ネットイナゴ

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ネットイナゴとは、インターネット上の電子掲示板ブログ等、ウェブサイト(以下、単に「サイト」)のインターネットコミュニティに、別の媒体(他の電子掲示板アフィリエイトブログ、ポータルサイトネットランナー等のWEB紹介雑誌、テレビ等)の紹介により瞬間的にかつ大量に押しかける不特定多数の集団のことを指すネットスラング。コミュニティの慣例を無視し数の暴力でコンテンツを荒らし、サイトやサーバの運営に支障をきたすなどの有様が昆虫イナゴの生態、習性に似ているとして(後述のとおり、厳密には誤用)、慣例的に匿名コミュニティ等で使われてきた用語のこと。

2006年5月23日、「ekken?」というブログのネット右翼に代わる呼称を検討する記事がブログ間で話題を呼び、同月中には一部メディアで使用されていた形跡がある[1]。ここで注目を集めたため思想的背景や明確な意志がある荒らし集団を指すと誤解されがちだが、本来は「数の暴力で元々あったネットコミュニティやコンテンツを荒らす不特定集団」の意味でしかない。

目次

[編集] 概説

インターネット上のサイト、電子掲示板やブログなどはその構造上WEBに開かれている。そのため、特に大型掲示板や大手ポータルサイトなどに一度リンクを貼られれば、そこから膨大な量のアクセスが瞬間的に集中することになる。

商売やアフィリエイトのみを目的としているサイトならば、過負荷などでWebサーバが停止してしまう程のものでもなければ、この大量アクセスは歓迎される。しかしそうではない場合、仲間内の寄り合いでしかないサイトやインターネットコミュニティに大量の不特定ウォッチャーが押し寄せると、慣例等が無視されコンテンツは不満足なものになり、場合によっては人が押し寄せる行為それ自体が荒らし行為と同じ状態になってしまう。要するに、元来観光地でない平和な地域がTVや雑誌等で紹介された事がきっかけに大ブームとなり、野次馬、さらにはそこで一商売しようと目論む者たちまでもが大量に押しかけ、地域住人が騒音やゴミ、盗難や人的被害に悩まされるのと似た様な構図である。

大型掲示板に自分のアフィリエイトサイトへのリンクを貼り、アクセスを大量に経由させ、これによって金銭を稼ぐ事などを目的に、このネットイナゴを意図的に作り出そうとする動きも見られる。また、内容がセンセーショナルであるほど人目を惹き付けやすいため、その様な者がURLを匿名掲示板に書き込む他に、落ち着いて考えれば些細なはずの事象を針小棒大に騒ぎ立て、凶悪犯罪への関連などの情報を捏造して、サイトの持ち主が社会通念に照らして問題のある人物、さらには犯罪者であるかの様に作為的かつ断定的に扱う悪質な行為も見られる。これを見た不特定多数がそのサイトにアクセスしサイトが混乱する様を見て、さらに面白おかしく状況を煽り立てる愉快犯的な者まで現れ、サイト管理者にとっては経済的損失の発生・社会的地位の喪失などといった様々な悪影響を現実にまで及ぼされる原因となる事も見られる。この様な状況では、サイト・Webサーバの管理者にとっては「ネットイナゴ」と「荒らし」は区別も付かず、等しくただ迷惑なだけの存在となる。

したがって、この言葉は蔑称として使われることが多く、一般的に多用する語句ではないが使用の際は注意が必要である。

類似の現象としてスラッシュドット効果がある。

[編集] 発生の要因

ネットイナゴとは不特定多数による数の暴力の被害にあった被害サイト側からの呼び方であり、ネットイナゴを自認・自称し行動する人物や団体が個別に存在している訳ではない。特定の指揮系統を持たないネットイナゴが一斉にコンテンツへの群がる一因として、RSSなどの普及に伴う情報発信・収集の利便化、瞬時のリンク・ダウンロード・書き込み等が可能となった回線の大容量化、常時接続化、携帯電話からのアクセス等が指摘されている。

ネットイナゴの主な潜伏サイトとして、不特定多数の人間が常時存在する電子掲示板(匿名顕名を問わない)、ネット上のトレンドを瞬時にリンクするポータルサイトやアフィリエイトブログ、「はてなブックマーク」などの大規模なソーシャルブックマークの存在が挙げられる。これはトラックバックタグ機能を利用することで、容易に広範囲・高効率の誘導リンクを設置可能である点が要因と考えられている。

