「緊急地震速報」の版間の差分

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地震では[[初期微動]]の[[地震波#P波|P波]]と呼ばれる小さな揺れ([[縦波]])と主要動での[[地震波#S波|S波]]と呼ばれる大きな揺れ([[横波]])が同時に発生する。P波とS波は[[伝播]]速度が異なり、P波は毎秒約7km、S波は毎秒約4kmの速さで伝わる。この伝播速度差を利用して、震源に近い地点におけるP波の観測に基づき、後から来るS波の伝播を[[時系列]]的に予測し、震源からある程度以上(P波とS波の時間差が充分に開くほど)離れた地点に対しては、その到達前に予測を発表することができる。
地震が発生すると、揺れが物理的な[[波動|波]]ある[[地震波]]となって周囲に伝わる。地震波大きく2種類あって、[[初期微動]]と呼ばれる小刻み揺れを引き起こす[[地震波#P波|P波]]([[縦波]])と主要動と呼ばれる大きな揺れを引き起こす[[地震波#S波|S波]]([[横波]])および[[表面波]]る。P波とS波(・表面波)は[[伝播]]速度が異なり、P波は毎秒約7km、S波・表面波は毎秒約4kmの速さで伝わる。この伝播速度差を利用して、震源に近い地点におけるP波の観測に基づき、後から来るS波の伝播を[[時系列]]的に予測し、震源からある程度以上(P波とS波の時間差が充分に開くほど)離れた地点に対しては、その到達前に予測を発表することができる。

現在の緊急地震速報で算出される地震の要素は、地震の発生時刻、震源の位置([[経緯度]]と震源の深さ)、規模([[マグニチュード]])などである。発生時刻と震源位置を算出する方法は、[[大森公式|震源距離の大森公式]]を改良したテリトリー法・グリッドサーチ法などに、既知の地震波速度分布<ref>精密観測などによって算出された走時表などを利用する。緊急地震速報では速さを重視して深さのみに依存する1次元走時表を用いている。</ref>などによる補正を行って求めるものであり、20世紀初頭には確立されている<ref name="jmatechref">[http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/EEW/kaisetsu/Whats_EEW/reference.pdf 緊急地震速報の概要や処理手法に関する技術的参考資料] 気象庁、2007年7月29日。</ref>。これに自動観測技術と高速通信技術が加わったことにより、[[1980年代]]頃から発生時刻と震源位置を速報できるようになっていた。一方、速報で要求されるような、地震波到達直後に規模を求める技術が確立されたのは[[1990年代]]からである。高精度の[[デジタル]][[地震計]]が普及して波形解析が容易になったことで、過去の大地震の観測波形から統計的な法則が見出され、初期波形から規模を求める式が考案された。

国内数百か所で常時観測されている地震波形は、デジタル波形の[[バンドストップフィルタ|帯域除去]]・[[バンドパスフィルタ|帯域通過]]、レベル法、B-Δ法によるノイズ識別や震央距離算出が行われていて、ある程度の大きさの振動を観測するとデータセンターに情報を送出する。複数のデータセンターから情報が送られてきた場合はノイズの可能性が低く地震であると判断し、テリトリー法・グリッドサーチ法による発生時刻と震源位置の算出、マグニチュードの算出を行う。マグニチュード算出には、P波到達後3秒後の最大振幅に依る「P相マグニチュード(P相M)」を初期に適用し、適切な時間に全波形に依る「全波マグニチュード(全波M)」に切り替える方法をとっている。そして、これらの震源要素をもとにして、[[オペレーションズ・リサーチ|統計的手法]](経験的手法)により震源距離に既知の地盤の地震動増幅度による補正を加えて算出される各地点の[[表面最大速度]](PGV)から最大[[震度]]を推定する。また、S波の理論走時から主要動到達時刻を推定する。これらの結果から、後述の基準に達した地震について速報を発表する<ref name="jmatechref" />


緊急地震速報は秒単位を争う情報伝達であり、その処理や[[伝送]]に起因する警告の[[遅延]]時間を極力少なくして、地震の主要動が各地に到達するまでの事前の時間を少しでも長く確保する必要があり、配信システムや[[ネットワーク]]などには高速化のための工夫がされている。
緊急地震速報は秒単位を争う情報伝達であり、その処理や[[伝送]]に起因する警告の[[遅延]]時間を極力少なくして、地震の主要動が各地に到達するまでの事前の時間を少しでも長く確保する必要があり、配信システムや[[ネットワーク]]などには高速化のための工夫がされている。

2012年2月2日 (木) 16:36時点における版

緊急地震速報システム

緊急地震速報(きんきゅうじしんそくほう、英語: Earthquake Early Warning、略称: EEW)は、日本気象庁が中心となって提供している予報・警報である。地震警報システムの一つで、主要動の到達前に速報を行うことを企図した早期地震警戒システムに分類される。同種のシステムとしては世界初である[1]

2004年2月25日に開発に関わった一部公共機関などで試験運用を開始。2006年8月1日には速報の趣旨について同意が得られる一部企業等を対象に部分運用開始。2007年10月1日からは、一部の離島を除いて国内ほぼ全域すべての住民を対象とした本運用を開始した。

発表時の混乱などを考慮して、「一般向け」と、基準が低く情報量が多い「高度利用者向け」の、内容や発表基準に違いがある2種類の速報がある。

なお「一般向け」の警報発表回数は、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震発生前までには17回(うち1回は正常でないデータに基づく誤報)、それ以降は100回(誤報あり、2012年1月27日現在)発表されている[2]

音楽・音声外部リンク
NHK緊急地震速報チャイム音[3]伊福部達[4]
REIC緊急地震速報サイン音[5]

概要

地震の発生直後に、震源に近い観測点の地震計で捉えられた地震波のデータを解析して震源の位置や地震の規模(マグニチュード)を直ちに推定し、これに基づいて各地での主要動の到達時刻や震度を推定し、可能な限り素早く知らせるものである[6]

実際の地震時におけるPC端末での受信画面(「高度利用者向け」の事例)

主要動到達前のわずかな時間を適切に活用できれば地震災害の軽減に役立つものと期待されている。しかし、技術的な限界のため速報が主要動の到達に間に合わない場合がある[7]ほか、誤報のリスクなどがある。

当初から発表に伴う混乱が懸念されていて、試験的・限定的な発表を行っていたが、2007年10月1日の「一般向け」速報の提供開始が決定されたことを受け、提供開始直前まで広報手段について調整が行われた。速報に関する諸問題(問題点参照)を考慮しながら、テレビを皮切りに「一般向け」速報が順次拡大していき、国内向け携帯電話にも広く導入されているほか、「高度利用者向け」を提供する端末やソフトウェアが多様な方式・事業者によって提供されている。

なお、個人においても法人などにおいても、導入の可否はそれぞれの判断に任せられており、義務化の予定はない。

法的な位置付け

気象業務法の2007年12月1日施行の改正で、緊急地震速報は地震動の予報・警報に位置づけられ[8]、他の予報・警報と同じく気象庁の義務とされている(第十三条)[9]


地震動警報・予報の区分(気象庁資料[8]による)

地震動警報
推定最大震度5弱以上で発表。強い揺れが予想される地域に対し、地震動により重大な災害が起こるおそれのある旨を警告。
地震動予報
推定最大震度3以上または推定マグニチュード3.5以上で発表。

重大性の異なる警報と予報を区別するため、気象庁が市民向けに発表する場合は「緊急地震速報」を警報のみに用い、特に区別する場合には「緊急地震速報(警報)」「緊急地震速報(予報)」を使い分けている[8]

「一般向け」緊急地震速報は地震動警報に該当し、また、「高度利用者向け」でも「一般向け」の基準を満たすものが生じると、その一連の続報を含めて警報扱いである[6][8]

気象庁以外の者は、原則として地震動警報を発表できず(同法第二十三条)、また地震動予報の業務を行うには気象庁長官の許可が必要である(第十七条)[9]。また同法により、気象庁は、許可事業者の地震動「予報」発表にあたっては、気象庁による「警報」との区別を利用者に周知すべきだと規定されている[8]

なお、「警報」ついては、気象庁は「政令の定めるところにより、直ちにその警報事項を警察庁国土交通省海上保安庁都道府県東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社又は日本放送協会の機関に通知しなければならない」(第十五条)と規定されている[9]

開発の歴史

地震波の速度には限りがあるという性質は19世紀後半の地震学ではすでに知られていて、低速の地震波と高速の電気信号の速度差を利用した警報システムの考え方は、そのころ既に考案されていた(クーパー(J.D.Cooper)、1868年)ものの、実用化する解析技術や伝達技術がまだ無かった。日本でも、海底の地震計から波形を収集して都市に警報を発する「10秒前大地震警報システム」(伯野元彦ら、1972年)などが考案された[10][11]。その後、情報通信技術の発達と地震研究の進展を背景に、いくつかの警報システムが試行された。

  • 1989年 鉄道技術研究所(現在の鉄道総合技術研究所)が、鉄道路線周辺に設置した地震計で大きな加速度を検知した際に警報を発するユレダスの試行を開始。1992年には東海道新幹線で全面採用される[10]
  • 1990年 アメリカ カリフォルニア州で、高精度デジタル地震計網を利用して数分以内に震源要素(震源、時刻、規模など)を算出するCUBEシステムの開発を開始。当初の提供先はインフラ事業者数者だったが、順次拡大された。1993年にはその地震情報をカリフォルニア中部に広く速報するREDIが開発され、1994年には2つが統合され対象地域をカリフォルニア全域に広げる[10][12]
  • 1991年 メキシコで、中央アメリカ海溝で発生した海溝型の大地震を常時観測して内陸の首都メキシコシティに警報を発するSASの運用が開始される[10]

日本では、1970年代より発生が懸念されるようになった東海地震をはじめとした被害範囲が広い海溝型地震への対策の1つとして、また建築基準法の度重なる改正等により法規制は強化されたものの建物被害が大きな地震が何度も発生して進まない耐震化が問題となり、耐震化推進と並ぶ減災につながる取り組みの1つとして、開発された。

  • 1996年 兵庫県南部地震などを契機に高感度地震観測網(Hi-net)の整備が決定。後に緊急地震速報の為の観測の要となる、高感度地震計の設置が開始される(2011年現在は700か所以上に設置)。一方、デジタル地震計による過去の地震波形の解析、高速大容量化が進む通信技術を応用して、速報的な地震情報の提供が検討され始める。
  • 2003年4月 文部科学省、気象庁、防災科学技術研究所の共同で、リアルタイム地震情報の伝達が実用的に行えるようにすることを目的としたリーディングプロジェクト「高度即時的地震情報伝達網実用化プロジェクト」を開始。平成19年度までに、防災科学技術研究所の「リアルタイム地震情報」と気象庁・鉄道総合技術研究所の「ナウキャスト地震情報」[13]を実用化に向けて統合し、地震情報を高速・高度化、迅速で正確な伝達手法の開発を目指すもの。
  • 2004年2月「ナウキャスト地震情報」と「リアルタイム地震情報」を統合、「緊急地震速報」へと改編。
  • 2004年2月25日 行政機関、交通、報道、通信などで希望する機関に対し緊急地震速報の試験運用を開始。対象は、九州東岸から関東までの地域。
  • 2005年3月30日 試験運用の対象地域を東北から北海道までの太平洋岸に拡大。
  • 2005年6月8日 試験運用のデータ提供元に防災科学技術研究所の地震計が加わり、対象地域は日本のほぼ全域に拡大。
  • 2006年8月1日 希望する企業などに対して、先行的な提供を開始。
  • 2007年10月1日 この日の9:00(JST) から「一般向け」速報を導入。先行的に提供していた速報は「高度利用者向け」として区別した。テレビ放送や一部の公共施設などでも速報が導入された。
  • 2007年12月1日 この日施行の気象業務法改正で、緊急地震速報が予報および警報として位置づけられた。下記「法的な位置付け」を参照。
  • 2009年8月3日 正午より、マグニチュードの算出式に改善を加えた、修正プログラムの運用を開始(後述)。
  • 2011年8月11日 この日より、同時に発生した地震を区別し、弱い地震を計算から除外する、修正プログラムの運用を開始(後述)。

