クーパー靭帯

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クーパー靭帯
Breast anatomy normal scheme.png
ラテン語 Retinaculum cutis mammae,
ligamenta suspensoria mammaria
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クーパー靭帯 (クーパーじんたい、:Cooper's ligaments、別名クーパー提靭帯、the fibrocollagenous septa) は乳房の構造的な全体性を維持するための結合組織。その名はこれを1840年に初めて記述したアストリー・クーパーにちなむ[1][2]。それらの解剖学的構造は、透過回折トモグラフィーを用いることで明らかにすることができる[3]

同じエポニムである恥骨櫛靭帯(ときにクーパー鼡径靱帯と呼ばれる)と混同してはならない。また、内側側副靭帯の中間線維及び/もしくは横走部もクーパー靭帯と呼ばれることがある[4][5]

解剖学的構造[編集]

鎖骨鎖骨胸筋筋膜から乳房組織を通りその周りに分岐し、乳房の上にある真皮にいたる。完全な靭帯は上胸部の鎖骨及びその下にある深筋膜から乳房を懸垂する。これにより乳房が正常な位置で支えられ、正常な形状を維持している。この靭帯の内部支持がなければ、胸部組織(周囲の脂肪よりも重い)は自重で垂れ下がり、普通の形状や輪郭を失ってしまう。

病理[編集]

クーパー靭帯は、局所リンパ管の閉塞が乳房の膨張を引き起こす炎症性乳がんの進行に伴う乳房の見た目の変化に重要な役割を果たす。皮膚はクーパー靭帯によりつながれているため、オレンジの皮を連想させるようなくぼんだ見た目になる。また、癌腫はくぼむことにつながるクーパー靭帯の長さを短くするという可能性もある。

垂れることとの関係[編集]

多くの女性は、垂れたことが乳房組織を支えるためのクーパー靭帯の不調により引き起こされたと信じている。実際、垂れることは部分的には遺伝的要因で決定するが、喫煙、BMI、妊娠した回数、妊娠前の胸の大きさ、年齢など全てが影響を与える要因となる。[6]

多くの女性は、また、ブラジャーを付けることで後の人生での胸のたるみを防ぐことができ、胸は解剖学的に自分自身を支えることはできないと信じている[7]。ブラの製造業者はブラジャーを付けている間だけ、乳房の形に影響を与えると主張するだろう[8]。ブラはつけている間だけ女性の胸を支える役目を提供する。

病理学的には、重い乳房は女性の上胸部に痛みを引き起こすことがあるが、これはブラジャーの装着が不適切であるからである。女性の80%から85%が間違ったサイズのブラジャーを付けているという報告が数多くされている[9][10][11][12][13]

中年女性では乳房の垂れるのは複数の要因が組み合わさって引き起こされる。もし女性に、子供がいたら産後のホルモンの変化により乳腺が枯渇し萎縮をする。複数回の妊娠を経験した女性は、授乳中の充血の間に皮膚のおおいを繰り返し伸ばすことになる。さらに、子供が生まれた後大きくなった乳腺が小さくなり、このことをたるみに寄与してしまう。女性の胸の大きさが妊娠を繰り返すことで大きくなるにつれ、胸部に対する乳腺の位置を維持するクーパー靭帯は伸び、徐々に筋力を失っていく。太りすぎたり体重の増減があっても乳房組織や靭帯が伸びることがある。

脚注[編集]

  1. ^ synd/3342 - Who Named It?
  2. ^ A. P. Cooper. On the anatomy of the breast. 2 volumes. London, Longman,1840.[要ページ番号]
  3. ^ “Diffraction and coherence in breast ultrasound tomography: a study with a toroidal array”. Medical Physics 36 (7): 2955–65. (July 2009). doi:10.1118/1.3148533. PMID 19673194. 
  4. ^ http://medical-dictionary.thefreedictionary.com/transverse+ligament+of+elbow
  5. ^ Waldeyer's Human Anatomy - Membrum superius, articulatio cubiti
  6. ^ Campolongo, Marianne (2007年12月5日). “What Causes Sagging Breasts?”. 2012年1月26日閲覧。
  7. ^ Female Intelligence Agency: Why do women wear bras?”. 007b Breast. 2011年5月10日閲覧。
  8. ^ Cawthorne, Simon (2000年11月). “Bras, the Bare Facts”. Channel 4. 2018年5月閲覧。
  9. ^ “Breast Size, Bra Fit and Thoracic Pain in Young Women: A Correlational Study”. Chiropractic & Osteopathy 16: 1. (2008). doi:10.1186/1746-1340-16-1. PMC: 2275741. PMID 18339205. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2275741/. 
  10. ^ “Right bra 'could halt breast ops' BBC”. BBC News. (2008年4月11日). http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/7342144.stm 
  11. ^ Are you wearing the right bra size?”. 2008年9月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月閲覧。
  12. ^ Lantin, Barbara (2003年4月14日). “A Weight off my shoulders”. The Daily Telegraph (London). https://www.telegraph.co.uk/health/main.jhtml?xml=/health/2003/04/14/htest14d.xml 2011年1月4日閲覧。 
  13. ^ Rigby and Peller – Bra fitting”. 2011年12月17日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。