稀に2ちゃんねらーとネットイナゴを混同している例が散見されるが、2ちゃんねるに限らずネットイナゴのようなネットの構造上の問題から発生する瞬間風速的な数の暴力というのはどこにでも発生しうるものである。しかし、2ちゃんねるのスレッドからの誘導リンクが発端となったと思しきネットイナゴ現象も数多く確認されており、(不特定多数の人間を大量に抱えている場の一つとして)主要な発生源の一つとして考えることはできる。特に悪質なネットイナゴの常時「生存」が確認できるのが2ちゃんねる内のBBSの一つ、「ネットウォッチ板」である。

これら発生源はWWWワールドワイドウェブ)において機能・構造上一般的なものであり、利用自体に問題があるわけではない。問題となるのはその膨大な人数と、コミュニティの慣例に倣わないリンクを辿った側の態度・またはリンクの意図そのものである。特にアクセス数が直接収入に結びつくポータルサイトアフィリエイト目的で設置されているブログ等は彼らを焚き付け、自らの貼ったリンクから誘導することによって広告費を稼いでいる形となるため、その運営方法ゆえにネットイナゴ被害サイト側からリファラ規制対象とされることが多い。

[編集] 定義・特徴

一般的には、特定のリンクから電子掲示板やブログ等に瞬間的に押しかける(=「祭り」を起こし「炎上」させる)不特定多数の集団を指す。最悪の場合サーバやコンテンツ・ネットコミュニティ等を機能停止・消滅にすら追い込むこの集団行動を、時として大量発生し農作物に壊滅的な被害を与える蝗害の原因とされる「蝗」(イナゴ)の群れに喩えたものと思われる。ただし蝗害の項目にもあるように、実際にこの現象を起こすのはバッタ類なので、厳密に言えば誤用の範疇である。

現在、ネットイナゴについては主に次のような定義・特徴が言われている。

  • 本質的には、個々は不特定集団の一部であり、特定の集団や組織には属しておらず、特定思想に基づいた行動というわけでもない野次馬(群衆心理)。
  • 瞬間・突発的な話題性を重んじ、ダウンロード・書き込み等の行動意図に個人の意志の介入がみられない。
  • サイト・コミュニティ側の空気を読まない。また「半年ROMる」といったことをせず数の暴力で場を潰し、目ぼしいコンテンツだけを食い荒らす。
    • コンテンツだけを瞬時に手に入れようとダウンローダー等のサーバに異常な負荷をかける同時接続ツールを使い、サーバやスクリプトを機能停止に陥らせる(ぶっこ抜き)。
  • また、サーバが停止する状況に追い込んだ場合、その事を自分たちの武勇伝のように誇る。あるいは楽しみを奪われたとしてサイトやサーバの管理者をさらに攻撃する。
  • 自分たちの瞬間的な快楽のみが最優先される。後先は考えていない。
    • 自分にとって楽しそうな情報であれば真偽については問わず、自分たちの場の空気で無条件に真実と断定して行動する。情報の信憑性への検証などは一切みられない。
    • また、リンクを貼られてしまった側のコミュニティ住人や管理サイドの権利、とりわけ人権著作権等については一切考慮に入れておらず、そのことを指摘されても面白半分かつ徹底的に否定する。
  • コミュニティの住み心地が良かったりコンテンツが豊富だったりした場合、従来の住人たちへの嫌がらせや追い出し行為に発展することもある。
    • 電車男ブームの際、その野次馬が2ちゃんねるの「独身男性板」にそのまま住み着き、元々いた住人が逆に迫害を受けたケースで見られた事例が有名。
    • 住人の追い出しが起きた場合、元々そこにいた住人は数の暴力により住処を奪われネット難民として彷徨うことになり、その難民がまた別の場所のネットイナゴになるという二次被害の原因にもなりうる。
  • 一連の行為は集団心理に基づいたものであり、それ故に行為を行う個々では迷惑行為だという認識や罪悪感を全く抱かない。
    • 標的にされたサイトやコミュニティが崩壊・消滅しても、自らの行動がその原因の一部になったという認識を全く持たない場合がある。
    • 自らの行為が数による暴力行為(晒し行為、町中の至る所に名誉を毀損するビラを貼り付けるような無断リンク)の一部をなしているという自覚を持たず、むしろ自分たちこそが正義であると錯覚する。特に「マスコミや司法が取り上げないからこそ、自分たちが(リンク先などを)取り上げなければならない(社会的制裁を加えなければならない)」という主張を繰り返し、マルチポストを繰り返す。そこにはサーバやスクリプトへの負荷、管理人や攻撃対象への人的被害等への配慮は無く、むしろサーバトラブルや人的被害などの大きな問題が発生してさらに盛り上がる事を期待・歓迎する。
  • 自分たちが行った行為により、攻撃対象にした被害者が精神的被害や経済的損害を被るなど様々な事態が発生しても、自らの行為と結果が関連している事を理解することができない。
    • 具体的には、被害者に精神疾患発症や自殺などの事態、風評被害による仕事・収入の減少が起きたとしても、「自分たちの行為でショックを受ける方が悪い」「自分たちの行為がそのような結果に繋がる理由があるはずがない」、または「自分たちの行為で精神的損害を受けるはずがない、自殺などするはずがない」「他の奴の書き込みはともかく、自分の書き込みはその様な結果に繋がる原因にはならない」などと自己の正当化を繰り返す。
    • 逆に被害者から名誉棄損罪や脅迫罪などで告訴され、自分が刑事事件の捜査対象となったとしても、「自分の書き込みは犯罪に該当する様なものではない」「刑事告訴された。なんか納得いかない」「自分の書き込みはあくまで事実しか書いていない」「正義感から書き込んだもので被害者が悪い」などとインターネット上などで頑なに主張したり、あるいは第三者を装って弁護する形で匿名掲示板に書き込むなどして、さらに被害者に対する誹謗中傷を重ねる者もいる(タレントのスマイリーキクチ、また殺人事件の被疑者と偶然同姓だった北海道の不動産業者が被害者となった事件のケースが知られる)。
  • 対象となる人物についての事件などが沈静化したり、ターゲットであるサイトやブログを消滅させると、文字通りイナゴの群れのように次の「餌」を求める。ネット上におけるいわゆる祭りなど。

