モラルハラスメント

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

モラルハラスメント: Harcèlement moral: Mobbing)とは、モラルによる精神的な暴力嫌がらせのこと。俗語としてモラハラと略すこともある。

概要[編集]

フランス精神科医マリー=フランス・イルゴイエンヌが提唱した言葉。著書『モラル・ハラスメント—人を傷つけずにはいられない』は、日本では1999年に出版された。 外傷等が残るため顕在化しやすい肉体的な暴力と違い、言葉や態度等によって行われる精神的な暴力は、見えづらいため長い間潜在的な物として存在していたが、イルゴイエンヌの提唱により知られるようになった[1]。イルゴイエンヌは、社会は精神的な暴力に対しては対応が甘いが、精神的な暴力は肉体的な暴力と同じ程度に、場合によっては肉体的な暴力以上に人を傷つけるもので、犯罪であると述べる。フランスにおいては、1998年時点では、社会は精神的な暴力に対しては対応が甘く、肉体的な暴力に対して厳しいので、その点が問題だという [2]。セラピストとしてたくさんの被害者に接してきた結果、加害者の攻撃から身を守るのが難しいか、よく知っている[3]。ストレスは行き過ぎなければ、心身に深い傷を与えない。これに対して、モラル・ハラスメントは、心身に深い傷を与えるのが普通の状態なのである[4]。「モラルハラスメントがどれほど被害者の心身の健康に破壊的な影響を与えるのか、その恐ろしさを嫌と言うほど見てきた。モラルハラスメントは、精神的な殺人である」とも述べている。[5]

安冨歩は、moral(仏)という語の「精神の、形而上学の」という意味を考慮に入れ、harcèlement moral=「身体的ではなく、精神的・情緒的な次元を通じて行われる継続的ないじめ、いやがらせ、つきまといなどの虐待」と解釈している[6]。「モラル・ハラスメント」が成立するためには、「いやがらせ」が行われると共に、それが隠蔽されねばならない。「いやがらせ」と「いやがらせの隠蔽」とが同時に行われることが、モラル・ハラスメントの成立にとって、決定的に重要である。[7]

加藤諦三は、「愛」だと思い込んで相手を支配する「サディズムの変装」を、モラルハラスメントをする人自身が理解できない側面を指摘している[8]

インターネット上のサイトでは単なる嫌がらせとモラル・ハラスメントを混同させているように見受けられる記述がある[要出典]

マリー=フランス・イルゴイエンヌによる定義[編集]

加害者にとり被害者は、人間ではなく「モノ」[9]。とはいっても、モラル・ハラスメントの被害者に選ばれる人物にも傾向が存在する。被害者となるのは、几帳面で秩序を愛し、他者への配慮を働かせ、責任感が強い、メランコリー親和型の人である。起こった出来事に対して自分が悪いのではと罪悪感を持ちやすい[10]、誰かに与えることを欲している[11]という性格が利用される。自己愛的な変質者が欲しているのだが持っていないものを持っているか、自身の生活のなかから喜びを引き出している場合も被害者に選ばれやすい[12]

モラル・ハラスメントの加害者は「精神の吸血鬼」であり、誰かが楽しんでいるのを見ると、それがたとえ自分の子供であっても、その楽しみを妨害しようとし[13]、絶えず誰かの悪口を言っている[13]。物質的・精神的を問わず、自分が持っていないものを持っている人物を見ると、普通の人は努力して手に入れるか諦めるかするのだが、モラル・ハラスメントの加害者になるような人物は、相手を破壊し、辱め、貶めようとする。「羨望」が加害者の原動力である[14]。羨望から相手の持っているものを手に入れるとき、モラル・ハラスメントの加害者になるような人物は、相手と与え合う関係を築いて欲しいものをもらうという方法は取らない。相手が優れた考えを述べたとすると、その考えは相手のものではなく、加害者のものになっている[15][16][17]

加害者は道徳家の様に振舞うことが多い。妄想症の人格に近いところがある[18]。また、加害者が人を支配しようとするのには、妄想症の人間が自身の「力」を用いるのとは対照的に、自身の「魅力」を用いる[19](婉曲的な表現や倒置法を好んで使うなど)。次に、ひとつひとつを取ってみればとりたてて問題にするほどのことではないと思えるようなささいな事柄・やり方により、被害者の考えや行動を支配・制御しようとする。この段階では、加害者は被害者に罪悪感を与え、周囲には被害者が悪いと思わせようとする[20][21]

