男性差別

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男性差別(だんせいさべつ)とは、男性に不利益となる性差別のことである。対義語は女性差別

概要[編集]

男性差別には、基本的人権にかかわるものなど社会制度の差別や、文化的・慣習的な行動様式としての差別がある。性差別に関しては、「男性が加害者、女性が被害者」という構図で語られる風潮があるため、男性差別は女性差別に比べて矮小化されて扱われることも多く、真に男女平等を達成しようとするならば、男性差別は女性に対する性差別主義と同じくらい真剣に受け止めなければならないと主張されている[1]。個人での匿名の情報発信が容易なインターネットで男性差別に関する議論が盛り上がっていることが指摘されており[2]、2006年3月には、ニスコム株式会社、株式会社パソナグループなどに、男性差別による就職差別が行われたとして男性が提訴した例もある[3]。また、男女がともに不利益をこうむっている社会問題について、さも女性だけが苦しんでいるかのように述べるのは間接差別による男性差別であり、家庭内暴力などの被害者を女性に限定して議論を進めることが不当な立法や行政を促進しているとの批判や指摘もある[4]。(なお、国連女子差別撤廃条約では、間接差別も直接差別と同様に性差別に当たると定めており、日本は国連の女子差別撤廃委員会から「間接差別の禁止の法制化」について1994年と2003年に勧告を受けている[5]。)また、女性専用車両レディースデーなど性差別是正の流れに逆行する女性優遇の措置や、アファーマティブ・アクションなどの男女間格差を是正するための女性優遇の措置を、女性優遇の結果として男性差別が惹起されるているという意味で、「逆差別」と表現することがある[6][7]レディースデーなどは商業活動であり差別ではないとの意見もあるが、[要出典]それを認めてしまうと企業側の利益の為、求人において性差別を行う事も是となってしまうため説得力を持たない。同じ性差別でも女性差別に比して司法の場で認められ始めた時期は遅いが、近年では平成25年11月25日に大阪地裁が遺族年金について違憲判決を下すなどしている(後述)。

事例[編集]

アメリカ[編集]

  • 家事事件、刑事事件において、陪審員等の男性に対するジェンダーバイアスが存在する点は日本と同じである。
  • 女性教師の男子生徒に対する姦淫も法定強姦として起訴されるが、男性の強姦ほど重刑にならないことがある[8]
  • 18歳から25歳の市民権か永住権のある男性に対し、選抜徴兵登録制度英語版に郵便局で登録することが強制されている。拒否すると、州によっては罰金刑を受ける他、政府の奨学金を受けられなくなるなどの各種不利益を受ける[9]。また永住権保持者の場合、連続滞在期間の条件を満たしていても市民権が認められない。そもそも徴兵に応じる義務は男性にしか課されていない。
  • 軍人の中の女性の割合は20%程だが、戦死者のほとんどが男性である。女性が男女平等を隠れ蓑にマスコミを通じて軍や国防総省に対圧力を掛け、危険な任務だけ男性に押し付けていると指摘されている。
  • イラク戦争中に一部部隊において、兵士に対して任期中妊娠を禁止し、妊娠した場合は軍法会議にかけるという規則を設けたが人権団体・女性団体等の圧力によって撤回した。結局規則に違反し妊娠した女性兵士への処分は不問にされ、女性は本国に帰還し軍がマスコミの圧力に屈した形となったが、戦地で妊娠すれば女性は無条件で帰還でき戦死の危険を回避できるのであればきわめて不公平であり、生死をかける軍人の役目を放棄することであり、また軍を根本から揺るがしかねないと批判された。これも女性が子供を盾に危険な任務を人権団体・女性団体等の圧力を通じて故意に避け男性に押し付けているとの指摘が出されている。一方非番中の性行為において避妊を強制する権限が軍にあるのかとの根本的な疑問も出された。
  • 強姦冤罪が多発しているとの報告や[10]、その実数等に関する研究がある[11]。実際に、復讐や嫌がらせを目的とした女性による故意の虚偽告訴の事例も存在するが(w:Duke lacrosse caseも参照)[12]、特に対策は採られていない。
  • 1996年7月9日付けのボストン・グローブ紙では、13歳の少年をレイプしたとして訴えられた37歳の女性の事件を報道したが、その中で「少年も望んでいたに違いないさ」、「夢のようなことさ」、「間違いなくレイプだけど、男の子は若いうちから性的に活発じゃなきゃっていう社会通念があるから、みんなどこかで許容してしまっているのよ」といった、男性被害者に対する偏見があるとしている[13]
  • 2005年に、8歳の少年が14歳の少女に猥褻行為をされた際に、結果的に検察側は起訴を取り下げたものの「たとえ少女が誘ったにせよ少年が拒まなければその少年は猥褻行為を少女に行ったとみなすことができる」として少年が訴えられた事件が報道され、息子が裁判にかけられそうになり怒った母親は、少女に性被害を受けた場合でも親たちは息子が裁判にかけられる可能性に対し憶するべきではないと訴えた[14]
  • アメリカ合衆国では女子大学に男子学生を入学させないことを差別であるとしており[15]、また、男子大学もディープ・スプリングス大学、ハンプデン・シドニー大学、モアハウス大学、ワバシュ大学、聖ヨハネ大学(ミネソタ州)など数校が存在している[16]

