ブラジャー
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ブラジャー(英: brassiere[† 1]。ケベック・フランス語:brassière[† 2])は、主に女性が衣服の下に着ける下着。略してブラ(英: bra[† 3])とも称される。
概要[編集]
ファウンデーションの一種で、女性が胸部に着用する下着である。補正下着として使用され、乳房を保護し、形状を整えて崩れることを防ぐ目的がある。
身体に適合したブラジャーは、着用すると正しい姿勢が続いて心身の健康に効果[1]もみられる。
グラビア写真などで胸部や乳首や乳輪などを覆うものや行為を、両手で胸を覆い隠す「手ブラ」、髪を胸の前に垂らす「髪ブラ」、貝殼で胸を覆い隠す「貝ブラ」など「○○ブラ」と俗称する者も散見される。
歴史[編集]
古代ギリシアで、歩行時に乳房が動かないように布製の小さな帯のアポデズムをアンダーバストに巻きつけた。のちに、アナマスカリステルやマストデトンと呼ばれる細いリボンを胸からウエストまでを巻きつけた[2]。
共同通信社(2006年4月17日)によると、中国内モンゴル自治区の赤峰市で2004年より発掘調査されていた遼代の墳墓から、精巧な刺繍が施されて現代のブラジャーと酷似した形態でベルトに相当する部分とストラップに相当する部分がある、女性が胸部に着用した絹製の下着が発見された[3]。
現在のブラジャーの原型は、フランスで1889年にエルミニー・カドルが発明した「コルスレ・ゴルジェ」である。現在の形に近いものを1913年2月12日にアメリカ合衆国でメアリー・フェルプス・ジェイコブが発明し、1914年に特許を取得した。[4]
2008年にインスブルック大学の考古学者が、オーストリアのレンベルグ城で600年前に作られて実際に使われていたブラジャーを発見した。
1970年代初頭のウーマンリブ運動で、一部の活動家はブラジャーを「女性を拘束する象徴」として敵視し、ブラジャーを焼き棄て日常生活でブラジャーを着用しないノーブラ活動などもみられたが一過性で沈静化した。
日本[編集]

大正末期から昭和初期にかけて洋装下着は徐々に取り入れられた。ブラジャーも「乳房ホルダー」「乳房バンド」の名称で、婦人雑誌の広告にも登場しているが、衛生用品として薬局で販売されることも多かった[5]。
1948年(昭和23年)頃、アルミ線を螺旋状にしたスプリングを綿で被い布で包み、洋服の裏に縫い付けて使用するブラパッドの作り方が、『美しい暮しの手帖』創刊号で紹介された。和江商事は、独占販売権を取得したブラパットを1948年に発売して好評を得て、のちにパッドを入れる内袋のついたブラジャーを販売し、1952年(昭和27年)からワコールの商標でナイロンブラジャーを発売する。[6]
形状[編集]
ブラジャーは乳房を、覆う部位と面積、支える手段、固定する手段、形状、など多種ある。
基本構成[編集]
ブラジャーは、以下の構成要素より成る。
- カップ : 乳房を包み込むカップ形状の部分で、乳房に合わせて左右に1つずつ、2つのカップがある。
- ベルト : アンダーバスト部分で胸部を一周して囲む帯で、2つのカップを結んで背中で止められ、カップが外れないように固定する。ヌーブラのようにベルトが無いタイプもある。
- ストラップ : 肩紐とも呼ばれる。ブラジャーはストラップにより肩から吊るされ、通常はカップ部分の左右端から斜めに伸び、肩を廻り背中でベルトに繋がる。ナイロンやウレタン製で長さの調整できる場合が多い。ストラップがない「ストラップレス」、アンダーベルトやストラップ自体がない「ヌーブラ」などもある。
- ホック : ベルトを止めるための部品である。ベルトは装着しやすいように多くは背中の部分で繋がっておらず、ホックを止めることで繋ぎ合わせる。ホックは背中側にあることが多いが、左右のカップの間にホックがあるフロントホックの製品もある。ハーフトップなどと同様に頭からかぶるものなどホックを持たない製品もある。
カップ[編集]
カップは構成要素としてもっとも複雑な部分で、種類が多い。
- カップのカバー面積による分類
バスト部分の布地が乳房を覆う面積と部位で3つのタイプに区分される。
- フルカップブラ - カップがバスト全体をすっぽり覆うデザインで、安定感がありバストを円錐形に整え、Cカップ以上のバストに好ましい。
