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#性と生殖に関する健康
#性と生殖に関する健康
|[https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000374167/ 『国際セクシュアリティ教育ガイダンス【改訂版】』]}}
|[https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000374167/ 『国際セクシュアリティ教育ガイダンス【改訂版】』]}}


==エビデンス==
包括的な性教育と避妊具を入手可能な環境を組み合わせることで、10代の若者の意図しない妊娠の割合が減少することが実証されている<ref>{{cite journal |last1=Oringanje |first1=Chioma |last2=Meremikwu |first2=Martin M |last3=Eko |first3=Hokehe |last4=Esu |first4=Ekpereonne |last5=Meremikwu |first5=Anne |last6=Ehiri |first6=John E |title=Interventions for preventing unintended pregnancies among adolescents |journal=Cochrane Database of Systematic Reviews |date=3 February 2016 |volume=2016 |issue=2 |pages=CD005215 |doi=10.1002/14651858.CD005215.pub3 |pmid=26839116 |pmc=8730506 }}</ref>。包括的な性教育プログラムと禁欲のみの性教育([[純潔教育]])のプログラムを比較した[[メタアナリシス]]では、禁欲のみのプログラムは妊娠の可能性を減少させず、むしろ増加させた可能性があることが示された<ref>{{cite journal |last1=DiCenso |first1=A. |last2=Guyatt |first2=G |last3=Willan |first3=A |last4=Griffith |first4=L |title=Interventions to reduce unintended pregnancies among adolescents: systematic review of randomised controlled trials |journal=BMJ |date=15 June 2002 |volume=324 |issue=7351 |pages=1426 |doi=10.1136/bmj.324.7351.1426 |pmid=12065267 |pmc=115855 }}</ref>。多くの研究が、コンドームや避妊に関する正確な情報を提供するカリキュラムは、意図しない妊娠や性感染症を減少させるだけでなく、若者の危険な性行動の減少につながることを示している<ref name="unfpa.org">{{cite web|url=http://www.unfpa.org/comprehensive-sexuality-education|title=Comprehensive sexuality education - UNFPA - United Nations Population Fund|access-date=March 13, 2017|archive-date=March 20, 2021|archive-url=https://web.archive.org/web/20210320005339/https://www.unfpa.org/comprehensive-sexuality-education|url-status=live}}</ref>。一方、禁欲のみの性教育の効果は示されていない<ref name="unfpa.org" />。

[[国連人口基金]](UNFPA)は「2010年のレビューでは、『ジェンダーに焦点を当てた』カリキュラム、つまりジェンダー平等を学習教材に組み込んだカリキュラムは、ジェンダーを考慮しないプログラムよりも、危険な性行動を減らす上で大幅に効果的であることがわかった」としている<ref name="unfpa.org" />。また、性交開始の年齢が後ろにずれること、コンドームの使用、避妊の実践は、若者がジェンダーの役割について平等主義的な考えを持った結果であることが、調査で示されており、このような人々は暴力的な性関係に陥る可能性が低く、HIVを含む性感染症や意図しない妊娠の割合が低いこともわかっている<ref name="unfpa.org" />。

権利とジェンダーの問題に重点を置くことで、これらの教育プログラムは、ジェンダーに基づく暴力やいじめを減らし、学校をより安全な場所にし、若者が自らの権利を主張できるよう支援し、ジェンダー平等を促進するのに役立っている<ref name="unfpa.org" />。

「性的健康への介入(支援)は、青少年の意見を取り入れてデザインされたものはほとんどない。青少年は、性教育は、解剖学や(こうしなければこんなひどい目にあうという)脅しを強調せずに、もっと肯定的であるべきであり、性的関係における建設的な話し合いのスキルやコミュニケーションに焦点を当てるべきで、青少年がよく訪れる場所(例えば、学校のトイレやショッピングセンターなど)で、性的健康の相談所の詳しい情報を伝えるべきだと提案している」<ref name=" DiCenso">{{cite journal |last1=DiCenso |first1=Alba |last2=Guyatt |first2=Gordon |last3=Willan |first3=A. |last4=Griffith |first4=L. |title=Interventions to reduce unintended pregnancies among adolescents: systematic review of randomised controlled trials |journal=BMJ |date=15 June 2002 |volume=324 |issue=7351 |pages=1426 |doi=10.1136/bmj.324.7351.1426 |pmid=12065267 |pmc=115855 }}</ref>。

また、アメリカのレビューは「圧倒的なエビデンスの重みは、避妊について議論する性教育が性行為を増加させないことを示している」と結論づけている<ref name="Kirby">{{cite book |last1=Kirby |first1=Douglas |title=Emerging Answers: Research Findings on Programs to Reduce Teen Pregnancy |date=2001 |publisher=National Campaign to Prevent Teen Pregnancy |id={{ERIC|ED456171}} |isbn=978-1-58671-037-8 }}{{page needed|date=April 2021}}</ref><ref name="Kirby2007">{{cite book |last1=Kirby |first1=Douglas |title=Emerging Answers: Research Findings on Programs to Reduce Teen Pregnancy |date=2007 |publisher=National Campaign to Prevent Teen Pregnancy |isbn=978-1-58671-070-5 }}{{page needed|date=April 2021}}</ref>。2007年の調査では「包括的プログラムは、性行為の開始を早めたり、性行為の頻度を増加させることはなかった。」「包括的プログラムは、男女ともに、すべての主要な民族グループに対して、性的に未経験の10代と経験済みの10代に対して、様々な環境・コミュニティにおいて効果があった」ことを示した<ref name="Kirby2007" />。

[[国連人口基金]](UNFPA)は、包括的なセクシュアリティ教育を推奨している。UNFPAによると、包括的なセクシュアリティ教育とは次の通りである<ref name="Guide">{{cite web|title=UNFPA Operational Guidance for Comprehensive Sexuality Education: A Focus on Human Rights and Gender|url=http://www.unfpa.org/sites/default/files/pub-pdf/UNFPA_OperationalGuidance_WEB3.pdf |archive-url=https://ghostarchive.org/archive/20221009/http://www.unfpa.org/sites/default/files/pub-pdf/UNFPA_OperationalGuidance_WEB3.pdf |archive-date=2022-10-09 |url-status=live|publisher=[[United Nations Population Fund|UNFPA]]}}</ref>。

<blockquote>包括的な性教育は、若者の発達に合わせて、年齢に応じた情報を提供しながら、数年間にわたり行われる。人間の発達、解剖学、妊娠に関する科学的に正確な、カリキュラムに基づいた情報が含まれる。また、避妊やHIVを含む性感染症に関する情報も含まれる。さらに、情報を与えるに留まらず、自信やコミュニケーション能力の向上も促す。カリキュラムは、文化的規範、家族生活、対人関係など、セクシュアリティと生殖を取り巻く社会的問題にも取り組むべきである。</blockquote>

