紅白帽

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日本の小学校でかつて使用された体操着。左は90年代まで一般的だったショーツ型ブルマー体操着に紅白帽着用。右は60年代以前に一般的だったスタイル

紅白帽(こうはくぼう)は、おもに日本小学校児童体操着の一部として使用される帽子(体操帽子)であり、赤白帽(あかしろぼう)とも呼ばれる。

生地の面と面がの2色で分けられており、リバーシブルで使用できる。

日本に特有[編集]

世界的には制服としての体操着という概念自体が一般的でなく、特に欧米の価値観では人権に抵触する強制との捉え方もあってむしろ否定的である。

また、日本に近い考え方をする韓国では赤という色が共産主義を想起させるため、赤と白ではなくもっぱら青と白で区別されている。

よって、紅白帽およびその機能的特徴は、世界に類似物が見当たらない「日本独自の衣裳」であると言える。

使用方法[編集]

日本では、体育時に小・中学生が使用することが多く、特に小学校では運動会などで使用されることが多い。通学帽を採用していない小学校では、通学帽代わりとして採用しているところもある。

着衣水泳臨海学校オリエンテーリング掃除学習発表会奉仕作業等で、紅白帽子をかぶらせる小学校もある。

構造的特徴[編集]

生地の表面を赤色、裏面を白色とする[1]2色分けの帽子であり、表と裏を使い分けられる機能(リバーシブル機能)を持っている。この機能が、体育の授業や運動会などで1グループを2手に分けて「赤組 - 白組」といった対抗型の競技構造を作るのに用いられる。ほかにも、運動会での組体操ダンスなどの協調性をテーマとしたいわゆるマスゲームの場合には、赤と白を交互に配するなど色彩的演出の小道具としても使われる。

紅白帽は、その登場以前から使われていた紅白の鉢巻の発展型との位置づけができる。紅白帽は帽子本来の機能や視認性の高さのほかにも、別々の2本を用意しなくてはならない場合があり[2]、紛失の可能性の高い鉢巻に比べて、それらの点でも優れている。

男子用女子用とがあり、女子用は髪の毛の量を考慮して帽子の深さが深くなっている。

小学生用を主として、ほかに幼稚園児大人用があり、大人用は「中学生以上、大人兼用」の規格である。また、(つば)が付いているものが一般的であるが、鍔がない頭巾型のものも存在する。加えて、後部に日差し避けとなる帽垂れ布[3]が付いている型もある。鍔つきと帽垂れつきはゴム製の顎紐(あごひも)によって、頭巾型はそれ自体のゴム紐の締まりで頭部に固定する。

素材には綿ポリエステル、および両方の混紡素材が用いられる。

なお、これらの特徴は後述のカラー帽子についても変わりない。

カラー帽子[編集]

近年では、表面の赤色に代えて黄色オレンジ色ピンク紺色水色茶色などさまざまな別の色が使われることもあり、これらは総じてカラー帽子と呼ばれている。

幼稚園や保育園で採用されていることが多いが、小学校や中学校などでの使用例もある。

歴史[編集]

発案者[編集]

紅白帽は、昭和の中期・後期に活躍した喜劇俳優にして落語家発明家でもあった柳家金語楼が発案し、実用新案として登録したのが始まりで、当初から全国に広く普及し、今日の日本においてもほとんどすべての小学校で採用されている。また、幼稚園での採用も多い。

紅白の源流[編集]

そもそもこの紅白の組み分けによる対抗型の図式には起源があって、それは古代日本の最末期に源氏平家の間で繰り広げられた源平合戦における両者の対立構造である。

平家と源氏がそれぞれに赤旗(紅旗)と白旗を旗印として戦った史実に由来して、後世の日本人の意識に根付いた色彩感覚であり、発達してきた習俗、その一例をこの紅白帽に見ることができる。

なお、源平の紅白については「白旗#源氏の白旗」も参照のこと。

体操着との相性[編集]