被害者が自立しようとすると、中傷や罵倒などの精神的な暴力を振るい始める[21]。だが、モラル・ハラスメントのメカニズムが機能しているかぎり、加害者の心には安寧がもたらされるので、被害者以外の人には「感じのいい人」として振る舞うことが出来る。そのため、その人が突然モラル・ハラスメントの加害者として振る舞ったとき、周囲には驚きがもたらされ、時にはハラスメントの否定さえなされる[22]。自分のほうが悪いのではないかと逡巡する、暴力は相手が悪いが、原因は自分にあると思考してしまう。[21][23]
モラル・ハラスメントの加害者が行う個々の攻撃行動は、普通の人でもやってしまうことがあるものだが、普通の人はためらいや罪悪感を伴ってしまうところを、「本物の加害者」[24]は自身のほうが被害者だと考える[25]。反対に、耐えかねた被害者が加害者に肉体的な暴力をふるってしまうこともよく起こる。加害者がそのように仕向けることすらある[26]

「自己愛的な変質者」、この人達は人々をひきつけ支配下に置き価値観の基準をひっくり返すことができる。集団に混じっていれば集団的倫理観が破壊されてしまう。[27]

加害者は自分のしていることを周りにも、相手にも気づかれないようにして、巧みに被害者を傷つけていく。その結果、被害者は肉体的にも精神的にもかなり苦しんでいるのにその苦しみの原因がわからず、時には随分時間がたってからようやく自分がモラルハラスメントを受けていた事に気づく。また、何年も経過した後でも被害者は、行動する度に加害者から言われた中傷誹謗や軽蔑の言葉が頭に蘇り、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に長期的に悩み苦しむこともよくある。[28]

加藤諦三による定義[編集]

親に「勉強しなさい」と言われて子供が「イヤだ」と言っているような関係ならモラルハラスメントは成立しない[29]。しかしモラルハラスメントが成立していると「なんで誰々さんのようになれないの」と言われて「あんたの子供だからだよ」ととても言い返せない[30]。加害者はありのままの自分を受け入れられないのである。

安冨歩による定義[編集]

支配が成立すると、被害者は混乱に陥る。呻く気にもならず、どうやって呻いてよいかもわからない。麻酔をかけられたように、頭が真っ白になり、考えることができなくなった、とこぼすばかりである。[31]

モラル・ハラスメント加害者の人格・心理構造[編集]

マリー=フランス・イルゴイエンヌによると、

「自己愛的な変質者」[32]は、誰かから奪うことを欲している[11]、内心の葛藤を自身で引き受けることが出来ず外部に向ける、自身を守るために他人を破壊する必要を持つという「変質性」を持つ[33]。子供の頃に受けた何かのトラウマによってなる性格だと考えられるが[34]、普通の人なら罪悪感を持ってしまうような言動を平気で出来る[32]、そのような特徴から「症状のない精神病者」と理解される[35]。加害者の攻撃性はナルシシズムが病的に拡大されたものである[36][10][37]。モラル・ハラスメントの加害者は、自分が「常識」であり、真実や善悪の判定者であるかのようにふるまい[38]、優れた人物であるという印象を与えようとし[38]、自分の欠点に気づかないようにするために他人の欠点を暴きたて[39]、賞賛してもらうために他人を必要とする[39]。加害者の論理では、他人を尊重するなどという考えは存在しない[39]。加害者は復讐の気持ちをともなった怒りや恨みも持ち[40]、被害者にすべての責任を押しつけてしまうことによって、ストレスや苦しみから逃れる[41]。相手の弱みを見つけ暴き攻撃することによって優位を保とうとする。この時その相手というのは、自己愛的な変質者の心のなかでは全てに責任のある悪い人間、すなわち破壊されなければならない人間であり、執拗に攻撃を繰り返すのだが、この過程で加害者が相手のアイデンティティーが破壊していくのを見て喜んでいるのには間違いない[42]