イギリス[編集]

  • 男性の自動車保険の保険料は女性の2倍である。BBCの自動車番組トップ・ギアではそれを皮肉って「ペニスを切り落とせ」と言う台詞が出てくるほどであった。[17]

カナダ[編集]

  • 法廷でのセカンドレイプを防ぐという名目のもと、性犯罪に関する刑事訴訟で被告人の発言する権利が制限されている。

韓国[編集]

  • 兵役の有無[18][19]韓国の男子学生の46.3%は、韓国内に兵役などの男性差別があると考えている[20]
  • 2006年に民法が改正されるまでは、婚姻可能年齢を男性は満18歳、女性は満16歳と定めていた(日本と同じ)[21]。しかし、現在は男女平等の観点から男女とも満18歳に統一されている。
  • 国家養老施設への入居条件として女性は60歳以上、男性は65歳以上と定められ、女性が優先されている[21]
  • 直系尊属家族の手当需給権者が男性尊属の場合は60歳、女性尊属の場合は55歳と定められている[21]
  • ソウル市内の公共施設や大型スーパーなどの駐車場には、女性専用駐車場が存在する[22]
  • 2008年、ソウル地下鉄に女性専用車両を導入する計画が、女性団体からの反対などにより保留となった[23]
  • 大韓航空には客室乗務員の募集と採用において男性を排除する採用慣行が存在するため、2008年に国家人権委員会からこれを男性差別だと判断され、この採用慣行を是正するように勧告された[24]

シンガポール[編集]

  • 鞭打刑は、18 - 50歳の男性で医師が執行可能と判断した者のみを対象としている[25]

台湾[編集]

  • 一部の鉄道会社で2006年6月1日から女性専用車両の半年間の試験運行を行ったが、「同じ運賃を払う男性の権益侵害」などの反対意見があり、試験運行後は実施されなかった[26]

チェコ[編集]

  • 2012年2月23日に父親らの団体であるファーザーズ・ユニオンが、「男性を特定の車両から隔離することは、人道に対する罪であり、一部の集団に対するアパルトヘイト(隔離政策)および差別の疑いがある」と主張し、国有企業であるチェコ鉄道を刑事告訴した[27]

日本[編集]

政治[編集]