- 3/4カップブラ - フルカップブラのカップ上部1/4をサイドからセンターに向かって斜めにカットしたデザインで、脇の肉を寄せてバストに整え、薄いバストに好ましい。
- 1/2カップブラ、ハーフカップブラ、デミカップブラ - フルカップブラのカップの上半分を水平にカットしたデザインで、バストの下垂を整えて乳房の丸さが映え、小ぶりな乳房もふっくらと演出できる。
- フルカップブラのカップ上部3/4をカットした1/4カップブラ、トップレスブラ、オープンブラなどはバストの露出部が多く装飾的要素が大きい。
- ワイヤーの有無による分類
- ブラジャーのカップにワイヤーを使用したものがある。ワイヤーは乳房を支えて理想的な形状に整える目的で用いられ、金属、樹脂、形状記憶合金などが使用される。
- カップの底面部分で胸と乳房の境界を示すバージェス・ラインに沿い、ベルト芯のようにカップ素材の布の中に縫い込まれている。サイズが大きくなるほど、バージェスラインも緩く半球の直径が大きくなる。アンダーワイヤーブラはワイヤーの硬いものと軟らかいものがあり、ワイヤーなしを含めてワイヤーの種類は大きく分けて3つある。
- ノンワイヤー:ワイヤーをまったく使っていないもの。
- ソフト・ワイヤー:ワイヤーが芯に入ってはいるが、かなり柔らかいもの。
- ハード・ワイヤー:ワイヤーが芯として入っており、柔らかさがないもの。
- ハード・ワイヤーは、バストの大きさや形状に合った形状の場合は着用が快適で、乳房が安定して補正効果も高い。形状が合わずに着用痕が残ったり痛感がある場合は、カップサイズやパッドで調整したりソフト・ワイヤードやノンワイヤーを選択する。
- その他
- カップを構成する布地が一重のもの、パッドポケットを設けたもの、ポリウレタンなどでカップに厚みを持たせて弾力性に富むもの、厚さ1 - 2センチ (cm) 程度のパッドがあるもの、表の装飾と裏の当て布を縫い合わせた二重のもの、など様々なものがある。
- 布地の材質各種
ベルト[編集]
ベルトはアンダーバストの位置にホックで留められ、ブラジャー全体を固定する役割を持つ。
- ベルトの太さ
- 太いものはずれ難いが胴が曲げ難く、圧迫感は「アンダー圧」と称されて骨の有無、ベルトの太さ、伸縮性などによって左右される。リラックスしたい時はアンダー圧が低いタイプが適する。
- ホック1つで留まる太さ:国産Cカップ以下で用いられ、補正力は強くない。
- ホック2つで留まる太さ:国産Dカップ以下で用いられ、通常多く用いられる。ストラップ無しでも着用可能である。
- ホック3つで留まる太さ:国産EやF以上で用いられ、ストラップ無しでも着用可能である。
- ホック4つで留まる太さ:ロングブラジャーで用いられ、総ホック数は10個を超えることもある。
- 市販製品の多くは1cmから2cm位の太さで、ホックは1 - 2列が2 - 3段階並ぶ。国産はDカップ以上でベルトが太くなり、ホックも縦に3列並ぶことがある。カップが大きくなると、荷重の増大に対応してアンダー圧を上げて固定し、補正力が高いものやストラップを外して使用可能なものもベルトが太い。「ロングブラジャー」はベルトが特に太く、ベアバックドレスなどに適する。
- ベルトの形状
- ベルトの幅にあまり変化が無いもの - 補正力が強くないものに多い。
- ストラップからU字型、アーチ型を描くもの - 補正力が強いものに多い。
- ボーンの有無
- 大きく柔らかな乳房は脇に流れやすく、着用感の悪化や形崩れを防ぐために、カップから3cm位の位置にボーン芯を入れることがある。
- 補正力が強いタイプに多いが、ベルトが縦に曲がり難く窮屈な場合がある。ロングブラジャーなど補正力を重視するものはボーンが多い。
ストラップ[編集]
- ストラップは幅1cmほどの布紐が基本で、乳房の位置と形状を調整するためにアジャスターが付いたものが多い。位置が高い乳房はストラップを短くして、位置が低い乳房は長くして、それぞれ乳房とカップを合わせる。
- ストラップの前面結合位置
- ストラップとカップの結合位置は種々ある。
- ストラップとカップの連結位置が、乳房中心上部であるもの
- 基本的で古典的なものは、乳房のほぼ中心を上に延ばした位置にストラップを結合するものである。バストの重みを支えるために最適のバランスを求めた結果だと思われる。