カレン・ホルナイによると、

加害者のサディズムは、攻撃的パーソナリティーでは顕著に表れ、直接攻撃でわかりやすいが、迎合的パーソナリティーの人の場合には狡猾に表れる。迎合的パーソナリティーの人によるモラルハラスメントは迎え入れた相手に合わせ、優しい言葉や態度で誘惑し、非言語コミュニケーションを通して相手を攻撃していく[43]

モラル・ハラスメント加害者(モラル・ハラスメンター)の特徴・行動パターン[編集]

  • 罪悪感を持たない。責任を他人に押し付ける。[44]
  • 強い者には弱く弱い者には強い。[45]
  • 猫なで声や慇懃無礼[46]など反動形成が目立つ。
  • ある事柄においてのみ感情的恐喝をするのではなく、もともと感情的恐喝が出来る人格である[47]。(感情的恐喝=「隣同士仲良くすることは私の願いです」[48]、「あなたのためを想って」[49]といった言動)
  • 「あなたと仲良くしたい」(=あなたを丸め込みたい)[50]。相手がとまどいを見せれば「あなたは私の事を信じてくれないのでしょうか。私はあなたのことを信じているのに…」[51]。そのように美辞麗句や大義名分で相手が反対しにくい状況を拵える[52]。人は皆同じであるという倫理は利用される。優しく弱い者から搾取する。[53]
  • 利己的主義者である。物事を損得、敵味方などといった価値観でしかみれない ※そのため見下ろした者に対しては非常に冷酷な態度をとる
  • 「それは許されることではない」[54]
  • 立派な言葉を使う[55]。しかしその人の日常生活や内面の世界は、その立派な言葉に相応しいほど立派ではない。[56]
  • 際限もなく非現実的なほど高い欲求を周囲の人にする。[57]
  • 縁の下の力持ちとなり、自分は「愛の人」となる(本質にあるのは憎しみと幼児性)。[58]
  • ターゲットに対してすかさずレッテルを貼る 。「あいつは◯◯だ‼」※自分の欠点がバレないように相手の欠点を暴く
  • 周囲を洗脳し同情や共感を集めることに非常に長けている
  • 論点をすり替える (例)「酷い‼」「私がそんなことすると思う!?」「あなたがそんな人だったなんて‼」「私を信用してないの!?」「私をそんな風に見てたなんて‼」
  • ミスをした際の注意の仕方が「気をつけろ」ではなく「なんで茶碗を割るのですか?」[59]
  • 子ども「今日は体操を褒められた」。モラルハラスメントの親「いつも下手だったからね」[60]
  • 子供に反抗期がない(信頼関係がない)。[61]
  • ターゲットにする相手に対し、前に言ったことと今言うことが矛盾していても、何も気にならない。人を怒鳴っておいて、それが自分にとって不利益になると分かれば態度をがらりと変える。[62]
  • 対人関係における操作をする。仲違いをさせる。「被害者さんはこんな人だからもう関わらない方がいい」
  • 他人の不幸は蜜の味[63]。「統合失調症の母親は子どもが統合失調症になることを必要とする」事と構造が類似。[64]
  • 毒を間違えて飲んでしまった人が「水をくれ」と叫ぶ。モラルハラスメンター「待っていてください、今ミネラルウォーターを持ってきますから」[65]
  • 不当にターゲットを試す。特にその必要性がない場面で被害者を呼びつけたり、何かをやらせたりなど自身の権力のようなものを再確認する
  • 恐ろしいほどに罪悪感を持たない 「私は間違ったことは言っていない」「騙されたお前が悪い」
  • 人を利用する嘘、陥れる嘘は平気でつける ※根も葉もない噂を流し周囲に被害者は悪者だと吹聴する
  • 執拗に干渉をする。相手が戸惑いを見せれば勝ち誇ったような顔をします
  • 恩を着せる(自己無価値感が基にある)[66]。不安を煽り、解決し、相手に感謝を捧げさせる(マッチポンプ)。その一方で自分への被害は甚大な被害に扱う[67]。恩を売られるのを拒む。[68]
  • 被害者の精神を破壊する。不安にさせたり自尊心を傷付けるような言葉を吐く。「あなたは誰からも相手にされていない」「お前は何処へ行っても通用しない」
  • 鈍感を有効に活用する。被害者を追い詰めた後の加害者「誰があなたをそんな目に遭わせたの!?」
  • 得意気にモラルやデリカシーのない言動を取る。そのような質問をぶつける
  • 帳尻を合わせる。ターゲットへのモラハラに対し、危機感を覚えればそれまでの態度をガラリと変える ※被害者がそれに騙されれば安堵な表情を浮かべる。反省はなくこれをひたすら繰り返す。迎合的パーソナリティーに多い
  • 攻撃的/迎合的パーソナリティー共に体裁には過度な自信を持っており、現に被害者以外からの信用や信頼も厚いことが多い