  • クオータ制 — 日本では、内閣府男女共同参画局が中心となって、政治分野での女性の数を増やすために、性別を基準に一定の人数や比率の女性を議員候補者などに割り当てるクオータ制の導入を検討している[28]
  • 女子差別撤廃条約 — 同条約は第4条にて「男女の事実上の平等を促進するためのしばらくのあいだとられる特別措置(アファーマティブ・アクション)は許されるもの」としているが、アファーマティブ・アクションは男性差別になるという反対意見があり[29]、この条約の締結自体が「男性差別」であるとする意見もある[30]
  • 強姦罪 — 刑法第177条では強姦罪が規定されているが、そこには女子に対する強姦の規定だけしか存在しない。この定義の範囲を拡大して、男性に対する強姦も重大な犯罪とされることを確保することが、性差別是正の観点により国連自由権規約委員会から日本に対して勧告されている[31]メイル・レイプ逆レイプも参照のこと。
  • 助産師 — 保健師助産師看護師法では助産師資格についての規定があるが、第三条にて資格対象を女性のみに限定しており[32]、男性差別の観点から疑問が呈されている[33]
  • 離婚時の親権 — 子供の父母が離婚し親権をめぐって訴訟が提起された場合、特段の事情がないかぎり、父親側より母親側に子供の親権が与えられることが圧倒的に多いといわれている[34]。例えば、平成19年の離婚統計では「母親が全児の親権を行う場合」が81.1%であったのに対し、「父親が全児の親権を行う場合」は15.2%にすぎなかった[35]。また、親権裁判において、母親による虐待などによって、父親側が養育すべき特段の事情がある場合においても、父親側に不利、母親側に有利な審理が行われ、母親が親権を獲得することもある[36]。こうした親権の母親偏重の傾向は、男性差別であるとの指摘がある[1]
  • アファーマティブ・アクション(積極的改善措置) — 男女共同参画社会基本法では、積極的改善措置を含む施策を策定し実施すると規定している(男女共同参画社会基本法第8条)が、この制度は男性差別になるという反対意見がある[37]
  • 遺族年金 — 遺族年金の支給対象において妻は条件がないのに対し、夫は55歳以上との条件がある[38]。また、配偶者を亡くした際に支給される遺族基礎年金においては、子を持つ妻が支給される対象とされ、子を持つ夫は支給の対象とされない[39]。なお、このような男女間で支給要件が異なる遺族年金については、男性差別で違憲であるとして提訴されている(この提訴の例では遺族補償年金)[40][41]。対応が必要な政治課題として俎上に挙がったこともある[42]
  • 労働災害遺族年金 — 夫が死亡した妻に対しては無条件で労災遺族年金支給されるのに対し、妻が死亡した夫に対しては55歳未満の場合は支給されない[43]。なお、このような男女間で支給要件が異なる年金が男性差別で違憲であるとして訴訟になったケースで、大阪地方裁判所は2013年11月25日、地方公務員災害補償法による男性差別の規定は憲法違反であると判断した[44]
  • 寡婦年金 — 夫と死別した妻に対しては寡婦年金が支給される場合があるが、妻と死別した夫に対しては支給されない[45]。こういった女性だけにしか年金が支給されない点については、男性だからという理由で年金を受ける権利が与えられないのには違和感を覚えるという、男女平等や男性差別の観点から疑問が呈されている[46]