より包括的な性教育が行われることで、性感染症や妊娠率は低下する<ref name=":1">{{Cite web|date=2017-09-18|title=America's Sex Education: How We Are Failing Our Students - Nursing@USC|url=https://nursing.usc.edu/blog/americas-sex-education/|access-date=2021-09-26|website=USC-MSN|language=en-US|archive-date=October 5, 2021|archive-url=https://web.archive.org/web/20211005192232/https://nursing.usc.edu/blog/americas-sex-education/|url-status=live}}</ref>。また、性教育の内容によって、子どもたちの意識が異なることもわかっている。オランダの性教育カリキュラムとアメリカの性教育カリキュラムの比較によると、(より包括的な性教育が行われている)ヨーロッパとオランダの10代の若者は、(あまり包括的な性教育が行われていない)アメリカの10代の若者よりも、平均して高い年齢で性交渉を行っている。オランダの10代の若者が積極的かつ同意の上で最初の性体験をしたと報告しているのとは対照的に、性的にアクティブなアメリカの10代の若者の66%は、最初の性体験をもっと待てばよかったと報告している<ref name=":03">{{Cite web|date=2015-05-27|title=The case for starting sex education in kindergarten|url=https://www.pbs.org/newshour/health/spring-fever|access-date=2021-09-26|website=PBS NewsHour|language=en-us|archive-date=September 27, 2021|archive-url=https://web.archive.org/web/20210927002144/https://www.pbs.org/newshour/health/spring-fever|url-status=live}}</ref>。

オランダでは、10代の若者の10人に1人が初めての性体験の際に避妊をしており、これが妊娠率や性感染症の感染率の低下に寄与している<ref>{{Cite web|title=Rutgers – Seksuele gezondheid en rechten voor iedereen|url=https://rutgers.nl/|access-date=2021-10-01|website=Rutgers|language=nl|archive-date=October 1, 2021|archive-url=https://web.archive.org/web/20211001135154/https://rutgers.nl/|url-status=live}}</ref>。小学校程度から始まるより包括的な性教育は、性の多様性への理解、デートや親密なパートナーからの[[ドメスティックバイオレンス|DV]]の防止、健全な人間関係の構築、[[児童性的虐待]]の防止、社会的・情緒的な学びの向上、メディアリテラシーの向上につながった<ref>{{Cite journal|last1=Goldfarb|first1=Eva S.|last2=Lieberman|first2=Lisa D.|date=2021-01-01|title=Three Decades of Research: The Case for Comprehensive Sex Education|url=https://www.jahonline.org/article/S1054-139X(20)30456-0/abstract|journal=Journal of Adolescent Health|language=English|volume=68|issue=1|pages=13–27|doi=10.1016/j.jadohealth.2020.07.036|issn=1054-139X|pmid=33059958|s2cid=222837959|doi-access=free}}</ref>。

国連人口基金は、人権問題、ジェンダーの平等、ジェンダーの役割は、こうした議論のあらゆる側面に組み込まれるべきであり、これには、人権の保護、充実、エンパワーメント、ジェンダー差別の影響、平等とジェンダーに対する配慮の重要性、ジェンダー役割の根底にある考え方が含まれるとしている。性的虐待、ジェンダーに基づく暴力、有害な慣習も議論されるべきである。これらにより、若者たちは自分自身の行動に責任を持ち、他者の権利を尊重するために必要な[[ライフスキル]]を学ぶことになるという<ref name="unfpa.org" />。

包括的な性教育は、「若者が自分のセクシュアリティと健康について、十分な情報を得た上で決定できるようにするものである。これらのプログラムは、ライフスキルを身につけ、責任ある行動を促すものであり、人権の原則に基づいているため、人権、ジェンダー平等、若者のエンパワーメントの推進に役立つ。」<ref name="unfpa.org" />


== 各国の性教育 ==
== 各国の性教育 ==
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{{further|キリスト教}}
{{further|キリスト教}}
アメリカ合衆国では[[1980年代]]半ばから、性病やエイズ感染症の予防からコンドームの使用指導をしていた。しかし[[1990年代]]初めより、[[宗教右派|キリスト教右派]]の「{{仮リンク|絶対禁欲性教育|en|Abstinence-only_sex_education}}」が導入された。結婚するまで絶対にセックスをしてはならず、妊娠の医学的仕組み、避妊の仕方も教えてはならないというもの。[[ブッシュ政権]]は莫大な資金援助をしたが、避妊を教えた場合は助成金を打ち切った。その結果、一部の州で未成年者の性病罹患と妊娠が急増した<ref>{{Cite book|和書|author=|title=『[[論座]]』2007年3月号|date=2007-2-5|year=|accessdate=2019-2-21|publisher=朝日新聞社出版局|ASIN=B000MV8WO8}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20070206|title=北米セックス禁止令、避妊も禁止の性教育!Add Star|accessdate=2019-2-19|publisher=|month=|date=2007-02-06|website=映画評論家町山智浩アメリカ日記|author=[[町山智浩]]}}</ref>。
アメリカ合衆国では[[1980年代]]半ばから、性病やエイズ感染症の予防からコンドームの使用指導をしていた。しかし[[1990年代]]初めより、[[宗教右派|キリスト教右派]]の「{{仮リンク|絶対禁欲性教育|en|Abstinence-only_sex_education}}」が導入された。結婚するまで絶対にセックスをしてはならず、妊娠の医学的仕組み、避妊の仕方も教えてはならないというもの。[[ブッシュ政権]]は莫大な資金援助をしたが、避妊を教えた場合は助成金を打ち切った。その結果、一部の州で未成年者の性病罹患と妊娠が急増した<ref>{{Cite book|和書|author=|title=『[[論座]]』2007年3月号|date=2007-2-5|year=|accessdate=2019-2-21|publisher=朝日新聞社出版局|ASIN=B000MV8WO8}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20070206|title=北米セックス禁止令、避妊も禁止の性教育!Add Star|accessdate=2019-2-19|publisher=|month=|date=2007-02-06|website=映画評論家町山智浩アメリカ日記|author=[[町山智浩]]}}</ref>。

[[純潔教育]]を扱ったドキュメンタリー映画に『{{仮リンク|シェルビーの性教育〜避妊を学校でおしえて!|en|The Education of Shelby Knox}}』がある<ref>[https://www.moviecollection.jp/news/10060/ [未公開映画祭]女子高生が性教育の重要性を訴える『シェルビーの性教育』]MOVIE Collection.(2010年12月30日)2021年4月23日閲覧</ref>。{{仮リンク|ピュアボール|en|Purity ball}}という、父親と10代の娘が「結婚するまで処女を守る」と誓うダンスイベントも存在する。

