コンビニ人間

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
コンビニ人間
作者 村田沙耶香
日本の旗 日本
言語 日本語
初出 文學界』2016年6月号
刊行 2016年7月27日発売
受賞 第155回芥川龍之介賞
Portal.svg ウィキポータル 文学
テンプレートを表示

コンビニ人間」(コンビニにんげん)は村田沙耶香による日本の小説作品。『文學界』2016年6月号に掲載され、文藝春秋より2016年7月27日に単行本が発売された。2016年、第155回芥川龍之介賞を受賞した。

作者は三島由紀夫賞を筆頭とする幾つかの賞を受賞した作家でありながらコンビニエンス・ストアで週三回働いており、その経験を活かしたコンビニを舞台にした作品である。受賞後の勤務継続については店長と相談すると述べている[1]

あらすじ[編集]

ヒロイン古倉恵子は三十半ばだが、正規の就職をせずに大学時代に始めたコンビニのアルバイトを続けている。

子供の頃から変わり者で人間関係が希薄、恋愛経験も皆無だった古倉は、コンビニで仕事を始めたことをきっかけに周囲の人たちの真似をしたり妹の助言に従ったりすることで普通の人らしく振る舞う方法を身につけ、この経験をこれまで世間一般の人間の規格から外れていた自分が初めて「人間」として誕生した瞬間と位置づけていた。以来私生活でもそのほとんどを「コンビニでの仕事を円滑に行うため」という基準に従って過ごしつつ、なんとか常人を演じ続けてきた古倉だったが、加齢やそれに伴って周囲からの干渉が増加えたことによりそのような生き方も限界に達しつつあった。

そんな時、かつて就労の動機を婚活だとうそぶき、常連の女性客につきまとい行為を働いて解雇された元バイト仲間の白羽という男と再会した古倉は、ひょんなことから彼と奇妙な同居生活を始める。それを「同棲」と勝手に解釈して色めきたった周囲の人たちの反応に若干の戸惑いをおぼえつつも、古倉は冷静に彼らを観察して、白羽との関係を便利なものと判断する。

やがて古倉は白羽の要求によりコンビニを辞めて就活を始めるが、面接に向かう途中でたまたま立ち寄ったコンビニでコンビニ店員こそが自分の唯一の生きる道であることを強く再認識し、白羽との関係を解消してコンビニに復職することを心に誓うのだった。

芥川賞選考委員による評価[編集]

村上以外は全て『文藝春秋』2016年9月号の選評ページを出典とする。

山田詠美は、「コンビニという小さな世界を題材にしながら、小説の面白さの全てが詰まっている。十年以上選考委員を務めてきて、候補作を読んで笑ったのは初めてだった」と評価した。

村上龍は、「この十年、現代をここまで描いた受賞作は無い」と評価した[2]

島田雅彦だけが、「テーマコンセプトタイトルキャラだけで成立していて、言葉のオーラも心理描写も無い。風俗小説としてのリアリティはあるが、同業者(他の作家たち)によって乗り越えられるべき、能天気なディストピア像である」と、選者中で唯一ネガティブな評価をした。

高樹のぶ子は、崔実の『ジニのパズル』のみを強く推す一文を選評に載せ、本作を含む他作品に全く言及しなかった。

残りの選考委員たちは、ほぼ本作に肯定的であった。

反響[編集]

芥川賞選考委員以外の評価[編集]

作家比較文学者の小谷野敦は、本作のように面白い作品が芥川賞を受賞することは稀であり、同賞の歴代受賞作品でもトップクラスの面白さだと評した[3]

単行本の売上[編集]

本書は7月末に単行本として刊行され、8月上旬に5刷30万部[4]、11月中旬に10刷50万部を突破した[5]。 表紙は現代美術家・金氏徹平の作品『Tower』。

出典[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 『文藝春秋』2016年9月号掲載の受賞インタビューによる。
  2. ^ 『文藝春秋』2016年9月特別号最終ページ・編集だより
  3. ^ アマゾン・ドットコム小谷野敦の本書レビュー[1]
  4. ^ “芥川賞「コンビニ人間」効果 文芸春秋が発売前に増刷”. 産経新聞. (2016年8月9日). http://www.sankei.com/life/news/160809/lif1608090032-n1.html 2016年8月19日閲覧。 
  5. ^ 「コンビニ人間」が50万部 「アメトーーク!」で推薦

関連項目[編集]

外部リンク[編集]