  • 児童扶養手当 — 2010年7月までは児童扶助手当が母子家庭には支給されるが父子家庭に対しては児童扶養手当が支給されなかったが、父子家庭を不当に排除しているとの批判もあり[47]、2010年8月に児童扶養手当法が改正され、父子家庭に対しても支給されるようになった[48]
  • 後遺障害に傷が残る後遺障害について、女性の方が保険金額が高くなる(自賠責保障法施行令第2条別表2による 男性への14級適用に対して2階級高い12級 大きな傷の場合には男性が12級適用に対して5階級高い7級[49])。その理由として、女性の方が容姿を重要視されるという考え方がある[50]労働災害においてこのような扱いは違憲であると京都地裁が判例を示し[51]、これを受けて、認定業務を担当する厚生労働省労災補償部補償課は基準見直しを決定[52]。等級表の制定は1947年、等級表の元になった基準が制定されたのは労災保険法の前身の「工場法」によるもので1936年であるという[53]
  • 女性枠 — 九州大学は、2012年度の理学部数学科の入学試験後期日程において「女性枠」を導入しようとしていたが、男性差別であるとの批判が多数寄せられたため、2011年5月19日に導入の取りやめを決定した[54]
  • 丸刈り自衛隊の新隊員への訓練、警察学校の学生、刑務所受刑者においては男子に対してのみ丸刈りが画一的に課せられている。また、一部の学校では校則や部活動の規則[55]として丸刈りやスポーツ刈りを規定している学校もある。一方で大抵の場合、女子受刑者は髪型が自由で、収監時に染髪されている状態だった場合はそのままでいることが黙認されている[56]
  • 男子大学の不在 — 2014年現在、日本の大学に男子校は一つも存在しない[57]のに対し、女子大学は私立に多数存在するほか、2012年4月時点において、国立ではお茶の水女子大学奈良女子大学の2校、公立4年制大学では福岡女子大学群馬県立女子大学の2校、公立短期大学では山形県立米沢女子短期大学岐阜市立女子短期大学の2校が女子大学である。例えば、お茶の水女子大学大学院においては、「日本においては、女性にとって大学院進学と研究の機会における実質的な平等が保障されていないことに考慮」するという理由によって男子の入学を認めていないが[58]、女子大学のこういった方針や設立の趣旨には、日本の戦前の学校制度(旧制大学は原則男子のみの入学で、女子の高等教育機関として女子高等師範学校高等女学校専攻科・旧制女子専門学校が置かれた)の影響がみられる[59][60]。女子大学や女子短大には、医学部、薬学部、看護学科や栄養学科といったような専門資格の取れる学部・学科も存在するため、資格取得機会の面や機会均等な教育を受ける権利の面において男性差別となりうる可能性が指摘されている[60]
  • 公立図書館における女性専用席 — 女性専用・優先席が設置されている公立図書館がある。東京都台東区中央図書館、東京都荒川区南千住図書館[61]、東京都江東区東雲図書館、東京都葛飾区お花茶屋図書館等で実施されており、「不公平だ」などと男性から抗議が寄せられている[62][63]