仕組み

地震が発生すると、揺れが物理的なである地震波となって周囲に伝わる。地震波は大きく2種類あって、初期微動と呼ばれる小刻みの揺れを引き起こすP波縦波)と、主要動と呼ばれる大きな揺れを引き起こすS波横波)および表面波がある。P波とS波(・表面波)は伝播速度が異なり、P波は毎秒約7km、S波・表面波は毎秒約4kmの速さで伝わる。この伝播速度差を利用して、震源に近い地点におけるP波の観測に基づき、後から来るS波の伝播を時系列的に予測し、震源からある程度以上(P波とS波の時間差が充分に開くほど)離れた地点に対しては、その到達前に予測を発表することができる。

現在の緊急地震速報で算出される地震の要素は、地震の発生時刻、震源の位置(経緯度と震源の深さ)、規模(マグニチュード)などである。発生時刻と震源位置を算出する方法は、震源距離の大森公式を改良したテリトリー法・グリッドサーチ法などに、既知の地震波速度分布[14]などによる補正を行って求めるものであり、20世紀初頭には確立されている[15]。これに自動観測技術と高速通信技術が加わったことにより、1980年代頃から発生時刻と震源位置を速報できるようになっていた。一方、速報で要求されるような、地震波到達直後に規模を求める技術が確立されたのは1990年代からである。高精度のデジタル地震計が普及して波形解析が容易になったことで、過去の大地震の観測波形から統計的な法則が見出され、初期波形から規模を求める式が考案された。

国内数百か所で常時観測されている地震波形は、デジタル波形の帯域除去帯域通過、レベル法、B-Δ法によるノイズ識別や震央距離算出が行われていて、ある程度の大きさの振動を観測するとデータセンターに情報を送出する。複数のデータセンターから情報が送られてきた場合はノイズの可能性が低く地震であると判断し、テリトリー法・グリッドサーチ法による発生時刻と震源位置の算出、マグニチュードの算出を行う。マグニチュード算出には、P波到達後3秒後の最大振幅に依る「P相マグニチュード(P相M)」を初期に適用し、適切な時間に全波形に依る「全波マグニチュード(全波M)」に切り替える方法をとっている。そして、これらの震源要素をもとにして、統計的手法(経験的手法)により震源距離に既知の地盤の地震動増幅度による補正を加えて算出される各地点の表面最大速度(PGV)から最大震度を推定する。また、S波の理論走時から主要動到達時刻を推定する。これらの結果から、後述の基準に達した地震について速報を発表する[15]

緊急地震速報は秒単位を争う情報伝達であり、その処理や伝送に起因する警告の遅延時間を極力少なくして、地震の主要動が各地に到達するまでの事前の時間を少しでも長く確保する必要があり、配信システムやネットワークなどには高速化のための工夫がされている。

地震動(初期微動や主要動など)の情報は、気象庁の約200と防災科学技術研究所の約800の合わせて全国約1,000箇所に設置されている地震計を利用していた当初から、2010年4月1日の時点で気象庁の626、地方公共団体2,852と防災科学技術研究所757、合わせて全国4,235箇所に設置されている[16]。それぞれの地震計から、地震波形データをリアルタイムで気象庁に集計し、これを解析・処理して同庁から発表される緊急地震速報は、気象業務支援センターを経由して利用者へ配信される。また、これら直接の利用者から末端のユーザーへの二次配信が行われることもある。

配信された情報は分かりやすい情報となって映像音声として表示されるが、様々な形態がある。専用の端末機器では、あらかじめ設置する場所の位置情報や地盤の状態などを設定するなどし、速報時には警報音を鳴らしたり、音声により地震の発生や震度などを伝え、文字画像ランプ等により地震の発生や震度、揺れるまでの時間などを伝える。大型の施設などでは、警報音と音声により施設内に一斉に放送などを行うことがある。

速報時の対応

具体的対応の例

緊急地震速報を受け画像・文字や音声などでその情報を知ったとき、どのような対応をとれば安全性が高まるかという指針が関連機関による検討会で出されている。それによる対応の例を以下に挙げる。

周囲の状況に応じて、あわてずに、まず身の安全を確保する」ことを最大の基本としている。

家庭、職場、学校などの屋内で速報を受け取った場合、S波が到達せず、P波が到達しているか到達前の段階で、直ちにまず窓や戸を開けて避難経路を確保した上で、転倒物や飛散物から離れ、地震の発生直後と同じように机の下に隠れ、を防護し揺れに備えることなどが求められる(自分のいる場所が震度6強や7の非常に強い揺れであった場合には、S波が到達したら収まるまでは何も出来ない)。

商業施設、イベント会場など混雑する場所では、屋内と同様に頭を防護し、転倒物や飛散物・看板や照明などの落下物から離れることはもとより、混乱を防ぐため、出入り口に押し掛けないこと、係員などの指示があればそれに従う。

屋外では、転倒物や看板・照明や窓ガラスなどの落下物から離れ、できれば耐震性の高い建物の中に避難することが求められる。加えてなどの近くでは、崖崩れや落石のおそれがあるため、できるだけ崖などから離れることも求められる。海岸に近い場合は、津波に備えて速やかに高台や建物の高層階に避難することも必要である。

自動車の運転中は、まずハザードランプの点灯などで警告を行い、慌てずゆっくりと減速して、道路の左側に車を寄せて停止する。追突のおそれがあるため、急停止や急ハンドルは避ける。バスや電車の中では、つり革・手すりなどにつかまってしっかりと体を支えられるようにすることが求められる。また、エレベーター内にいる際は最寄の階で止まるようボタンを押して、すばやくエレベーターから出ることが求められる。

慌てずに冷静に行動することが求められるため、事前に速報の受信を想定した訓練を何度も行うことが望ましい。例えば、施設管理者向けの指針によれば、速報時の対応を盛り込んだマニュアルの作成やそれに沿った訓練などが求められている。また、速報システムを導入していない施設でも、テレビなどで速報が受信されることを考慮して、相応のマニュアル作成や訓練をしたほうがよいとされる。

速報の積極的活用

利活用の可能性については、文部科学省リーディングプロジェクト緊急地震速報の利活用の実証的調査・研究などにおいて先行的に調査が行なわれてきた。今後も、各研究所・企業にてさまざまな方面に緊急地震速報を利活用していくシステムが考えられていくと思われる。

以下に例を記す。

列車の運転制御、高度道路交通システムへの速報の組み入れ、運転中の車両への通知や誘導、信号機制御や交通規制空港での離発着規制、津波に備えた船舶への通知、津波に備えた水門の閉鎖の迅速化、施設内や人が多い場所での避難誘導・指示、家庭や職場などでの安全確保、電話などの通信回線の制御、エレベータ遊具などの制御、工場での稼働中システムの制御、医療工事現場など危険性の高い場所での安全確保、電力系統・上下水道都市ガスなどの制御など、多岐にわたる。

特に津波に関しては、このシステムが活用されることで大幅な時間短縮が期待されている。2007年3月の能登半島地震や同年7月の新潟県中越沖地震では津波注意報が発表された際には、緊急地震速報を活用したことで時間が短縮された。また、2008年7月に福島県沖で発生した地震では約1分程度短縮できた。短縮できる時間は最大2分程度で、地震発生から1分程度で津波予報を発表できる可能性もある。

速報の種類

既述のとおり2つに区別されている。「高度利用者向け」は、大抵のものは利用者側の端末において設定を行ったうえで豊富な情報が提供され、活用の仕方によってはより高い防災効果を生む。「一般向け」は速報を十分周知していない者にも適切な行動がとれるよう配慮された、最低限の情報のみを提供する。

それぞれの利活用システムの内容、利用方法、注意点等については、上記の「リーディングプロジェクト」や各業界団体などにおいて検討が行なわれてきた。

「高度利用者向け」緊急地震速報

「高度利用者向け」緊急地震速報は、気象庁の多機能型地震計の1つ以上の観測点においてP波またはS波の振幅が100ガル以上となるか、もしくは解析によりマグニチュード3.5以上または最大震度3以上と推定される場合に、地震の発生時刻、震源の推定値の速報を行っている。

「高度利用者向け」情報は、まず地震が発生したことをいち早く知らせるための第1報を優先的に発表する。その後2つ以上の観測点で地震波が観測されれば、さらに解析を行い第2報・第3報…と情報を更新していく。更新を重ね、予測の精度が安定したと判断されれば、最終報を発表し、これ以降はその地震の速報の発表を終了する。あらかじめ規定されている時間内に2つ以上の観測点で地震波が観測されなかった場合は、ノイズ(故障や誤報)と判断してキャンセル報を発表する。第1報では非常に大きな誤差が含まれ、などによる誤報の可能性も高い。第2報・第3報…が発表され、時間が経過するに従い、精度が上がっていく。

「高度利用者向け」と「一般向け」の大きな違いは、以下の2点が指摘できる。「高度利用者向けは点の情報」、または「一般向けは面の情報(広範囲な地域)」を正確かつ十分に理解して利活用し、期待されている減災効果が十全に発揮されることが望まれる。

  • 「高度利用者向け」は、実際に配信された緊急地震速報を利用して、ユーザーの希望に応じて、例えば予測震度3以上(震度2では、地震の揺れを感知できない場合がある)で発報させることによって、実戦的な地震防災のリハーサルまたは訓練の機会を提供することが可能である。これに対して「一般向け」は、地震被害が予想される「警報」の場合のみに発報されるため、緊急地震速報に接する機会は極めて稀である。
  • 緊急地震速報の技術的限界から誤差は避けられないとは言いながらも、「予測震度3」と教えてくれた場合には、「(1)実際の震度は決して震度7ではない、(2)大きな揺れも来ない、(3)大きな被害にはならない」ことを確実に教えてくれる。これこそが、高度利用者向け緊急地震速報の「安心」効果の一つであり、「一般向け」緊急地震速報「警報」にはない効果である。

2004年2月25日から気象庁の試験運用が開始された。2004年10月の新潟県中越地震の際には茨城県守谷市で地震波の到達より早く緊急地震速報が発表される様子がビデオ映像明星電気)で記録されている。また2007年7月の新潟県中越沖地震では東京都内の家庭において緊急地震速報の様子がビデオ映像YouTube)に収められた。

緊急地震速報の特性をよく理解し情報を混乱なく利用しうるとされた特定の分野に対しては、2006年8月1日から先行的に緊急地震速報の配信が始められた。ガス電力鉄道といったライフライン(例えば、ガスなら主要動が来る前にガス供給をストップし火災を防ぐ。また鉄道では、防護無線を通じて緊急停止させる)や病院(手術中に地震に見舞われる際に患者を守る)などでの活用が想定されている。

この先行的な提供を受けるのに必要な気象業務支援センターとの手続が完了している機関数は2007年3月現在で地方公共団体や鉄道事業者、電力、ガス、製造、放送業など400を超えている。

また、市町村防災行政無線を使った広域への情報提供やそれを利用した訓練が一部の自治体で行われており、2007年10月からは他の自治体にも拡大する予定となっている。

「一般向け」緊急地震速報

テレビ、ラジオ、集客施設での館内放送などによる公衆への提供は安易に実施すると混乱を招く恐れがあるため、情報利活用のあり方、情報の特性の周知などが十分に重ねられた。

周知のために作成された一部のポスターには「ウルトラ兄弟(ウルトラマン・ウルトラセブン・ウルトラマンジャック・ウルトラマンA・ウルトラマンタロウ)」、子供向けリーフレットには「クレヨンしんちゃん(野原一家・かすかべ防衛隊)」が起用されるなど、認知度が高いキャラクターを利用した広報活動もあった。

こうした広報活動が行われたうえで、2007年10月1日9時から本格的に運用が始められた。

2011年現在のところ「一般向け」速報では、地震波が2つ以上の地震観測点で観測され、最大震度5弱以上と推定された場合に、地震の発生時刻、震源の推定値、震央の地名、震度4以上と推定される地域名を速報を行っている。

その後、さらなる解析により震度3以下と予測されていた地域が震度5弱以上と予測された場合に、続報を発表する。続報では、新たに震度5弱以上及び震度4が予測された地域を発表する[6]。また、続報は地震検知から60秒以内のものに対して行われる[17]