アメリカでは「絶対禁欲性教育([[:en:Abstinence-only sex education|Abstinence-Only Sex Education]])」「[[包括的性教育]](comprehensive sex education)」他の複数のカリキュラムがある。この二つについてはどちらが良いかについて論争がある。特に、子どもの性的行動を取り扱っていくことを善しとするか害と見るかに関して、激しく意見が割れている。より具体的に言えば、[[コンドーム]]や[[ピル|経口避妊薬]]などの[[産児制限]]、[[避妊具]]が[[婚外妊娠]]に与える影響力、[[十代の出産|若年での妊娠]]、性感染症の伝染などの扱うことの是非である。アメリカの性教育をめぐる論争の火種となっているものの1つとしては、[[保守]]系の人々が推奨する[[純潔教育]]や絶対禁欲性教育への支持が高まっていることを挙げることができる。性教育に対して、アメリカや英国も含めたより保守的な態度を示す国では、性感染症の蔓延や若年妊娠が高い率で生じている。


[[アメリカ心理学会]]の研究では、「包括的性教育」の有効性が示されているとした<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.apa.org/releases/sexeducation.html|title=アーカイブされたコピー|accessdate=2006年8月11日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20060811000127/http://www.apa.org/releases/sexeducation.html|archivedate=2006年8月11日|deadlinkdate=2017年10月}}</ref>。包括的・総合的な性教育の有効性は、[[査読]]誌の記事の複数によって明白であるとする一方、「絶対禁欲性教育」は深刻な危険があるとの指摘がなされている<ref>{{PDFlink|[http://ari.ucsf.edu/science/reports/abstinence.pdf. Abstinence Only vs. Comprehensive Sex Education: What are the arguments? What is the evidence?]}} - AIDS Research Institute
[[アメリカ心理学会]]の研究では、「包括的性教育」の有効性が示されているとした<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.apa.org/releases/sexeducation.html|title=アーカイブされたコピー|accessdate=2006年8月11日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20060811000127/http://www.apa.org/releases/sexeducation.html|archivedate=2006年8月11日|deadlinkdate=2017年10月}}</ref>。包括的・総合的な性教育の有効性は、[[査読]]誌の記事の複数によって明白であるとする一方、「絶対禁欲性教育」は深刻な危険があるとの指摘がなされている<ref>{{PDFlink|[http://ari.ucsf.edu/science/reports/abstinence.pdf. Abstinence Only vs. Comprehensive Sex Education: What are the arguments? What is the evidence?]}} - AIDS Research Institute
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2017年頃には時期尚早との意見もあるが、日本では小中学生に[[性的少数者]]の教育をするところもある<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASK586T95K58UTIL05P.html 「性的少数者の授業 小中学生には時期尚早か?」][[朝日新聞デジタル]](2017年5月15日)2021年7月13日閲覧</ref><ref>日本性教育協会[https://www.jase.faje.or.jp/jigyo/journal/seikyoiku_journal_201902.pdf 『現代性教育研究ジャーナル 』2019年 No.95(2019年2月15日発行)]2021年7月13日閲覧</ref>。
2017年頃には時期尚早との意見もあるが、日本では小中学生に[[性的少数者]]の教育をするところもある<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASK586T95K58UTIL05P.html 「性的少数者の授業 小中学生には時期尚早か?」][[朝日新聞デジタル]](2017年5月15日)2021年7月13日閲覧</ref><ref>日本性教育協会[https://www.jase.faje.or.jp/jigyo/journal/seikyoiku_journal_201902.pdf 『現代性教育研究ジャーナル 』2019年 No.95(2019年2月15日発行)]2021年7月13日閲覧</ref>。


性犯罪では、2013年に[[埼玉県警察]]が検挙した痴漢事件では、被害者では特に電車通学を始めたばかりの高校1年生が標的にされていた<ref>{{Cite news|title=痴漢被害、泣き寝入りしないで 埼玉県警、対策周知へ女性会議初の一般公開|url=https://www.sankei.com/article/20150120-BTRCXRQYMVN6JNZBQ5YHW6PEN4/|newspaper=産経ニュース|publisher=産業経済新聞社|date=2015-01-20|accessdate=2017-08-26}}</ref>。2011年の[[警視庁]]の「電車内の痴漢防止に係る研究会の報告書について」で被害者高校生が36.1%と最多数を占めているが、被害者の多くが被害に遭っても声を上げることができず、「相談する場所が分からない」「啓蒙活動が足りない」などの声寄せられている<ref>{{Cite news|title=電車内の痴漢防止に係る研究会の報告書について|url=https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3525234_po_h22_chikankenkyukai.pdf?contentNo=1&alternativeNo=|web=国立国会図書館|publisher=警視庁|date=2011-3-10|accessdate=2022-12-6}}</ref>。また加害者の性的犯罪依存を治療する識者も、痴漢は99%を占める男性の問題であり痴漢撲滅の予防行為として、予防教育、性教育や啓発活動が必要だと語っている<ref>{{Cite news|title=データが浮き彫りに!知られざる痴漢被害の実態|url=https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4376/index.html|web=NHK|date=2020年1月23日|accessdate=2022-12-6}}</ref>。痴漢は未成年者の被害者が多いにもかかわらず被害時の相談先など具体的に教わることがなく、また自分も相手の体も大切にする性教育が不足することで認知のゆがみが生まれているのではと問題を提起している<ref>{{Cite news|title=受験生狙う痴漢、1000人の加害者を診た精神保健福祉士「彼らには認知の歪みがある」あおちゃんぺ「被害を受けても“間違いで相手の人生を奪ったら?”と考えてしまう」|url=https://news.yahoo.co.jp/articles/d34792f440beed2bad8846291044840914991ee2?page=2|web=yahoo news『ABEMA Prime』|date=2023年1月26日|accessdate=2023-1-29}}</ref>。
2011年の[[警視庁]]の「電車内の痴漢防止に係る研究会の報告書について」では、被害者のうち高校生が36.1%と最多数を占めているが、被害者の多くが被害に遭っても声を上げることができず、「相談する場所が分からない」「啓蒙活動が足りない」などの声寄せている<ref>{{Cite news|title=電車内の痴漢防止に係る研究会の報告書について|url=https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3525234_po_h22_chikankenkyukai.pdf?contentNo=1&alternativeNo=|web=国立国会図書館|publisher=警視庁|date=2011-3-10|accessdate=2022-12-6}}</ref>。また加害者の性的犯罪依存を治療する識者も、痴漢は99%を占める男性の問題であり痴漢撲滅の予防行為として、予防教育、性教育や啓発活動が必要だと語っている<ref>{{Cite news|title=データが浮き彫りに!知られざる痴漢被害の実態|url=https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4376/index.html|web=NHK|date=2020年1月23日|accessdate=2022-12-6}}</ref>。痴漢は未成年者の被害者が多いにもかかわらず被害時の相談先など具体的に教わることがなく、また自分も相手の体も大切にする性教育が不足することで認知のゆがみが生まれているのではと問題を提起している<ref>{{Cite news|title=受験生狙う痴漢、1000人の加害者を診た精神保健福祉士「彼らには認知の歪みがある」あおちゃんぺ「被害を受けても“間違いで相手の人生を奪ったら?”と考えてしまう」|url=https://news.yahoo.co.jp/articles/d34792f440beed2bad8846291044840914991ee2?page=2|web=yahoo news『ABEMA Prime』|date=2023年1月26日|accessdate=2023-1-29}}</ref>。