経済[編集]

  • アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置) — 男女雇用機会均等法では、男女間の処遇差の改善には積極的差別是正措置が最適としている[64]が、この制度は男性差別になるという反対意見もある(女性差別解消に関する積極的差別是正措置に反対する人の5人に1人が「同じ能力を持つ男性が差別される」ことを理由に挙げている[37])。
  • 男女雇用機会均等法 — 1985年に勤労婦人福祉法から改正され、男女の均等な雇用と待遇の確保を目的に男女雇用機会均等法が制定された。当初この法律は、雇用における女性差別のみを禁止していた。その後、女性へのセクシャルハラスメントを禁止し、さらに2007年4月1日施行の改正法で、「女性に対する差別を禁止する法律」から「性別による差別を禁止する法律」へと大きく変わり、雇用における男性への差別のほか、セクハラも女性と同様に禁止された。しかし、守衛・警備員は防犯上の要請から男性に従事させることは適用除外にし、坑内業務の一部の作業へ女性を就かせることを禁止する。公衆浴場で女性従業員が男性の浴室の清掃をすることはあっても逆の場合は無いなど、男女の不平等な扱いはまだ残されている[65]
  • 就職差別 — 客室乗務員、秘書・受付事務・一般事務などの事務職、介護・看護・保育職、食品・菓子店等のパート等は、女性が多数を占める職種である[66]。こういった職種では、男女雇用機会均等法が定められているために公には性別を特定しての募集はされていないものの、男性という理由で不採用となるケースがある(求人広告でも「女性が活躍しています」と暗に男性を敬遠するような文言が書かれている事もある)[67]。実際に事務職は「女性の仕事である」として断られた男性が、これを男性差別であるとして提訴にいたった例もある[68]。近年では一般職を志望する男性が増えてきており[69]、一般職セミナーの会場で男子学生を目にすることも多くなった。しかし男性では一般職では面接段階で落とされる、もしくは面接さえ受けられないことも多く、特に一般職を志望する男性は「向上心がない」などの批判を受けることさえある[65]。一般職を志望しても性差別により不採用とされる可能性が高いと考える男性に、女性の活用を目的に設けられたエリア総合職が注目され始めており、あるメーカーでは、エリア総合職を導入したところ、男性社員の3分の1が応募したことがあった[70]。日本航空と全日空では、2009年現在、契約制客室乗務員としての募集は事実上は女性のみを対象としており、男性にはいわゆる総合職(客室系総合職)としての採用しか行っていない。
  • 看護学校・看護師 — 厚生労働省によると、雇用機会均等法は「女性に対する差別」を禁じており「男性差別」を直接規制していなかったこともあり、看護師は男性であることを理由に採用しない事業者は多い[68]。(ただし、2007年の改正によって男性差別も明確に規制されるようになった。)また、看護学校の男性の入学者数は1割前後の学校が大半であるといわれている[71]。こういった影響もあり、2010年現在、看護師の職場では男性はわずか5.6%で女性が大多数であり、そうした職場においては、男性は男くさいと嫌われる半面「男らしさ」を期待されることも多く、「男のくせに大したことない」というレッテルを一度貼られてしまうと全く無視されてしまう場合もあるといった、男性に対する偏見があると指摘されている[72]
  • 服装・染髪などの服務規定 — 企業や事業所等が定めた、身だしなみや髪型等に関した服務規程には、男性にのみ適用される片務的なものも存在する[73]。なお、男女で異なる服務規程を募集や採用上の条件につけることは、労働者が性別により差別されることを禁じた男女雇用機会均等法違反になるとされている(第5条:「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。」)[74]。一部企業にある染髪に関する規定は、事実上男性に対してのみ適用されている場合がほとんどである。服装に関する規定でも、男性はスーツがほとんどだが、女性は特に規定がない場合もある。スーツは自宅で洗濯することが容易でなく、定期的にクリーニングに出す必要があり、これも男性にとって負担となっている。[75][76]
  • 育児 — 男性は女性に比べ、育児休業を取得することが困難である場合が多い。育児休暇の取得は法律によって男女平等に認められているが、厚生労働省が発表した2011年度の雇用均等基本調査によると、女性の育児休業取得率87.8%に対し、男性の育児休業取得率はわずか2.63%と極めて低くなっている[77]。この背景としては、企業・職場において女性に比べて男性の育児休暇取得に対する理解がないことや、男女を問わず「男は仕事、女は家庭」といったステレオタイプなジェンダー・バイアス(性的偏見、性差別)の風潮があることが指摘されている[78]。『日経スペシャル ガイアの夜明け』で取り上げられた際には「男性の育児休暇制度だけを整備しても休暇取得率は上がらない。企業の、職場の意識を変える必要がある」という提起がされている[79]
