カッシーニ (探査機)

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カッシーニ Cassini
Cassini Saturn Orbit Insertion.jpg
土星に接近するカッシーニの想像図
所属 アメリカ航空宇宙局 (NASA)
欧州宇宙機関 (ESA)
イタリア宇宙機関 (ASI)
公式ページ Cassini-Huygens (NASA)
ESA-Cassini-Huygens (ESA)
国際標識番号 1997-061A
カタログ番号 25008
状態 運用中
目的 土星の探査
観測対象 土星
打上げ機 タイタンIV Bセントール
打上げ日時 1997年10月15日
4時43分 (東部夏時間)
軌道投入日 2004年6月30日
物理的特長
本体寸法 高さ: 6.8 m × 幅: 約 4 m
質量 5.8 t
発生電力 原子力電池3基(放射性同位体熱電対)
周回対象 土星

カッシーニ (Cassini-Huygens) は、アメリカ航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)によって開発され、1997年に打上げられた土星探査機である。

カッシーニは、金星→金星→地球木星の順にスイングバイを行なって土星軌道に到着した。カッシーニには惑星探査機ホイヘンス・プローブ (2.7 m、320 kg) が搭載されており、タイタンでカッシーニより切り離されてタイタンに着陸し、大気の組成・風速・気温・気圧等を直接観測した。

カッシーニとホイヘンスよりなる土星探査はカッシーニ・ホイヘンス・ミッションと呼ばれ、欧米18カ国の科学者約260人が参画している。

カッシーニの名は、天文学者ジョヴァンニ・カッシーニに、ホイヘンスの名は同じく天文学者クリスティアーン・ホイヘンスに由来する。

当初はガリレオ同様に小惑星に接近する計画であったが、予算の都合により断念された。

経過[編集]

土星のリングの様子。太陽が向こう側にあるため、薄いリングも映っている。2006年9月15日撮影。
タイタンの表面。2004年10月26日撮影。
  • 1997年10月15日 アメリカ合衆国フロリダ州ケープカナベラル空軍基地LC40発射台からタイタンIV型ロケットによって打上げられた。
  • 1998年4月26日 金星に接近し1回目のスイングバイ
  • 1999年6月24日 金星に接近し2回目のスイングバイ
  • 1999年8月18日 地球をスイングバイして木星への軌道にのる。
  • 2000年1月23日 小惑星帯を通過し、(2685) マサースキーの点状の写真を撮影。
  • 2000年12月30日 木星をスイングバイ、土星への軌道へ。
  • 2004年6月16日 主エンジンを38分間噴射、軌道修正(飛行速度を約3.6 m/s(?)に減速)
  • 2004年6月30日 土星軌道に投入。
  • 2004年8月16日 土星の衛星2個の発見を公表 (メトネパレネ)。
  • 2004年9月9日 土星の衛星2個 (仮符号 S/2004 S 3S/2004 S 4)、環 (仮符号 R/2004 S1) を発見。
  • 2004年10月21日 土星の衛星2個 (ポリュデウケス、仮名称 S/2004 S 6)を発見。
  • 2004年12月24日 タイタンにホイヘンス探査機を放出。
  • 2005年1月14日 ホイヘンスがタイタンに着陸し、機能停止するまでの3時間40分、カッシーニ経由で地球へ探査データを送った。
  • 2008年4月15日 探査計画の2010年9月までの延長が決定。
  • 2009年8月11日 土星の輪の「消失現象」を観測。
  • 2010年2月3日 探査計画の2017年5月までの延長を発表[1]
  • 2013年4月29日 土星の北極にハリケーンのような大気の渦の姿を観測[2][3]。渦は北極を中心として目だけで約2千キロ[2][3]、地球の平均的なハリケーンの約20倍[3]
  • 2013年7月19日 14億4000万キロ離れた土星上空から地球を撮影[4]
  • 2014年4月3日、米航空宇宙局 (NASA) は、カッシーニの観測によって土星の衛星エンケラドゥスに液体の水の大規模な地下海の証拠が発見されたと報告した[5]。地下の海の証拠はエンケラドゥスは「微生物が生息する太陽系で最も可能性の高い場所」の一つであることを示唆している[6][7]
  • 2014年6月30日、土星軌道投入から10周年を達成。2016年から始まる最後のミッションとして「グランドフィナーレ」と呼ぶミッションフェーズに移行することが発表された。このミッションでは土星の北極上空を通過してFリングのすぐ外を通過する軌道を繰り返し周回しながら観測を行う計画[8]
  • 2017年4月26日、土星と環の間を、人類の探査機として初めて通過[9][10]
  • 2017年9月15日、カッシーニ本体を土星の大気圏に突入させて運用を終了する予定。この方法によって、探査機に付着している可能性がある微生物などが、土星の衛星を汚染するのを防ぐことができる。過去にも多くの探査機が運用終了と同時に探査目的の惑星に突入させられている。

成果[編集]