2023年1月、[[日本弁護士連合会]]は、日本の学校教育における性教育について国際的標準から極めて遅れていることを憂い、成人向け性情報の氾濫による誤った認識や価値観の植付けから起こる性被害や予期せぬ妊娠などの問題対応と人権保障の観点から、国及び地方公共団体が包括的性教育を実施するとともに、SRHRを保障する包括的な法律の制定及び財政的裏付けを伴う制度の創設が必要であると提言した<ref>{{Cite news|title=「包括的性教育」の実施とセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツを保障する包括的な法律の制定及び制度の創設を求める意見書|url=https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/document/opinion/2023/230120_2.pdf|web=日本弁護士連合会|date=2023年1月26日|accessdate=2023-1-29}}</ref>。
2023年1月、[[日本弁護士連合会]]は、日本の学校教育における性教育について国際的標準から極めて遅れていることを憂い、成人向け性情報の氾濫による誤った認識や価値観の植付けから起こる性被害や予期せぬ妊娠などの問題対応と人権保障の観点から、国及び地方公共団体が包括的性教育を実施するとともに、SRHRを保障する包括的な法律の制定及び財政的裏付けを伴う制度の創設が必要であると提言した<ref>{{Cite news|title=「包括的性教育」の実施とセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツを保障する包括的な法律の制定及び制度の創設を求める意見書|url=https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/document/opinion/2023/230120_2.pdf|web=日本弁護士連合会|date=2023年1月26日|accessdate=2023-1-29}}</ref>。

2024年1月27日 (土) 09:32時点における版

教育ツールの一例。性教育の際に避妊法を説明するために使われる小冊子 (オーストリア、ウィーン、ヨーゼフシュタット地区博物館)

性教育(せいきょういく、英語: Sex education)とは、性器性交生殖妊娠避妊[1])など人間性行動に関する教育全般を意味する言葉である[2]

定義

Leepson は性教育を、性的な反応と生殖に関する生理学的、心理学的、社会学的な様々な側面についての指導と捉えている[3]。Kearney は性教育を、「人間としての個人と社会制度としての家族を最もよく守ることができるような社会的に望ましい態度・習慣・個人的行動を、子どもや大人に身に付けさせるよう計算されたものであり、学校による包括的な(目標達成のための)活動指針を含む」と定義している。よって性教育は「セクシュアリティ教育」とも表現され、家族計画、生殖(受精、受胎、胚・胎児の発育から出産まで)に関する情報に加え、身体イメージ、性的指向、性的快楽、価値観、意思決定、コミュニケーション、交際、人間関係、性感染症とその予防方法、避妊法など、セクシュアリティのあらゆる側面に関する情報も含めた教育が盛り込まれている[3]

性教育の様々な側面は、生徒の年齢やタイミングに合わせ、子どもたちの理解力に応じて、学校で教育が行われることが適切だと考えられている[4]。Rubin と Kindendall は、性教育とは、単に生殖の話やどのように赤ちゃんを妊娠し誕生するかを教えるだけではなく、むしろ、子どもたちが現在と将来の生活に性をより有意義に取り入れるのを助け、子どもたちが完全に成熟するまでに、性のほぼ全ての面について、ある程度の基本的な理解を与えるという、はるかに幅広い範囲と目標を持っていると述べている[4]

概説

生殖に関する教育は、広義には女性器男性器を挿入する性交後に女性体内で起こる男性器から放出された精子が女性の卵子と結合する受胎から胎芽へ、胎芽から胎児へ、そして出産へと移り変わっていく流れを追いながら、新たな命の創造と成長を取り扱う。狭義には性感染症の概念やその予防、避妊法などの内容が、この範疇に含まれる。

学校の教育課程の中に性教育的なものが組み込まれてはいるものの、それを教えることに関して、未だ激しい議論が行われている国もある。性教育はどの段階で開始されるべきなのか、どこまで深く踏み込んで良いのか、セクシュアリティや性行動に関する内容(安全な性交の実践、自慰行為、性の倫理感など)も扱うべきなのかなど、様々な論争が巻き起こっている。

また1994年にカイロで開催された国際人口・開発会議において提唱されたリプロダクティブ・ヘルス・ライツ(性と生殖に関する健康/権利。Sexual and Reproductive Health and Rights (SRHR))、「子どもを産む産まない、産むとすればいつ、何人産むかを、女性が自己決定する権利」は広く女性の生涯にわたる健康の確立を目指す概念として国際的にもその重要性が指摘され、厚生労働省の研究会で日本でも知識の普及をはかるべきとしている[5]

2018年1月に改訂されたユネスコの『国際セクシュアリティ教育ガイダンス[6][7]』では、性教育の開始は5歳からで、ヨーロッパの性教育スタンダードでは0歳からとなっている[8][9]

包括的性教育

男女間での性に関する知識やスキルについてだけでなく、ジェンダー性的志向の多様性、人権、幸福を学ぶ概念としての包括的性教育(comprehensive sexuality education(CSE))が普及しつつある[1][10]。ユネスコが推奨する性教育の項目には、「性行為」や「避妊の方法」だけでなく、友情や恋愛などに関する「人間関係」や「ジェンダー論」まで、包括的な内容となっている[11]

国際セクシュアリティ教育ガイダンスにおける8つのキーコンセプト
  1. 人間関係
  2. 価値観、人権、文化、セクシュアリティ
  3. ジェンダーの理解
  4. 暴力と安全確保
  5. 健康とウェルビーイング(幸福)のためのスキル
  6. 人間のからだと発達
  7. セクシュアリティと性的行動
  8. 性と生殖に関する健康
— 『国際セクシュアリティ教育ガイダンス【改訂版】』


エビデンス

包括的な性教育と避妊具を入手可能な環境を組み合わせることで、10代の若者の意図しない妊娠の割合が減少することが実証されている[12]。包括的な性教育プログラムと禁欲のみの性教育(純潔教育)のプログラムを比較したメタアナリシスでは、禁欲のみのプログラムは妊娠の可能性を減少させず、むしろ増加させた可能性があることが示された[13]。多くの研究が、コンドームや避妊に関する正確な情報を提供するカリキュラムは、意図しない妊娠や性感染症を減少させるだけでなく、若者の危険な性行動の減少につながることを示している[14]。一方、禁欲のみの性教育の効果は示されていない[14]