  • ニート — 実際にはニートに占める男女比はほぼ半々[80]だが、一般的にニートは男性ばかりであるとするイメージがある。これは、無職女性は「主婦」、「家事手伝い」と名乗ることができる[81]が、無職男性は、上述の通り「男は仕事、女は家庭」という社会のステレオタイプのプレッシャーを受け、自ら「主夫」、「家事手伝い」と名乗りにくいためである。そのため就職時の面接において就労していない「空白期間」を問われた場合、女性は「家事手伝い」が通用するが男性は「家事手伝い」が通用せず、男性は女性に比べニートから脱却するのに不利になっているとの指摘がある[82]。厚生労働省および内閣府が示したニートの定義を示す図では「主婦」の取り扱いはあるが、「主夫」の取り扱いがない[83]
  • 肉体労働・命の危険が伴う労働 — 男女共同参画について、兵庫県が職員の意識、実態を調査したところ、見直すべき職場慣行として、「引っ越しなどの力仕事は男性のみでする傾向にあり、負担が大きい」「男性の方が長時間残業を強いられている」「災害時の人員配備で女性が免除されている」などの問題点が挙げられた[84]
  • 女性専用車両・座席等 — 東京都営地下鉄大阪市営地下鉄などの主に都市鉄道において『痴漢対策』として、女性専用車両が導入されている。J-CASTニュース「女性専用は「男性差別」 ネット上で批判盛り上がる」では、「インターネット上のブログ等では「男女平等なら男性専用車両を作るべきだ」といった意見も少なくない」と紹介されている[2]。女性専用車両の導入が広まるにつれて、「女性専用車両に性差別を感じる。導入はやめて欲しい」など、女性専用車両に対する疑問や不満の意見もみられるようになり[85]痴漢冤罪痴女を防止する点から、男性専用車両の導入を求める声もある。詳細は女性専用車両及び女性専用車両の問題を提言した番組を参照。また痴漢対策とは明らかに無縁な通常車両より豪華な設備や女性専用車両のみ通常より料金が格段に安いもの痴漢対策の不要なリクライニングシート車両なども数多く存在する。
  • 女性専用化粧室(航空機内) — 全日本空輸 (ANA) が、2010年3月1日より国際線の中型機と大型機に女性専用のトイレを設置すると発表した[86]。なお、「体調不良時」には男性も使用できるとされていたが、女性専用トイレと同時に男性向けのトイレを設置するわけではなかったため、海外でも報道されて話題になり[87]、男性差別に当たるとの指摘や[88]男性専用を求める声があったため[89]廃案となり、2012年現在、ANA国際線のシートマップには女性専用化粧室は存在しない[90]
  • 商店における男性の入場制限・禁止規定 — 飲食店を中心とした一部商店には、女性のみの入店を許可し、男性の入店を制限・禁止しているものがある。例えば、2006年4月、JR北海道函館駅内に、「16時までは女性のみ」入店をうたったパスタ店が開店したが、「男性差別では」という批判が寄せられた[91]。その後、開店2か月後の2006年6月には、批判が寄せられたことを背景として女性専用の時間帯は14〜16時にまで縮小した(運営側は、「お客の要望に応えた」と説明している)。なお、女性専用時間を縮小したところ、来客数は増えているという[92]東京都新宿区にあるタカノフルーツバー(飲食店、新宿高野の一部)は、午後5時までは女性同伴でない限り男性は利用できないとしている。平成25年4月までは、全時間帯において男性は女性同伴でない限り利用できなかった[93]
  • レディースデー・女性限定割引 — さまざまな商業施設、特にホテルなどの宿泊施設や居酒屋などを中心とした飲食店映画館パチンコ店ゲームセンターなどのアミューズメント施設、インターネットカフェマンボー等)において、「レディースデー」や「レディース・プラン」などと称し、女性客のみに対して割引や特典の提供をしたり、無料提供サービスを行ったりしている。ただし、一部では「レディースデー」と対になった「メンズデー」を別の日に行うことや同等の男性限定割引キャンペーンを行うことで差別問題を相殺しているケースも希にあるが、レディースデーのような広がりは見られていない。この問題はマスコミで取り上げられることもあり、日本テレビの番組「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。」の2007年3月9日放送分でも、両性の平等を謳った日本国憲法に違反する男性差別として提起され、インターネット上でアンケートが行われた。その結果、79%が廃止を支持している。その理由として「男女平等に反する(=男性差別である)」という意見が掲載されている[94]日本会議のように、女性については「女性会員」の制度を設けて会費の割引を行ない、男性と同じ権利と特典が得られるようにしている団体もある。