※印象操作を得意とし、良き家族、良き先輩、良きパートナー、良き友などとして第三者に振る舞うことは彼らにとって容易である

  • 寛大なふりをする。被害者以外への理解は十分に示す ※それ故、被害者は自分と周囲のルールの違いに混乱する
  • そのため第三者はステレオタイプな様子をしている場合が多い 「あの人を怒らせるなんてよほどのことをしたんだ」
  • 迎合的パーソナリティーの場合は被害者への対応を使い分けることで追い詰めていく (例)普段は無視や省くなどで被害者を苦しめるが、公の場など自身の評価に直結するような場面では態度を一変させて優しく接近する

※日頃のハラスメントを被害者の被害妄想や思い過ごしと思い込ませる

  • しつこい人であることが多い。心に問題がある。[69]
  • パラノイア誘発者としての側面がある[70]。例:ジュレーバーの教育理念「人間の本性の高貴な種は、その純粋さのうちにほとんど自らみごとに発芽するものである。ただそれには、劣悪な種、雑草を見つけ出し、遅れることなく破壊せねばならない。(中略)子供のうちに余計なものをすべて抑圧し、遠のけておくことで、子供が自らの習慣とすべきことに向けて辛抱強く導き、子供の勝手にさせておかないようにせよ」。ジュレーバーはこのように考えて、あの数々の不気味な教育器具を開発し、自分の子供の人格を破壊した。[71]
  • ターゲットの評判を病的に気にする。「被害者さんのことどう思う!?」をあちこちで聞き回る

※少しでもターゲットのマイナスなことを耳にすれば加害者の自尊心は満たされる

  • 泣き落としをする。脅し文句を吐いたり、功績や苦悩のようなものを語り始めるなどして被害者の心を揺さぶる。女性の場合だと涙ながらに(饒舌に)同情を誘うような言葉を延々と吐いて周囲にアピールしたり、突然身体の不調を訴えるなど悪質なものもある
  • 被害者がなぜ衰弱しているのか気付かない。気付こうともしない →逆に「反抗している」「もっと厳しくしてやる必要がある」等と判断し、モラルハラスメントが酷くなる
  • 迎合的パーソナリティーの場合、権力者の太鼓持ちや腰巾着であることが多い。世渡り上手な印象を持つ
  • 容姿、喋り、立ち振舞いの何れかに過度な自信を持っており、実際に評価されている場合が多い(→そうでない者が被害者に選ばれやすい)
  • それ故、屡々他人に嫉妬されていると思い込む。同時に嫉妬心も併せ持つ
  • また、迎合的パーソナリティーは一般的なモラルハラスメントの特徴として該当しない部分が殆どで、ないがしろにされている場合が多い
  • 例外なく、周囲には被害者を笑い者や悪者に仕立てあげている
  • 知能犯、愉快犯であり、確信犯である
  • 伏線を張る。自分の特性、被害者に取った言動とは正反対の主張を周囲にアピールすることで隠蔽しようとする

「そんな酷いことをする人がいるなんて‼」「人の悪口を言う人は最低である」「あいつには興味がない」

  • 加害者の要望を被害者が聞き入れなければ突き放したような言動や態度を取る ※ハラスメンターにとって被害者の事情など関係ない
  • 被害者に対して根底にあるのが「格下のくせに生意気」である。(自己愛憤怒)
  • 二枚舌が酷い。被害者に対して取った言動と、第三者に取る言動が悉く食い違う
  • 子供や若者に対して強烈な嫉妬や嫌悪感を示す者が多い →「私たちの時代はこうだった‼」 ※やり方や価値観の押し付けが始まります
  • 仕事が出来たり人付き合いを得意とするなど社会性に優れている者が多い。逆に被害者に選ばれるのが加害者からみて社会性に優れていないと判断した者である
  • 総てが一方通行である。被害者に対して厳しく叱りつけ釘刺したことを加害者は平然とやってのける
  • 最も侮辱しているような人間(要するに被害者)をパートナーとして選択したり、行動を共にするなど不可解な点が目立つ
  • 支配欲が強い。価値観や考え方が合うかどうかではなく、自分の演技が通用するかどうかで人を選ぶ。そのため極めて対称的な性格の人間と行動を共にしていることが珍しくない
  • 耐え兼ねた被害者が爆発(暴言を吐く、手を出してしまう、モノに当たるなど)してしまうケースも屡々起こる。しかしそれは加害者のハラスメントを正当化する材料になる