国連人口基金(UNFPA)は「2010年のレビューでは、『ジェンダーに焦点を当てた』カリキュラム、つまりジェンダー平等を学習教材に組み込んだカリキュラムは、ジェンダーを考慮しないプログラムよりも、危険な性行動を減らす上で大幅に効果的であることがわかった」としている[14]。また、性交開始の年齢が後ろにずれること、コンドームの使用、避妊の実践は、若者がジェンダーの役割について平等主義的な考えを持った結果であることが、調査で示されており、このような人々は暴力的な性関係に陥る可能性が低く、HIVを含む性感染症や意図しない妊娠の割合が低いこともわかっている[14]

権利とジェンダーの問題に重点を置くことで、これらの教育プログラムは、ジェンダーに基づく暴力やいじめを減らし、学校をより安全な場所にし、若者が自らの権利を主張できるよう支援し、ジェンダー平等を促進するのに役立っている[14]

「性的健康への介入(支援)は、青少年の意見を取り入れてデザインされたものはほとんどない。青少年は、性教育は、解剖学や(こうしなければこんなひどい目にあうという)脅しを強調せずに、もっと肯定的であるべきであり、性的関係における建設的な話し合いのスキルやコミュニケーションに焦点を当てるべきで、青少年がよく訪れる場所(例えば、学校のトイレやショッピングセンターなど)で、性的健康の相談所の詳しい情報を伝えるべきだと提案している」[15]

また、アメリカのレビューは「圧倒的なエビデンスの重みは、避妊について議論する性教育が性行為を増加させないことを示している」と結論づけている[16][17]。2007年の調査では「包括的プログラムは、性行為の開始を早めたり、性行為の頻度を増加させることはなかった。」「包括的プログラムは、男女ともに、すべての主要な民族グループに対して、性的に未経験の10代と経験済みの10代に対して、様々な環境・コミュニティにおいて効果があった」ことを示した[17]

国連人口基金(UNFPA)は、包括的なセクシュアリティ教育を推奨している。UNFPAによると、包括的なセクシュアリティ教育とは次の通りである[18]

包括的な性教育は、若者の発達に合わせて、年齢に応じた情報を提供しながら、数年間にわたり行われる。人間の発達、解剖学、妊娠に関する科学的に正確な、カリキュラムに基づいた情報が含まれる。また、避妊やHIVを含む性感染症に関する情報も含まれる。さらに、情報を与えるに留まらず、自信やコミュニケーション能力の向上も促す。カリキュラムは、文化的規範、家族生活、対人関係など、セクシュアリティと生殖を取り巻く社会的問題にも取り組むべきである。

より包括的な性教育が行われることで、性感染症や妊娠率は低下する[19]。また、性教育の内容によって、子どもたちの意識が異なることもわかっている。オランダの性教育カリキュラムとアメリカの性教育カリキュラムの比較によると、(より包括的な性教育が行われている)ヨーロッパとオランダの10代の若者は、(あまり包括的な性教育が行われていない)アメリカの10代の若者よりも、平均して高い年齢で性交渉を行っている。オランダの10代の若者が積極的かつ同意の上で最初の性体験をしたと報告しているのとは対照的に、性的にアクティブなアメリカの10代の若者の66%は、最初の性体験をもっと待てばよかったと報告している[20]

オランダでは、10代の若者の10人に1人が初めての性体験の際に避妊をしており、これが妊娠率や性感染症の感染率の低下に寄与している[21]。小学校程度から始まるより包括的な性教育は、性の多様性への理解、デートや親密なパートナーからのDVの防止、健全な人間関係の構築、児童性的虐待の防止、社会的・情緒的な学びの向上、メディアリテラシーの向上につながった[22]

国連人口基金は、人権問題、ジェンダーの平等、ジェンダーの役割は、こうした議論のあらゆる側面に組み込まれるべきであり、これには、人権の保護、充実、エンパワーメント、ジェンダー差別の影響、平等とジェンダーに対する配慮の重要性、ジェンダー役割の根底にある考え方が含まれるとしている。性的虐待、ジェンダーに基づく暴力、有害な慣習も議論されるべきである。これらにより、若者たちは自分自身の行動に責任を持ち、他者の権利を尊重するために必要なライフスキルを学ぶことになるという[14]

包括的な性教育は、「若者が自分のセクシュアリティと健康について、十分な情報を得た上で決定できるようにするものである。これらのプログラムは、ライフスキルを身につけ、責任ある行動を促すものであり、人権の原則に基づいているため、人権、ジェンダー平等、若者のエンパワーメントの推進に役立つ。」[14]

各国の性教育

アメリカ

キリスト教と純潔教育

アメリカ合衆国では1980年代半ばから、性病やエイズ感染症の予防からコンドームの使用指導をしていた。しかし1990年代初めより、キリスト教右派の「絶対禁欲性教育英語版」が導入された。結婚するまで絶対にセックスをしてはならず、妊娠の医学的仕組み、避妊の仕方も教えてはならないというもの。ブッシュ政権は莫大な資金援助をしたが、避妊を教えた場合は助成金を打ち切った。その結果、一部の州で未成年者の性病罹患と妊娠が急増した[23][24]

アメリカ心理学会の研究では、「包括的性教育」の有効性が示されているとした[25]。包括的・総合的な性教育の有効性は、査読誌の記事の複数によって明白であるとする一方、「絶対禁欲性教育」は深刻な危険があるとの指摘がなされている[26]

ハーバード大学の18-25歳を対象にした「思いやりの常識化」調査では、若者の3分の1が性的同意について親と話し合ったことがない。一方、コロンビアの大学調査ではセックスの誘いを断ることを学んだ学生はレイプの被害が半数になる。小児から体のつくりを教わり触れられることの自己決定や他者尊重を学ぶ性教育は、加害者化も被害者化を防ぐことに有効であることが分かっている。しかし1990年代以降、性教育を行う際の性的自己抑制を義務づける法律が28州で成立したことで包括的性教育に取って変わられた問題がある。ポルノが非現実的なものとして理解していく「ポルノリテラシー」教育も新しい教育方法として試みられている[27]

イギリス

イギリスでは中等学校(11歳から16歳)での性教育が1994年より義務化された[28]。イギリスの10代少女の妊娠数は1960年代終わりから1970年初頭にかけて正式統計で年間13万件以上、実数は20万とも30万とも言われるほど多く、学業の継続困難から安定した職業に就くことも出来ず、貧困問題とも結びついて社会問題化していた[29]。また1980年代後半におこった性感染症とエイズの問題が性教育の必要性を後押ししたとされ、その後10代の妊娠は少しずつ減っていった[29]

フランス

フランスではどのような相手でも体の大切な部分を触らせない教育の重要性を説いている[30]