文化・社会[編集]

  • ドメスティックバイオレンス(DV) — DVは、婚姻や恋愛関係にある男女間での暴力であるため、本来であれば女性から男性への暴力も含まれるが、「夫または恋人などの男性から女性への暴力」と説明される場合が多い。これは本来ジェンダーバイオレンス(GV)と呼ばれるものであり、誤用である。ほとんどのDVが男性から女性への暴力と考えられる場合が多く[95]、被害者の95%が女性と主張する者も少なくない[96]。しかし、平成17年度に内閣府が実施した「男女間における暴力に関する調査」によると[97]、DVの被害を受けた経験がある女性は33.2%、男性は17.4%であり、圧倒的多数の被害者が女性というのは誤りである。また、事実、内閣府の調査によるとドメスティックバイオレンスの被害の相談については、「どこ(だれ)にも相談しなかった」は、女性で46.9%、男性では84.4%となっており、男性のほとんどはDVの被害に遭いながら相談しない、むしろできないという傾向がある事から、男性の被害者の割合は調査結果を大幅に上回ると見られる[98]。さらに男女共同参画センターに男性センターがない場合や、あっても開設時間が短時間である場合が多い上、担当者が女性であることが多く、男性の被害者への態度には「相談者側に非がある」と追い詰るなどの冷淡な対応があり、男性被害者の利用を阻害している[99]。なお、「デートDV」について神戸市が市内の高校生に行った調査によるとデートDVを受けたことがある、と回答したのは女子が38%で、男子が28.7%と女子の方が10%ほど高かったが、このうち、「なぐられたり、けられたりする」(男性3.9%、女性3.3%)、「命の危険を感じるほどの暴力をされる」(男性1.4%、女性1.3%)など直接的な暴力を振るわれるのは男子生徒の方が多いことがわかった[100]。本内容については、ドメスティックバイオレンス#被害者の状況を参照。
  • 結婚相談所における収入・職業制限
  • 治部れんげ(日経BP社・ミシガン大学女性教育研究センター客員研究員)は、柳澤伯夫の「女性は産む機械」発言が女性差別として問題視されるならば、かつて流行したCMの「亭主元気で留守がいい」というフレーズや、定年退職後の夫を「濡れ落ち葉」「粗大ゴミ」と称することは、男性差別にあたると主張している。またこうした男性差別を、メディアが批判的に取り上げることはほとんどないことを指摘している[101]
  • 収入の低い男性は結婚率が低いが、この事実は「収入の低い男性を差別することになる」として、2000年代まで報道することはタブーとされてきた[102]
  • 日本の漫画作品「きみはペット」が韓国で映画化された際には、韓国の人権団体「男性連帯」が上映を中止するよう求め、上映禁止の仮処分申請を裁判所に提出している[103]
  • 小粥義雄著/ヒトラー政治戦略研究会編『ヒトラー選挙戦略〜現代選挙必勝のバイブル〜』(永田書房1994) - ヒトラーに倣った現代選挙の必勝ポイントの一つとして「女尊男卑の精神」を挙げている。
  • 2009年5月にサービス開始された携帯電話用の女性向けソーシャル・ネットワーキング・サービスである男の子牧場は、男性を馬・牛などの家畜にみたてて女性ユーザー間で情報を共有するサービス内容が男性差別的であるとして批判され[104]、公開後数日で運営が停止された。
  • 2011年8月末に公開されたスマートフォン向けアプリケーションのカレログは、女性が恋人の端末にダウンロードしGPS機能を使って位置情報やバッテリー残量、通話/通信履歴などを監視し浮気などを防止するといった使い方を想定したサービス内容で、プライバシー侵害などの問題のほか男性差別的な発想に基づくものだと批判された[105]

ノルウェー[編集]

  • 「母と子ども」専用で、父親は利用できない病院等の公的機関がある[106]

フランス[編集]