「こういうことするから言ってるんだ‼」(予測の誘導)

  • 棚上げをする。自分のハラスメントには一切触れず、被害報告だけをする「被害者にこんな酷いことをされた‼」
  • 被害者の劣等感や罪悪感、良心など断れない性格に付けこむ
  • ホウレンソウ(報告、連絡、相談)を被害者を陥れる手段として悪用する。被害者が周囲に笑われるよう、怒られるよう、嫌われるように仕向ける

※そのため全く話したこともないような人からも警戒されていたり理不尽な扱いを受けるなど被害者の身に起こる

  • そもそもモラルハラスメントを自分の中の特別な能力だと信じこんでいる者が多い
  • 極端な信念を抱いている 「バレなきゃ」「表向きさえ良くしていれば」「犯罪以外であれば」何してもいいといった所謂結果至上主義、モラルハザード
  • 被害者がハラスメントに苦しんでいる一方で周囲にはユーモアや冗談で済まされている場合が多い。そのように丸め込める術を彼らはもっている
  • 思ってもないことが平気で言える。相手の懐へ入り込むのが上手く、饒舌だったり、おべっか遣いである印象を持つ。(褒めちぎって扱き下ろす)
  • 確り者で常識人、面白くてユーモアがある等、モラルハラスメントが黙認されてしまうような人柄である場合が多い

※被害者が最も苦しむ点が加害者のこの対比である

  • 話がオーバーである。少々のことを大問題にするなど自分の身に起こることは何でも甚大な被害として扱う
  • 自分が言われて(されて)嫌なことは人にやらないという思考が働かない。むしろ言われて(されて)嫌なことを研究し被害者に発散する(投影同一視を利用する)
  • そのため自分が被害者に取った言動を逆に放たれれば異常な怒りを露にする
  • 常に人を批評するような立ち位置にいる。絶えず誰かの噂話や悪口を叩くなど、常に敵や笑い者を作っておかないと精神衛生上安心しない。(自分が常識であり、道徳家のように振る舞う)
  • 曖昧な表現を用いたり、言葉に二重のメッセージを込めるなどどちらに転がっても自分が助かるような言動を取る。所謂ダブルスタンダードダブルバインド
  • 狡猾である者が多い。(非常にずる賢い)
  • 傲慢や高慢さが際立つ。モラルハラスメントを利用することで強気になっていたり、賢いと思い込むなど幼児的万能感に満ちている者が多い。彼らの自尊心は被害者の不幸で保たれている
  • 偏見や差別意識が強い。体裁や肩書きなどで人を判断する傾向がある。しかしその一方で自分は立派なそれらを持ち合わせていなかったりする
  • 自己肯定感が異常に強い(=自分に甘い、開き直り)。
  • 育ての親や恩師など「愛の人」になりたがる。根底にあるのが強い自己愛で、相手の事情や個性などは一切無視している場合が多い
  • 怒ることを最大の愛情としている一方で、怒られることは最大の屈辱としている。辻褄が合わないことが多い
  • 自分の手は一切汚さない。加害者にとって責任を背負うということは恐ろしいことなので被害者が自発的に働いたということにする。そのための根回しも欠かさない
  • ターゲットにした相手が自然体でいることを悉く嫌う。言葉遣いや態度など取り立てて騒ぐほどでもないようなことを問題にする。干渉や嫌みなどの煽動により相手を萎縮させる

