Digitalian is eating breakfast

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Digitalian is eating breakfast
小室哲哉スタジオ・アルバム
リリース
録音 Studio AVR
AIR studios
CBSソニー信濃町スタジオ
ジャンル ROCK(帯に記載)
J-POP
ハウス
時間
レーベル EPIC/SONY RECORDS
プロデュース 小室哲哉
日向大介
シェップ・ペティボーン
チャート最高順位
  • 4位(オリコン
  • 1990年度年間45位(オリコン)
小室哲哉 アルバム 年表
SEVEN DAYS WAR MUSIC FROM THE ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK
1988年
Digitalian is eating breakfast
(1989年)
天と地と SOUNDTRACK
(1990年)
EANコード
EAN 4988010101329(1989年・CD)
EAN 4582290392394(2013年・CD)
『Digitalian is eating breakfast』収録のシングル
  1. RUNNING TO HORIZON
    リリース: 1989年10月28日
  2. GRAVITY OF LOVE
    リリース: 1989年11月17日
  3. CHRISTMAS CHORUS
    リリース: 1989年12月1日
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Digitalian is eating breakfast』(デジタリアン・イズ・イーティング・ブレックファスト)は、小室哲哉1989年12月9日にリリースしたアルバムCD。または同じタイトルで小室が行ったソロ・ライブツアー(「Tetsuya Komuro Tour '89〜'90 Digitalian is eating breakfast」)。

小室唯一の(一部インスト除く)全曲自身ボーカルアルバム。

背景[編集]

1989年3月頃、TM NETWORKのコンサートツアー「TM NETWORK TOUR '88〜'89 CAROL 〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜」の最中に宇都宮隆が怪我をした事によりその後の予定がキャンセルされたために1週間程オフができ、誰に提供する訳でもないユーロビートの楽曲を5曲程作った(その時に出来た楽曲の中にTMの「DIVE INTO YOUR BODY」がある)。それが切っ掛けとなり、エピックのスタッフと相談していく内にソロアルバムの制作を勧められた。シンクラヴィアの置いてあるスタジオに行って試運転を繰り返して、6月頃から当時使用していたスタジオをシンクラヴィアに完全対応させた状態で本格的にスタートさせた[1]

録音[編集]

小室はこのアルバムで本格的にシンクラヴィアを使用し、TM NETWORKを含めて初めてギター以外のドラム、ベースなどは全て打ち込みで構成されたアルバムとなっている。

アルバムタイトルの「digitalian」は「デジタル」と「ベジタリアン」を組み合わせた造語。しかし、「digitalian」という言葉だけだとテーマが堅くなってしまうため、柔らかくするためにその後に「eating breakfast」という言葉を付け足してシャレっぽくした。反面、アルバムタイトルにそこまで深い意味は込めておらず、「digitalian」以降は特に必要性は無かった。「開き直って『hamburger』でも良かった(笑)」と語っている[2]

ソロ活動をすることには特別な理由はなく、制作初期におおまかな全体像も思い描かず、プロデュースしている感覚も全くなかった状態で制作していたため、スケジュールの最後の1週間の追い込みでアルバムのタイトル・コンセプト・曲順・宣伝戦略を考えていった[1]。「敢えてコンセプトをあげるなら、『バックトラックから浮かんできた豊富なメロディと時速が何kmかがわかる物理的なスピード感を体感できる音楽』」と称している[2]。1989年の同時期に角川映画天と地と』(1990年)のサウンドトラックの依頼が来ていたため、『Digitalian-』はボーカル入りのアルバムを、『天と地と』はインストゥルメンタルのアルバムにしたという。アルバム『天と地と』には本収録の「NEVER CRY FOR ME」のインストゥルメンタルがタイトルを変え、収録されている。

「楽器隊のリズムに対するシビアさをボーカルに反映させたらどうなるか」を常に考え、少なくとも「思いを込めることができたからOKテイク」にはせず、楽器隊と常に同列になる様に聴いて気持ち良くなるまで、何回もボーカルの位置をシンクラヴィアでずらした。この作業は「Vocals Treated」というクレジットになった[2]

ミキシングの際に「音を正確に聞かせる人」「面白く感じる音はこちら側で沢山入れたから、それに忠実にミックスしてほしい」という意向で「CAROL 〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜」にレコーディング・エンジニアとして参加したスティーブ・ジャクソンをメインとして起用した[2]

本作の制作中にゲイリー・ライトと初対面する。その際「どうしてこのアルバムに参加させてくれないんだ?絶対に最高の音を作るからやらせてくれ」と言われたが、当時は絞ったコンセプトに集中しなければならなかったために、断らざるを得なかった。その後TMの「Love Train/We love the EARTH」より小室との共同作業が始まった[3]

音楽性[編集]