- ストラップとカップの連結位置が、左右の脇寄りとなっているもの
- 乳房の形や位置を補正する目的で、脇の下部分辺りより皮下脂肪を集め、乳房全体を胸部のより前方へ、より高く持ち上げるように、カップやベルトの形状が構成されているものがある。この場合、ストラップは、バストの中心の上ではなく両脇にかなり寄った位置に結合される。両脇から上に持ち上げることで、乳房全体をより大きく、より胸部前方へと押し出す役割を持つのである。このようにして、自然な状態では明瞭でない「乳房のあいだの谷間」を構成することができる。
- 背面でのストラップ
- ストラップは背中でベルトと結合するが、これにも色々なヴァリエーションが存在する。
- 通常の背中でストラップがベルトと結ばれるもの
- ベルトと結ばれる位置で、ストラップの幅が広がったり、ベルトの幅が上向きに広がり一体化するもの
- 安定性を高めるために背面の幅を広くし、ベルトと一体化しているものがある。
- 背中のベルトで、ストラップを結合する位置が選択できるもの
- 背中のベルトと恒久的に固定されているものと、留め具で結合位置を変えることができるものがある。女性でなで肩の人は、ストラップが肩から滑って外れることがあり、とりわけ、ストラップが胸部前面で左右脇に寄っていると、滑る可能性が極めて高くなる。これを防ぐため、ストラップのベルトとの結合位置を、より背中の中心に近い位置に調整できるようになっているものがある。
- ストラップがバッククロスとなっているもの
- クロスブラ、またはバッククロスと呼ばれるストラップは、ストラップが背中でクロス形で交差している。この場合、なで肩の人でもストラップの滑り外れは起こらない。スポーツ用の活動的なブラジャーに多く、クロスした状態で販売されているものもあるが、通常のブラジャーのストラップを外し、自分で付け替えることでバッククロススタイルに変更できる。以前はこうしてで使用されていることもあったが、近頃は少なく、男性からも好奇な目で見られることが多い。
- ストラップがネックを回り、一本となっているもの
- ファッション性を重視して、ネックで回してストラップを一本にし、背中のベルトと結ばないスタイルのものもある。
- ストラップの取り外し
- ブラジャーを構成する生地素材の発展とファッション性を求めて、ストラップを外すことが可能なようになっているブラジャーがある。ベルトやカップの素材や設計により、ストラップがなくともブラジャーがずれないような場合は、ストラップはなくてもよいということにもなる。
- バストを支える目的だけでないものや、ファッションとしての見栄えを考えたストラップもある。色々な素材のストラップが考えられ、肩を露出させても目立たないシリコン製の半透明のもの(夏などの暑い季節に便利)、敢えてストラップを見せるおしゃれとして使用できるアクセサリーチェーンなども販売され始めている。これらのファッション・ストラップは単独で販売されており、手持ちのブラジャーのストラップと交換して楽しむことができる。
- ストラップレス
- 生地素材や設計により、ストラップなしでもブラジャーの機能が果たせる場合、ストラップは必要ではない。ストラップのないブラジャーは「ストラップレスブラ」と呼ばれる。ストラップレスブラは、最初からストラップがないことを前提に設計されており、これはストラップの取り外し可能ブラとは、種類が異なっている。トポロジー的に円筒となるため、チューブとも呼ばれる。
- ストラップレスブラに、ファッション性のため飾り目的でストラップが取り付け可能になっている場合があるが、この場合のストラップ取り外し可能ブラとの相違点は、取り外し可能ブラは、ストラップを前提に設計されているという点である。取り外し可能ブラの場合は、個人によっては、ストラップを外すとブラが安定しないなどの問題が起こり得る。
- アジャスターの位置
- ストラップ・アジャスターが胸部前面にあるもの
- ストラップは通常、左右一つずつアジャスターが付けられている。装着した後でもストラップの長さを調節し易い。
- ストラップ・アジャスターが背面にあるもの
- アジャスターが背面に付いている製品もある。その理由としては、ストラップ前面に(リボンなどの)装飾があり前面にアジャスターを付けられない場合や、正面から見たときの美観のためなどが挙げられる。
ホック[編集]
- ホックの位置
