ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡
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James Webb Space Telescope (JWST) artist's conception (NASA) | |
| 基本情報 | |
|---|---|
| 所属 | NASA / ESA / CSA |
| 主製造業者 |
ボール・エアロスペース ノースロップ・グラマン |
| 打上げ日時 | 2021年3月30日(予定)[1] |
| 打上げ場所 |
ギアナ宇宙センターELA-3 フランス領ギアナ・クールー |
| 打上げ機 | アリアン5[2] |
| ミッション期間 | 5年間(設計寿命)、10年間(目標) |
| 質量 | 6,200 kg (14,000 lb) |
| 軌道周期 | 1年 |
| 所在地 |
1.5×106 km ラグランジュ点(L2) |
| 形式 | カセグレン式反射望遠鏡 |
| 観測波長 | 0.6から28 µm(赤外線) |
| 口径 | 〜6.5 m (21 ft) |
| 開口面積 | 25 m² (270 ft²) |
| 焦点距離 | 131.4 m (431 ft) |
| 観測装置 | |
| NIRCam | 近赤外線カメラ |
| NIRSpec | 近赤外線分光器 |
| MIRI | 中赤外線観測装置 |
| FGS | 高精度ガイドセンサー |
| 公式サイト | www.jwst.nasa.gov |
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(ジェイムズ・ウェッブうちゅうぼうえんきょう、英: James Webb Space Telescope、JWST)は、アメリカ航空宇宙局(NASA)が中心となって開発を行っている赤外線観測用宇宙望遠鏡である。ハッブル宇宙望遠鏡の後継機であるが、計画は度々延期され、打ち上げ予定日は2021年3月30日に再設定された[1]。
JWSTの名称は、NASAの二代目長官ジェイムズ・E・ウェッブ にちなんで命名された。彼は1961年から1968年にかけてNASAの長官を務め、のちのアポロ計画の基礎を築くなど、アメリカの宇宙開発を主導した。かつては「次世代宇宙望遠鏡」(NGST / Next Generation Space Telescope)と呼ばれていたが、2002年に改名された。
任務[編集]
JWSTの主な任務は、宇宙誕生ビッグバンの約2億年後以降に輝き始めたとされるファーストスター(種族III)を初観測することである。ファーストスターからの光は赤方偏移により波長が引き延ばされ赤外線に変化すると考えられており、赤外線域で捜索・観測することによって、ファーストスターを発見することが期待されている。そのほか、搭載する高解像度の赤外線画像センサーと分光器による系外惑星の観測についても、新たな知見が得られるのではないかと期待されている[3]。
JWSTの運用は、ESAとNASAが共同で行う計画である。打ち上げ後JWSTは、太陽 - 地球のラグランジュ点の1つ(L2)に置かれることになっている。JWSTは、ハッブル宇宙望遠鏡(以下「HST」と記す)のように地球の周回軌道を飛行するのではなく、地球からみて太陽とは反対側150万kmの位置の空間に漂わせるように飛行する。
観測のためには、機体を極低温に冷却し、太陽や地球の光なども避ける必要がある。そのため、JWSTは折畳まれた遮光板を搭載し、遮光板によってJWSTの機体に到達する不要な光が遮蔽される。L2点においては、地球と太陽が望遠鏡の視界の中で常に同じ相対的位置を占めるため、頻繁に位置修正しなくとも遮光板を確実に機能させることができる。
HSTは地表から約600kmという比較的低い軌道上を飛行している。このため、光学機器にトラブルが発生してもスペースシャトルで現地へ行って修理することが可能であった。これに対し、JWSTは地球から150万kmもの遠距離に置かれるため、万が一トラブルが発生してもHSTのように修理人員を派遣することは事実上不可能とみられている。
構造[編集]
JWSTの質量は6.2 tとして計画されており、HST(約11 t)の約半分である。ただし、ベリリウムを主体とした反射鏡の主鏡の口径は約6.5mに達する。これはHST(口径2.4m)の2.5倍で、面積は7倍以上にもなる。この点から、HSTをしのぐ非常に高い観測性能が期待されている。逆に鏡の重量は軽量化されている。
