インバネスコート

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19世紀末期のインバネスコート

インバネスコート(Inverness coat)は、男性用の外套の一種。単にインバネスと呼ばれることもある。

概要[編集]

丈の長いコートに、ケープを合わせたデザイン。コート部分に袖のあるものと無いものがある。ケープの長さは、袖無しの場合は手首程度までの丈のものが多く、袖のある場合は肘から手首程度の範囲の丈のものが多い。ケープは取り外せるものと取り外せないものがあり、袖無しの場合は取り外せない場合が多い。ケープの背中部分がコートの背中部分と一体化しているものもある。

スコットランドインヴァネス地方で生まれたとされているため、こう呼ばれている。雨天など過酷な気象でもバグパイプ(スコットランドの楽器)を守り、演奏するために作成されたといわれている。

鹿撃ち帽パイプと合わせた姿は、シャーロック・ホームズのトレードマークとして知られている。ただし、この姿は原作の中では描写されておらず、挿絵や映像作品などから二次的に生じた姿である[注釈 1]

ギャラリー[編集]

日本におけるインバネスコート[編集]

下駄履きにカンカン帽洋傘を持ったとんび姿の男性(1914年)
とんび(1903年の洋服裁縫教科書より)

日本では主に男性の和装用コートとして用いられ、「二重回し[1]二重廻し」「二重マント」「とんび[2]インバ」「エンバ」などと呼ばれる。一般に「インバネスコート」は袖があるが、「二重回し」や「とんび」には袖がない。二重回しの場合、ケープの下はベスト状になっており、ケープが肩から背中全体を覆っている。とんびの場合、ケープは肩のみで背中の部分にケープが無いことが多い。着丈は二重回しもとんびも膝下まで達する。

これらの呼称は混乱しており、さまざまな定義がなされているが、歴史的にどれかが正しいと言える物ではない。参考までに比較的よくなされる定義を記す。

  • 「インバネスコート」 - 袖のあるケープ付きの外套。
  • 「二重回し」「二重マント」 - 袖の無いケープ付きの外套。
  • 「とんび」 - 袖が無く、ケープの背中部分がコートの背中部分と一体化している外套。

明治20年(1887年)ごろに伝わり、大正から昭和初期にかけて流行した。当時は「インバネスコート」「二重回し」「二重マント」「とんび」と呼ばれる外套は『お大尽』だけが着ることのできるものであった。インバネスコートのデザインでは和服の大きな袖が邪魔にならないため、実用性が非常に高かったことが流行の一因と思われる。和装自体が衰退した現代ではあまり見られなくなったが、現在でも和装をする際には、防寒着としてレトロでエレガントな雰囲気を持ったインバネスコートは依然需要があり、和装用の外套を扱っている店では販売している店舗も多い。

映画監督の伊丹十三は、「着物にインバネスってのは、ライスカレー福神漬け、と同じように和洋折衷大成功の一例である」と語っている[要出典]

長崎のグラヴァー邸で知られるトーマス・グラヴァーを筆頭に、開国直後の、スコットランドから日本への技術伝達、訪日・友好は深く、また日本人留学生をアバディーン(グラヴァーの故郷)、グラスゴーエディンバラなどに、当時混乱の日本政府に先立って受け入れている[要出典]。この事により、帰郷した日本人やスコットランド人により「インバネスコート」・「蛍の光」・「ウイスキー(竹鶴政孝による。妻の竹鶴リタはスコットランド人)」などが日本に紹介・持ち込まれたと思われる。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ モーリス・ルブランの『リュパン対ホームズ』(Arsène Lupin contre Herlock Sholmes)第二部第2章では、ホームズ(ショルメス)がインヴァネス(macfarlane)からパイプを取り出すシーンが描かれている。

出典[編集]

  1. ^ デジタル大辞泉 小学館
  2. ^ 精選版 日本国語大辞典

関連項目[編集]

外部リンク[編集]