北欧

2007年のTIME誌によると、デンマークでは性教育を特定のクラスに限定せずに、必要な際には授業のあらゆるカリキュラムにおいて話し合われるとしている。スウェーデンでも同様で、性教育は1956年以降必修であり、7歳から10歳のときに始まるとしている。フィンランドでは15歳時に学校でパンフレットやコンドームなどの入ったパッケージを渡されるという。スウェーデンでは通常、17歳で処女を失うとされ、それは15年前と変わらないとしている。[31]

日本

日本の性教育の概説

文部科学省では「性教育」という言葉を避け、「性に関する指導」という用語を使っている[32]が、本記事においては「性教育」という語で統一して記載する。

日本では、体育・保健体育の授業で小学校4年生で「体の発育・発達」、同5年生で「心の発達及び不安、悩みへの対処」[33]、中学校1年生で「身の機能の発達と心の健康」[34]として性教育を受ける。初めて学ぶ小学校4年生では、思春期初来の平均年齢[注釈 1][35]の関係上、男子は思春期前に学ぶ者が多いが、女子は思春期初来(Thelarche)後に学ぶ者が多くなる。

小学校では体や心の変化を中心に取り上げ、自分と他の人では発育・発達が異なり、いじめなどの対人トラブルを起こしやすいことから、発育・発達の個人差を肯定的に受け止めることを特に取り上げる。また、発育・発達を促すための食事運動、休養・睡眠なども取り上げる。中学校では体や心の変化に加えて生殖も取り上げられるが、受精・妊娠までは取り上げられても学校や教師によっても違うが妊娠の経過は取り上げられない事が多い。これに対し、義務教育で性交を教えないのは刑法に定める「性的同意年齢13歳」と矛盾するのではないかとの指摘がある[36]

性行為について取り扱わない理由は、学習指導要領に「妊娠の経過は取り扱わない」とする一文があるためである[37]。これは通称「歯止め規定」と呼ばれている。歯止め規定に関して文部科学省は、決して教えてはならないというものではなく、全ての子供に共通に指導するべき事項ではないが、学校において必要があると判断する場合に指導したり、あるいは個々の生徒に対応して教えるということはできるものと国会で答弁している[38]。なお「歯止め規定」が学習指導要領に初めて記載されたのは1998年と文部科学省は述べているが、NHKが行政文書の開示請求を行ったのに対し、文部科学省は「はどめ規定が記載されるまでの経緯の詳細を示す文書はございません」と回答した[37]

「歯止め規定」については2018年に東京都足立区立の中学校で性の正しい知識を教えるため避妊や中絶等も盛り込んだ授業を行ったところ東京都議会で紛糾し、「課題があった」と答弁があったため教育現場が委縮する状況になった[39]

一方で初経の授業はあっても、ブラジャーについては学ぶ機会はほとんどなく、思春期の乳房が成長中(途中で初経を挟む約4年間)にジュニアブラを着用せずにノーブラだったり、大人用のブラジャーをつけたりとした問題が起きている[40][注釈 2][41]

トランクス着用の小中学生が増加したことで一部の自治体では小中学生にブリーフの着用を勧める活動が組織的に行われるようになった。2000年代前半頃より東京都足立区の一部の小中学校では性教育活動に熱心に取り組んでいる女性養護教諭が性教育の一環で小中学生の下着指導を行い、その活動の輪が足立区全体で拡がったことによるものである。養護教諭は男子生徒に体育の授業でトランクスでは陰部が見えるとの理由でブリーフの着用を提唱し、男子生徒にブリーフの着用を実践させている[42]

一方で、「過度な性教育は子供たちに大きな影響を及ぼしかねない」という批判がある[43]。2005年には自民党が「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」を安倍晋三を座長に、事務局長は山谷えり子参議院議員で発足させた。養護学校で性教育に使われていた性教育人形を「セックス人形」と呼び批判を行った。このほか統一教会による学校現場での性教育批判も行われたとの性教育啓発活動を行う医師の証言が報道されている[44]。また教団が作成した「新純潔宣言」と題した信者向けの冊子の冒頭には性解放思想に基づく性器・性交・避妊教育の性教育に反対することが掲げられており、その姿勢が性教育バッシングの発火点につながったと立教大学浅井春夫は語っている[45]

また、児童を対象とした性犯罪や父母、兄姉による児童性的虐待が問題となっており、これらに被害児童の性に対する無知につけこんだ物が多い事から、思春期前のより早期からの性教育によって、子供に自身が性的搾取から保護されるべき権利主体である事を認識させようとする動きが見られる。子供への性虐待の研究では、加害者の中には多くの子ども達の中から拒否できない子を瞬時に見出す能力を持つ人間がいるため、アメリカ合衆国での小学校2年生女子へのレイプ事件をきっかけに生まれた子どもに対する暴力防止CAPプログラム(Child Assault Prevention)の受講や被害拡大することを防ぐために知識を得る性教育が有効としている[46]

2019年3月28日、東京都教育委員会は教員向けの指導書「性教育の手引」改訂版を公表し学習指導要領の範囲を超えた授業の実施を初めて容認した。手引は小中高校、特別支援学校での性教育の考え方をまとめ、コンドームピルでの避妊や、人工妊娠中絶できる時期がかぎられていること、性交相手の過去は分からないため性感染症の危険があること、SNSで性的な画像を送ると削除できないことを伝える。性の多様性にも初めて言及し性同一性障害や性的指向などへの配慮を明記した[47]。一方、ピルは、機能性月経困難症の痛みを放置すると将来的に子宮内膜症になるリスクが約2.6倍となり不妊症にもつながる状況を予防や治療する薬でもあるが、性に関する正しい知識が大人にも備わっていない実態がある[48][49]

2020年度より、幼稚園中学校高校大学で「生命の安全教育」という新しい教育を始める方針があるが、引き続き性行為や避妊は取り扱わない予定とされている[50]

日本産科婦人科学会では、各年代の女性が正しい性と健康の知識を得るために2014年に『HUMAN+』という冊子を作成して公開している[51]。日本産婦人科医会でも、公式サイトにて若年層の2016 年の年齢別出生・中絶統計で20再未満の半数以上が中絶を選択する現状を示し、中学校で性交や避妊を取り上げるべきではないと悠長なことを言えず、義務教育が終わる中学校卒業までに教えないと間に合わないとの危機感を表している[52]

2017年頃には時期尚早との意見もあるが、日本では小中学生に性的少数者の教育をするところもある[53][54]

2011年の警視庁の「電車内の痴漢防止に係る研究会の報告書について」では、被害者のうち高校生が36.1%と最多数を占めているが、被害者の多くが被害に遭っても声を上げることができず、「相談する場所が分からない」「啓蒙活動が足りない」などの声を寄せている[55]。また加害者の性的犯罪依存を治療する識者も、痴漢は99%を占める男性の問題であり痴漢撲滅の予防行為として、予防教育、性教育や啓発活動が必要だと語っている[56]。痴漢は未成年者の被害者が多いにもかかわらず被害時の相談先など具体的に教わることがなく、また自分も相手の体も大切にする性教育が不足することで認知のゆがみが生まれているのではと問題を提起している[57]