主に幼稚園や保育園、小学校で使用されているが、体育の授業や運動会、掃除、着衣水泳、学習発表会臨海学校林間学校、オリエンテーリング、奉仕作業等で見受けられる。全校集会や通学では私服または制服姿のまま紅白帽子を被ることもあるが、大半は体操着着用したまま紅白帽子を被っていることが多い。

バレーシャツ[4]やハーフジップ等ナイロン、ポリエステル生地で作られた半袖や長袖の密着型体操服が学校で普及されてからは、男子はスポーマーというナイロン、ポリエステル生地でつくられた密着型短パン、女子はナイロン、ポリエステル生地でつくられたショーツ型ブルマーという密着型パンツ。ハイソックス、上履きまたは運動靴をはじめ、紅白帽子も併せて水陸両用の体操服として使用され、「日本独自の体育衣裳」として定着した。

日本国内だけでなく、日本人学校(小・中学校)等の海外の学校でも、日本の児童、生徒だけでなく現地(海外)の児童、生徒にも紅白帽子を被らせていたところもある。例をあげると、シドニー日本人学校では「ミックスレッスン」として日本人学級と国際学級合同で体育の授業を受けることがあり、本来の体育時の服装はTシャツに短パンの格好である。本校では国際学級の男女児童、生徒も日本人学級の男女児童、生徒と同じ紅白帽子をゴム紐を耳の後ろに通して顎にしっかりかけて被ることになり、体育時の衣装も日本人学級の男女児童、生徒と同じ体操着を着用していた[5]。男子は紅白帽子、白無地のバレーシャツ半袖体操服に濃紺無地の短パン(スポーマー)、ハイソックス、上履きまたは運動靴。女子は紅白帽子、白無地のバレーシャツ半袖体操服に濃紺無地のブルマー、ハイソックス、上履きまたは運動靴。体育の授業以外でも、学習発表会では顔を白く塗り染めたり、雨天時の運動会、オリエンテーリングでは全身びしょ濡れになって頑張り抜いたり、着衣水泳では全身びしょ濡れになって泳いだこともある。

小学校卒業以降は、紅白帽子を被る機会がほとんどなく廃棄してしまう。テレビ番組やビデオ、DVD等の収録では、体操着とセットに使用されることもある。

視聴者参加番組では、女子中学生(※字幕では小学6年生。12歳と表示)が、白無地のバレーシャツ丸首半袖体操服に濃紺無地のブルマー、白のハイソックスに白の運動靴、頭に紅白帽子を赤にしてかぶり、ゴム紐を耳の後ろに通し顎にしっかりかけた恰好(女子中学生だけでなく人形にも同じ格好)で出場。内容は、女子小学生が跳び箱を飛ぼうと走り出し、最後は彼女が跳び箱に変身し人形だけが投げ飛ばされるという設定だった[6]

テレビ番組の再現ドラマでは、苦手だったことを克服するなどのチャレンジャーを追うドキュメンタリーコーナーに中学3年生の女子生徒がスタジオ出演。小中学校時代のエピソードをもとに再現ドラマが制作され、その中に小学6年生の男女が体育の授業が終わった後、体育館裏で2人きりになり、女の子が男の子にデートの約束をする場面があった。出演したのは中学3年生の男子と女子。制作上の都合により、中学校時代だけでなく、小学校時代も出演することとなる。小学6年生男子児童役(演、中学3年生男子)は紅白帽子(白)、白無地のバレーシャツ半袖体操服に白無地のスポーマー、白のハイソックスに運動靴。小学6年生女子児童役(演、中学3年生女子)は紅白帽子(赤)、白無地のバレーシャツ半袖体操服に濃紺無地のブルマー、白のハイソックスに運動靴。中学生男女が小学校で使用する体操着を着用するだけでなく紅白帽子も被ってゴム紐を顎にかけ、両腕と太腿を晒して寒さを堪えながら演技をこなしていた[7]

冬場の寒い日の番組収録では、31歳の女子アナウンサーが綱引きクラブの取材ならび練習に参加。服装は、上半身は白無地の襟付長袖体操服を着用し、下半身は濃紺無地のブルマーを着用して太腿部を晒したまま白のソックス、上履きを履いて足元を整える。頭に紅白帽子を赤にして被りゴム紐を顎にかけ、女子小学生が体育の授業を受ける格好で収録を行った[8]