主鏡の直径は、現在存在するいずれの打ち上げロケットにも収まらないほど巨大である。ただし、主鏡は一枚鏡ではなく18枚の六角形のセグメントに分割されている。各鏡セグメントは約20kgであり、望遠鏡が打ち上げられた後に高感度のマイクロモーターと波面センサーによって正確な位置に導かれて展開する。なお、ケック望遠鏡のような地上の望遠鏡は重力負荷や風力による影響を克服するために、能動光学によって鏡セグメントを常に調整し続ける必要がある。これに対し、JWSTの場合、この初期配置を終えると、鏡セグメントを再度動かすことは、まず行われないと考えられている。
JWSTにとっての挑戦的課題として、反射鏡を低温に維持することを挙げることができる。宇宙誕生初期の星や星雲をとらえるためには非常にエネルギーの小さい赤外線をとらえる必要があり、反射鏡を-220℃にまで冷却しておかなければならない。その冷却のためにも、JWSTは地球から遠く、また地球と太陽からの光(赤外線)を同時に遮光できるラグランジュ点(L2)に送り込まれるのである。
主鏡の鏡面は全体としても六角形をなしており、集光部と鏡がむき出しとなっている。このため、主鏡の鏡面は電波望遠鏡のアンテナを連想させる形状をしている。また、本体は筒型ではなく、主鏡の下にシート状の遮光板が広げられた形となっている。鏡面は赤外線をよく反射させるため金メッキが施されている。このため黄色より波長の短い可視光域は金に吸収され観測できない。
経緯[編集]
2003年の時点では、2010年に観測活動を終えることになっていたHSTの後継機として2011年打ち上げが予定されていた。しかし、JWSTの開発が順調に進まず、HSTも補修による延命措置を受けたため、2010年には2015年以降に打ち上げが延期された[4]。2011年6月、コストが当初予定の4倍以上になり、打上げも2018年以降(2020年以降の可能性も)になるとの報告が行われた。このため、増大し続けるコストを懸念して計画中止を求める声がNASAの他のプロジェクトから上がった[5]。
2016年11月、ゴダード宇宙飛行センターで主鏡の組み立てが完了し、試験のためにジョンソン宇宙センターへ移送された[2]。この時点では2018年10月の打ち上げが予定されていた[2]。しかし2017年9月末には、各種機器の統合が想定より遅れていることから、さらに2019年3~6月に遅れる見込みであることが公表された[6]。
2018年6月、音響試験中に発見された異常により、ネジの緩みがあったことが明らかになったため、打ち上げは2021年3月30日に再延期されることになった[1][7]。
参考文献[編集]
- ^ a b c Dunbar, Brian (2018年6月28日). “NASA Completes Webb Telescope Review, Commits to Launch in Early 2021” (英語). アメリカ航空宇宙局 2018年6月28日閲覧。
- ^ a b c “「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」超低温テストへ 2018年打ち上げ”. sorae.jp. (2017年5月11日) 2017年9月14日閲覧。
- ^ “ここがすごい!ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡”. ニュースサイト. NATIONAL GEOGRAPHIC 日本版 (2015年4月30日). 2016年9月29日閲覧。
- ^ Sujata Gupta (2010年11月11日). “Hubble's over-budget successor may be delayed for years”. NewScientist 2010年11月17日閲覧。
- ^ “NASA: Extra money needed to launch JWST this decade”. Spaceflightnow.com 2011年9月24日閲覧。
- ^ “NASA’s James Webb Space Telescope to be Launched Spring 2019”. アメリカ航空宇宙局 (2017年9月29日). 2017年10月2日閲覧。
- ^ “James Webb Space Telescope IRB Report and NASA Response (PDF)” (英語). アメリカ航空宇宙局 (2018年6月26日). 2018年6月30日閲覧。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- JWST homepage at NASA
- James Webb Space Telescope: Deployment Animation 軌道上での展開シーケンスを紹介するCG
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