りゅう座

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りゅう座
Draco
Draco
属格 Draconis
略符 Dra
発音 英語発音: [ˈdreɪkoʊ]、属格:/drəˈkoʊnɨs/
象徴 the Dragon
概略位置:赤経 17
概略位置:赤緯 +65
広さ 1083平方度[1]8位
主要恒星数 14
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
76
系外惑星が確認されている恒星数 5
3.0等より明るい恒星数 3
10パーセク以内にある恒星数 6
最輝星 γ Dra(2.230
最も近い星 HD 173739とHD 173740;(11.5光年)
メシエ天体 1
流星群 ジャコビニ流星群
隣接する星座 うしかい座
ヘルクレス座
こと座
はくちょう座
ケフェウス座
こぐま座
きりん座
おおぐま座
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メルカトル天球儀1551に描かれたりゅう座(画像下半分)

りゅう座(りゅうざ、竜座、Draco)は、北天の星座で、トレミーの48星座の1つ。

主な天体[編集]

恒星[編集]

以下の恒星には、国際天文学連合によって正式な固有名が定められている。

  • α星:トゥバン[2] (Thuban[3]) は、4等星であり[4]最も明るい星ではないが、りゅう座α星である。紀元前2790年頃は、この星が北極星だった。理由については歳差を参照。
  • β星:ラスタバン[2] (Rastaban[3])
  • γ星:エルタニン[2] (Eltanin[3]) は、りゅう座で最も明るい恒星で、唯一の2等星[5]
  • δ星:アルタイス[2] (Altais[3])
  • ι星:エダシク[2] (Edasich[3])は、太陽系外惑星ι星b)を持つ巨星
  • λ星:ギャウサル[2] (Giausar[3])
  • μ星:6等星2つからなる連星で、A星にはアルラキス[2] (Alrakis[3]) という固有名が付けられている。
  • ξ星:グルミウム[2] (Grumium[3])
  • σ星:Alsafi[3]。太陽系から18.8光年
  • 7番星:天一 (Tianyi[3])
  • 8番星:太一 (Taiyi[3])
  • 42番星:ファフニール (Fafnir[3]) は、Orbitarと名付けられた太陽系外惑星を持つ巨星。
  • HD 109246:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でアイスランドに命名権が与えられ、主星はFuni、太陽系外惑星はFoldと命名された[6]
  • HD 161693:Alruba[3]

その他、以下の恒星が知られている。

星団・星雲・銀河[編集]

流星群[編集]

国立天文台の定める和名のついた流星群は以下の通り[7]

神話[編集]

紀元前3世紀のギリシャ人学者エラトステネースの名で伝わっている『カタステリスモイ (古希: Καταστερισμοί)』によれば、これはヘスペリデスの園黄金の林檎を守り、ヘーラクレースによって倒された竜であるとされる。エラトステネースは、紀元前5世紀の神話学者レロスのペレキュデースの伝える話として、ゼウスヘーラーの結婚を祝ってガイアから贈られた黄金の林檎の木を守る竜の話を伝えている。この竜は、黄金の林檎を盗もうとするアトラースの娘のヘスペリデスから黄金の林檎を守るためにヘーラーが配置したもので、ヘーラクレースと竜の闘いをゼウスが思い起こすため、ヘーラークレースのすぐ下に竜の星々が置かれたとしている[8][9]

アポロドーロスが『ビブリオテーケー (古希: Βιβλιοθήκη)』で伝えるところでは、この竜はテューポーンエキドナとの間に生まれた100の頭を持つ竜ラードーンであるとされる[10]

古代ローマの著作家ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌスは、『天文詩 (: De Astronomica)』の中でエラトステネースと同様の話を伝えるとともに、異説としてミネルバに倒された巨人がミネルバによって天に投げ上げられた姿であるとする話も伝えている[8]

呼称と方言[編集]

日本では、先の大戦まで龍(りょう)座と呼ばれていた[11][12]

出典[編集]

  1. ^ 星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h 原恵『星座の神話 - 星座の歴史と星名の意味』(新装改訂版4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、141-143頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m IAU Catalog of Star Names (IAU-CSN)”. 国際天文学連合 (2017年6月30日). 2017年10月14日閲覧。
  4. ^ * alf Dra -- Spectroscopic Binary”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2022年7月4日閲覧。
  5. ^ * gam Dra -- Star”. SIMBAD Astronomical Database. 2022年7月4日閲覧。
  6. ^ Approved names” (英語). Name Exoworlds. 国際天文学連合 (2019年12月17日). 2020年1月13日閲覧。
  7. ^ 流星群の和名一覧 (極大の日付順)”. 国立天文台 (2021年12月30日). 2022年7月4日閲覧。
  8. ^ a b Condos, Theony (1997). Star myths of the Greeks and Romans : a sourcebook containing the Constellations of Pseudo-Eratosthenes and the Poetic astronomy of Hyginus. Grand Rapids, MI, U.S.A.: Phanes Press. p. 72-73. ISBN 978-1-60925-678-4. OCLC 840823460. https://play.google.com/books/reader?id=9wPINXB4EAoC 
  9. ^ 伝エラトステネス『星座論』(2) りゅう座・ヘルクレス座・かんむり座”. 2022年8月31日閲覧。
  10. ^ Ian Ridpath. “Star Tales - Draco”. 2022年7月4日閲覧。
  11. ^ 東京天文台理科年表 第19冊』丸善、1943年、B 22頁頁https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1244806 
  12. ^ 東京天文台理科年表 第20冊』丸善、1947年、天 24頁頁https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1124208 

座標: 星図 17h 00m 00s, +65° 00′ 00″