ビデオの撮影でも使用されることもある。女子高生ものでは、女子高生役の女性3人が教室内で制服から体操着に着替えながら話をするシーンがあり、机の上に白無地の襟付半袖体操服、濃紺無地のブルマー、つばのない紅白帽子まで置いてあった[9]。作品上では、某女子高の学校指定体操着として白無地の襟付き半袖体操服に濃紺無地のブルマー、白のソックスに上履き。頭に紅白ハチマキの代わりに小学校で使用するつばのない紅白帽子を採用して顎紐を両耳の後ろに通して顎にかけたら帽子を赤色にしてきっちりかぶって体育の授業に参加するという設定になっている。別の作品では、20前後の女性が女子高の制服から白無地の襟付き半袖体操服に濃紺無地のブルマーに着替え、白のソックスに上履き。つばのない紅白帽子を赤にして被り、ゴム紐をしっかりかけて身なりをきちんとした格好で出演したり、ビデオ撮影やパッケージ等の写真撮影に参加したこともある[10]

熱中症対策[編集]

日よけ布付の紅白帽(カラー帽子)を着用する奈良県の園児たち。(2013年)

地球温暖化などの要因で夏期に熱中症の患者が急増するようになった2000年代後半以降、紅白帽を採用する小学校や幼稚園の多くで、熱中症を予防する為に紅白帽の後頭部に日よけの布(タレとも呼ばれる)を取り付けたものを着用させる例が増えてきている。日よけの布は紅白帽に縫い付けられた固定式と、任意に着脱が可能なタイプが存在しており、元々日よけ布が無い紅白帽を用いていた学年や施設の場合は、保護者の任意で日よけ布の後付けを許可している例も見られた。

このような機能性を持つ帽子自体は、旧日本軍第二次世界大戦中に酷暑の南方戦線を中心に用いていた略帽(戦闘帽)の着脱式の帽垂布や、戦後のフランス陸軍が旧日本軍の略帽の機能性を参考に開発した固定式垂布付のキャスケット・ビジャール(リザードキャップ)などの軍帽に先例が存在するが、紅白帽の日よけ布が具体的に何を直接の参考として開発されたものかは不明である。

日よけ布付紅白帽が一定以上の普及を見せた2010年代中盤以降は、成人向けの作業帽にも着脱式の垂布を後付けする為の用品(ネック・サンシェード)や固定式垂布を最初から取り付けてあるものが作業服店を中心に販売され始め、成人女性向けの日よけ帽にも大型の固定式垂布が取り付けられたものが普及するなど、帽垂布が本来有していた旧日本軍の軍帽としてのイメージは次第に希薄になってきている。

脚注[編集]

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  1. ^ 実売の状況に基づき、カタログ上の記述で赤色(カラー帽子の場合はその色)が表面、白色が裏面と紹介されている。
  2. ^ ただし、紅白帽の登場以降は、鉢巻にもリバーシブル・タイプが存在する。
  3. ^ ぼう-たれ-ぬの。「帽垂れ」「垂れ布」とも言う。
  4. ^ 袖口、裾口、首廻り口が伸縮ゴムで絞った密着型体操服。
  5. ^ 1989年4月23日付の読売新聞、首都圏教育の記事「先生不足に悩む日本人学校」より
  6. ^ 1985年5月4日(土)放送『欽ちゃんの爆笑仮装コンテスト! 第15回全日本仮装大賞』(日本テレビ系列) 26番「とび箱」より。
  7. ^ 1997年5月放送「嗚呼!バラ色の珍生!!」(日本テレビ系列)より。
  8. ^ 1997年3月放送。「めざましテレビ」(フジテレビ系列)の中継コーナー「日本全国! 朝から大変だ!」より。
  9. ^ 『いちじく校門クラブ』(パール映像)より
  10. ^ 『桃色放課後通信9』(パール映像)より。

関連項目[編集]