カッシーニが写したエンケラドゥス

カッシーニが土星軌道に投入されてからの10年間の成果は、以下の通り。また、この間に200万回コマンドを実行し、科学データを514GB収集、土星の衛星を7つ発見、土星の衛星に132回フライバイし、26ヶ国からの科学者が計画に参加、科学論文を3039件発行、土星を206周回実施、写真を33万2,000枚撮影、エンジン噴射を291回実施した[11]

  • ホイヘンスプローブをタイタンに着陸させた。
  • エンケラドゥスが氷のプルームを活発に吹き上げていることを発見
  • 土星のリングが活発で動的であることを明らかにし、惑星形成の研究に寄与
  • タイタンが地球のように雨や川、湖、海を持つ世界であることを発見
  • 2010-2011年にかけて土星の北側で起きた大規模な嵐を調査
  • 土星からの電波パターンは従来考えられていた土星内部の回転とは関係性がないことを確認
  • リングの垂直構造を明らかにする画像を初めて取得
  • タイタンの前生物的な化学研究
  • イアペトゥス表面で見られる2重の明暗域の謎を解明
  • 北極の6角形(ヘキサゴン)の様子を初めて完全に観察し、土星両極の巨大なハリケーンを発見

カッシーニの探査の成果(判明したこと)として、衛星や環の発見以外に、次のようなことが挙げられる。

木星[編集]

木星には独立した嵐が存在し、小さな斑点となって現れることが分かった。

一般相対論の検証[編集]

木星付近で、一般相対性理論を検証する実験の再現に成功した。すなわち、太陽の近くをかすめるように電波を発射し、太陽の近くを通らない場合より到達に時間がかかることを証明した。これは、重い天体の近くで時空が歪むというアインシュタインの理論と整合する。

タイタン[編集]

タイタンには、液体が流れたことによる流路があることが分かった。大気からの降雨があることが確認された、太陽系では地球以外の唯一の天体となっている。タイタンの濃密な大気は、メタンが分解され、それが再結合した炭化水素のような大きな有機分子ができることで作られたことが分かった。タイタンのメタンが、生物由来でないことが強く推測された。

諸元[編集]

カッシーニの総費用は約34億米ドルと、近年の惑星探査においては最大規模の探査機となった。カッシーニ以降、NASAはディスカバリー計画のように低予算・軽量の探査機を打ち上げるようになっている。

  • 高さ: 6.8 m
  • 幅:約4 m
  • 重さ:5.8 t
  • 動力:原子力電池3基(放射性同位体熱電対)
カッシーニ動画 (CG)
カッシーニ 動画 (CG)
搭載されている原子力電池

積載機器[編集]

レーダー・マッパー、CCD撮像カメラ、可視光線・赤外線マッピング分光計、宇宙塵分析器、電波・プラズマ波測定器、プラズマ分光計、紫外線撮像カメラ、磁力計、イオン・中立質量分光計など。

画像[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ NASA Extends Cassini's Tour of Saturn, Continuing International Cooperation for World Class Science”. NASA JPL (2010年2月3日). 2010年2月5日閲覧。
  2. ^ a b “The Rose”. NASA. (2013年4月29日). http://www.jpl.nasa.gov/spaceimages/details.php?id=PIA14944 2014年4月12日閲覧。 
  3. ^ a b c “土星北極の巨大嵐、カッシーニが観測”. ナショナルジオグラフィック . (2013年5月2日). http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/7905/?ST=m_news 2016年6月8日閲覧。 
  4. ^ “The Day the Earth Smiled: Sneak Preview”. NASA. (2013年7月22日). http://www.jpl.nasa.gov/spaceimages/details.php?id=PIA17171 2014年4月12日閲覧。 
  5. ^ Cassini Plumbs the Depths of the Enceladus Sea”. サイエンス (2014年4月4日). 2014年4月12日閲覧。
  6. ^ NASA Space Assets Detect Ocean inside Saturn Moon”. NASA (2014年4月3日). 2014年4月3日閲覧。
  7. ^ Iess, L.; Stevenson, D.J.; Parisi, M.; Hemingway, D.; Jacobson, R.A.; Lunine, J.I.; Nimmo, F.; Armstrong, J.w. et al. (4 April 2014). “The Gravity Field and Interior Structure of Enceladus”. Science (journal) 344 (6179): 78-80. doi:10.1126/science.1250551. http://www.sciencemag.org/content/344/6179/78 2014年4月3日閲覧。. 
  8. ^ “Cassini Names Final Mission Phase Its 'Grand Finale'”. NASA JPL. (2014年6月30日). http://saturn.jpl.nasa.gov/news/cassinifeatures/feature20140630/ 2014年7月6日閲覧。 
  9. ^ Cassini's Signal Detected After Dive Through Saturn's Rings”. NASA. 2017年5月2日閲覧。
  10. ^ “カッシーニ、初めて土星の輪の内側に…NASA”. 読売新聞朝刊. (2017年5月1日). http://www.yomiuri.co.jp/science/20170430-OYT1T50059.html 
  11. ^ “Cassini Celebrates 10 Years Exploring Saturn”. NASA. (2014年6月25日). http://www.nasa.gov/jpl/cassini/10-years-20140625/ 2014年7月21日閲覧。 

参考文献[編集]

外部リンク[編集]