DESTINY (探査機)

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深宇宙探査技術実験ミッションDESTINYDESTINY, Demonstration and Experiment of Space Technology for INterplanetary voYage)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、宇宙科学研究所(ISAS)が検討中の小型科学衛星・工学実験機である。

概要[編集]

JAXAが推進する小型科学衛星プログラムに提案中のプロジェクトで、2013年9月に打ち上げられたひさき (SPRINT-A)、2016年12月に打ち上げられたジオスペース探査衛星あらせ (ERG) に続く小型科学衛星の3号機として、イプシロンロケットでの打ち上げを目指していた。ISASにより行われた次期小型科学衛星の公募は2014年2月18日に締め切られ、宇宙理学・工学委員会による審査で、7件の応募から本プロジェクトと小型探査機による高精度月面着陸技術実証(SLIM)が候補ミッションに選定されたが[1]、ISASは2015年2月にSLIMを最終候補として選定した[2]。2015年11月現在、DESTINY+PLUS, Phaethon fLyby with reUSable probe)として次回公募に向け検討活動を続けている[3][4]

ミッション[編集]

ミッションのコンセプトとして「将来の深宇宙探査の鍵となる先端技術」が示されており、これらの要素技術の実験・実証により、探査機バスの重量を大幅に軽量化、高度化されたイプシロンロケットとの組み合わせで、金星火星などの探査において50kgから200kgのミッションペイロードを持つ小型高性能深宇宙探査機を実現するとしている。[5]

  1. イプシロンロケットによる高エネルギー軌道投入
  2. 薄膜軽量太陽電池パネル
  3. 大型イオンエンジン
  4. 先端的熱制御
  5. イオンエンジン運転中の軌道決定
  6. 実験機運用の自律化・効率化
  7. ハロー軌道遷移・維持の軌道制御

イプシロンロケットで打ち上げ、アポロ群の (3200) フェートンなど複数の小惑星をフライバイするミッションが予定されている[4]。 旧DESTINYでは打ち上げ後、地球を周回しながらイオンエンジンで増速、月スイングバイを行い、L2ハロー軌道の投入・離脱を行う提案がされていた。

理学ミッション[編集]

DESTINY+は小惑星フェートンをフライバイ中、放出されたガスのその場分析やハイビジョンカメラによる撮影を行う。これらにより太陽加熱が小天体の進化にどのような影響を及ぼしているのかを観測する。また、フェートンはふたご座流星群の母天体であり、彗星・小惑星遷移天体だと考えられている。

機体[編集]

衛星バスにはSPRINTシリーズで採用されているNEXTARが使用されると思われる。メインスラスタとしてはやぶさ(MUSES-C)で使用されたμ10を10mNに高推力化した改良型を4基搭載、巨大な薄膜軽量太陽電池パネルが外観上の特徴となる。2015年までの検討ではより大口径のμ20を1基搭載することが想定されていた[6]。また、μ10を高比推力化したμ10HIspを使用することも検討していた[7]。μ10の改良型ははやぶさ2で先行して採用されており合計推力は30mNだったが、こちらでは4基同時に稼働させ[8]合計推力が40mNになる見込み[9]

PROCYON-mini[編集]

DESTINY+ではオプションとして子機を分離し、小惑星の近接フライバイを行う案も出されている[4][10]はやぶさ2の打ち上げに相乗りした超小型新宇宙探査機PROCYON(Proximate Object Close flyby with Optical Navigation)を軽量化した、PROCYON-miniを利用することが考えられている。子機を搭載することで、DESTINY+本体を危険に晒すことなく小惑星の近接観測が可能となる。またフライバイ後にPROCYON-miniを母機が回収することで、近接フライバイを複数の小惑星で繰り返し行うことができる。もし実現すれば、これは世界初の深宇宙でのランデブー・ドッキングとなる。

関連項目[編集]

類似のミッション

脚注[編集]

  1. ^ 第15回宇宙科学・探査部会 資料1「宇宙科学・探査プロジェクトの検討状況について」”. 宇宙科学研究所. 2015年1月5日閲覧。
  2. ^ 第14回 科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会宇宙開発利用部会ISS・国際宇宙探査小委員会 資料14-2「宇宙科学・探査ロードマップの検討状況について」”. 宇宙科学研究所 (2015年4月20日). 2015年6月30日閲覧。
  3. ^ 川勝康弘、荒井朋子、豊田裕之、西山和孝、船木一幸、岩田隆浩 (2015年10月9日). “深宇宙探査技術実証機 DESTINY (PDF)”. 日本惑星科学会2015秋季講演会予稿集. 2015年12月6日閲覧。
  4. ^ a b c 第 8 回 CPS 月惑星探査研究会「深宇宙探査技術実証機 DESTINY+(PLUS:Phaethon fLyby with reUSable probe)サイエンス ワークショップ」のご案内”. 惑星科学研究センター (2015年11月24日). 2015年12月30日閲覧。
  5. ^ 川勝康弘 (2012年3月6日). “第2回小型科学衛星シンポジウム「深宇宙探査技術実験ミッションDESTINY」”. DESTINY (深宇宙探査技術実験ミッション)WG. 2015年1月5日閲覧。
  6. ^ 深宇宙への敷居を下げる深宇宙探査実証機DESTINY (PDF)”. jaxa (2015年7月). 2017年11月11日閲覧。
  7. ^ 第59回 宇宙科学技術連合講演会 プログラム (PDF)”. 日本航空宇宙学会事務局 (2015年10月7日). 2016年1月1日閲覧。
  8. ^ イオンエンジンμ10 (PDF)”. jaxa. 2017年11月11日閲覧。
  9. ^ 塚本直樹 (2017年9月21日). “JAXA、小惑星探査機「DESTINY+」2022年に打ち上げ 「フェイトン」探査でドイツと協力模索も”. sorae.jp. http://sorae.jp/030201/2017_09_21_jaxadlr.html 2017年9月22日閲覧。 
  10. ^ 船瀬 龍 (2015年3月13日). “超小型深宇宙探査機PROCYON(プロキオン)の成果と将来展望 (PDF)”. 第15回宇宙環境技術交流会. 2016年1月1日閲覧。

外部リンク[編集]