利用形態

テレビ放送・ラジオ放送

配信された緊急地震速報には、放送局によって震源の表示の有無、強い揺れの表示を地方単位、都道府県単位、震度速報の細分単位で選択できる[18]ようになっているため、表示形態が異なる。NHKでは、

○○都道府県で地震 強い揺れに警戒 ○○県 ○○県 ○○府

などと表示されるが、民放局では

○○都道府県で地震 強い揺れに警戒 ○○地方 ○○地方 など
○○で地震 強い揺れ警戒 ○○県 ○○県 ○○府

といったように、強い揺れが予想される地域の表示を地方名に省略したり、震源地は表示するものの、都道府県種別を表示しない放送局とあり対応はバラバラであるが、表示テロップに関しては3行前後でかつ1ページで表示されている。また、ごく一部のテレビ局では「緊急地震速報(気象庁)」という文字を表示しない局がある上に、例としても上げたように広域にわたる場合は地方名で表示する(滅多に使用しない「北陸」なども表示する)ため、視聴者サイドとしては理解に時間がかかることもある。なお、原則としてNHKでは地上波・BSとも全国を対象に、民放は地上波が各々の放送エリア、BS・CSの衛星波(一部の放送事業者を除く)はNHKと同様全国を対象にしている。したがって、民放の地上波放送エリア外で緊急地震速報が発表された場合、地上波ではNHKでのみ速報が放送されることになる。

提供開始してから当面は、NHKと日本テレビは、NHKが独自に開発した特徴的なチャイム音を、その他の民放局でもニュース速報の際の音声に似た音をチャイム音として利用してきたが、気象庁がNHKのチャイム音を強く推奨するといった情報の掲出により、NHKのチャイム音を使用する放送局が増えている(もちろん各局独自の音声を流すことも可能)[19]

震源の表示に関しては地震情報の震央地名[20]が基準となるが、文字数の都合上、複数の地域がくくられたり、地名が簡略化されているところがある。海底が震源の場合、「○○県○○で地震」(例:茨城県沖で地震)という表示形態を用いる。地震発生が陸地を震源とした場合、「○○県で地震」(例:千葉県で地震)都道府県単位と表示している。

日本放送協会(NHK)

日本放送協会(NHK)では、2007年10月1日からTV・AM・FM全波で緊急地震速報を伝えている。ただし、国内向け放送のみであり、海外向け国際放送NHKワールドではテレビ放送(NHKワールドTVおよびNHKワールド・プレミアム)においての緊急地震速報はチャイム・自動音声およびテロップ表示を含め、一切放送されない。ただし国際放送でも、NHKワールド・プレミアムでは日本国内向けニュース番組の同時放送時に緊急地震速報が出された場合はそのまま内容を伝える場合がある。また、ニュース番組以外でも生放送の情報番組で担当のアナウンサーがそのまま緊急地震速報の内容を伝えたり、スポーツ中継や音楽番組の生放送時に実況担当・司会のアナウンサーからそのまま緊急地震速報の内容を伝える場合もある[21]。一方、NHKワールド・ラジオ日本短波衛星デジタルラジオ)では、(日本国内放送波の同時放送を受けない)国際放送独自放送時間帯では放送されないが、ラジオ第1放送FM放送総合テレビ(「NHKのど自慢」放送時のみ)との国内同時放送の場合はラジオ・FM共用のネット送出回線を直受けしている関係上、そのまま放送される。そのため、ラジオの放送では日本国内だけでなく全世界の国や地域にも発信されることになる。なお、2011年9月1日に開始したラジオ放送3波(ラジオ第1・ラジオ第2・FM)のインターネット同時配信・IPサイマルラジオ「NHKネットラジオ らじる★らじる」では後述にあるチャイム音と自動音声はカットした無音状態で一切放送されず、ニューススタジオから緊急地震速報があった旨の内容のみ放送される。[22]

緊急地震速報のチャイム2回(NHKオンラインのサイトで聴くことができる。ラジオはアナログ音声で即時発信出来るのに対し、地上デジタルテレビ放送では1秒弱遅れるので、これをカバーするため「ポーン」という音の連打が前置される)を流した後、テレビ(ローカル番組の放送中割り込みも含む)では画面下半分に、「『緊急地震速報 (気象庁)』」の表示が現れたすぐ後、その下に伸びるように、例えば「千葉県で地震 強い揺れに警戒」との文言、および予測震源地と警戒区域の地図・都道府県名を表したテロップ(約1分間・生放送番組中は震度情報が入るまで継続して表示)[23][24]と同時に「(チャイム2回)緊急地震速報です。強い揺れに警戒して下さい」(声は末田正雄アナウンサー)と2回繰り返しで自動音声が流れ、中波・FM放送およびラジオ国際放送(日本国内同時放送時のみ)では通常の番組を強制中断し、発生する都道府県地域を自動音声で伝える。

(チャイム2回)緊急地震速報です。千葉県で地震。次の地域は強い揺れに警戒して下さい。千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、東京、神奈川県、静岡県(内容は2回繰り返し)。緊急地震速報でした。該当する地域の方々は倒れやすい家具などから離れ、テーブルの下などに入って身を守って下さい。車を運転中の方はあわてずに車をゆっくり止めて下さい。上から落ちてくるもの、倒れてくるものに気をつけて下さい。地震の詳しい情報は入り次第お伝えします。(チャイム2回)

太字で記載されている箇所は「(都道府県名)で地震」もしくは「震源は○○」とアナウンスされる。また、揺れが予想される地域に対しての身の安全の確保および車を運転中の方に対してのハザードランプをつけた上での緩やかな停車を促す自動音声も流される。

ニュース担当のアナウンサーは速報発表時の教育を受けているためか、適切な対応を取っている(国会中継の時も同様)。2008年5月8日と2008年6月14日午前8時43分の緊急地震速報では、自動音声が流れている間は一言も発さず、流れ終わると、

今、緊急地震速報が出ました。次の地域では強い揺れに警戒してください。○○(都道府県名)、○○(都道府県名)。強い揺れが来るまでわずかな時間しかありません。身の安全を確保してください。倒れやすい家具などからは離れてください。テーブルや机の下に隠れてください。各地の震度は情報が入り次第お伝えします。緊急地震速報が出ています。次の地域では強い揺れに警戒してください。……(以後、速報告知以外が繰り返される)

と繰り返し伝える。ただ、震源については画面に表示させているのみ。一方、ニュース担当ではないアナウンサーが対応すると、

(自動音声)緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください(2回繰り返し)

と流れている最中に、

今緊急地震速報が出ました。○○で地震、強い揺れに警戒してください。○○と○○です。

と伝えるが、先述にあるニュース担当時と同様の対応で伝えることもある。自動音声と重なると、視聴者側が聞き取りにくいという点でこのような対応が取られている。ラジオの放送(主にラジオ第1とラジオ国際放送)では自動音声終了後にNHKラジオセンターのスタジオ(原則としてニューススタジオから。131スタジオ、132スタジオからの場合もあり)にいるアナウンサーから詳しい情報を伝える対応を取っている。

気象庁が発表する緊急地震速報のうち、震度5弱以上の速報がNHK緊急地震速報の対象となり、震度4以上の揺れが予測される地域を発表する[25]

NHKではテレビ・ラジオの放送のほかにも、NHKホール、スタジオパーク、みんなの広場ふれあいホールといったNHK放送センターの施設内にも館内放送で緊急地震速報が流れる(音声内容はラジオ放送と同じ)。

デジタル総合・教育・BSハイビジョンのサブチャンネル、東京以外のローカル編成(アナログ総合・教育、サブチャンネルを含むデジタル総合・教育、ラジオ第1・ラジオ第2・FMでいずれも地上波)でも必ず流れる。しかも東京以外のローカル編成でも該当する地域でも該当しない地域でも必ず流れる。先述のように国際放送のテレビ・ラジオでも国内同時放送の時は必ず流れる[26]

民間放送

民放は緊急地震速報の放送に慎重であったが、テレビでは2007年10月以降、ラジオでは南海放送(RNBラジオ)が2007年10月1日、静岡放送(SBSラジオ)は2007年11月、エフエムもりぐち(FM HANAKO)は2008年2月から、在京の民放ラジオ局は2008年4月、その他のラジオ局も2008年4月以降、速報を放送するようになっている[27][28][29]

ラジオでは、生放送・収録番組を問わず通常番組が突然完全にカットされて自動音声が流れるため、聴取者が冷静さを失う可能性があるとの懸念があった。このため、在京(千葉、埼玉、神奈川の各県を含む)・在阪・在名の各民放ラジオでの緊急地震速報は各局の放送対象地域における推定最大震度が5強以上の時にのみ流される[30](従って、震度5弱では、NHKでは流されても該当外になる地域の民放ラジオでは流されないことになる[31])。

地上波テレビ放送の場合も在京民放キー局では緊急地震速報が流されても該当外になる地域の民放テレビでは流されないことになるが、ニュース・情報番組では流されない地域でも緊急地震速報があった旨の内容が伝えられるケースもある。チャイムはNHKと同一のものを使用している(つまりほぼ全国共通。一部テレビ局ではニュース速報の告知にも同じ音を使っている[32]。また、日本テレビ(地上波・日テレNEWS24共通)は「緊急地震速報です」というアナウンス(声は村山喜彦アナウンサー)がチャイム後に挿入していたものの、他局では追随する動きはみられなかった。

その後、2011年に入ってからはチャイム音だけでは分かりづらいという見解から日本テレビと同様の動きを取る局も出てきた。在京他局の追随例として、TBSは「緊急地震速報」(声は柳沢怜TBS954情報キャスター)、テレビ朝日はNHKと同じで「緊急地震速報です、強い揺れに警戒してください」(声は市川寛子アナウンサー)など。なお、フジテレビ(地上波・BS・CSの全チャンネル)、テレビ東京は引き続きアナウンスなしのチャイム音のみである[33]。(なお、NHKのチャイムの著作権はNHKが所有)。一秒を争うため、番組放送中のみならず、CM中・提供クレジットの読み出し中でも中断して放送することになっている。[34]

在京民放ラジオ6局では、2008年1月17日に共同制作で事前周知特別番組をサイマル放送(同時放送)した。その後、3月に東京近県のFMラジオ3局も共同周知に参加することになった[35]

関西の民放各社は2008年7月1日を皮切り[36]に全12社が2008年度内に導入。[37][38][39][40][41]

東海3県の民放7社も同年9月1日に導入し[42][43]、唯一導入のなかった岐阜エフエム放送(Radio80)も、2009年1月1日に導入したため全局が導入済みとなった。

日テレNEWS24では「全国どこでも強い揺れ」が予測された場合に通常番組を強制中断し速報画面に切り替え、発生時刻・予測最大震度・地震波の広がり・(地図の範囲内で)強い揺れが予測される地域が表示される。これは現時点で民放テレビ(CSチャンネルを含む)では唯一であり、「高度利用者向け」の情報を使用しているものと思われる(地上波放送で使用している自動音声も入る。BS日テレサイマル放送を行っている際に発生した場合でも同様の対応が取られる)。

WOWOWでは若干基準が異なり、震度6弱以上の揺れが予想される地域が出た場合に速報を発表する。なお今後、利用者の反応を見て基準を変更する方針。

また、地上デジタル放送ワンセグおよびBSデジタル放送ではGガイドを利用した配信が検討されている。
この他、CSの専門チャンネルでは導入されていない放送局もある。例えば、ショップチャンネルでは開局当初から長年に渡って地震速報を伝える機能もなかった。しかし、東日本大震災により地震活動が活発化し本社も放送停止に追い込まれる等の影響があったため、震災後は地震発生時にテロップで情報を流すようにしている。

CATV

緊急地震速報端末(JCN船橋習志野のレンタル)

CATV分野においては、オプションとして緊急地震速報システム(親機・子機)が比較的安価に提供されている。JCNがレンタル契約で提供する端末では「高度利用者向け」緊急地震速報を受信し予想震度と揺れまでの残り秒数(5〜0)を音声で知らせた[44][45]。また、コミュニティFMを兼営しているCATV放送局では、この緊急地震速報システムを自社のコミュニティ放送でも同時使用しているケースがある。 なおケーブルテレビによっては、公共施設(県施設や市町村庁舎など)に機材を無償提供しているところもある。

