市川沙央
| 市川 沙央 （いちかわ さおう） | |
|---|---|
| 誕生 |
1979年9月27日（46歳） 日本 神奈川県 |
| 言語 | 日本語 |
| 国籍 |
日本 |
| 教育 | 学士 |
| 最終学歴 | 早稲田大学人間科学部eスクール人間環境学科卒業 |
| 活動期間 | 2023年 - |
| ジャンル | 小説 |
| 代表作 | 『ハンチバック』（2023年） |
| 主な受賞歴 |
文學界新人賞（2023年） 芥川龍之介賞（2023年） |
| デビュー作 | 『ハンチバック』（2023年） |
 ウィキポータル 文学 | |
市川 沙央（いちかわ さおう、1979年9月27日[1]- ）は、日本の小説家である。
経歴
[編集]2012年春学期に八洲学園大学へ特修生入学し、2013年4月から正科生となる[2]。
2019年、早稲田大学人間科学部eスクール人間環境科学科に入学[3]。卒業論文「障害者表象と現実社会の相互影響について」で小野梓記念学術賞を受賞[4]。
2023年、「ハンチバック」で第128回文學界新人賞を受賞し小説家デビュー[5]。同作で第169回芥川龍之介賞受賞[6]。
2025年、『ハンチバック』の英訳版"Hunchback"が国際ブッカー賞のロングリストにノミネートされた[9]。同年、同作のフランス語訳が、フランスの文学賞メディシス賞の外国小説部門で最終候補7作品の中に選ばれた[10][11]。
人物
[編集]神奈川県大和市に在住し、大和市内の小中学校を卒業した[7]。
筋疾患先天性ミオパチーにより症候性側弯症を罹患し、人工呼吸器と電動車椅子を常用する[12]。芥川賞の授賞式では電子書籍のさらなる普及など「読書バリアフリー」の推進を訴えた[13]。
療養生活のため就職が難しいことから小説家を志した。20代から20年以上にわたり、コバルト・ノベル大賞他、女性向けライトノベルやSF、ファンタジーの賞に応募を続けた[12]。Web小説投稿サイトカクヨムにもプレオープン期から投稿している。
大江健三郎、島田雅彦、若木未生への私淑を公言している[14]。
「10代半ばから月刊『正論』読者」であると明かし、「（自身がマイノリティの権利を訴えただけで）こいつは反日だの、左の活動家だのと、ずいぶん皮相浅薄なことを言ってくるものだと悲しくなった」、「バリアフリーには右も左もない」としている[15]。
単行本
[編集]- 『ハンチバック』（文藝春秋、2023年6月、ISBN 978-416391-712-2／文春文庫、 2025年10月、ISBN 978-416792-425-6）
- 『女の子の背骨』（文藝春秋、2025年9月、ISBN 978-416392-021-4）[17][18]
- 「オフィーリア23号」 - 『文學界』2024年5月号
- 「女の子の背骨」 - 『文學界』2025年1月号
アンソロジー収録
[編集]単行本未収録作品
[編集]小説
[編集]- 「トロイメライのみる夢は」[19] - note「さざなみs」 2018年7月11日公開
- 「音の心中」 - 『GOAT』第1号（2024年11月）
- 「良心的兵役拒否」（連作）
- 「洒落た文句に振り返りゃ」 - 『新潮』2025年1月号
- 「ママ」 - 『新潮』2025年4月号
- 「風船のパパ」 - 『新潮』2025年7月号
- 「悪のロール」 - 『GOAT』Summer 2025（2025年6月）
- 「運」 - 『文學界』2025年8月号
- 「Pow(d)er」 - 『BRUTUS』2025年8月15日号、『文學界』2025年11月号
エッセイ・寄稿
[編集]- 「破壊と共生の王の死」 - 『ユリイカ』2023年7月号
- 「みんな鹿の夢をみればいいのに——エニェディ・イルディコー『心と体と』に寄せて」 - 『季刊福祉労働』174号
- 「前世の記憶」[20] - 『文學界』2023年9月号
- 「芥川賞、この得体の知れない怪物」[21] - 『朝日新聞』2023年8月9日
- 「コードネームは「落選」」[22] - 『沖縄タイムス』2023年8月10日朝刊文化22面
- 「芥川賞を受賞して 匂い立つ紙の本の記憶」[23] - 『毎日新聞』2023年8月17日東京夕刊
- 「右も左もない「読書バリアフリー」」[15] - 『産経新聞』2023年8月23日
- 「オレンジ色のニクい奴」 - 『小説トリッパー』2023年秋季号
- 「不自由だけど好き自由に生きてきた」[24] - 『婦人公論』2024年1月号
- 「三島由紀夫の文 「ドルヂェル伯の舞踏会」」 - 『新潮』2025年2月号
- 「奪われた「共生」の言葉」[25] - 『朝日新聞』2025年9月4日
- 「著者インタビュー 書いたのは私です『女の子の背骨』」 - 『週刊現代』2025年10月27日号
書評
[編集]- 「タグなき世界の共犯関係」（山田詠美『肌馬の系譜』） - 『文學界』2023年12月号
- 「私の書棚の現在地」（連載）
- 「すべり坂に突き落とされてゆく私たち」（土屋葉編『障害があり女性であること : 生活史からみる生きづらさ』ほか） - 『新潮』2024年2月号