2023年1月、日本弁護士連合会は、日本の学校教育における性教育について国際的標準から極めて遅れていることを憂い、成人向け性情報の氾濫による誤った認識や価値観の植付けから起こる性被害や予期せぬ妊娠などの問題対応と人権保障の観点から、国及び地方公共団体が包括的性教育を実施するとともに、SRHRを保障する包括的な法律の制定及び財政的裏付けを伴う制度の創設が必要であると提言した[58]

2023年には男子校の灘高等学校が、近隣の甲南女子大学生を招き女性の生理やデートDV、性的同意について学ぶ性教育授業を行った。7月に刑法改正で性的同意が盛り込まれ、不同意性交罪ができたこと、性交同意年齢は13歳から16歳に引き上げられたことを含め議論を交わし理解を深めた[59]。この授業に対し、成人男性からのツイートでは卑猥な揶揄やからかいの発言が起こり、参加した実際に授業を受けた灘高生に反感を買っている[60]。アメリカにおいては、高校で女生徒に対する痴漢・セクハラ発言で学校に訴えられた男子生徒は停学処分となり自殺念慮を抱え、大学推薦も得られず訴訟になった事件も起こっている現状がある。米国性教育基準の指導では少年達が性暴力を犯すリスクを抑制する目的も包括しているが2019年時点で公立校で性教育義務づけの州は全米の29州に留まる[61]

日本の性教育の歴史

明治中期から昭和初期にかけて

第二次世界大戦前の性教育学者たちの言説には、明治以前の性的卓越性という男らしさの尺度を禁じつつ、男としてのアイデンティティを保持するために「学生時代は禁欲し、立身し然るべき時期に結婚して一家を成す」という、新しい「男性としてあるべき姿」像が含まれていた[62]

1890年(明治23年)頃から学生間での風紀の乱れと花柳病の蔓延がメディアを通じて社会問題となり、1900年代頃から学生の性の扱いに打つ手を持たない教育界を医学界がリードする形で、医学者と教育者との議論によって性教育が形成されていった[62]。初期の性教育の使命は、若者の自然で健全な性欲を衛生的かつ倫理的に適った方向に誘導する、というものであり、議論のポイントは「手淫の害」と「花柳病の害」の予防法だった。しかし、科学に基づいた性知識の普及が学生の性的悪行を刺激し手助けする、という批判から、花柳病の具体的な予防法は教授せずに、若年の性交や恋愛は危険であり学生の間は学業に専念し禁欲せよ、という強制禁欲主義の教育がなされるようになった[62]

山本宣治大正から昭和初期にかけて性教育についての啓蒙活動を行い、1922年(大正11年)に来日した産児制限で著名なマーガレット・サンガーの講演の通訳を務めるなどした[63]星野鉄男は昭和初期に『性教育に就いて』(1927年)などを著し、性教育は単に性欲についての知識を与える性欲教育ではなく、「社会を構成する男と女の全部」に必要な、今で言うところの生涯教育であると主張した[63]羽太鋭治は大正期においてドイツの性科学を下敷きに性教育についての著書をいくつか書き、昭和初期に大衆向けのハウツー本を多数出版した[63]。太田武夫(太田典礼)は避妊リングの考案や1936年(昭和11年)に雑誌『性科学研究』を創刊するなど、性の研究を通じて社会問題に取り組んだ[63]梅原北明エログロの先駆となる雑誌『グロテスク』を1928年(昭和3年)に創刊するなどした[63]

純潔教育から性科学への変化

日本の性教育の始まりは、1945年(昭和20年)の第二次世界大戦敗戦直後から国が主導してきた「純潔教育」に遡る。風俗対策や治安対策の一環としてスタートした[8]性科学者で京都精華大学ポピュラーカルチャー学部教授の斎藤光によると、1947年(昭和22年)にGHQの支援を受けて婦人民主クラブが創立され、発起人の一人である救世軍士官牧師)の山室民子は、「一夫一妻結婚の貫徹」「男女ともに婚前性交の禁止」「男性の買春への批判、女性の人格を認め、女性の性の商品化と決別する」などの主張をした。これは日本キリスト教婦人矯風会等の性 ・ 結婚思想の基軸となってきたもので、戦前から存在する思想である[64]

1972年(昭和47年)、日本性教育協会が設立され、純潔教育から性科学を主軸にする性教育へと転換した[8]

性教育元年

1992年平成4年)、学習指導要領が改訂され、性に関する具体的な指導が盛り込まれたことで「性教育元年」と呼ばれた[8]

学習指導要領の改訂で、思春期の成長は「男子=声変わり」から「精通」と定義され、これにより男女が名目上は平等に性教育を受けられるようになり、教育現場では射精をどこまで掘り下げるかなど試行錯誤をしていた[65]

エイズが社会問題化し、HIV教育の重要さがフォーカスされたことで、小学校6年の理科で扱う人体の学習が3年生に前倒しされ、5年生に『人の発生と成長』が位置づけられるなど、性教育に発展の兆しが見られるようになった[8]

そんななか、東京都日野市七生養護学校(現・東京都立七生特別支援学校)では、知的障害の子どもが性被害を受けても気づかなかった等の事態を受け、男性器と女性器の名称を織り込んだ歌や、性器のついている人形を使うなど独自の性教育に取り組み、校長会等でも高く評価された[8]

日本における性教育を巡る論争

七生養護学校事件

2003年7月、東京都議会議員で自民党古賀俊昭自民党の田代博嗣、民主党土屋敬之ら3名の議員が、七生養護学校を始めとした学校を「行きすぎた性教育」と問題にし、『産経新聞』などのメディアで「過激な性教育」「まるでアダルトショップのよう」と扱われるなど、保護者や寮の職員から学校側に苦情や懸念が相次ぎ、社会的な批判が起きた[66]。その後、七生養護学校は授業内容の全面変更・禁止、授業は事前に副校長の許可と当日の監視のもとで実施するよう指導され、校長他116人の教職員は処分された[8][66]

この処分について教育長(当時)の横山洋吉は「都立七生養護学校では、虚偽の学級編制あるいは勤務時間の不正な調整、それから勤務時間内の校内飲酒などの服務規律違反、その他、学習指導要領を踏まえない性教育など、不適切な学校運営の実態が明らかになったことから、教職員とともに、管理監督責任を果たさなかった校長への処分等を行ったものでございます」と都議会で説明している[67]