運用開始後

運用開始当日の2007年10月1日02:21頃、神奈川県西部を震源とするM4.9で最大震度5強の地震が発生した。当日午前9時に一般向け緊急地震速報の提供が開始される予定だったため、この地震では一般向けは発表されず、字幕スーパーのみを予定していた局と地図表示を予定していた局のいずれも字幕スーパーのみで従来通りの地震速報を行った。

なおNHK、在京キー局(日本テレビフジテレビTBSテレビ朝日テレビ東京)の5局と東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)では地図と字幕スーパーを表示しているが、地方局、その他独立局では字幕スーパーのみ表示する場合もある。テレビで地図表示を行った場合、番組の内容として重要な部分が地図表示によって隠れてしまう事態が予想されている。「表示字幕スーパーだけは許せるが、地図表示されると困る」といった意見も考えられ、特にシリーズ物のドラマ番組・バラエティ番組・アニメ番組では苦情が殺到する可能性もある。そのため、折衷案として従来の字幕スーパー方式を使う局が増える可能性がある。

「一般向け」速報が初めて発表された例は、2008年4月28日午前2時32分の沖縄県宮古島近海を震源とする地震だった。NHKではラジオ第2放送(この時間は放送休止中で停波していたため流れなかった)および国際放送NHKワールド(テレビ・ラジオ)を除く全メディアで初めて緊急地震速報が流れた。しかし、この地震速報では震源地が海上であったため、海底に震度計がなく、陸地に到達してから地震波が観測された。そのため計算が間に合わず、ほぼ島全体にS波が到達した後に警報が発表された。地震発生時、深夜だったために多くの人が緊急地震速報の発表を知ることができなかった。

また、2008年5月8日午前1時45分の茨城県沖を震源とする地震の緊急地震速報は、揺れが始まってから約58秒後に発表された。総合テレビでは、ニュース放送中に緊急地震速報が発表されたため、アナウンサーが緊急地震速報発令に関して報道中に、突然画面が切り替わり、同時に緊急地震速報のテロップも消え、『JAPANナビゲーション』の放送を開始するなどの手違いも発生している。これは、後番組の放送開始直前に発表されたことから、ニュースの延長対応ができなかったことなどが原因である。

衛星データ放送

衛星を介した緊急地震速報提供サービスに、モバイル放送の「Sバンド防災情報」があった[46]。大きな地震によりライフラインが遮断されても、電線さえ確保されていれば衛星から緊急地震速報を受信するため、災害向けとなっている。また、受信端末によっては位置を変えてもGPSにより自動修正するものもある[47]。なお、モバHO!は放送が終了しているため、すでに提供は終了している。

施設・広域放送等

文科省リーディングプロジェクトの「災害医療」の分野として、東京都立川市独立行政法人国立病院機構災害医療センターにて平成15年から利活用の実験・検証が行なわれてきた。平成20年4月現在は、病院内の全館放送、エレベーター最寄り階停止、自動扉開放、放射線装置停止、情報表示機、現地地震計との連携(近い震源の地震に対応)を実施している。 また、「集客施設」の分野では、伊勢丹百貨店が全国10店舗で館内放送との連動を実施している。特に百貨店は不特定多数者が多い施設であるため、地震時の混乱を最小限にするためにも職員のみならず来客者自身も冷静な行動を心がける必要性がある。

その他の集客施設や公共施設などでも、システムの整備が完了した施設では、2007年10月から提供が始められている。

消防庁の全国瞬時警報システム(J-ALERT)を利用した自治体の防災行政無線による緊急地震速報も、2007年10月1日から開始した。システムの整備が完了した一部の市町村から提供が始められている。

携帯電話

携帯電話ではNTTドコモauKDDI沖縄セルラー電話連合)およびソフトバンクの端末で緊急地震速報を受信できるようにするため、配信システム・基盤をそれぞれ開発し、2007年発売の新機種からの受信機能が搭載された[48] [49] [50]。これらには、ドコモ・SBMについては、3GPPで標準化されてるショートメッセージサービスの同報配信方式であるCBS(英:Cell Broadcast Service)が使われる [51]。また、LTEのデュアルモード端末(タブレットを含む)では、LTEの通信特性上、CBSでの通知では不向きであることから、ETWS方式を採用している。なお、auについてはCDMA2000方式である関係もあり、3GPP2が策定した方式に近い、「BroadcastSMS」と呼ばれる別方式が採用されている。

スマートフォンではこれまで標準での対応が出来ていなかったが、東日本大震災以後対応の必要性が高まり、Android端末では2011年夏以降に各社から対応した機種が発売されたほか、既発売の機種も一部を除きソフトウェアアップデートで対応するようになった。またiPhoneiOS 5の標準機能として緊急地震速報を利用できるように機能が追加されている。

また、スマートフォン向けのアプリケーションとしてはAndroid向けやiPhone向けなどで数種類が出回っているが、どれも初期設定などが必要である。アールシーソリューションがiPhone用に緊急地震速報を受信できるアプリ「ゆれくるコール”for iPhone」を開発、App Storeで無料配信している。高度利用者向け緊急地震速報を利用して通知を行う。ただし回線の利用状況によって通知が遅れたり受信できないこともある[52][53]Android用にも地震速報を通知するアプリ「なまず速報 β」が配布されており、実験的にではあるがリアルタイム通知が可能となっている。こちらも通知が必ず行われる保証はないとしている[54]

NTTドコモ

NTTは2007年11月26日より順次発売のFOMA 905iシリーズ全機種、及び2008年2月より順次発売予定のFOMA 705iシリーズFOMAハイスピード対応の一部機種から搭載し、無償で提供する「エリアメール」サービスを12月10日からスタートした[55] [56]。2010年冬モデルの一部より順次(2011年冬モデル以降のXiデュアルモード端末およびタブレットはすべて)、通知方式が、CBS方式からETWS方式に切り替えて搭載されている。

2012年3月発売予定の「フォトパネル 04」より、デジタルフォトフレームによるエリアメールに対応予定。

au

KDDI、および沖縄セルラーは2008年1月9日から順次発売の2008年春モデルの大半の機種[57]から搭載し、2008年3月25日から無償で提供する緊急地震速報サービス(Cメールを使用)をスタートした[58]

2011年9月に発売されたデジタルフォトフレームSP03で緊急地震速報に対応している。

2012年2月までに、緊急地震速報に加えて、国や自治体が発信するメールを包括した「緊急速報メール」が開始され、スマートフォン(ISシリーズ)向けには緊急速報メールなどを包括した「au災害対策アプリ」が2011年12月23日発売のIS11NIS14SHにはプリインストールされる形で提供開始(2012年1月発売のIS12Fもプリインストール予定)され、既存のAndroid 2.2以上の端末にも順次、アップデートによって提供する予定。

ソフトバンクモバイル

ソフトバンクで2011年8月現在対応機種はSoftBank 831NSoftBank 840N[59]と一部のAndroidスマートフォンのみに限られている。2007年5月30日、[60]他社と同様の緊急地震速報配信システムの開発を表明した。このとき、提供時期は「2008年度中」とアナウンスされたが、延期され2年遅れの2010年8月25日、一部エリアでサービス開始された。サービス開始時点での全域で利用できるエリアは関西圏、東海、東北(7県)、中国、四国エリアであり、一部エリアのみで利用できるのは関東エリアであった。2010年10月7日、全国対応を完了させたとしている。なお2011年4月18日、2011年度後半に対応機種を拡大する予定を発表しているが、スマートフォンのみにとどまっている(ただし、過去に販売されたスマートフォンのアップデート対応も一部で実施されているが、従来型の端末では、上述の端末2機種以外で発売された機種は無い)。

2011年9月に発売された、Android OS搭載のデジタルフォトフレームSoftBank 008HW(PhotoVision)も緊急地震速報に対応している。

2012年1月31日より、一部のスマートフォンにて、緊急地震速報を包括した緊急速報メールのサービスを開始する。

イー・アクセス

2011年12月現在、対応機種は存在しない。

ウィルコム/ウィルコム沖縄

2011年12月現在、PHSにおける対応機種は存在しない

ただし、WILLCOM CORE 3G端末で、PHS端末との抱き合わせ販売(新ウィルコム定額プランGSを基本料金プランとした場合)で提供されるSoftBank 001DLおよびSoftBank 003Zについては、音声および海外ローミング以外はソフトバンクモバイル契約とほぼ同様の提供がなされるため、利用可能。

ディズニー・モバイル

2011年12月現在、DM009SHDM010SHDM011SHスマートフォン(Disney Mobileスマートフォン端末)3機種とデジタルフォトフレームであるDM001Photoにのみ対応し、Disney Web対応機種(Disney Mobile 3G端末)については非対応となっている。

2012年に発売予定のDM012SH以降の端末は、緊急地震速報を包括した緊急速報メールにも対応する。

ラジオ受信機

緊急地震速報機(アイリスオーヤマ EQA-001) 前面(上)、背面(下)

ラジオで放送される一般向け緊急地震速報を検知して、速報発令を伝達する機器やソフトがある。伝達できるのは一般向け緊急地震速報が『(チャイム)緊急地震速報です。........』という警告を速報として発し、それを聞き地震の揺れが始まる数秒前に身構えることや対処ができる。警告は各地の震度などが判明する前に発せられるもので、揺れが終わったあとに地震そのものの詳しい内容は別途TVやラジオの「地震情報」として把握する必要がある。地震が起こる以前からラジオの電源が入っている場合は緊急警報速報を聞くことができる。

緊急地震速報機などと呼ばれる特殊なラジオでは電源が待機状態の場合はいきなり電源が自動的に入りNHKではチャイム音の最初から聞こえ、軽度の地震では揺れがおさまり暫くして再び電源は待機状態に戻り静かになる。一般の家庭ではこの緊急地震速報機などのラジオ受信機を家屋の中心などに置き音量も大きく設定しておき、住人の誰もが家屋の何処に居ても就寝中でも警告を聞こえるようにする。

なお、緊急警報放送と違って緊急地震速報はテレビやラジオの電源は入らないとされるが[61]、緊急地震速報の「報知音」と呼ぶ独特のチャイム音の採用を気象庁は推薦し[62]、NHKも民間放送もこの音を採用している。このため「緊急地震速報機」や「地震津波警報機」などと称するラジオ受信機はメーカの工夫によってチャイム音の電気信号を内部で検知し電源を待機状態から自動的にオンに切り替え緊急地震速報を聞ける機能を備えている。

  • アイリスオーヤマ
  • アレクソン EEW100[65]AMラジオ、FMラジオ対応 外部音声入力、外部制御出力付き
  • ユニデン EWR200[66] 緊急地震速報と緊急警報放送に対応
  • 山善 YEW-R100[67] 上記EWR200と同一。YAMAZENブランドにて発売されている。

ラジオ局が放送している緊急地震速報を利用する事で、情報受信料や特定の回線使用料が不要である。その他、ラジオ波を使用しているので、ブロードバンドが敷設できない地域でも利用できる。ただし、受信できるラジオ局が、緊急地震速報の放送に対応している必要がある。また、受信局によっては速報提供のサービス品質(早さ・対象地域など)が異なる場合がある。

2008年12月時点で予報業務許可事業者の緊急地震速報の受信端末機の累積出荷台数は13万台であり、2013年度までに26万台とする目標である[68]

パソコン、インターネット

既存のインターネット回線とパソコン端末を用いた有償サービス「The Last 10-Second」の提供をウェザーニューズが2007年10月15日より開始した[69][70][71]Windows 2000以降を搭載したPC及び常時接続可能なインターネット回線が必要である。2008年4月現在、個人が緊急地震速報に対応した専用端末を導入するためには多額の導入コストが必要であるが、既存の設備を活用することで安価にサービス提供できる点を特徴として挙げている。高度利用者向け緊急地震速報の分類に入るため、国内やその近海で発生したM3.5もしくは震度3以上の地震であれば、設定ですべてを受信することも可能。

緊急地震速報の震源情報およびユーザ所在地での予測震度と主要動(S波)到達までの猶予時間を暗号化して配信するANETアラートの受信ソフト「EQMessenger(イーキューメッセンジャー)」の販売を株式会社ANET(アネット)が2008年7月7日より開始した[72]。予測震度が設定値を超えると、NHKと同じ警報音と共に地図画面をポップアップ表示し、震源地、評価地点、地震動の到達をグラフィカルに表示する。