- 「ファウストは加速主義か、否か」（田中岩男『鴎外と『ファウスト』――近代・時間・ニヒリズム』） - 『新潮』2024年5月号
- 「安吾探偵は人間を見抜く」（坂口安吾『安吾探偵事件帖 事件と探偵小説』ほか） - 『新潮』2024年9月号
- 「作家は行間に棲んでいる」（ステファン・テメルソン『缶詰サーディンの謎』ほか） - 『新潮』2024年12月号
- 「善くする者らの足あと」（柳広司『パンとペンの事件簿』ほか） - 『新潮』2025年3月号
- 「遍在するオルタナティブな支配者」（鈴木光司『ユビキタス』） - 『新潮』2025年6月号
- 「家族の光と闇について」（渡部昇一『渡部昇一の快老論』ほか） - 『新潮』2025年9月号
- 「終わりのない抗いのために」（W・フォークナーほか『障害文学短編集』） - 『新潮』2025年12月号
- 「共有してくっつくこと」（朝比奈秋『サンショウウオの四十九日』）[26] - 『波』2024年8月号
- 「異世界転生は殖民論の夢をみる――『大転生時代』論」[27] - 『文學界』2024年10月号
対談・鼎談・往復書簡
[編集]- 「市川沙央✕ 荒井裕樹 『ハンチバック』が文学界に問いかけたこと」 - 『福祉労働』2023年秋冬号（175号）
- 「福島勲×市川沙央 eスクールがつくる未来 公開往復書簡」[28] - 「早稲田eスクール20周年記念サイト」2023年9月21日更新
- 「島田雅彦×市川沙央 別に怒られたっていいじゃない」 - 『文藝春秋』2023年11月号
- 「高瀬隼子×市川沙央 小説家になるために必要なもの/差し出したもの」[29] - 『文學界』2023年11月号
- 「稲垣吾郎×市川沙央 “死に物狂いの性行為”を描いた『ハンチバック』が生まれた場所へ」 - 『週刊文春WOMAN』vol.20
- 「市川沙央×岩川ありさ×菊間晴子 大江健三郎は何度でも新しい」 - 『文學界』2024年3月号
- 「市川沙央×頭木弘樹 合理的調整としての読書バリアフリー」 - 『現代思想』2024年9月号
- 「市川沙央✕朝比奈秋 経験と小説の適切な距離」- 『文學界』2025年11月号
出演
[編集]- バリバラ「愛と憎しみの読書バリアフリー」（2023年7月28日、NHK Eテレ）
- Mr.サンデー「密着!芥川賞“怒りの作家”市川沙央さんの生き方」（2023年8月27日、フジテレビ）[30]
- こころの時代「命の声を届ける 作家・市川沙央」（2025年4月6日、NHK Eテレ）[31][32]
脚注
[編集]- ^ “市川沙央 (@ssaaoouu.bsky.social) - Bluesky”. Bluesky. 2025年9月6日閲覧。
- ^ “大学卒業:学芸員資格取得を目指して”. 八洲学園大学. 2023年7月20日閲覧。
- ^ 市川沙央（インタビュアー：横山耕太郎）「「この社会に障害者はいないことになっている」芥川賞・市川沙央が語った10の言葉」『Business Insider Japan』、株式会社メディアジーン、2023年9月14日。2025年10月16日閲覧。
- ^ “2022年度 小野梓記念学術賞の授与について”. 早稲田大学 学生部 (2023年4月1日). 2025年10月16日閲覧。
- ^ “文學界 2023年5月号 第128回 文學界新人賞決定発表”. 文藝春秋. 2025年10月16日閲覧。
- ^ “芥川賞に市川沙央さんの「ハンチバック」”. 読売新聞. (2023年7月19日) 2024年8月18日閲覧。
- ^ a b 『神奈川新聞』2024年2月2日付
- ^ “大和在住の芥川賞作家・市川沙央さん、８人目の「市民栄誉賞」に”. カナロコ by 神奈川新聞 (2024年2月2日). 2025年10月16日閲覧。
- ^ “川上弘美さん、国際ブッカー賞受賞なるか 日本文学が英国で快進撃”. 朝日新聞. (2025年5月2日) 2025年8月15日閲覧。
- ^ “市川沙央さんの小説「ハンチバック」、仏文学賞メディシス賞の最終候補に…１１月５日に受賞作発表”. 読売新聞 (2025年10月16日). 2025年10月16日閲覧。
- ^ “【速報】市川さん、仏文学賞逃す”. 47NEWS. 共同通信. (2025年11月5日) 2025年11月5日閲覧。
- ^ a b 市川沙央（インタビュアー：清繭子）「文學界新人賞・市川沙央さん 「なにか職業が欲しかった」ままならぬ体と応募生活20年の果てに 「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」＃１」『好書好日』、朝日新聞社、2023年5月28日。2025年10月16日閲覧。
- ^ “第169回 芥川賞・直木賞受賞式レポート 受賞作品の評価ポイントは？”. リアルサウンド (2023年7月19日). 2023年8月24日閲覧。
- ^ 市川沙央 ICHIKAWA Saou [@herma_ishikawa] (2023年4月7日). “私淑しますのは大江健三郎、島田雅彦、若木未生（敬称略）。…”. X（旧Twitter）より2025年10月16日閲覧.