2008年2月、七生養護学校の教員や保護者、関係者が人権侵害を訴えて提訴した裁判で、東京地方裁判所東京都教育委員会の裁量権乱用を認め、処分取り消しを命じる判決を言い渡した。また、2009年3月12日、東京地裁(矢尾渉裁判長)は、3議員および東京都教育委員会に対して210万円の損害賠償の支払いを命じた。

2013年最高裁は「教育の自主性を阻害」するなどの「不当な支配」にあたると認定し、古賀俊昭をはじめとした都議側に、原告である教員らに賠償金を支払う判決を下した[8][66]

2019年、東京都教委『性教育の手引』から、16年前に都立七生養護学校(現七生特別支援学校)で行われていた性教育を「不適切」とする記述が削除された[68]。 本件の原告となった教員は性教育攻撃の中心に日本会議統一協会の関連団体「国際勝共連合」が存在し、チラシが配布されていたと語っている[69]

思春期のためのラブ&ボディBOOK

性行動の低年齢化や人工妊娠中絶、不測の事態の対応について書かれた冊子『思春期のためのラブ&ボディBOOK』が、中学校に無料で配布された[70]。内容の一部が過激だとして批判され2002年に回収・絶版となった[70]。2002年に国会の議論の対象になった[71][72]

過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクト

2005年3月4日の参議院予算委員会では、山谷えり子参議院議員が「ペニスヴァギナなどの用語を使いセックスを説明するのは過激で、とても許せない」と批判し、小泉純一郎元首相も同意した。自民党の安倍晋三を座長とした「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」が設置され、性教育は余計に性を乱すと批判した[8][65]。山谷えり子は「性なんて教える必要はない」「オシベメシベの夢のある話をしているのがいい」「結婚してから知ればいい」と主張した[65]

これにより学習指導要領が変更され、「受精」は扱うが「受精に至るプロセス」は扱わず「性交」という言葉も削除されるなどし、元一橋大学非常勤講師の村瀬幸浩は、日本は性教育後進国となったと主張した[65]

東京都議会質問

2018年3月、東京都足立区立中学校の授業が不適切だとする東京都議会質問が波紋を広げた。性交、避妊、中絶は中学の学習指導要領で扱っていないが、3年生を対象にした授業で「産み育てられる状況になるまで性交は避けるべき」と強調し、避妊や人工妊娠中絶についても教え、考えさせる内容を行った[73][74]

また授業前のアンケートで「2人が合意すれば、高校生になればセックスをしてもよいと思うか」や、正しいと思う避妊方法などを問う項目が含まれており、「学習指導要領に記載のない性交、避妊、中絶といった言葉を使っていた」「かえって性交を助長する」と問題視され、足立区教育委員会を指導するに至った[73][75]

発端の都議会質問は、七生養護学校を非難・処分し最高裁で敗訴した古賀俊昭であり、「結婚するまで性交渉を控えるという純潔教育や自己抑制教育が必要だ」「そもそも『結婚する・しない』を自己決定するという戦後の価値観が問題だ。『結婚・出産・子育て』は社会貢献だとしっかり教育すれば、安易な性交渉にはおのずと抑制的になる」などと主張した[76]

Yahoo!ニュースのアンケート(2018/5/15-5/25)では、25,063票中、性教育が必要は90.5%(22,674票)、不必要は9.5%(2,389票)だった[77]

2019年2月26日に行われた東京都議会では、中学校での性教育について、都教育委員会の中井敬三教育長は「児童生徒が正しい知識を身に付け、適切に意思決定や行動選択ができるよう、区市町村教委などと連携して各学校を支援する」と答弁した。東京都知事小池百合子は、犯罪の被害者を支援するための犯罪被害者支援条例を制定する方針を明らかにした[78]

男子の性教育

女子は妊娠・出産に備え親や学校が月経のメカニズムを教えるが、男子には「別に教える必要はない」という風潮が続いた。思春期になれば性的な欲求や関心が高まり、メディアや友達を通じ、様々な性情報にアクセスするようになるが、科学的に正しい知識ではなく、誤解や偏見によって理解や認識が歪むことも少なくない[79]。高1男子100人に「射精や性器についての相談相手は?」をアンケートした際は、誰にも相談できないが70%、友達が20%、家族・親戚が9%だったとし、誰にも相談できず、悩んでいる子供が多い実態を指摘した[80]

津田塾大学講師の村瀬幸浩は「レイプが女性の人格を切り裂く殺人的行為だなんて考えたこともなかった。セックスのバリエーションのひとつと思っていた」などの認識や、望まない妊娠や中絶において彼氏の「他人事感」が問題となる場合、無知ゆえにリアルな想像や共感ができなかったことも原因だとし[65]、性教育は大人が子どもに対して果たすべき責任だとしている[79]

埼玉大学教育学部教授の田代美江子は、「性をいやらしいと考えている大人」や「性と真正面から向き合わない大人」は、極めて個人的な感覚に端を発するタブー意識を拠りどころに性を捉えており、大人たちが体系的な性教育を受けていないことから、「小学生には早い」「中学生に避妊なんて教えてどうするんだ」という価値観がストッパーになってしまうとしている[8]

男性器の包茎に羞恥心を抱き、美容整形クリニックの過剰な宣伝文句につられて意図せず高額な手術を受けてしまう被害もある。また包茎は不潔で、感染症のリスクが高いという不正確な情報が流布していると専門家は警鐘を鳴らしている[81][82]。生殖については、思春期男子が気にするペニスの大きさより、精巣睾丸)の大きさが重要であり未発達の場合、乏精子症または無精子症などで不妊の原因になる。男性器の相談は泌尿器科であると学生に性教育の講演を行う専門家もいる[83]

逆効果となった事例

オーストラリアやイギリスの一部の学校で10代の妊娠を防ぐために子育ての大変さを教えるための赤ちゃんロボットが導入されたが、オーストラリアのウエスタンオーストラリア州で行われた調査では、一般的な性教育のみのグループと、赤ちゃんロボットを貸し出したグループとでは、赤ちゃんロボットを貸し出したグループのほうが20歳までの妊娠率が高いという結果となった[84]

イギリスでは毎年4万人10代少女が妊娠している[85][86]ことが問題視され、2004年から少女達に妊娠予防のための避妊教育(Young People’s Development Programme,YPDP)に取り組んだところ、総額9億円の避妊教育は逆効果で少女たちの性への関心度が高くなり、受講した少女たちの方が妊娠率は更に上がった結果、イギリス政府は2009年までにYPDPを中止している[85][87]

脚注

注釈

  1. ^ 男子は約11歳6ヶ月で小学校5・6年生頃、女子は約9歳9ヶ月で小学校3・4年生頃[35]
  2. ^ ブラジャー着用率はstep1(思春期初来(乳首の成長開始)から初経の1年以上前)で31%、step2(初経前後)で56%、step3(初経の1年以上後から成人型乳房になるまで)で90%(大人用のブラジャー57%)[41]

出典

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外部リンク