- 以下の二つのタイプがある。
- ホックが背中のほぼ中央に位置するタイプ(通常)
- ホックがカップの間に来るタイプ(フロントホック)
- 市販のブラジャーの約9割はホックがそれぞれのカップから伸びたベルトの一番端につき、身体に装着して留めると、背中のほぼ中央、つまり背骨の位置に来る。しかし、フロントホックと呼ばれるタイプは二つのカップの間にホックがある。
- フロントホックは、体が堅い人やブラジャーを着けるのに慣れていない人に向いている他、リハビリ中の人や授乳中の人にも使いやすい。一般的なブラジャーに比べて背中や脇から脂肪を集めやすいので、乳房の間に谷間を作りやすいという利点がある。反面、身体にフィットしていない場合は通常のタイプより違和感を覚えることもある。
- ホックの数
ホックの間隔は1cm程度で、普通3列または2列に並んでいる。ロングブラジャーのように総数10個を超えるものもある。
サイズ[編集]
ブラジャーのサイズはトップバストとアンダーバスト、及びカップサイズによって表される。トップバストは直立で立った状態で、乳房のもっとも膨らんでいる乳首の上を水平に通る周囲長、アンダーバストは乳房のふくらみの下側を水平に通る周囲長である。
カップサイズは、トップバストとアンダーバストの差で、アルファベットで表示される。あくまで差分であり、「カップサイズが大きいほど胸囲の絶対値が大きい」訳ではない。[† 4]。
カップの容量は、「カップ数を1つ上げ(下げ)、アンダーバストを1つ下げる(上げる)と、ほぼ同じになる」という関係にある[† 5]が、「カップ形状」は、メーカーごとあるいは同じメーカーでも製品シリーズで異なる。形状の異なる製品を比べて自らに適するものを選択すれば、自身のカップサイズを探し当てることはそれほど困難なことではない。
日本製[編集]
※日本人の女性の平均カップサイズはトリンプ調査によると以下のように推移している[7][8][9]。
調査年 | Aカップ | Bカップ | Cカップ | Dカップ | Eカップ | Fカップ | Gカップ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1980年(昭和55年) | 58.6% | 25.2% | 11.7% | 4.5% | - | - | - |
1990年(平成2年) | 32.3% | 30.5% | 21.4% | 10.0% | 5.6% | 0.2% | - |
1992年(平成4年) | 25.9% | 28.3% | 24.1% | 12.8% | 7.8% | 1.1% | - |
1996年(平成8年) | 23.8% | 34.2% | 23.9% | 11.7% | 4.4% | 1.8% | 0.2% |
2004年(平成16年) | 10.2% | 27.8% | 27.8% | 21.5% | 10.0% | 2.1% | 0.6% |
2011年(平成23年) | 8.0% | 23.8% | 26.7% | 22.0% | 12.8% | 4.8% | 1.9% |
2014年(平成26年) | 5.3% | 20.5% | 26.3% | 24.1% | 16.2% | 6.0% | 1.6% |
2016年(平成28年) | 4.1% | 19.0% | 25.6% | 25.0% | 17.2% | 6.6% | 2.5% |
日本製のサイズはJIS L4006[10]に規定されており、アンダーバストと、カップサイズにより表現される。
アンダーバストのサイズは市販品では、65cm、70cm、75cm、80cm のように5cm刻みである。アンダーバストは、ベルトに付けられるホックによって±2cm程度の調整が可能である。
カップサイズは、トップバストとアンダーバストの差が10cmであるAを基準とし、2.5cm刻みで大きくなるほど、B、C、D、E……とアルファベットを割り当てる。Aよりも小さなカップサイズは、-2.5cm刻みで、AA、AAAと表す。
カップサイズ | 意味 |
---|---|
AAAAAカップ | トップバストとアンダーバストの差が約0.0cm |
AAAAカップ | トップバストとアンダーバストの差が約2.5cm |
AAAカップ | トップバストとアンダーバストの差が約5.0cm |
AAカップ | トップバストとアンダーバストの差が約7.5cm |