小室曰く「TM NETWORKのプロトタイプのようなもの」とのこと。TM NETWORKのレコーディングの前に作っていたデモテープでは「小室が一人でオケを作り、一人で仮歌を歌っているけど、それをアレンジを細かく煮詰めずにそのまま出してしまおう」というのがこのアルバムのコンセプトである。そのためTM NETWORKと同じ流れを汲んでおり、「グループ内で自分の音楽性を出せないので、出したアルバム」とは本質的に異なり、「自分の作品の元となる素材がそのまま素直に出ている」と振り返っている[4]

音楽制作に集中し、歌詞もある程度曲ができた所で、車の中や家で聴いて音色に合うシチュエーション・イメージ・ストーリーをその場で閃いてはそのまま恋愛を主軸のテーマにしつつ、言葉として当てはめた。音に合う言葉でよかった為に、今まで憂鬱な気持ちで作詞に取り組んでいたのが嘘のように急に楽しくなり、「時間があればもっと書きたかった」と語っている。小室みつ子への発注の仕方も効果音の入る部分等を細かく念入りに説明した[1][2]

英詩のみの楽曲を1曲制作したが、韻の踏み方が難しかったため、保留にした[1]

共同プロデューサーとして日向大介が参加したのは当時既にシンクラヴィアを用いたレコーディングシステムを確立していた日向の「シンクラヴィアの細かい使用に対するノウハウ・システムの構築方法・実験上出来ることと出来ないこと」等の情報・アドバイスが欲しかったためであり、別の作業に忙しい小室のスーパーバイザーになって欲しいという依頼から始まっている。

このアルバムに収録されている「OPERA NIGHT」はTM NETWORKデビューアルバム『RAINBOW RAINBOW』作成時のデモテープの中の1曲の「OPEN YOUR HEART」(後に1994年リリースの『TMN RED』に収録)という楽曲の作り替えであり、「CHRISTMAS CHORUS」は『CHILDHOOD'S END』作成時に収録されなかった曲である。その他の曲は1989年3月以降から作った曲だが、「RUNNING TO HORIZON」はTM NETWORKのシングル「DIVE INTO YOUR BODY」と同時に作った曲であり、多数決で「DIVE INTO YOUR BODY」はTM NETWORKの曲になった。

小室は「ボーカルとバックの響きを上手く調整できた。今までではありがちだった『バックと歌メロが別物』みたいな作りではない」と振り返っている[1]

リリース[編集]

1989年12月9日EPIC/SONY RECORDSよりリリースされた。

2013年7月17日にリマスター音源・Blu-spec CD2規格でGT musicレーベルより再リリースされた。

ツアー[編集]

概要[編集]

アルバムリリース直後の12月16日名古屋市総合体育館 レインボーホールから、1990年1月28日の横浜アリーナまで9都市全16公演で「Tetsuya Komuro Tour '89〜'90 Digitalian is eating breakfast」と題したソロライブツアーが行われた[5]

マイケル・ジャクソンの「バッド・ワールド・ツアー」と同じシステムが導入され、同ツアーに関わったスタッフが来日してサポートした[1]

日向大介が自身のプライベートスタジオである「Studio AVR」で開発したシステム「カレント・バッファー・ドライブ」を採用した。シールドケーブルを1kmつないでも、制作現場と変わらない音がライブ会場で鳴らされ、音の立ち上がりも早くなるというシステムである。ダイレクト・ボックスを使うとどうしても音がスローダウンするし、周波数特性も悪くなるため、ダイレクト・ボックスが電圧を上げるのに対し、このシステムでは電流を上げる様に設計された[6]

フルキットの3台のシンクラヴィアを使用した。日本の全国ツアーでのシンクラヴィアの使用は本ツアーが初めてだった[2]。シンクラヴィア本体はステージ裏に用意された専用ブースに置き、ゴミやステージ上の照明から保護した。更に電波等照明のモニターの干渉を防ぐために、銅膜でシールド加工を施した[6]

セットリスト[編集]

  1. WINTER DANCE
  2. DIGITALIAN
  3. SHOUT
  4. KISS YOU
  5. HURRY FOR WORKING LOVERS
  6. NEVER CRY FOR ME
  7. IN THE FACTORY
  8. 組曲 "VAMPIER HUNTER D" (Instrumental)
  9. 合戦 (Instrumental)
  10. OPERA NIGHT
  11. I WANT YOU BACK
  12. GRAVITY OF LOVE
  13. 20th CENTURY BOY
  14. DREAM RUSH
  15. CHRISTMAS CHORUS
  • 会場によって曲目、順番に変更あり。

公演日程[編集]

批評[編集]

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
CDジャーナル否定的[7]
  • 音楽情報サイト『CDジャーナル』では、「TMの延長戦といった趣きでポップな仕上がり」、「残念ながら本作では、彼の引き出し全てを開放するまでには至っていない」と評されている[7]

収録曲[編集]