  • 政治のクオータ制 — 政治のクォータ制に対しては、フランスなどでは「平等原理の侵害」、「逆差別」と見なす意見が多く、女性やフェミニスト運動家からも逆差別としてとらえられており、「女性枠を作るのなら、なぜ黒人枠やイスラム教徒枠、ほかのマイノリティー枠はないのか?」といった疑問も呈されている[107]。また、フランスでは過去に、クォータ制に関する法律に対して違憲判決が出されたこともある[108]

性別による差別に関する法令[編集]

日本[編集]

日本では、憲法において法の下の平等を定めており、性別により差別されないという規定がある[109]。ただし、憲法は本来国と私人の間の関係を規律するものであって、私人同士の関係には原則として直接適用されない(最判昭和48年12月12日など)。一方各種法令の中には、私人によるものも含めて性別による差別を明確に禁じるものがある[110]。この節ではそういった法令の性差別に関連する部分について言及する。

法律・条例 章・節 条文
日本国憲法 第三章 第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種信条性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない[109]
男女雇用機会均等法 第二章 第一節 第五条 事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。
男女雇用機会均等法 第二章 第一節 第六条 事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。
  • 一 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格及び教育訓練
  • 二 住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であつて厚生労働省令で定めるもの
  • 三 労働者の職種及び雇用形態の変更
  • 四 退職の勧奨、定年及び解雇並びに労働契約の更新
教育基本法 第一章 第四条 教育の機会均等 — すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない[111]
大阪府男女共同参画推進条例 7条1項 何人も、職場、学校、地域、家庭その他社会のあらゆる場において、性別による差別的取扱いをしてはならない。
男女平等参画推進なごや条例 6条 何人も、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱いを行ってはならない。
東京都男女平等参画基本条例 14条1項 何人も、あらゆる場において、性別による差別的取扱いをしてはならない。

男性差別に対する国際的な動き[編集]

近年、男性差別に対する国際的な動きも存在する。例えば、International Men's Dayは、1999年以来、毎年11月19日をその記念日として定め、男性や少年の健康、ジェンダー関係の改善、男女平等の促進、正しい男性のロールモデルの形成、コミュニティ・家族・結婚・育児への男性の貢献などに焦点をあて、男性差別と少年差別を強調しながら世界各国で活動している[112]。なお、2012年8月現在では、この記念日は世界60カ国以上で開催されているが、日本で開催されたことはない[112]

脚注[編集]

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  1. ^ a b Just who are men's rights activists?(英文) BBC News 2012年5月2日
  2. ^ a b 2006年9月18日付配信 J-CASTニュース
  3. ^ 2006年5月14日付毎日新聞。「性別を理由にした就職差別を巡る男性の訴訟はきわめて異例。国会でも男性への差別禁止を明記した男女雇用機会均等法の改正案が審議されており、訴訟は潜在する「男性差別」への警鐘になりそうだ」とコメントされている。
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  57. ^ 学校教育法による新学制施行以来、国立大学では東京商船大学(現・東京海洋大学)と神戸商船大学(現・神戸大学)、私立大学では東洋食品工業短期大学が男子学生のみだったが、両商船大は1980年代初めに女子学生を受け入れ[1][2]、東洋食品工業短大は2008年度より共学化したことで、現在では男子大学は存在しない。
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  61. ^ 南千住図書館に関しては、抗議により後に暮らしのコーナーに差し替えられている。
  62. ^ 「図書館にも女性専用席、ホームレスや痴漢対策で。「不公平」の声も」 産経新聞、2008年8月30日。
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  80. ^ 例えば、東村アキコの漫画『海月姫』では、主人公(女性)とその仲間たち(全て女性)はニートという設定であり、家事手伝いなどと言った呼ばれ方をせず、客観的にもニート扱いである。
  81. ^ 尤も、2000年代後半からはマスメディアにおいて専業主婦であっても「無職」と報道するようになった。
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参考文献[編集]

関連項目[編集]