Aカップ | トップバストとアンダーバストの差が約10.0cm |
Bカップ | トップバストとアンダーバストの差が約12.5cm |
Cカップ | トップバストとアンダーバストの差が約15.0cm |
Dカップ | トップバストとアンダーバストの差が約17.5cm |
Eカップ | トップバストとアンダーバストの差が約20.0cm |
Fカップ | トップバストとアンダーバストの差が約22.5cm |
Gカップ | トップバストとアンダーバストの差が約25.0cm |
Hカップ | トップバストとアンダーバストの差が約27.5cm |
Iカップ | トップバストとアンダーバストの差が約30.0cm |
Jカップ | トップバストとアンダーバストの差が約32.5cm |
Kカップ | トップバストとアンダーバストの差が約35.0cm |
Lカップ | トップバストとアンダーバストの差が約37.5cm |
Mカップ | トップバストとアンダーバストの差が約40.0cm |
Nカップ | トップバストとアンダーバストの差が約42.5cm |
Oカップ | トップバストとアンダーバストの差が約45.0cm |
Pカップ | トップバストとアンダーバストの差が約47.5cm |
日本のブラジャーは、欧米や韓国のものに比べるとカップ表記の基準が小さめである。例えば韓国のサイズでのBカップは日本式サイズではCからDカップに相当する。
元来、日本の女性は欧米人と比べ、体格に相応してバストサイズも小柄で、Aカップが多数を占め、Cカップあれば巨乳の部類と見なされていたが、トップバストとアンダーバストの差の正確な計測や1990年代半ば以降はサイズ規格の変更によりAカップを少なくして、BからDカップの割合が主流となるようになっている[要出典]。そのため、それ以前とのブラジャーサイズのカップの比較は不可能となっている。
店舗はEカップ以上のコーナーを設けているが、Gカップ以上の商品数や種類はCカップ以下のものに比べると乏しく、価格も通常カップ(BからDカップ)より割高になっている。
アメリカ・イギリス製[編集]
アメリカ製およびイギリス製の下着の場合、日本メーカーのブラジャーとはカップサイズが異なり、インチ・フィート法を基準とする。サイズの選び方は以下の手順を踏む。
- アンダーバストを計測して、偶数ならば4インチを加え、奇数ならば5インチを加えた数がブラジャーバンドのサイズになる。
- 計測したトップバストのサイズから上述ブラジャーバンドのサイズを引く。引いた数が1ならばAカップ、2ならばBカップ、0ならばAAカップ、-1ならばAAAカップという具合にカップのサイズを割り出す。
例えば計測したサイズがアンダーバスト32インチ(約81cm)・トップバスト39インチ(約99cm)である場合に、計算から求めたサイズは36Cとなる。
フィッティング[編集]
ブラジャーは体型、乳房の大きさ、乳房の形、乳房の質感に合っていなかったり着用方法を誤ると身体に悪影響する。商品と身体の適合で確認すべき点[11]を記す。
- カップの上辺が浮く
- カップの上辺が食い込む
- カップが余る
- 前中心が浮く
- 前中心や脇に圧力が掛かる
- アンダーバストが食い込む
- アンダーバストの前中心が浮く
- アンダーバストが苦しい
- アンダー全体が上がる
- ブラジャーの最下点に隙間が出来る
- ストラップが食い込む
- ストラップがずり落ちる
- ワイヤーがバストに食い込む
- バストラインが下を向く
- 脇に浮きや弛みがある
- バック部分が上がる
装着[編集]
- ブラジャーのストラップを腕に通して両肩に掛け、カップ下を両手で支え、ワイヤー部分が乳房直下のバージスに当たるように合わせる。
- 上半身を軽く前屈し、カップのワイヤーを胸の下に当てて乳房を下からすくいあげるようにしっかりとカップに収め、ぐっと持ち上げる。片手でブラジャーのアンダー部分を支え、一方の手で脇からカップ内部へ乳房を寄せ、そのままの姿勢でブラジャーのホックを止める。
- 身体を起こし、ストラップを少し引き上げながら肩になじませて長さを調整する。ストラップを調整しながら脇下の流れを確かめ、はみ出ている部分はカップに収め、前後のアンダーラインが水平であることを確認する。
- 上体を動かしてブラジャーが身体に適応していることを確かめる。動いてもずれなければ着用が完了する。