インターネット端末

パソコンだけでなく、NTTのフレッツ回線に接続された専用端末でも提供されている。フレッツ回線はIPv6に対応している事が必要である。NTT東日本地域においてフレッツADSLは、IPv6付加サービス申し込みが必要。NTT西日本地域においてBフレッツとフレッツADSLは、IPv6付加サービス申し込みが必要。

速報サービス提供事業者として、NTTコミュニケーションズが提供する「緊急地震速報 フレッツタイプ」サービスの利用が必要である。発報時には、IPv6マルチキャストにより端末までデータを送信するとしている。

「緊急地震速報 フレッツタイプ」の受信に対応した端末は、2011年現在で次のものがある[73]

  • NTT東日本 ひかり電話ルータ (無線LANタイプ) ※東日本だけ提供
  • NTT東日本・西日本 緊急地震速報受信端末 DW-100
    2008年11月20日発売。東日本では、2011年4月に終売。
  • 三洋電機 TEL-LANW60 家庭用電話機[74]
    2008年6月20日発売。「高度利用者向け緊急地震速報」が利用できる。また、「緊急地震速報メール通知」機能により、設置されたTEL-LANW60が演算し緊急地震速報を発報した際には、あらかじめ登録された3件までのメールアドレスに、「震央地名」「(本機の設置場所の)到達予測日時」「(本機の設置場所の)予測震度」などの緊急地震速報を通知する機能がある。
  • NTT東日本・西日本 フレッツフォン VP1000、VP1500 ※西日本だけ販売中

マンション用インターホン

マンションの共用部にインターネット回線と緊急地震速報の受信設備を設置し、インターホン設備に接続することにより、インターホンの機器・配線を活用して棟内に一斉配信するシステムが既に発売されている。 受信した緊急地震速報は各住戸に設置されているインターホン親機からカラーモニターでの表示や警報音声で居住者に通知される。インターホン設備は緊急地震速報に対応した専用の機種が必要となるが、来客対応用に常に待機状態を維持しているインターホン親機から警報できることがメリットであり、新築マンションを中心に採用が急増している。

「一般向け」速報発表事例

詳細は緊急地震速報の発表状況(気象庁) を参照。

「一般向け」緊急地震速報発表事例[75][76]
地震発生時刻 震央 規模 予測最大震度 最大震度 速報時間 備考
2008年4月28日02:32 沖縄県宮古島近海 M5.2   震度5弱程度:
沖縄県宮古島
  震度4:
沖縄県宮古島
地震波検知後 4.6秒で第1報=「高度利用者向け」、10.6秒で第3報=「一般向け」を発表[75] 「一般向け」は初で、予測震度は宮古島で 4.8、実際の計測震度は宮古島市平良西仲宗根で 4.4だった[77]。海底が震源だったため、震度計のない海底では地震を感知できず、速報発表は地震波を検知してから約10秒後、宮古島市が揺れだしてから5秒後だったが、気象庁はこの遅れを「誤差の範囲内」としている[要出典]。主要動到達までの時間は、沖縄県宮古島市城辺で 第1報=「高度利用者向け」が2秒台[75]
2008年5月8日01:45 茨城県 M7.0   震度4から5弱程度:
千葉県北東部
  震度5弱:
茨城県北部、栃木県南部
地震波検知後 9.3秒で第1報=「高度利用者向け」、58.3秒で第9報(最終報)=「一般向け」を発表[75] 予測最大震度が「3程度以上」(以前の情報源ウェザーニューズ社「The Last 10-Second」は「3程度以上」を「3」と処理したものとみられる)と「4程度」を行き来し、「4程度」が「4から5弱程度」になって「一般向け」速報に切り替わったが、対象地域すべて※で主要動に間に合わない結果となった[75]

※関東ほぼ全域(除く群馬県北部・埼玉県秩父地方・東京都多摩西部)、福島県各域、宮城県の一部。

2008年6月14日08:43 岩手県内陸南部
岩手・宮城内陸地震
M7.2   a. 震度5強程度以上:
岩手県内陸南部;
  b. 震度6弱から6強程度:
岩手県内陸南部
  震度6強:
岩手県内陸南部、宮城県北部
地震波検知後 3.5秒で第1報=「高度利用者向け」、 4.5秒でa.第2報=「一般向け」(岩手県各域、宮城・秋田・山形県の一部)、22.4秒でb.第7報=「一般向け」(岩手・宮城・秋田・山形・福島県各域、青森・新潟県の一部)を発表[76] 内陸直下地震であるため震源付近は間に合わなかったが、震源から半径約30キロ以上の地域では揺れが到達する前に速報が出された[78]。仙台市では主要動到達までの時間が、第1報は16秒台、a.第2報は15秒台だった[76][79]。なお、NHK総合テレビではNHK週刊ニュースを放送中。
2008年6月14日09:20 宮城県北部
(岩手・宮城内陸地震
余震
M5.7   震度4から5弱程度:
同右
  震度5弱:
宮城県北部
地震波検知後 3.6秒で第1報=「高度利用者向け」、 8.4秒で第3報=「一般向け」を発表[76]。NHK 総合テレビでは報道特別番組放送中。
2008年6月14日12:27 岩手県内陸南部
(岩手・宮城内陸地震
の余震)
M5.2   震度4から5弱程度:
同右
  震度4:
岩手県内陸南部
地震波検知後 3.8秒で第1報=「高度利用者向け」、51.4秒で第7報=「一般向け」を発表[76] NHK 総合テレビでは報道特別番組放送中。
2008年7月8日16:42 沖縄県本島近海 M6.1   震度4から5弱程度:
同右
  震度5弱:
鹿児島県奄美南部
地震波検知後 4.8秒で第1報=「高度利用者向け」、13.9秒で第4報=「一般向け」(鹿児島県奄美南部、沖縄県本島北部)を発表[76] 実際の計測震度5弱は鹿児島県与論町で観測された[80]
2008年7月24日00:26 岩手県沿岸北部 M6.8[81]   震度5弱程度:
岩手県沿岸北部・沿岸南部・内陸南部
  震度6弱:
青森県三八上北、岩手県沿岸北部
地震波検知後 4.1秒で第1報=「高度利用者向け」、20.8秒で第6報=「一般向け」を発表[82] 「予測の誤差」の節に詳述。
2008年9月11日09:20 北海道十勝 M7.0   震度4から5弱程度:
十勝支庁南部
  震度5弱:
北海道日高地方中部
地震波検知後 7.8秒で第1報=「高度利用者向け」、9.7秒で第3報=「一般向け」を発表[83] 朝に発生した地震のため、ラジオで聴いていた運転手が多かった。NHK総合では生放送の生活ほっとモーニング(8:35-9:25)が放送中だったため、出演アナウンサーが5分後の番組終了まで地震情報のテロップを読み上げた。
2008年11月22日00:44 北海道根室半島東方沖
(警報では「北海道道東」)
M5.3   震度4から5弱程度:
根室支庁南部
  震度4:
根室支庁北部・南部
地震波検知後 3.6秒で第1報=「高度利用者向け」、10.7秒で第5報=「一般向け」を発表[84] NHK総合ではNHK新人演芸大賞放送中に発生。お笑いコンビ「天竺鼠」の紹介映像の途中で挟み込まれた。
2009年8月11日05:07 駿河湾
静岡沖地震
M6.6   震度5弱程度以上:
静岡県東部
  震度6弱:
静岡県伊豆・中部・西部
地震波検知後 3.8秒で第1報「高度利用者向け」「一般向け」を発表[85] 約9か月ぶりの緊急地震速報である。朝に発生した地震のため、テレビで見ていた人は少なかった可能性があると地震防災対策強化地域判定会会長が指摘している。一方、震源地周囲に観測点が多かったために発表は早く、最大震度6弱を観測した地点のうち伊豆市御前崎市の一部では主要動が到達する前に速報が出されたと見られる[86]。また、テレビ局でも多くが朝のニュース番組を放送していたため、速報発表後に警戒を呼びかけるところが多かった。
2009年8月25日06:37 千葉県東方沖 M4.1   震度4から5弱程度:
千葉県北東部・茨城県南部
  震度0 地震波検知後15.3秒で第1報「高度利用者向け」、同21.0秒後で第4報=「一般向け」を発表[87] 発表時は朝だったため、ニュースを放送していた各テレビ局が警戒を呼び掛けたが、実際には体に感じる揺れを観測しなかった(いわゆる無感地震)。予測では、一般向け発表時のマグニチュードは6.6だった。誤報の原因はソフトウェアの不具合とみられている(後述)。

TBS系列朝ズバッ!では、放送中に緊急地震速報が発表されたためその情報を伝えていたものの、コメンテーターが「震源が深いのは別として、揺れが来るまでに時間がかかり過ぎているのはおかしい」として、発表中にキャスターが再び新聞記事の紹介に切り替える対応をとった。

NHK総合では一部の地域を除き第45回衆院選に伴う政見放送を放送中だったため、政見放送に緊急地震速報のテロップとチャイム、自動音声が重なる事態となった。各地の選挙管理委員会などは「音声が聞こえにくいなどの影響があった」として、速報が流れた時間に放送されていた1つの政党の政見放送が、8月28日に再放送された[88]

2009年10月30日16:03 奄美大島東方沖 M6.8   震度5弱程度:
鹿児島県十島村
  震度4:
鹿児島県十島村・奄美北部
地震波検知後4.2秒後で第1報「高度利用者向け」、同26.8秒後で第6報=「一般向け」を発表[89] NHKでは国会中継参院本会議代表質問」の放送中で、交代で務める中継担当アナウンサーが緊急地震速報に対応した。
2010年2月27日05:31 沖縄本島近海 M7.2   震度5弱程度:
沖縄県本島北部・本島中南部
  震度5弱:
沖縄県本島中南部
地震波検知後3.3秒後で第1報「高度利用者向け」、同4.1秒後で第2報=「一般向け」を発表[90] NHK総合テレビでは、バンクーバーオリンピックを放送中だった。
2010年3月14日17:08 福島県 M6.7   震度4から5弱程度:
同右
  震度5弱:
福島県浜通り
地震波検知後3.2秒後で第1報「高度利用者向け」、同3.6秒後で第2報=「一般向け」を発表[91] NHK総合テレビでは大相撲中継を放送しており、実況担当のアナウンサーが緊急地震速報に対応した。
2010年9月29日17:00 福島県中通り M5.8   震度4から5弱程度:
福島県中通り・福島県会津
  震度4:
福島県中通り・福島県会津

  震度5弱相当(推定):
局所的(天栄村湯本地区など)[92][93]

地震波検知後3.3秒後で第1報「高度利用者向け」、同7.4秒後で第3報=「一般向け」を発表。 NHKのラジオ放送(ラジオ第1、ラジオ第2、NHKワールド・ラジオ日本)では時報直前に速報が流れた[94]
2010年10月3日9:26 新潟県上越 M4.7   震度5弱程度以上:
新潟県上越・新潟県中越
  震度5弱:
新潟県上越
地震波検知後5.8秒後で第1報「高度利用者向け」、「一般向け」同時に発表。 第1報で「一般向け」が発表された初の事例。NHKでは日曜討論の放送中で、司会者(進行役の解説委員)が緊急地震速報に対応した。
2010年12月2日6:44 北海道石狩地方中部 M4.5   震度4から5弱程度:
石狩地方中部
  震度3:
石狩地方中部

  震度4から5弱程度相当(推定):
局所的(札幌市清田区北広島市大曲地区)[95]

