アンドロメダ座
Andromeda | |
---|---|
![]() | |
属格形 | Andromedae |
略符 | And |
発音 | IPA: [ænˈdrɒmɨdə]、属格 /ænˈdrɒmɨdiː/ |
象徴 |
Andromeda, the Woman Chained |
概略位置:赤経 | 0h40m |
概略位置:赤緯 | +38° |
20時20分正中 | 11月27日 |
広さ | 722平方度[1] (19位) |
主要恒星数 | 4, 18 |
バイエル符号/ フラムスティード番号 を持つ恒星数 | 65 |
系外惑星が確認されている恒星数 | 4 |
3.0等より明るい恒星数 | 3 |
10パーセク以内にある恒星数 | 5 |
最輝星 | β And(2.05等) |
最も近い星 | ロス248;(10.32光年) |
メシエ天体数 | 3 |
流星群 | アンドロメダ座流星群(ビエラ群) |
隣接する星座 |
ペガスス座 カシオペヤ座 とかげ座 ペルセウス座 うお座 さんかく座 |
アンドロメダ座(アンドロメダざ、Andromeda)は、北天の星座でトレミーの48星座の1つ。アンドロメダ銀河 (M31) があることで知られている。
主な天体[編集]
恒星[編集]
α星、β星、γ星の3つの2等星がある[2][3][4]。以下の恒星には、国際天文学連合によって正式に固有名が定められている。
- α星:アルフェラッツ (Alpheratz) は、かつて、ペガスス座の一部分であり、「ペガスス座δ星」でもあった。この星とペガスス座のα星、β星、γ星の4つの星により形作られる四角形は「ペガススの大四辺形」と呼ばれる。
- β星:ミラク (Mirach) は「腰布」という意味のアラビア語に由来する。赤色巨星[3]。
- γ星:対照的な色の美しい二重星であり、γ1星の固有名はアルマク。
- ξ星:固有名はアディル (Adhil) 。
- υ星:固有名はTitawin。最低でも惑星を3つ持つ。
- 14番星:固有名はVeritate。Speと命名された惑星を持つ。
- 51番星:固有名はネンブス (Nembus) 。かつてペルセウス座υ星と呼ばれたこともある。
- HD 16175:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でエチオピアに命名権が与えられ、主星はBuna、太陽系外惑星はAbolと命名された[5]。
- HAT-P-6:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でオランダに命名権が与えられ、主星はSterrennacht、太陽系外惑星はNachtwachtと命名された[5]。
その他、以下の恒星が知られている。
星団・星雲・銀河[編集]
- M31(アンドロメダ銀河):アンドロメダ座で最も有名な恒星以外の天体であり、肉眼で見ることのできる最も遠い天体と言われることもある[注 1]。天の川銀河が属する局所銀河群で最大の渦巻銀河。天球上では、アンドロメダ座β星とμ星に線を引き、それをμ星方向にほぼ等距離伸ばした場所にある。
- M32:M31の伴銀河
- M110:M31の伴銀河
- NGC 752:散開星団
神話[編集]

帝政ローマ最初期の詩人オウィディウスの『変身物語』や偽アポロドーロスの『ビブリオテーケー』では以下の物語が伝えられている[7]。
アンドロメダーは、エチオピア[注 2]の王ケーペウスと王妃カッシオペイアの娘である。カッシオペイアが「自分の美貌は海のニュムペー ネーレーイスに優る」と自惚れたことに腹を立てたネーレーイスたちはポセイドーンに訴え出た。それを聞き入れたポセイドーンは、エチオピアに海の怪物ケートスを遣わし、災害を引き起こした。困ったケーペウスが神託を立てたところ、「災害を止めるにはアンドロメダーをケートスに生贄として捧げなければならない」とされたため、アンドロメダーはヨッパの海辺の岩に鎖で縛られ、ケートスに捧げられた[8]。
そこに、ゴルゴーンの一人メドゥーサを退治して帰る途中のペルセウスが通りかかり、事情を聞いた。ペルセウスは、ケートスを倒して彼女を救うことができたら彼女との結婚を認めることをケーペウスに約束させると、ケートスをハルパーで切って倒してアンドロメダーを救った[8][9]。
以後若干の紆余曲折はあったが、アンドロメダーはペルセウスの妻となり、6人の子を成した。後にアテーナーにより天に上げられ、星座になったとされる[8]。
呼称と方言[編集]
明治期より「アンドロメダ」という訳名が使われており[10]、明治末期以降数度行われた星座の訳名見直しでも他の呼び名が採用されることはなかった[11][12][13]。これに対して京都帝国大学系の研究者山本一清は「日本語で「アンドロメダ」とするよりも「アンドロメ」に止めた方が女性らしい優しみの感じを與へる[14]」という見解を持っており、1928年に天文同好会の編集により新光社から刊行された『天文年鑑』の第2号では、この星座を「アンドロメ」と表記させた[15]。
δ、β、γの3つの星が作る線を、升に盛った穀類の盛り上がった部分を平らにならす「斗掻き」に見立てて「とかきぼし」(斗掻き星)と呼んだことが伝えられている[16][17]。アンドロメダ座は、その領域の多くが二十八宿の1つ「奎宿」の領域に含まれており、江戸時代には奎宿に「トカキボシ」と訓があてられることもあった[17]。また新潟県三条市には、玄米から糠を落として白米にする作業に使う「米搗き」に見立てた「こめつきぼし」(米搗き星)という呼び名が伝えられている[16][17]。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ “星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
- ^ "alf And". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月3日閲覧。
- ^ a b "bet And". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月3日閲覧。
- ^ "gam01 And". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月3日閲覧。
- ^ a b “Approved names” (英語). Name Exoworlds. 国際天文学連合 (2019年12月17日). 2020年1月4日閲覧。
- ^ McArthur, Guy (2007年9月2日). “Messier Object 81”. SEDS Messier Database. 2022年11月3日閲覧。
- ^
Ovid. “Book IV, V”. In Miller, Frank Justus. Metamorphoses. - ウィキソース.
- ^ a b c Ridpath, Ian. “Star Tales - Andromeda”. 2022年11月3日閲覧。
- ^ 草野巧 『ギリシア神話 神・英雄録』新紀元社、1995年1月30日、109頁。ISBN 4883172473。
- ^ ジェー、ノルマン、ロックヤー 著、木村一歩、内田正雄 編 『洛氏天文学 上冊』文部省、1879年3月、57頁 。
- ^ 「星座名」『天文月報』第2巻第11号、1910年2月、 11頁、 ISSN 0374-2466。
- ^ 学術研究会議 編「星座名」 『天文術語集』1944年1月。doi:10.11501/1124236 。
- ^ 「星座名」『天文月報』第45巻第10号、1952年10月、 13頁、 ISSN 0374-2466。
- ^ 山本一清「天文用語に關する私見と主張 (2)」『天界』第14巻第157号、東亜天文学会、1934年4月、 247-250頁、 doi:10.11501/3219878、 ISSN 0287-6906。
- ^ 天文同好会 編 『天文年鑑』2号、新光社、1928年6月、3-6頁。doi:10.11501/1138377 。
- ^ a b 北尾浩一「第4章第2節03「アンドロメダδβγ」」 『日本の星名事典』原書房、2018年5月30日、385-386頁。ISBN 978-4-562-05569-2。
- ^ a b c 野尻抱影「秋の星の和名 アンドロメダ座・三角座」 『日本星名辞典』(七版)東京堂出版、1986年4月10日、95頁。ISBN 4490100787。