ホンダ・エリシオン
エリシオン(Elysion)は、本田技研工業の上級ミニバン。2013年に日本での製造・販売が終了し、現在は中国専売車種となっている。
概要
ラグレイト[1]の実質的な後継車として、大海原を疾走するクルーザーをモチーフにデザインされた車種である。オデッセイより全長・車幅は一回りほど大きいが、ラグレイトよりは大幅にサイズダウンされ、車高は1,800mm以下に抑えられている。新開発の低床プラットフォーム(オデッセイのものとは別)により大柄なボディながら安定的な走行性能を実現した。
搭載するエンジンは、K24A型 2.4L 直4 DOHC i-VTEC(160PS)とJ30A型 3.0L V6 SOHC i-VTEC(250PS)の2種があり、J30A型エンジンはインスパイアと同じ気筒休止エンジン(VCM)であるが、ハイオク仕様(最高出力は同じ)になっている。気筒休止時(後ろ側3気筒を休止)に生じる振動は、液封エンジンマウントのアクティブ制御、消音スピーカーなどボディ側の工夫により対処されている。その後追加された「PRESTIGE」にはレジェンド(前期型)と同じJ35A型 3.5L V6 SOHC VTECが搭載され、最高出力はFF仕様で300PSを達成(4WDは279PS)し、日本国内製ミニバンの最大値となった。
時速15km/hで自動的にドアロックが施錠され、シフトレバーを「P」にするとドアロックが解錠される安全装置が標準装備されている。また、シフトレバーはインパネにあり、全車5速ATではあるが、オデッセイのようにSマチックは付いていない。また、スマートキー装備車は、施錠の時はハザードランプが1回、解錠の時は2回点滅する。
初代は2004年5月から日本国内を中心に販売され、2013年10月に日本国内での販売が終了したが、それ以降も中国では東風本田汽車によって2015年まで製造・販売が続けられ、2016年には、広汽本田汽車で生産されるオデッセイの兄弟車として2世代目に移行し、生産・販売が続けられている。
初代 RR1/2/3/4/5/6型(2004年 - 2013年)
ホンダ・エリシオン RR1/2/3/4/5/6型 | |
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前期型(2004年5月 - 2006年12月) | |
前期型 リア | |
室内(プレステージ) | |
概要 | |
販売期間 |
2004年5月 - 2013年10月 中国:2012年6月 - 2015年12月 |
ボディ | |
乗車定員 | 7/8人 |
ボディタイプ | 5ドア ミニバン |
駆動方式 | FF/4WD |
パワートレイン | |
エンジン |
K24A型:2.4L DOHC i-VTEC J30A型:3L SOHC i-VTEC J35A型:3.5L SOHC VTEC |
変速機 | 5速AT |
前 | ダブルウィッシュボーン |
後 | ダブルウィッシュボーン |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,900mm |
全長 | 4,840 - 4,920mm |
全幅 | 1,830 - 1,845mm |
全高 | 1,790 - 1,810mm |
車両重量 | 1,800 - 2,020kg |
その他 | |
ブレーキ |
前:油圧式ベンチレーテッドディスク 後:油圧式ディスク |
スタビライザー形式 | トーション・バー式 |
系譜 | |
先代 | ラグレイト(実質) |
後継 | オデッセイ(5代目、実質) |
- 2003年
- 10月 - 東京モーターショーに「ASM」として出展された。
- 2004年
- 5月13日 - 発売が開始された。
- 2005年
- 2006年
- 1月13日 - 特別仕様車「G AERO HDD NAVIエディション」、「VG HDD NAVI AEROエディション」が追加された。
- 12月21日 - マイナーチェンジがおこなわれた。エクステリア・インテリアを一部変更または簡素化された。ヘッドライト、フロントグリル、フロントバンパー、ボンネットフード、リアパネルガーニッシュ、ホイールといったところに新デザインが採用された。ボディカラーに、新色が設定された。また、CR-Vで好評であるプリズムアンダーミラー(ホンダでの名称)が標準装備された。加えて、高級グレード「PRESTAGE」(プレステージ)が発表された(発売は2007年1月25日)。ヘッドライトはプロジェクターHIDに、フロントグリルは標準車より押し出し感の強いものに、リアコンビネーションランプは標準車より大型になっている。エンジンはミニバン最高出力であるレジェンド(前期型)と同じJ35A型 3.5L V6 SOHC VTECが搭載されている。
- 2007年
- 8月30日 - プレステージに、2.4Lエンジンを搭載した「S」タイプが追加された。
- 2008年
- 2009年
- 9月3日 - 一部改良がおこなわれた。2.4L・4WD車が「平成22年度燃費基準+15%」を達成した。これにより、従来の2.4L・FF車に加え、2.4L・4WD車も「環境対応車普及促進税制」に適合した。
- 2010年
- 5月17日 - 「HDDナビ スペシャルパッケージ」をベースにした特別仕様車「HDDナビ スマートセレクション」が追加された。標準タイプ(「G AERO」・「VG AERO」)の「HDDナビ スマートセレクション」にはカブロン&ジャガードコンビシートとHondaスマートキーシステムが装備された。プレステージ(「S」・「SG」)の「HDDナビ スマートセレクション」は本革&木目調コンビのステアリングホイールとATセレクトレバー、Hondaスマートキーシステム、コンフォートビューパッケージ+トリプルゾーンコントロール・フルオートエアコンディショナー(「S」のFF車のみ。「S」の4WD車と「SG」はベース車に標準装備)が装備された。
- 11月18日 - マイナーチェンジがおこなわれた。全車でハーフシェイド・フロントウィンドウとヘッドレストが標準装備された。さらに、標準タイプはスーパー立体自発光メーター(イルミネーションコントロール付)も装備するとともに、シート表皮をジャージと合成皮革のコンビシート表皮に変更された。プレステージはヘッドライトターンレンズ・リアコンビライトレンズ・17インチアルミホイールのカラーが変更された。また、Honda HDDインターナビシステム標準装備車はリンクアップフリーに対応し、さらに、フルセグチューナー、ETC車載器、Hondaスマートキーシステムも装備した。グレード体系が整理され、標準タイプは「G AERO」と「G AERO・HDDナビ スペシャルパッケージ」の2グレードに、プレステージは「S」・「S・HDDナビ スペシャルパッケージ」・「SG」の3グレードとなった。