[編集] 国際的事例

一つのサイトに不特定多数が瞬間的に集結し混乱を招く現象は、日本に限らず海外でも発生している。

  • 2007年6月24日、中国作家が「復讐心をあおる反日宣伝はやめるべきだ」という旨の記事を書いたところ、「日本の右翼勢力に共感するのか」という非難が殺到。更に事態が悪化していったことからブログから該当記事を削除し、謝罪する事態となった[2]
  • 海外の画像掲示板に日本人の野次馬が集団で押しかけ、日本語で大量書き込みをした上にサーバが負荷で機能停止になり、その後暫くJPドメインが弾かれると言った事態や(現在は話し合いの末解禁された模様)、YouTubeにおいて「JAPとか差別用語を使うなよ!」と英語で話しかけていた動画に対し日本人が誤解(「JAP」しか聞き取れなかった)の上中傷、様々な国際的人物を巻き込んだ大騒ぎになる[3]事態等、日本の国際問題に発展する事例も数多く出てきている。
  • また、特にこの種の問題が深刻な国としては大韓民国がある。ネット上で吹き荒れる悪質な書き込みやデマ、心ない噂(主として美容整形疑惑の喧伝)を苦に自殺してしまった著名人について、韓国版のネットイナゴとでも言える者たちが肉親や関係者のサイトなどに殺到し、掲示板でさらに悪質な冒涜・中傷の書き込みを繰り返すという事例が、イ・ウンジュユニチョン・ダビンチェ・ジンシルなど幾度となく繰り返されている[4][5]
    • その他、大韓民国については、攻撃対象となる相手が日本である記事などについては、大手のマスコミまでもが信憑性への確認も無いままに、インターネットで騒いでいる状況を裏付けとする形で記事に仕立ててしまう例もみられる。

[編集] 脚注

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  1. ^ブログ炎上「犯人」を命名 「ネットイナゴ」が定着?J-CASTニュース、2007年6月14日。
  2. ^ “日本寄り”で非難集中 中国の作家、ブログ削除し謝罪”. 中日新聞. 2007年6月24日閲覧。
  3. ^ YouTubeで起きた悲しいできごと”. ITmedia. 2006年7月23日閲覧。
  4. ^ チェ・ジンシルさんの死まで嘲笑…いったい誰が”. 中央日報. 2008年10月3日閲覧。
  5. ^ 韓国の殺人ネットの恐怖、芸能人相次ぎ自殺 後追いも続発”. 産経新聞. 2008年10月4日閲覧。

[編集] 関連項目

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