地震波検知後3.3秒後で第1報「高度利用者向け」、同8.5秒後で第3報=「一般向け」を発表。 NEXCO東日本が設置している道央道北広島IC恵庭IC震度計では震度4.7(震度5弱相当)・3.5(震度4相当)を、札幌市が清田区平岡に設置している震度計では震度4を観測した[96][97]
2011年3月11日14:46 三陸
東北地方太平洋沖地震
M9.0   震度5弱から6弱程度:
宮城県中部
  震度7:
宮城県北部
地震波検知後5.4秒後で第1報「高度利用者向け」、同8.6秒後で第4報=「一般向け」を発表[98] 東北地方の地震観測点10点中9点が被害を受けた。NHK総合テレビでは「参院決算委員会」の放送中で、中継担当アナウンサーが緊急地震速報に対応した。すぐにNHKのニューススタジオに切り替わり地震や津波ニュースを伝える体制に切り替わった。
(間3回)
2011年3月12日03:59 新潟県中越地方
長野県北部地震
M6.6   震度5強から6弱程度:
新潟県中越
  震度6強:
長野県北部
地震波検知後2.8秒後で第1報「高度利用者向け」、同3.6秒後で第2報=「一般向け」を発表[99]
(間8回)
2011年3月12日22:15 福島県沖
(東北地方太平洋沖地震
余震
M6.0   震度5弱程度:
同右
  震度5弱:
福島県浜通り
地震波検知後3.2秒後で第1報「高度利用者向け」、同10.1秒後で第4報=「一般向け」を発表[100]
(間12回)
2011年3月15日22:31 静岡県東部
静岡県東部地震
M6.4   震度5弱程度以上:
山梨県東部・富士五湖
  震度6強:
静岡県東部
地震波検知後3.5秒後で第1報「高度利用者向け」、「一般向け」を同時に発表[101]
(間6回)
2011年3月19日18:56 茨城県北部
(東北地方太平洋沖地震
の余震)
M6.1   震度5弱から5強程度:
同右 
  震度5強:
茨城県北部
地震波検知後11.4秒後で第1報「高度利用者向け」、同18.3秒後で第4報=「一般向け」を発表[102]
(間5回)
2011年3月23日07:12 福島県浜通り
(東北地方太平洋沖地震
の余震)
M6.0   震度5弱から5強程度:
同右 
  震度5強:
福島県浜通り
地震波検知後9.7秒後で第1報「高度利用者向け」、同14.9秒後で第4報=「一般向け」を発表。
2011年3月23日07:36 福島県浜通り
(東北地方太平洋沖地震
の余震)
M5.8   震度5弱から5強程度:
同右 
  震度5強:
福島県浜通り
地震波検知後2.6秒後で第1報「高度利用者向け」、同4.0秒後で第2報=「一般向け」を発表。
(間3回)
2011年3月28日07:24 宮城県沖
(東北地方太平洋沖地震
の余震)
M6.5   震度5強から6弱程度:
秋田県内陸南部 
  震度5弱:
宮城県中部
地震波検知後15.3秒後で第1報「高度利用者向け」、同16.7秒後で第2報=「一般向け」を発表。
2011年4月1日19:49 秋田県内陸北部 M5.1   震度5弱程度:
秋田県内陸北部 
  震度5強:
秋田県内陸北部
地震波検知後5.1秒後で第1報「高度利用者向け」「一般向け」を発表。
(間2回)
2011年4月7日23:32 宮城県沖
(東北地方太平洋沖地震
の余震)
M7.1   震度5強から6弱程度:
宮城県中部 
  震度6強:
宮城県北部 宮城県中部
地震波検知後3.3秒後で第1報「高度利用者向け」、同7.4秒後で第3報=「一般向け」を発表。
2011年4月11日17:16 福島県浜通り
(東北地方太平洋沖地震
の余震)
M7.0   震度6弱から6強程度:
福島県浜通り・茨城県南部 
  震度6弱:
福島県浜通り 福島県中通り 茨城県南部
地震波検知後3.2秒後で第1報「高度利用者向け」、同6.3秒後で第3報=「一般向け」を発表。
2011年4月11日17:26 福島県浜通り
(2011年4月11日に発生した地震
の余震)
M5.6   震度5弱程度:
福島県中通り
  震度5弱:
福島県中通り
地震波検知後3.9秒後で第1報「高度利用者向け」、同19.6秒後で第4報=「一般向け」を発表。
2011年4月11日18:05 福島県浜通り
(2011年4月11日に発生した地震
の余震)
M5.2   震度4から5弱程度:
福島県中通り
  震度4:
福島県中通り
地震波検知後3.1秒後で第1報「高度利用者向け」、同9.2秒後で第6報=「一般向け」を発表。
2011年4月11日20:42 茨城県北部
(2011年4月11日に発生した地震
の余震)
M5.9   震度5弱から5強程度:
福島県浜通り
  震度5弱:
福島県中通り
地震波検知後3.3秒後で第1報「高度利用者向け」、同6.2秒後で第4報=「一般向け」を発表。
(間1回)
2011年4月12日08:08 千葉県東方沖
(東北地方太平洋沖地震
の余震)
M6.4   震度6弱から7程度:
福島県浜通り
  震度5弱:
千葉県北東部
地震波検知後3.7秒後で第1報「高度利用者向け」、同5.3秒後で第2報=「一般向け」を発表。
(間2回)
2011年4月12日14:07 福島県浜通り
(2011年4月11日に発生した地震
の余震)
M6.3   震度5強から6弱程度:
福島県浜通り
  震度6弱:
福島県浜通り 茨城県北部
地震波検知後3.6秒後で第1報「高度利用者向け」、同6.8秒後で第4報=「一般向け」を発表。

問題点と対策

緊急地震速報の算出に関係する技術的問題点は以下の通り。

  • 原理上、震源に近い地域ほど、発表から揺れまでの猶予時間が短く、間に合わない場合が生じる。直下型地震で大きな揺れに見舞われる地域ではこれが顕著になる。
  • 観測網の整備状況が原因で、観測点の間隔が広い地域では地震発生から揺れを感知するまでの時間が長くなり、猶予時間が短くなって間に合わない場合もある。離島における地震や、海溝型地震でこの傾向が強い。
  • 同時に複数の地域で地震が発生した場合、同一の地震と判断して処理を誤り、過大な規模を算出する可能性がある。(2011年8月11日に修正されている)
  • 規模が大きな地震ほど、揺れ始めてから最大になるまでの経過時間が長いため、規模を過小に評価する可能性が高まる。
  • 規模が大きな地震ほど、周波数の高い(=周期の短い)揺れが飽和するため、規模を過小に評価する可能性が高まる。
  • 連動型地震、深発地震、火山性地震、人工地震などの変則的な波形では、誤差が大きくなり、規模を過小評価・過大評価する可能性がある。
  • それぞれの地震計付近の地盤の振動特性の違い、震源から地震計までの地震波伝搬経路の地下構造の違いにより、規模を過小評価・過大評価する可能性がある。
  • 地震計、処理装置のプログラムミス等により、誤った算出値を発表する可能性がある。
  • 地震被害やその他の災害等によって地震計がデータを送れなくなった場合はその地点が空白地帯となり、地震発生から揺れを感知するまでの時間が長くなる。

伝達や広報、利活用に関係する問題点は以下の通り。


緊急地震速報の改善

地震発生直後の観測データを解析して速報を出すためP波とS波がほぼ同時に到達する震源に近い地域では緊急地震速報の仕組み上、速報発表が間に合わない。2007年10月1日未明に神奈川県西部で発生し最大震度5強を観測したM4.9の地震では、仮にシステムが運用されていても箱根町小田原市でP波検知とほぼ同時にS波が到達しており、速報発表が初期微動検知から32秒後であったためこのケースに該当する。

また、「一般向け」発表開始後しばらくの間は、地震のマグニチュードを実際より過小評価してしまうことが多かった。2008年7月に岩手県と青森県で震度6弱を観測した地震(岩手県沿岸北部地震)の際には、第1報では発生から4.1秒後に震度4と予測し発表したものの、実際に警報として発表したのは地震発生から20.8秒後に震度5弱と計算して発表しており、岩手県の全域で警報が間に合わなかった。そのため、気象庁はマグニチュード算出に使用する計算式を改良し、この地震について再予測を行ったところ、4.4秒で警報を発表できることがわかった。このプログラム改善により、地震発生から警報発表までの時間短縮が見込まれている。ただし、今後も震源周辺では揺れに間に合わない可能性は残っている。

設置場所とバックアップ

緊急地震速報システムの設置箇所は全国に2箇所。東京と大阪に備えている。気象庁本庁(東京都)と大阪管区気象台(大阪府)にあり、普段は東京のシステムから速報を発表している。東京のシステムが使えない場合は大阪のシステムからの発表に切り替えることでバックアップ機能を果たし、2011年の改修作業実施の際は実際に大阪のシステムを使用する。

タイムラグ

震源に近く速報が間に合わない地域

2010年11月26日、総務省は行政評価として、国土交通省に緊急地震速報を含む警報の改善を勧告した。2007年12月の導入以来「一般向け緊急地震速報」が対象地域全域で主要動が到達するまでに間に合ったケースが12件中1件であったこと、他の5件で最大震度を実際より低く予測し「一般向け緊急地震速報」を発表しなかったことが指摘されている。[103]

情報の処理に伴うタイムラグ

初めにP波を検知してから、震源の位置や震度を予測する際に、情報の処理に伴うタイムラグが生じる。

また、震源や震度などの情報が末端まで配信されるまでの間にも、タイムラグが生じる。一部行政機関向けのものを除き、配信が気象業務支援センター経由となっており、気象警報などのような通信・放送機関への直接送信とはなっていないことから末端ユーザーへの配信が遅延する場合がある。殊に「気象庁→気象業務支援センター→民間気象事業者通信事業者携帯電話など)→ユーザー」の経路をとる場合、致命的な遅れ(S波到達後)が生じうるとの指摘もある。

指摘は少なくとも2008年5月にはなされていたが[104]、翌6月に発生した岩手・宮城内陸地震の発生により、地上デジタル放送・BSデジタル放送は約2〜3秒、ワンセグでは約4〜5秒地上アナログより遅れて放送されることによるタイムラグが本格的に明らかになった[105][106]

同9月には総務省はデジタル放送推進協会と電波産業会に技術開発を要請し[107]、2009年9月に地上デジタル放送に対しては0.5秒まで遅延の短縮が可能だが、受信機の仕様を変更する必要があると発表した[108][109]

2010年8月20日、NHKは緊急地震速報の信号を変更し、それまでの画面下半分の地図付きスーパー表示以前に画面上部に 緊急地震速報 の文字スーパーを先立ち表示することを新たに加え、速報の放送までの時間を対応前より約1.0-2.5秒間短縮する対応策をNHK全局で実施することを発表した[110][111][112]。この対応によって地上アナログ放送での「地図付きスーパー」の表示開始と遅延が大きいと言われる地上デジタル放送での「文字スーパー」の表示開始までの時間は地上デジタル放送の受信地域によって異なるもののほぼ同じタイミングとなったとされ、「文字スーパー」の表示は7秒間、チャイム音は4秒間続く。なおワンセグでは文字スーパーの表示は行われない[113]。この対応策は在京民放5局、2011年8月以降は在阪広域4局[114]でも実施されている。

地震観測網の過疎地域で発生する地震

緊急地震速報の情報源となる、地震計の密度が低い地域が日本には存在する。本土から離れた離島である伊豆諸島小笠原諸島南西諸島などがそうである。また、これ以外の地域でも、離れた海域で地震が発生した場合は同じような状況下におかれることもある。こういった地域では、地震計の密度が低いことが原因となってさまざまな問題が起きる。地震計の近くで地震が発生することが(地震計の密度が高い地域に比べて)相対的に少なくなるため、初めのP波を検知するまでに時間がかかることが多く、速報発表から揺れ始めるまでの時間も短くなる。また、得られる地震のデータも少ないため、震源・地震の規模・震度などの誤差が拡大しやすくなる。こういった問題は、2008年4月28日未明に起きた沖縄県宮古島近海を震源とする地震を契機に、問題視されることとなった。

海底には、地震計がほとんど設置されておらず(東海地域や伊豆諸島近海に集中しており、全く無い海底もある)、海域で地震波を捕らえることが難しい。そのため、海域が震源となる地震の場合、海底で地震波が観測できず、陸地に到達して初めて観測される。そのため、速報発表が遅れてしまうことがある。また、「一般向け」緊急地震速報は、最低でも2箇所以上の地震計が揺れを観測してから速報を発表しているため、震源地に最も近い1箇所目の地震計が揺れを観測しただけでは速報が発表されない(「高度利用者向け」速報の場合は、速報が発表されるが、大きく誤差が生じることもある)。2箇所目の地震計が、さらに離れている場合、その間にある建造物では速報発表よりも前に揺れが来てしまう。これが大規模な地震であった場合、大災害は避けられない。また当然、2箇所目の地震計が揺れを観測しても、今度は時間計算をするため、さらに時間を要してしまう。