- ^ a b “右も左もない「読書バリアフリー」 芥川賞 の市川沙央さんが本紙に寄稿”. 産経新聞. (2023年8月23日) 2025年8月14日閲覧。
- ^ “市川沙央 荒井裕樹 往復書簡「世界にとっての異物になってやりたい」”. note (2023年7月10日). 2024年8月18日閲覧。
- ^ “女の子の背骨”. 国立国会図書館サーチ（NDLサーチ）. 2025年8月20日閲覧。
- ^ “『ハンチバック』を超える衝撃の第二小説集『女の子の背骨』市川沙央”. 文藝春秋BOOKS. 2025年8月20日閲覧。
- ^ さざなみｓ（市川沙央） (2018年7月11日). “トロイメライのみる夢は”. note（ノート）. 2025年9月14日閲覧。
- ^ 文學界 (2023年8月8日). “【特別エッセイ】市川沙央「前世の記憶」”. note. 2025年8月14日閲覧。
- ^ “芥川賞、この得体の知れない怪物 作家・市川沙央さんエッセー”. 朝日新聞. (2023年8月9日) 2025年8月4日閲覧。
- ^ “コードネームは「落選」 芥川賞受賞エッセー 市川沙央”. 沖縄タイムス＋プラス (2023年8月10日). 2025年8月4日閲覧。
- ^ “寄稿:芥川賞を受賞して 匂い立つ紙の本の記憶＝市川沙央（作家）”. 毎日新聞. (2023年8月17日) 2025年8月4日閲覧。
- ^ “芥川賞作家・市川沙央「難病・先天性ミオパチーがなかったら、小説家にはならなかった。滅多にない大金星で帳尻が合って」 芥川賞に至る、私と家族の44年”. 婦人公論.jp (2024年1月22日). 2024年8月18日閲覧。
- ^ “奪われた「共生」の言葉 障害者なき対話に市川沙央さんは思う”. 朝日新聞 (2025年9月12日). 2025年9月19日閲覧。
- ^ “共有してくっつくこと 朝比奈秋『サンショウウオの四十九日』”. 新潮社. 2024年12月9日閲覧。
- ^ “異世界転生は殖民論の夢をみる——『大転生時代』論 市川沙央が『大転生時代』（島田雅彦 著）を読む”. 本の話. 文藝春秋 (2024年10月1日). 2024年11月9日閲覧。
- ^ “公開往復書簡 福島勲×市川沙央(1)”. 早稲田大学eスクール (2023年9月21日). 2025年8月14日閲覧。
- ^ “高瀬隼子×市川沙央「小説家になるために必要なもの/差し出したもの」”. 文藝春秋 (2023年10月10日). 2025年8月14日閲覧。
- ^ FNNプライムオンライン (2023-10-23), 【Mr.サンデー】密着!芥川賞“怒りの作家”市川沙央さんの生き方【リアルストーリー】 2025年8月23日閲覧。
- ^ “命の声を届ける 作家・市川沙央”. NHK. 2025年4月6日. 2025年4月10日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年4月10日閲覧.
- ^ NHK (2025-04-07), 【こころの時代】作家・市川沙央 命の声を届ける | NHK 2025年8月21日閲覧。
外部リンク
[編集]- Rejoice!@hatena - はてなブログ
- 市川沙央 (@herma_ishikawa) - X
- 市川沙央 (@versacrum_lay) - Instagram
- 市川沙央 (@ssaaoouu.bsky.social) - Bluesky
- さざなみs（市川沙央）(sazanami_s) - note
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