A面
全編曲: 小室哲哉
#タイトル作詞作曲時間
1.「DIGITALIAN」(Instrumental)-小室哲哉
2.「SHOUT」小室哲哉小室哲哉
3.「OPERA NIGHT」小室みつ子小室哲哉
4.「I WANT YOU BACK」小室哲哉小室哲哉
5.GRAVITY OF LOVE小室哲哉小室哲哉
B面
#タイトル作詞作曲時間
6.「HURRAY FOR WORKING LOVERS」小室哲哉小室哲哉
7.「NEVER CRY FOR ME」小室みつ子小室哲哉
8.「WINTER DANCE」(Instrumental)-小室哲哉
9.RUNNING TO HORIZON小室みつ子小室哲哉
10.CHRISTMAS CHORUS小室哲哉小室哲哉
合計時間:

楽曲解説[編集]

1.DIGITALIAN

「いきなり歌から始まるのは恥ずかしい」という理由でワンクッションとして入れた[8]
テーマは「アイドリング」「スピード感」としている[8]
効果音は自宅録音で制作した素材をそのまま使用している[8]

2.SHOUT

坂元裕二との会話で何気なく出てきた「どこか見えない明日に期待を持っている女の子」を思い描いて作った[8]
歌詞にブランドの社名を引用しているのは単なる語呂合わせで深い意味はない[8]

3.OPERA NIGHT

オペラ座の怪人」をモチーフにしている[8]

4.I WANT YOU BACK

コンセプトは「『金曜日のライオン (Take it to the Lucky)』の続編」とし、歌詞に出てくる女性である「ジュリアのその後」をテーマにした[8]
南米の雰囲気を出すために、ブラジルでも使用されているポルトガル語をサンプリングしている[9]
別歌詞バージョンが、CoCoの「春・ミルキーウェイ」(作詞は吉澤久美子。『Strawberry』に収録)として提供された。

5.GRAVITY OF LOVE

先行シングルを含めたアルバムの楽曲中で一番最初に歌入れした楽曲である[8]
テーマは「日本語でこんな具体的に恋愛を書いた歌詞を歌って、歯が浮くのかどうか?」としている[8]

6.HURRAY FOR WORKING LOVERS

テーマは「業界人とOLの恋愛もの」「恋愛と仕事を両立させている女性達への、僕なりの応援歌」を「GRAVITY OF LOVE」に引き続いて掘り下げている[8][10]
ビリー・オーシャンの作風を意識して、バックトラックを作った[9]

7.NEVER CRY FOR ME

天と地と」との橋渡しになる様に制作した[8]

8.WINTER DANCE

「何も考えないでシンクラヴィアの音を楽しんでほしい」という思いから、オーバー・ダビングを念入りに行った[8]

9.RUNNING TO HORIZON

TM NETWORKのシングル「DIVE INTO YOUR BODY」と同時に作った曲である[8]

10.CHRISTMAS CHORUS

「クリスマスソングを1度はソロでやってみたい」という一ミュージシャンのわがままで作った[8]
「こんな優しい男の人をどう思いますか」という問いかけを込めた[2]

スタッフ・クレジット[編集]

参加ミュージシャン[編集]

スタッフ[編集]

リリース日一覧[編集]

No. 日付 レーベル 規格 規格品番 最高順位 備考
1 1989年12月9日 EPIC/SONY RECORDS CD
CT
ESCB-1013 (CD)
ESTB-1013 (CT)
4位
2 2013年7月17日 ソニー・ミュージックダイレクト/GT music ブルースペックCD2 MHCL-30103 165位[11] デジタルリマスター

参考文献[編集]

  • リットーミュージック刊「小室哲哉 Digitalian is eating breakfast」

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d e f ソニー・マガジンズ刊「WHAT's IN?」1989年12月号より。
  2. ^ a b c d e f g ダイヤモンド社刊『FM STATION』1989年12月24日号20P-21Pより。
  3. ^ ソニー・マガジンズ刊 『ギターブック』 1991年7月号19Pより。
  4. ^ 角川書店刊『CDでーた』1989年12月20日号4Pより。
  5. ^ TOUR '89~'90 ~Digitalian is eating breakfast~”. LiveFans. SKIYAKI APPS. 2018年12月8日閲覧。
  6. ^ a b リットーミュージック刊「サウンド&レコーディング・マガジン」1990年3月号4P-7Pより。
  7. ^ a b 小室哲哉 / Digitalian is eating breakfast [廃盤]”. CDジャーナル. 音楽出版. 2018年12月8日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n ソニー・マガジンズ刊「WHAT's IN?」1990年1月号94Pより。
  9. ^ a b ソニー・マガジンズ刊『WHAT's IN?』1992年3月号52P-55Pより。
  10. ^ 角川書店刊 『告白は踊る(角川文庫版)』 小室哲哉著181Pより。
  11. ^ Digitalian is eating breakfast”. オリコンニュース. オリコン. 2018年12月8日閲覧。

外部リンク[編集]