初回速報発表の沖縄県宮古島近海を震源とする地震では、震源が海底だった。そしてその間に地震計が一切無く、地震発生が当初わからなかった。宮古島に地震波が到達して、初めて地震計が観測し、速報が発表されたのは午前2時32分25秒だった。しかし、宮古島市で揺れが来たのは午前2時32分20秒と、およそ5秒の差が起きた。これが海底に地震計が設置されていた場合、地震波が宮古島市に到達するまでに速報が発表された可能性もある。しかし、この地震は深夜に発生していたため、速報が発表されていても目撃した人が少ないという問題もある。

さらにこの地震では、速報と実際の震源地の誤差も大きくなってしまった。実際の震源地は北緯25.1度 東経125度であったが、速報発表時には、南に30km離れた海上が震源地と特定・発表されてしまった。

2008年8月5日には、宮古島近海で震度1の地震があったが、予報第3報では「最大震度3」と発表された。また、深さが実際と10キロ前後、マグニチュードも1程度の誤差が生じた。第1報ではさらに誤差が大きく、予測震度は2、規模は同じ4.9であったが深さが10キロと、かなりの誤差が生じた。この点からも、海域が震源の地震に関しては予測することが困難とみられる。

沿岸部を震源とする地震の場合、いずれも同じことが発生している。まず、第1報の情報源となる地震波を検知すると、震源の深さまでは特定が困難であるため、P・S波の時間差から、震源・規模を算出する(この場合、多くは深さが10kmと発表)。次に、第2報の基となる地震波検知で、P・S波から震源・規模を算出する。第1報と照らし合わせ、時間差が極端であれば震源の深さを算出する。上述の地震を例にすれば、この算出方法は成り立つ。逆に内陸部での地震の場合、地震計がある程度密集している地点では深さなどが容易に算出することが可能となるため、誤差は起きにくい。

こういった問題の最大の解決策は、海底に地震計を設置することである。海底で強い地震が発生した場合は、津波が発生する危険性もあり、津波対策としても有効である。海底に地震計を設置することが今後の地震速報の重要な課題とも言えるが、海底という特有の環境下では地震計の設置や保守点検は容易ではなく、費用や技術的な問題も抱えている。

気象庁では、東海地震へ備えるため、東海地方の海底に地震計を設置することを発表した。実際に設置され、大地震が発生した場合には、最大で10秒程度速報が早く発表できるという。

速報に伴う混乱

また速報がS波到達以前に発表されても、主要動までの時間は数秒〜数十秒しかない。このため、発表時の対応が周知徹底されていないと、群衆が非常口に殺到する、速報を受けた自動車が急ブレーキをかけて玉突き衝突を誘発するといったパニックを引き起こし二次災害が発生する可能性があるとして、公衆への速報の早期提供開始に対する慎重論もあった。これにより2007年春に予定されていた本運用開始は延期され、改めて10月からの運用が決まった。

予測の誤差

気象庁は、具体的な予測震度の値は±1程度の誤差を伴う、としており、「一般向け」速報では震度の具体値を示さず、「強い揺れ」と表現している[6]。あえて言えば、「一般向け」速報は出なかったが実際には意外と大きく揺れた、ということもありうる。また、「最大予測震度が5弱以上」を発表基準とする「一般向け」速報で、予測震度が4以上の地域まで広げて発表する理由として気象庁は、1.震度推定時の誤差、2.予測震度4でも、震源域の断層運動の進行により、しばらく後に5弱となる可能性、を挙げている[6]

予測震度の誤差の一般的な原因としては、初期微動の特性がマグニチュード5程度付近で、波形の動きが変化するほか、地質によって地震波の伝わりやすさ(走向、伝搬速度、周波数特性、減衰程度)が異なり、震源から同じ距離でも震度が異なる(特に震源と震度が大きく異なる地域を異常震域という)地点が出ることが考えられる[要出典]。これは、各地の地質性質を組み込んだプログラムを導入することで改善できるが、地質特性の調査が十分でない地域(特に洋上)もあり、現状では修正が困難な部分がある[要出典]。なお、群発地震や直後に発生する余震により、複数の地震が重なると、初期微動が正確に観測できない。正式導入前であるが、2006年4月21日に伊豆半島東方沖で発生した震度4の地震(防災科技研の地震計では震度5弱・東大地震研の地震計では震度6弱を観測したが、気象庁が対象とする震度観測点では最大震度4だった)では予測震度7となり、誤差が拡大する事例が発生した[115]

緊急地震速報 初期の主な予測誤差事例[116]
注: 事例間で単純な比較はできない。
地震発生時刻 震央 予測最大震度 最大震度
2006年11月01日 23:21 十勝支庁南部 2 4
2006年11月30日 11:59 福島県会津 5弱 3
2007年03月25日 09:42 能登半島沖
(能登半島地震)
5弱 6強
2007年03月25日 18:11 石川県能登地方 3 5弱
2007年04月15日 12:19 三重県中部 4 5強
2007年05月19日 00:59 青森県東方沖 2 4
2007年06月23日 23:52 茨城県沖 2 4
2007年10月01日 02:21 神奈川県西部 4 5強

正式導入以降、「一般向け」速報運用開始(2007年10月1日午前9時)より前に、一部の利用者向けに発表された緊急地震速報の主な予測誤差事例を右表に示す。最大震度が5弱以上だった地震(計 9件、右表に4件)では皮肉にも、最大震度が最大予測震度を上回っている。なお、予測精度が一様ではなく、また予測技術やよりどころとなるデータベースが変化することから、事例間で単純な比較はできない。

「一般向け」運用開始後で見ると、2008年7月24日未明に岩手県沿岸北部で発生した地震で誤差が顕著だった。実際には岩手県沿岸北部で震度6強から震度4を観測し[117]、震源が深さ108 kmで規模はM6.8と推定(ともに暫定値)された[118][119]。一方、緊急地震速報では最大予測震度(対象に同地域を含む)が「4程度」または「5弱程度」だった。詳細には、第5報まで=「高度利用者向け」では最大予測震度が「4程度」で予測規模が「M5.8」から「M6.5」、検知20.8秒後に発表した第6報=「一般向け」とその続報では「5弱程度」で「M6.9」だった[118]

気象庁は誤差の原因として、1.震源が深い場合、震度が大きくなる事例が少ないので、速報を出す予測式の精度が高くないこと[120]、2.この地震では、徐々に波形が大きくなる揺れ方だったこと[121]、を挙げている。

2011年に発生した東北地方太平洋沖地震では、震度5弱以上の強い揺れを観測した青森県、関東甲信越地方には一般向け緊急地震速報は発表されなかった。また、予報第1報の地震検知5.4秒後にはマグニチュードを4.3・最大震度1程度以上と過小評価し、警報を発表したのは検知8.6秒後の第4報だった。気象庁気象研究所は原因としてそれぞれ、震源域の広がりを十分に考慮できなかったこと、地震の最初の振幅がきわめて小さかったことを挙げている[122]

誤情報

地震動を観測する地震計の技術的問題やその特性により、緊急地震速報自体に誤報が発生することはありうる。地震計の故障雷サージ(雷による異常な電流)による誤作動、プログラムや設定のミスなどが原因として考えられる。

また、気象庁の速報を配信する事業者(情報サービス会社、放送局ほか)の手違いによる誤配信、受信端末における誤った処理による誤情報出力といった事例が、実際に確認されている。

市民の安全にかかわる情報であるだけに、特に、該当する地震が実際には発生していない誤情報が、人為的なミスで出されうることは、解決されるべき問題だと言える。

2007年9月1日防災の日)には東京都墨田区による緊急地震速報のメール配信システムに登録していた約5000人に、委託会社のミスにより「震度5強の地震が発生」とのメールが誤送信された。

2008年1月13日2時13分に、NHKの地上波・衛星の各テレビ放送(元から緊急地震速報のテロップ表示を行わないNHKワールドは除く)に、緊急地震速報(チャイム音・アナウンス・画面の一番下の日付時刻テロップ)が実際に流れたが、揺れが予測される地域が表示されなかった(気象庁から速報自体が発表されていないため、該当地域が出せない)。この時間、教育テレビとデジタル衛星ハイビジョンは放送休止中だったが、当然ながら誤配信が発生している。夜が明けて5:00の総合テレビ「NHKニュース」で、この日の担当のアナウンサーから、これが通常の地震のニュース速報(同日2時11分に北海道で発生した最大震度4の地震)を誤って緊急地震速報として流してしまった旨のお詫びが放送された。地域が放送されなかったことにより、全国の視聴者の不安をいたずらに煽ることとなってしまった。なお、AM/FMラジオ全波と元から緊急地震速報のテロップ表示を行わないNHKワールドのテレビ・短波ラジオの放送には誤報は発生していない。誤報の原因は担当職員によるニュース速報テロップ装置の操作のミスとみられる。

2008年7月14日19時41分に千葉県沖で発生した地震[123] については、一観測点の地震計における加速度基準の設定ミスにより「高度利用者向け」の誤った第1報が発表され[124]、さらに一部受信端末でこの速報の処理を誤ったことから誤情報が出力されてしまい[125]、混乱を招いた。第1報で誤報となり、第2報で正確な予測になったため、一般向け緊急地震速報は発表されなかった。気象庁は、同日中に誤報だったことを発表[124]、翌15日の記者会見で、当該地震計が設置(2003年12月)後1度も点検されていなかったことを認めて誤報を陳謝した[126][127][128]。 また、当該受信端末が気象庁の審査をすり抜けていたことから、受信端末を製造する全事業者への立ち入り調査を予定している(7月18日現在)[125]

このトラブルではまず、千葉県にある気象庁観測点「銚子天王台」の地震計において、「高度利用者向け」速報を発表する加速度基準を100gal以上とすべきところ、誤って「10gal以上」と設定していたことにより、「千葉県銚子市付近、最大震度5 弱以上」とする誤った第1報が気象庁から発表された(10.6秒後の第2報で訂正)[124]。なお実際には、観測加速度は12gal [124]、最大震度は2を観測、マグニチュードはM3.6と推定された[123]

JR東日本では自前の観測網を持つことから気象庁の発表前に誤報と判断できたものの、都営地下鉄全4路線を含む首都圏の一部鉄道で列車停止などの影響が出た[129]。さらに、同一メーカー提供による複数の受信端末において、この速報を正しく処理できず、自然地震ではありえないマグニチュード推定値(「M 12.7」)、過大な予測震度(「震度7」ほか)など、いずれも根拠の無い誤情報が出力された[125]

愛知県岡崎市の小中学校では「M 12.7、予測震度6弱」が出力され、生徒らが避難行動をとった[125][130]。この受信端末には震源情報が表示されず、実際には震源から遠いことがわからない中[130]、怖さで涙ぐむ生徒もいたという[125]。また、気象庁庁舎1階にあり、速報の総配信元でもある財団法人気象業務支援センターでも、警報音が鳴るとともに、「震度7」が表示された[131]

2009年8月25日には、千葉県東方沖を震源とする地震が発生したが、第4報で一般向けの緊急地震速報が発表された。しかし、日本国内で揺れを観測せず、のちに誤報であることが発表された。その後、原因を調査したところ、千葉県南房総市の「千葉三芳」地震計を設置した業者がソフトウェアの更新を行った際に、不要である緊急地震速報のソフトウェアまで更新したため不具合が発生していたことがわかった。気象庁へ送られてきた情報では、実際に観測された揺れの約20倍もの強い揺れのデータだったため、予測システムが誤った情報を発表した。緊急地震速報で雷サージなどが原因で発表された誤報では「キャンセル報」を発表しているが、今回の地震ではキャンセル報は発表されなかった。また、詳しい情報も気象庁のホームページ上などでしか掲載されていなかったため、多くの人が混乱を招いた。気象庁では、地震が発生しなかったにもかかわらず緊急地震速報を発表した場合は、緊急地震速報と同じ仕組みで“キャンセル報”を送信するが、基準を満たす地震を感知した場合は配信していない[132]。この問題では地震火山部長と同部管理課長が文書厳重注意、担当業者が指名停止1か月の処分となっている[133]