- 2011年
- 11月21日 - 広州国際モーターショーに参考出品[2]。
- 2012年
- 6月28日 - 「プレステージ」で一部改良がおこなわれた。Hondaインターナビ+リンクアップフリー+プログレッシブコマンダー+ETC車載器、フルセグチューナー、全席3点式ELRシートベルトおよびヘッドレストが標準装備され、さらに、「SG」には本革シート(運転席&助手席シートヒーター付)も標準装備された(本革シートは「S」でもメーカーオプションにより装備可能)。ボディカラーは総入れ替えとなり、全て新色の4色が設定された。なお、ナビゲーションの標準装備化によりグレード体系が一部変更となり、「S・HDDナビ スペシャルパッケージ」が廃止された。またこの一部改良に伴い、標準タイプの「エリシオン」が廃止された。
- 7月12日 - 東風本田汽車が中国市場でエリシオンを発売開始した(中国名:艾力绅)[3]。外観は「プレステージ」に概ね準ずるが細部が異なる。エンジンは2.4L i-VTECのみとなる。
- 2013年
-
中期型(2006年12月 - 2008年12月)
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中期型リア
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中期型プレステージ(2007年1月 - 2008年12月)
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中期型プレステージ リア
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後期型プレステージ(2008年12月 - 2013年10月)
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後期型 プレステージ リア
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メーター(前期型)
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中国仕様車 フロント
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中国仕様車 リア
2代目(2016年 - )
ホンダ・エリシオン(2代目) | |
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概要 | |
製造国 | 中国 |
販売期間 | 2016年1月- |
ボディ | |
乗車定員 | 7名 |
ボディタイプ | 5ドアミニバン |
駆動方式 | FF |
パワートレイン | |
エンジン | K24V6型:2.4L 直4 DOHC i-VTEC |
変速機 | CVT |
前 |
前:マクファーソンストラット式 後:車軸式 |
後 |
前:マクファーソンストラット式 後:車軸式 |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,900mm |
全長 | 4,940mm |
全幅 | 1,845mm |
全高 | 1,710mm |
車両重量 | 1,860-1,925kg |
その他 | |
製造拠点 | 武漢工場 |
2015年11月20日の広州国際モーターショーにて発表、2016年1月9日発売開始。5代目オデッセイの姉妹車で、フロントマスクが異なり、レジェンドに似たデザインのライトを採用する。
搭載エンジン
初代
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:DOHCチェーン駆動 吸気2 排気2 i-VTEC
- 排気量:2,354cc
- 内径×行程:87.0mm×99.0mm
- 圧縮比:9.7
- 最高出力:118kW (160PS) /5,500rpm
- 最大トルク:218N·m (22.2kgf·m) /4,500rpm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
- 使用燃料種類:無鉛レギュラーガソリン
- 燃料タンク容量:70L
- エンジン種類:水冷V型6気筒横置き
- 弁機構:SOHCベルト駆動 吸気2 排気2 i-VTEC
- 総排気量:2,997cc
- 内径×行程:86.0mm×86.0mm
- 圧縮比:11.2
- 最高出力:184kW (250PS) /6,000rpm
- 最大トルク:308N·m (31.5kgf·m) /5,000rpm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
- 使用燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
- 燃料タンク容量:K24A型を参照
- J35A型
- エンジン種類:水冷V型6気筒横置き
- 弁機構:SOHCベルト駆動 吸気2 排気2 VTEC
- 総排気量:3,471cc
- 内径×行程:89.0mm×93.0mm
- 圧縮比:11.0
- 最高出力:221kW (300PS) /6,200rpm
- 最大トルク:353N·m (36.0kgf·m) /5,000rpm
(※4WD:205kW (279PS) /6,200rpm, 343N·m (35.0kgf·m) /5,000rpm)
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
- 使用燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
- 燃料タンク容量:K24A型を参照
車名の由来
- ギリシャの叙事詩『オデュッセイア』(兄弟車のオデッセイの語源)に登場するギリシャ神話の楽園の名、「エリュシオン」の英語読みから。
- プレステージというサブネームは、かつて初代オデッセイのV6搭載車のサブネームとして使われていた。
脚注
- ^ 2代目北米仕様オデッセイ:アメリカ向けの大柄なボディサイズが災いし、日本では販売面で苦戦した
- ^ “2011年広州モーターショー出展概要”. 本田技研工業ニュースリリース (2011年11月21日). 2013年7月26日閲覧。
- ^ “售价28.38-31.98万 ELYSION 艾力绅上市” (中国語). 東風本田汽車 (2012年7月12日). 2013年7月26日閲覧。