装着手順は各人各様で、先にアンダーのホックを止めてから背部へ回したのちに乳房を整える場合もある。
機能製品[編集]
バストアップブラ[編集]
バストの見映えを大きくするもので、厚いカップやパッド挿入の機能がある。プッシュアップブラの俗称もある。
ソフトブラ[編集]
着心地を重視し、ワイヤー、パッド、ホックなどを省略した締め付け感覚が緩いもの。
プランジ・ブラ[編集]
センター部が低い位置にあるデザインのもの。「プランジング・ブラ」とも。胸元が開いた服などに合わせやすく、下からも支えられる為に谷間も強調されることが特徴。名の由来は英語で「突っ込み」「飛び込み」等を意味する【Plunge】である。
バルコネットブラ[編集]
小さめのバストを支える作りのデザインとなっているもの。名の由来は「バルコニー」から。バストを持ち上げる効果が大きく、バランスの整った形状に見せられる。バストの下半分を覆う半円状のカップが特徴。
Tシャツブラ[編集]
Tシャツなど身体に密着するものを着用時にブラジャーが目立たないようにデザインされたもので、シームレスやモールドカップが多い。
ジュニアブラ[編集]
胸が膨らみ始めた女子児童向けのブラジャーを下着メーカーではジュニアブラ、ジュニア向けブラという名称で販売している[12][13][14]。ホックや長さ調節できるストラップつきのブラジャーのほかにホックがないブラジャーもある[15]。ワコールはバストトップの膨らみ始めから3段階、アツギは4段階に分け、成長段階に応じた着用を推奨し[16][14][17]、バストの成長を妨げないために睡眠時の着用は必要ないとしている[18]。
マタニティブラ[編集]
- 妊娠中は乳腺が発達し、短期間でカップやアンダーサイズが大きくなり乳房の形状も変化する[19]。この時期は通常のブラジャーが乳腺を圧迫し、母乳の分泌に影響することがある。サイズアップ・形状の変化に堪えられるワイヤーや伸縮性を持つ素材、発達した乳房を支えられる強度のあるストラップが採用されている。
- 授乳の際にブラジャーを外さずにカップ部分が取り外せるなど、工夫されたマタニティブラジャーや、産前産後に適した機能を持つランジェリー類をマタニティインナーとも称する。
和装用[編集]
和服は身体の凹凸を出さずに直線的な着こなしが良とされ、一般的なブラジャーとは逆に、胸のふくらみを目立たなくする機能を持つ。
結婚式用[編集]
- 上にドレスを着用するため、補正力が高く、ストラップの取り外しが可能なタイプが一般的。背中の開きが大きなドレスに対応した、バックレスと呼ばれるタイプもある。
- 一般的に色は純白だが、一部に青が入っていることがある。花嫁が挙式の際に身にまとうと幸せになれる4つのアイテム「Something Four」の言い伝えに「Something Blue」がある。ブラジャーだけでなく、結婚式の際に花嫁が着用するのに適した機能を持つ下着を「ブライダルインナー」とも総称する。
疾病対応[編集]
乳癌などの治療による乳房の一部または全切除、片乳房の減少などに対応するブラジャーがある。大きなパッドが入れやすいパッド受け、手術痕にブラジャーが触れ難いデザインなど工夫がある。
装飾用[編集]
- カップレスブラやトップレスブラと称され、乳房の上半分や乳首が露出する。スリットブラはカップの切れ目から乳首が視認される。
- カップを省略したノーカップ、カップレスもあり、乳房の大部分が露出となる。
夜用ブラ(ナイトブラ)[編集]
- 睡眠中もバストをしっかり支えて無理な体勢でも正確な位置を維持して、クーパー靭帯を守るブラジャーで、一般的にノンワイヤーのものが多く寝心地を重視して作られている。ナイトブラとも俗称される[20]。
- 昼用はバストの下垂を防ぐことを主目的としているが、ナイトブラは下垂防止よりも横流れ防止を主目的としている。
その他[編集]
など
ブラジャーと一体化したランジェリー類[編集]
など
日本国内シェア[編集]
日経「2002年主要商品・サービス100品目シェア調査」
ほかにルシアン、ピーチ・ジョン、千趣会、チュチュアンナ などがある。
ブラジャーにまつわる出来事と記録[編集]
カードローナのブラ・フェンス[編集]
1998年から1999年にかけて、ニュージーランドの中央オタワ地方のカードローナ地区にある公道のフェンスに4枚のブラジャーがぶら下げられたことをきっかけに、真似をする人が続出、その後数千枚にまで膨らみ、観光名所となっている。
