ペガスス座
Pegasus | |
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属格形 | Pegasi |
略符 | Peg |
発音 | 英語発音: [ˈpɛɡəsəs]、属格:/ˈpɛɡəsaɪ/ |
象徴 | the Winged Horse / Pegasus |
概略位置:赤経 | 23 |
概略位置:赤緯 | +20 |
広さ | 1121平方度[1] (7位) |
主要恒星数 | 9, 17 |
バイエル符号/ フラムスティード番号 を持つ恒星数 | 88 |
系外惑星が確認されている恒星数 | 8 |
3.0等より明るい恒星数 | 5 |
10パーセク以内にある恒星数 | 2 |
最輝星 | ε Peg(2.39等) |
最も近い星 | EQ Peg;(20.7光年) |
メシエ天体数 | 1 |
流星群 | 7月ペガスス座流星群 |
隣接する星座 |
アンドロメダ座 とかげ座 はくちょう座 こぎつね座 いるか座 こうま座 みずがめ座 うお座 |
ペガスス座(ペガススざ、Pegasus)[2] は、古代ローマのクラウディオス・プトレマイオスが定めたトレミーの48星座の1つで、現在採用されている88星座の1つ。比較的明るい星が多い星座として知られる。日本の学術用語では「ペガスス座」という表記が定められている[2]が、一般には英語風の読みのペガサス座と呼ばれることもある[注 1]。
α星・β星・γ星・そしてアンドロメダ座のα星[注 2]からつくられる四角形は、ペガススの四辺形[3]として知られる。また、北半球ではペガスス座が秋を代表する星座のひとつであることから、「秋の(大)四辺形」とも呼ばれる。
主な天体[編集]
恒星[編集]
以下の恒星には、国際天文学連合によって正式な固有名が定められている。
- α星:マルカブ[7] (Markab[8])[4]。
- β星:シェアト[7] (Scheat[8])。長周期変光星[5]。
- γ星:アルゲニブ[7] (Algenib[8])。ケフェウス座ベータ型変光星[9]。
- ε星:エニフ[7] (Enif[8]) は2等星で、ペガスス座で最も明るい。長周期変光星[6]。
- ζ星:ホマン[7] (Homam[8])
- η星:マタル[7] (Matar[8])
- θ星:ビハム[10] (Biham[8])
- μ星:サダルバリ[10] (Sadalbari[8])
- 51番星:太陽よりわずかに大きなG型主系列星で、主星には Helvetios[8]、太陽系外惑星bには Dimidium という固有名が付けられている。
その他、以下の恒星が知られている。
星団・星雲・銀河[編集]
- M15:球状星団
- NGC 7331:渦巻銀河
- NGC 7332:レンズ銀河
- NGC 7619:楕円銀河
- NGC 7742:セイファート銀河
- ステファンの五つ子銀河:現在も衝突中である4つの銀河が含まれている。
その他[編集]
- アインシュタインの十字架:重力レンズ効果によって4つに分裂して、重力レンズを起こしている銀河とともに十字架に見えるクエーサー。
神話[編集]
ギリシャ神話に登場する、翼を持つ天馬ペーガソスをモチーフとしている。ペーガソスは、勇者ペルセウスがメドゥーサの首を切って倒したときに、クリューサーオールと共に胴体から生まれた[11]。ペーガソスという言葉はギリシャ語で「泉」を意味する Πηγαί (pegai) に由来する[11]。生れ出たペーガソスは飛び立って、ムーサたちの住むボイオーティアのヘリコン山に辿り着き、ムーサたちを喜ばせようと岩を蹄で撃ったところ、そこから泉が湧き出たという[11]。
リュキア王イオバテースから怪物キマイラ退治の命を受けたベレロポーンは、ペイレーネーの泉で水を飲んでいたペーガソスを女神アテーナーから授かった黄金の手綱で捕らえ、自らの乗馬とした[11]。ペーガソスに乗ったベレロポーンは、空中から矢と槍でキマイラを打ち倒した[11]。やがて増長したベレロポーンは、神の仲間入りをしようとペーガソスに乗って天を目指したが、ゼウスの遣わした虻を嫌ったペーガソスに振り落とされ、墜死した[11]。
ペーガソスはのちにゼウスの雷電の矢を運ぶ役目を負ったという[11]。
呼称[編集]
α、β、γ、アンドロメダ座αの4つの星からなる四辺形を、日本では枡に見立てて「ますがたぼし(枡形星)」「ますぼし(枡星)」などと呼ぶ地方がある。4つの星があることから「しぼし(四星)」「よつぼし(四ツ星)」「よつまぼし、よすまぼし(四隅星)」とも呼ばれる。また静岡県静岡市では、狩猟で獲った動物の皮を木の板に張って乾燥させた姿に見立てた「かわはりぼし、かあはりぼし、かはりぼし(皮張り星)」なる呼ばれ方もされていた[12]。
熊本県北部や新潟県村上地方では、ペガススの四辺形を枡に、アンドロメダ座β、γ、δを柄に見立てた「さかます(酒枡)」という呼称が伝わっている[12]。
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ “星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
- ^ a b 『文部省 学術用語集 天文学編(増訂版)』(第1刷)日本学術振興会、1994年11月15日、306頁。ISBN 4-8181-9404-2。
- ^ 原恵 2007, p. 167.
- ^ a b “* alf Peg -- High proper-motion Star”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2021年6月6日閲覧。
- ^ a b “* bet Peg -- Long-period variable star”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2021年6月6日閲覧。
- ^ a b “* eps Peg -- Long-period variable star”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2021年6月6日閲覧。
- ^ a b c d e f 原恵 2007, p. 192.
- ^ a b c d e f g h i “IAU Catalog of Star Names (IAU-CSN)”. 国際天文学連合 (2017年6月30日). 2017年10月14日閲覧。
- ^ “* bet Peg -- Long-period variable star”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2021年6月6日閲覧。
- ^ a b 原恵 2007, p. 193.
- ^ a b c d e f g Ridpath, Ian. “Star Tales - Pegasus”. 2014年2月1日閲覧。
- ^ a b 北尾浩一『日本の星名事典』(初版第一刷)原書房、2018年5月30日、382-385頁。ISBN 978-4-562-05569-2。
参考文献[編集]
- 原恵『星座の神話 - 星座の歴史と星名の意味』(新装改訂版4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日。ISBN 978-4-7699-0825-8。