIMI」の名称で自衛隊が採用している。陸上自衛隊では62式7.62mm機関銃の後継として1993年度予算から調達を開始し、2011年度予算までに4,456丁を調達している。調達価格は約200万円である。
陸上自衛隊だけではなく、航空自衛隊では基地警備隊UH-60Jの自衛用火器として、海上自衛隊では護衛艦の搭載火器として調達されている。ライセンス生産されたMINIMIは62式の三脚を装着可能[1]で、精密な射撃を要求される際に使用される。さらに長距離の射撃の際には「直接照準眼鏡」(スコープ)を装着する場合もある[2]。また、微光暗視装置を装着する例もある。
自衛隊が採用したのは金属チューブ製の銃床を備える所謂スタンダード型で、銃本体側面に「5.56mm機関銃MINIMI」との刻印が入る[3]。銃身上部にヒートカバー(上部被筒)が取り付けられているのが外見上の特徴。なお、このカバーはアメリカ軍と同様に採用後に装備されるようになった後付け品であるが、中央の列の放熱口が7つで(従来品は8つ)あるなど、形状が異なる。
なお、製造元の住友重機械工業では過去数十年間に渡り検査データを改ざんし、要求性能に満たない機関銃を防衛省に納入したとして指名停止処分されている[4]


陸上自衛隊の調達数[5][6][7]
予算計上年度 調達数 予算計上年度 調達数 予算計上年度 調達数
1993年(平成5年)度 96丁 2003年(平成15年)度 267丁 2013年(平成25年)度 188丁
1994年(平成6年)度 146丁 2004年(平成16年)度 252丁 2014年(平成26年)度 0丁
1995年(平成7年)度 192丁 2005年(平成17年)度 343丁
1996年(平成8年)度 177丁 2006年(平成18年)度 348丁
1997年(平成9年)度 141丁 2007年(平成19年)度 416丁
1998年(平成10年)度 184丁 2008年(平成20年)度 356丁
1999年(平成11年)度 157丁 2009年(平成21年)度 405丁
2000年(平成12年)度 174丁 2010年(平成22年)度 195丁
2001年(平成13年)度 202丁 2011年(平成23年)度 212丁
2002年(平成14年)度 193丁 2012年(平成24年)度 200丁 合計 4,844丁


東ティモールの旗 東ティモール
ブラジルの旗 ブラジル
フランスの旗 フランス
AAT-F1の名称でフランス陸軍内で広く使われている。
ベルギーの旗 ベルギー
ベルギー陸軍が基本型(名称はM2)とPara(M3)を採用している。
ラトビアの旗 ラトビア
ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク

登場作品[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 62式の三脚を装着する場合は、専用のアタッチメントが必要
  2. ^ 主に指揮官への狙撃や集弾率を向上し効率よく射撃できるようにするため
  3. ^ 銃身交換レバーの形状が異なるなど、独自の改良が施されている
  4. ^ http://www.jiji.com/jc/zc?k=201312/2013121800775
  5. ^ JapanDefense.com
  6. ^ 防衛白書の検索
  7. ^ 防衛省 予算などの概要

外部リンク[編集]