ブラジャーのチェーン[編集]
ギネス・ワールド・レコードによれば、ブラジャーを繋げて作られたチェーンでもっとも長いものは、2009年8月にオーストラリアで作られ、ブラジャー166,625 枚で163.77キロメートルである。[21]。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ イギリス英語発音:[ˈbræziə(r)] ブラーズィア、アメリカ英語発音:[brəˈzɪr] ブラズィーア
- ^ フランス語発音: [brasjɛːr] ブラッスィエール。※注:カナダではアメリカ文化の影響で brassière はいわゆる「ブラジャー」を意味するが、フランスで brassière と言えば「(長袖で丈が短い)ベビー用シャツ」「救命胴衣」「負い紐」の意味になる。
- ^ 英語発音: [brɑː] ブラー
- ^ 「Bカップの女性の胸囲がCカップの女性よりも大きい」という場合もある。
- ^ 例えば、A80、B75、C70、D65は、いずれも概ね同等のカップ容量である。Library Body Navigation(ワコール)
出典[編集]
- ^ 立花 2010, p. 5.
- ^ サン=ローラン 1981, pp. 22-23.
- ^ “1千年前の女性下着発掘 中国、ブラジャーそっくり”. 新華社. 共同通信. (2006年4月17日) 2011年9月17日閲覧。
- ^ 立花 2010, pp. 19-20.
- ^ 立花 2010, pp. 54-55, 57.
- ^ 立花 2010, pp. 62, 67, 70-71.
- ^ こや (2006年2月8日). “日本女性のブラジャーの平均サイズは?”. Excite Bit コネタ - エキサイトニュース (エキサイト). オリジナルの2013年3月9日時点におけるアーカイブ。 2017年10月25日閲覧。
- ^ 榎本麻衣子 (2017年6月16日). “ブラの売上「Dカップ以上」が5割超え! でも実際のカップサイズ1位はなんと…【女性3,000人調査】”. CanCam.jp. 小学館. 2017年10月25日閲覧。
- ^ a b 日本アパレル工業技術研究会, ed (1998-02-20). ファンデーションのサイズ. 日本工業標準調査会. JIS L4006
- ^ 下着の基礎知識 不具合の原因は?
- ^ “女の子のための肌着教室”. グンゼ. 2020年7月6日閲覧。
- ^ “wacoal junior”. ワコール. 2020年7月6日閲覧。
- ^ a b “つけはじめにおすすめ”. ワコール・ウィングプリリ・ホワイトデイズ. 2020年7月17日閲覧。
- ^ “ジュニアブラのつけ方”. ガールズばでなび. ワコール. 2020年7月6日閲覧。
- ^ “バストの成長3STEP”. ワコールジュニア. 2020年7月6日閲覧。
- ^ “Hijuni(ハイジュニ)”. アツギ. 2020年7月18日閲覧。
- ^ “ナイトブラ(夜用ブラ)ってなに?”. ワコール. 2020年7月6日閲覧。
- ^ マタニティのバストの変化
- ^ 「ナイトブラでバストが大きくなる」は迷信!? ナイトブラにまつわるウソとホント キレイの知恵袋
- ^ Longest bra chain, Guinness World Records
参考文献[編集]
- セシル・サン=ローラン『女の下着の歴史』、1981年5月(原著1966年)。NCID BN02931500。
- 原著:Saint-Laurent, Cécil (1966). Solar. ed (フランス語). L′histoire imprévue des dessous féminins. Paris: Des Livres et la Plume
- 立花律子『下着選びは誰のため―下着とその文化65年』ベストセラーズ、2010年11月27日。ISBN 978-4-584-13275-3。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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