※そのため被害者は視線や対人など様々な社会的恐怖症を抱えているケースが多く見受けられる

  • マイルールが無限に存在する(超俺様主義)。異なった意見をすればモラルハラスメントが始まると学習しているので被害者は無力感に陥っている
  • ターゲットにした相手の自立や自由が許せない。親子間の場合だと子供が人間関係を上手く築けなかったり、恋愛や結婚の機会を奪われるなど社会的に支障をきたすケースが見られる(=過干渉)
  • 無い物ねだりを繰り返す。被害者の人格や行動に対してひたすらダメ出しをする(=信頼関係がない)
  • 他人のプライバシーに異常な興味や関心がある。率先して悩み事を探ったり、繊細な問題にズカズカ入り込むなどお節介な人であることが多い。「優しさ」として正当化されがちだが、人の不幸見たさが根底にあり、それを活力としている
  • これらの特徴から「自分もそう思われている(される)のではないか」という不安が彼らの中に強くあり、特に意味もない相手の言動や行動に対しても過剰反応/警戒する

モラル・ハラスメントの条例・法律など[編集]

2002年1月には、フランスで、職場におけるモラル・ハラスメントを禁止する法律が制定された[72][73]2004年、モラル・ハラスメントは犯罪となり、実刑懲役1年と1万5千ユーロの罰金となる。[74]、2014年8月の法改正により、懲役2年、3万ユーロの罰金(被害の深刻度により実刑・罰金は変動する)[75]

1993年、スウェーデンでは、企業におけるモラルハラスメントが犯罪として認められる[76]

日本国においては、現在、厚生労働省や法務省など政府関係のサイト、パンフレット等配布物にはモラルハラスメントという表現ではなく「パワーハラスメント・いじめ・嫌がらせ」という表記が多くみられ、モラルハラスメントの周知徹底は、弁護士事務所や民間相談機関、個人などが開設したサイトが担っている部分が大きいのが現状である。


モラル・ハラスメントのセカンド・ハラスメント[編集]

セカンド・ハラスメントを行う人には少なくとも三種類ある[77]
(1)悪質な「担当者」あるいは「専門家」
(2)同じ虐待者に脅かされて混乱している周辺の人物
(3)同じような虐待者によるハラスメント被害を受けており、それを受け入れているお節介な人

心身への影響[編集]