利用者の周知

緊急地震速報の誤差等の問題が改善されたからといって、最終的には利用者の周知が問題となる。いくら誤差がなくなり、確実な速報発表となっても、利用者側(特にテレビ視聴者など)が正しく理解しなければ、被害の軽減は図れない。つまり、利用者側が、どのようなものなのかを理解していなければ、警報としては成り立たなくなる。最終的には、利用者側の理解が問題となる。

岩手・宮城内陸地震において、本震の速報発表をテレビ・ラジオ等で見た人を対象に民間調査会社がアンケートを行った。その結果、回答者の半数が「すでに起きた地震の震度速報と思った」という結果となった。調査会社が岩手・宮城内陸地震後に行った調査では、「緊急地震速報発表時の対応」として、「すでに発生した地震の震度速報だと思った」といった意見が複数あった一方、「家具を押さえつけた」といった意見があり、周知徹底がされていない状況が見られる。[要出典]

詐欺

気象庁によれば、「緊急地震速報の受信装置の設置が義務化されている」などと偽って機器などを販売する悪質な訪問販売業者も出てきており、住宅用火災報知機の設置義務化時などと同様の被害が出ることが懸念されている。

情報格差

全ての人が速報受信機能付き携帯電話を持っているわけではなく、またテレビやラジオをつけたままにしているわけではない[134]。更に、有線ラジオ放送では警報告知は行われない。そのため、全ての人が常時緊急地震速報を受信できる状態にはなく、個々人の緊急地震速報の受信確率には情報格差が生じる状態になることが考えられる。地震の発生状況や震度を知らせる速報などに比べて速報性が重視される緊急地震速報において、1回の受信の可能・不可能は、地震の発生を揺れの前に知ることができるかできないか(あるいは自身の安全)に直結する。技術的な対応などで受信率を上げる検討がなされているが、国民全員を完全にカバーすることは難しい。

東北地方太平洋沖地震の影響

2011年の東北地方太平洋沖地震の本震では、予測震度と実測震度が大きく乖離している箇所があった[135]

この地震で被災地である東北地方の地震観測点の多く(10中9)が被害を受けたため、余震の速報が適切にできない可能性が出た[136]

この地震の余震、及び他地域での地震が頻発する中、離れたところで複数の地震が同時発生した時に正確な情報を発信できないという問題が露呈した。例えば、3月12日に「神奈川県西部で震度5強〜6弱」という緊急地震速報が発表されたが、実際の地震はマグニチュード2.0、震度1以上を観測した地点はなかった。ほぼ同時刻に長野県を震源とするマグニチュード4.1の地震が発生していて、この二つの地震のデータを合成、同一のものであり大地震と見做したことが原因とみられる[137]

この問題に対し気象庁は、ほぼ同時に起きた地震のうち緊急地震速報(警報)の発表対象としていない小規模の地震を計算の対象から外すことにより、2つの地震を誤って結びつける頻度を減らすシステム改修を行った[138]

出典

脚注

  1. ^ 2007年9月20日気象庁開催の「緊急地震速報の本運用開始に係る検討会(第8回)」において、日本テレビが同月4日に「世界初!画期的システム」とする特番を放送した旨、報告されている(資料ファイルp. 3)
  2. ^ 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震以降の緊急地震速報(警報)の発表状況について気象庁2011年3月29日
  3. ^ 提供に関するガイドライン:[1]
  4. ^ MSN産経ニュース、2011年5月1日21時55分『緊急地震速報…チャイムに苦心の音色「ゴジラ」の検討も』http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110501/dst11050121570027-n1.htm
  5. ^ 利用ガイドライン:[2]
  6. ^ a b c d e 緊急地震速報の内容.気象庁.
  7. ^ ためしてみよう!! 緊急地震速報
  8. ^ a b c d e 気象業務法の一部を改正する法律の施行(平成19年12月1日)に伴い、緊急地震速報を地震動の予報及び警報に位置づけることについて.気象庁.
  9. ^ a b c 気象業務法(昭和二十七年六月二日法律第百六十五号).総務省行政管理局による法令データ提供システムのデータ.
  10. ^ a b c d 緊急地震速報の本運用に当たって 福和伸夫, 新井伸夫, 『予防時報』231号, pp.21-27, 2007.
  11. ^ 緊急地震速報の有効性と限界 吉井博明
  12. ^ 南カリフォルニア地域におけるリアルタイム地震情報システム利用現況と今後の利用 第1回日米地震防災政策会議, 内閣府(防災部門)。
  13. ^ 緊急地震速報の試験運用開始について (PDF)
  14. ^ 精密観測などによって算出された走時表などを利用する。緊急地震速報では速さを重視して深さのみに依存する1次元走時表を用いている。
  15. ^ a b 緊急地震速報の概要や処理手法に関する技術的参考資料 気象庁、2007年7月29日。
  16. ^ 地震・津波と火山の監視・予測” (PDF). 気象庁. 2011年4月3日閲覧。 “1ページ、右図内説明”
  17. ^ 緊急地震速報と観測された震度の特徴
  18. ^ http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/shindo_name.html 気象庁 地域名称一覧表
  19. ^ 「緊急地震速報の報知音とは?」
  20. ^ 気象庁 震央地名
  21. ^ ただし、東北地方太平洋沖地震の特設ニュース放送時に出された緊急地震速報(3月12日の8:53~4月2日の明け方までの間に出されたもの)では通常の局内回線でなく、東京送出のデジタル総合テレビの放送波を直受けしていたためNHKワールド・プレミアムでもそのまま放送された。
  22. ^ 2011年9月21日22:30頃の速報時に初めて適用された
  23. ^ 速報の発生からある程度の時間が経ってから、『緊急地震速報(気象庁)』の表示を画面上に移し、枠と地図表示を省いた字幕スーパーの表示のみに切り替わる場合もある。
  24. ^ 複数の緊急地震速報が出る時があり、その場合は上下2段にテロップが表示されることがある。2011年3月19日18:56頃の速報時にこのケースが発生している。
  25. ^ http://www3.nhk.or.jp/pr/keiei/shiryou/soukyoku/2007/06/006.pdf NHK発表の緊急地震速報プレス
  26. ^ テレビ放送の場合NHKワールド・プレミアムでは独自の局内回線でなくデジタル総合テレビ(関東広域放送)の送出映像回線をそのまま使用し、画面右上に「NHK G」のウォーターマークが表示されている場合に限られる。
  27. ^ 民放も緊急地震速報、全国のTV・ラジオで順次放送へ(読売新聞 2007年8月29日
  28. ^ 緊急地震速報の自動化開始(南海放送2008年4月24日
  29. ^ 緊急地震速報がスタート(静岡放送 2007年10月1日
  30. ^ 震度5強とした在京民放ラジオ九社の速報合意エフエム東京
  31. ^ 例として、2011年4月13日10時17分の福島県浜通りを震源とする地震では、北茨城市磯原で震度5弱、また21日22時47分の千葉県東方沖を震源とする地震でも、千葉県旭市でやはり最大震度の5弱を観測と揺れが大きかったにもかかわらず、ベイエフエムでは発信がなかった。発したFM局はNHKのみ。ニッポン放送では、千葉で震度5弱を観測する余震があった日などにリスナーからの疑問が届いたようで、改めて説明がなされた
  32. ^ 民放BSデジタル局でNHKと同じチャイム音を鳴らしている局は現在のところBSフジのみ確認されている(送出マスターが地上波・BS・CSと一体型になっているため)。BS日テレ(日テレNEWS24のサイマル放送時を除き、2音のチャイムが入る)、BS-TBSなどではニュース速報と同じ音を流している。
  33. ^ 関東キー局以外では東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)がNHKと同様のアナウンス、テレビ信州では「緊急地震速報です、強い揺れに警戒してください。身の安全をはかってください」とアナウンスする。関西テレビではNHKのチャイム音よりキー音が高めのものを使用している。
  34. ^ ほとんどのテレビ放送局はカットインで表示するが、テレビ東京ではやや早めのフェードインで表示される。
  35. ^ 6局とは、TBSラジオ文化放送ニッポン放送ラジオ日本TOKYO FMJ-WAVEを指す。FM3局(MUSIC ROUTE 16も参照)とは、NACK5bayfmFMヨコハマを指す。
  36. ^ 朝日放送ラジオ(ABC)毎日放送ラジオ(MBS)FM大阪FM802エフエム京都(α-station)和歌山放送が2008年7月1日開始。
  37. ^ 和歌山放送からのお知らせ:緊急地震速報 7月スタート
  38. ^ ラジオ関西KBS京都は9月1日開始。
  39. ^ 関西ラジオ6社、今夏から緊急地震速報(TVトピックス:J-CAST TVウオッチ)
  40. ^ KBS京都ラジオ 緊急地震速報 2008年9月1日スタート
  41. ^ ラジオ関西 緊急地震速報 2008年9月1日スタート
  42. ^ 7社とは中部日本放送(CBCラジオ)東海ラジオZIP-FMFM AICHI愛知国際放送(RADIO-i、既に廃局)、radio CUBE FM三重と、岐阜放送(ぎふチャン)
  43. ^ CBCラジオ 緊急地震速報 2008年9月1日スタート
  44. ^ 事例報告:地震の揺れが到達する前に緊急地震速報をお知らせしました!株式会社JCN船橋習志野
  45. ^ 事例報告:地震の揺れが到達する前に緊急地震速報をお知らせしました!株式会社鎌倉ケーブルコミュニケーションズ
  46. ^ 2008年 7月29日、同社はモバイル放送事業を終了する方針を発表した。プレスリリース
  47. ^ モバHO!Sバンド防災情報の製品詳細ページ
  48. ^ 緊急地震速報に対応した一斉同報配信基盤を開発(NTTドコモ報道発表 2007年5月30日
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  101. ^ 地震情報(地震の活動状況等に関する情報) 平成23年3月16日00時01分 気象庁発表
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  105. ^ 岩手・宮城地震:地デジ2秒遅れ 緊急速報間に合わず?(毎日新聞 2008年6月22日)
  106. ^ NHKの場合、タイムラグの差は地上アナログテレビ放送(関東地方)・AMラジオ・FMラジオ・NHKワールド・ラジオ日本(短波)に比べると、地上アナログテレビ放送(地域拠点局)・BSアナログ放送が約0.5秒、地上デジタルテレビ放送(関東地方の東京タワーでカバーするエリア)・地上アナログテレビ放送(地方放送局)・NHKワールドの衛星波(ワールドTV、プレミアム、NHKワールド・ラジオ日本の衛星ラジオ)が約1秒、BSデジタル放送が約1.5秒、地上デジタルテレビ放送(地域拠点局・地方放送局)が約2〜2.5秒となっている。[要出典]
  107. ^ [8]
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  109. ^ 緊急地震速報:遅れ、地デジ改善不可能 仕様変更後も0. 5秒遅延--総務省 毎日.jp
  110. ^ AV Watch2010年8月20日NHK、地デジ地震速報を文字スーパーで最大2.5秒迅速化-地図スーパーに先行して表示。地アナとの時間差を改善
  111. ^ 緊急地震速報 地上デジタル放送での迅速化について(NHKニュースリリース 2010年8月20日)
  112. ^ この文字スーパーと同時にNHK・民放各局共通のチャイムも流される。なお、このチャイムはフジテレビが発する「FNNニュース速報」「FNN地震情報」の一世代前のチャイムに似る。
  113. ^ NHKの放送 → 緊急地震速報とは → 緊急地震速報 地上デジタル放送での迅速化(NHK)
  114. ^ 緊急地震速報、地デジ3秒遅れ 名古屋の民放5社、未対応
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  134. ^ 一部の電気メーカーでは、普段は待機状態で静かではあるが、チャイム音を受信して自動起動、警報の声のみを流す特殊なFMラジオを開発・発売している。
  135. ^ 平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震の緊急地震速報について 平成23年3月23日ANET
  136. ^ 『地震観測点がほぼ全滅、東北北部…緊急地震速報に影響』 産経新聞 2011年3月14日
  137. ^ 『なぜ?“不適切”なことも多い緊急地震速報』 スポーツニッポン 2011年3月22日
  138. ^ "緊急地震速報の改善について" (Press release). 気象庁. 10 August 2011. 2011年8月10日閲覧

参考文献

関連項目

外部リンク