一般的に見られる症状など[78]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ イルゴイエンヌ(2006) pp.12 - 14.
  2. ^ イルゴイエンヌ(2006) pp.19, 12 - 13
  3. ^ 「モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする」P25
  4. ^ イルゴイエンヌ「モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする」p31
  5. ^ 「モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする」P236
  6. ^ 安冨歩『誰が星の王子さまを殺したのか ~モラル・ハラスメントの罠~』P31
    その他、harceler=「しつこく攻める、悩ませる」の語源 harer=「犬を獲物にけしかける」など。
    また、harcèlement moralは英語に訳するとemotional abuse。e-moveo=「外へ-動く」)
  7. ^ 安冨歩『誰が星の王子さまを殺したのか 〜モラル・ハラスメントの罠〜』P33
  8. ^ 加藤諦三『モラル・ハラスメントの心理構造』
  9. ^ イルゴイエンヌ「モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする」p163,p230
  10. ^ a b イルゴイエンヌ(2006) pp.9 - 10.
  11. ^ a b イルゴイエンヌ(2006) p.241.
  12. ^ イルゴイエンヌ(2006) pp.218 - 220.
  13. ^ a b イルゴイエンヌ(2006) p.220.
  14. ^ イルゴイエンヌ(2006) pp.220 - 222.
  15. ^ イルゴイエンヌ(2006) p.222.
  16. ^ イルゴイエンヌ(2006) pp.222 - 224.
  17. ^ イルゴイエンヌ(2006) pp.230, 229 - 245.
  18. ^ イルゴイエンヌ「モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする」p226
  19. ^ イルゴイエンヌ(2006) p.226.
  20. ^ イルゴイエンヌ(2006) pp.250 - 255.
  21. ^ a b c イルゴイエンヌ(2006) pp.10 - 11.
  22. ^ イルゴイエンヌ(2006) p.228.
  23. ^ イルゴイエンヌ(2006) pp.250 - 259.
  24. ^ イルゴイエンヌ(2006) p.11.
  25. ^ イルゴイエンヌ(2006) pp.11, 209.
  26. ^ イルゴイエンヌ(2006) p.19.
  27. ^ イルゴイエンヌ「モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする」
  28. ^ イルゴイエンヌ「モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする」
  29. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造 〜見せかけの愛で他人を苦しめる人〜』P.30
  30. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造 〜見せかけの愛で他人を苦しめる人〜』P.81
  31. ^ 誰が星の王子さまを殺したのか モラル・ハラスメントの罠 P64
  32. ^ a b イルゴイエンヌ(2006) p.9.
  33. ^ イルゴイエンヌ(2006) pp.209 - 210.
  34. ^ イルゴイエンヌ(2006) pp.12, 211, 222 - 224, 227 - 228.
  35. ^ イルゴイエンヌ(2006) pp.210 - 211.
  36. ^ イルゴイエンヌ(2006) pp.211 - 215.
  37. ^ イルゴイエンヌ(2006) pp.209 - 228.
  38. ^ a b イルゴイエンヌ(2006) p.215.
  39. ^ a b c イルゴイエンヌ(2006) p.216.
  40. ^ イルゴイエンヌ(2006) p.212, 218.
  41. ^ イルゴイエンヌ(2006) p.256.
  42. ^ イルゴイエンヌ「モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする」P338
  43. ^ 加藤諦三『モラル・ハラスメントの心理構造』P.32
  44. ^ イルゴイエンヌ(2006) pp.224 - 225.
  45. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造 ~見せかけの愛で他人を苦しめる人~』P.140
  46. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造~見せかけの愛で他人を苦しめる人~』P.96
  47. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造~見せかけの愛で他人を苦しめる人~』P.139
  48. ^ 同 P.138
  49. ^ 同 P.2
  50. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造』P.192
  51. ^ 同 P.116
  52. ^ 同 P.118
  53. ^ 同 P.133
  54. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造』P.92
  55. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造』P.120
  56. ^ 同 P.139
  57. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造~見せかけの愛で他人を苦しめる人~』P.65
  58. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造~見せかけの愛で他人を苦しめる人~』P.60
  59. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造』
  60. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造』P.78
  61. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造』P.181
  62. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造』 P.128
  63. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造 ~見せかけの愛で他人を苦しめる人~』P.70
  64. ^ 同 P.173
  65. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造~見せかけの愛で他人を苦しめる人~』P.90
  66. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造~見せかけの愛で他人を苦しめる人~』P.183
  67. ^ 同 P.184
  68. ^ 同 P.177
  69. ^ 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造』P.185
  70. ^ 安冨歩『誰が星の王子さまを殺したのか ~モラル・ハラスメントの罠~』P.209
  71. ^ 安冨歩『誰が星の王子さまを殺したのか』P.210
  72. ^ イルゴイエンヌ(2006) p.14.
  73. ^ 「モラル・ハラスメント」規制を法制化
  74. ^ http://www.legifrance.gouv.fr/affichCodeArticle.do;jsessionid=C5C8A46E29EA41D96C225D9FF5BAC349.tpdjo07v_3?idArticle=LEGIARTI000006417711&cidTexte=LEGITEXT000006070719&dateTexte=20110704
  75. ^ http://www.legifrance.gouv.fr/affichCodeArticle.do;jsessionid=5CDAFF5EA6716CE7F275A1538860DE7D.tpdila14v_2?cidTexte=LEGITEXT000006070719&idArticle=LEGIARTI000006417711&dateTexte=&categorieLien=cid
  76. ^ イルゴイエンヌ 「モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする」p290
  77. ^ 誰が星の王子さまを殺したのか モラル・ハラスメントの罠 P104
  78. ^ イルゴイエンヌ 「モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする」p210-219

参考文献[編集]

  • マリー=フランス・イルゴイエンヌ 『モラル・ハラスメント―人を傷つけずにはいられない』 高野優訳、紀伊國屋書店、(初版 1999年)、2006年。 ISBN 4-314-00861-X
  • マリー=フランス・イルゴイエンヌ 『モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする』 紀伊國屋書店、2003年。ISBN 9784314009324
  • 安冨歩 『誰が星の王子さまを殺したのか ~モラル・ハラスメントの罠~』 明石書店、2014年。ISBN-10 4750340456
  • 加藤諦三 『モラル・ハラスメントの心理構造 ~見せかけの愛で相手を苦しめる人~』 大和書房、2013年。ISBN-10 4479640371

関連項目[編集]

外部リンク[編集]