火星衛星探査計画

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火星衛星探査計画
(MMX、Martian Moons eXploration)[1][2]
Mmxspacecraft 0.jpg
所属 国際宇宙探査センター/JAXA
公式ページ MMX(Martian Moons eXploration)
状態 計画中
目的

・火星衛星の起源を明らかにし、太陽系の惑星形成の謎を解き明かす
・火星圏(火星、フォボス、ダイモス)の進化の過程を明らかにする
・火星圏への往還技術の獲得
・天体表面上での高度なサンプリング技術の獲得

・新探査地上局を使った最適な通信技術の獲得
観測対象 火星の衛星
フォボスダイモス
物理的特長
軌道要素
周回対象 火星[3]
軌道 QSO(模擬周回軌道、Quasi Satellite Orbit)[3]
搭載機器
TENGOO / OROCHI 望遠カメラ/広角分光カメラ
LIDAR レーザー高度計
MacrOmega 近赤外分光計
MEGANE Mars-moon Exploration with Gamma rays and Neutrons
CMDM 火星周回ダスト観測装置
MSA イオンエネルギー質量分析器
コアラー サンプリング装置
ニューマティックサンプラー サンプリング装置
小型ローバー 小型探査機
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火星衛星探査計画 (かせいえいせいたんさけいかく、: Martian Moons eXploration, MMX) [1][2]は、2024年度による打ち上げを目指している宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 主導による数か国の国際共同深宇宙探査計画[4]火星の衛星フォボスダイモスを観測し、そのうち1つからサンプルを採取して地球へ帰還すること (サンプルリターン) を想定している[1][2]。打ち上げにはH3ロケットを使用する[4]

ミッション概要[編集]

火星の第1衛星 フォボス
火星の第2衛星 ダイモス

2024年打上げ、2025年火星周回軌道投入、2029年地球帰還を計画している。探査機は火星を周回する軌道に入ってから、火星衛星を周回するQSO(模擬周回軌道、Quasi Satellite Orbit)[注釈 1]に移り、搭載機器によるフォボスのリモートセンシング観測を行う。そして、1回もしくは2回探査機の持つ脚で着陸して表層の砂 (レゴリス) を採取する[6]。1回のサンプリングで 10 g 以上のサンプルを採集することを目標としている[7]。これはロボットアームとコアラー機構を組み合わせたシステムにより行われる[6]。またガスを利用したニューマティックサンプラーも搭載し、サンプルを取得する[8]。サンプルを取得後、地球に帰還する前にダイモスをフライバイ観測することも計画している[9]

ミッションの目的[編集]

科学・工学の両面から以下の目的を検討している[3]

科学[編集]

  • 火星衛星の起源を明らかにし、太陽系の惑星がどのようにできたのかを明らかにする。
  • 火星圏(火星フォボスダイモス)がどのように進化してきたのかを明らかにする。
    • 仮説が2つあり、火星が小惑星を捕獲したのか、あるいは天体衝突時の破片が集合して生成したのかを判断する[6][10][11]

工学[編集]

  • 火星圏への往還技術を獲得する。
  • 天体表面上での高度なサンプリング技術を獲得する。
  • 新探査地上局を使用した、最適な通信技術を獲得する。

経緯[編集]

  • 「太陽系生命環境の誕生と持続に至る条件としての前生命環境の進化の理解」を大目標とする惑星科学コミュニティは、火星衛星からのサンプルリターンを最重要ミッションであると掲げ、火星衛星探査検討チームを立ち上げた[12]
  • 2015年の宇宙科学・探査小委員会において、JAXA宇宙科学研究所から火星衛星サンプルリターン計画が提言された。この時点では往路モジュール、復路モジュールは化学推進系または電気推進系の組み合わせ3種類が検討されていた[13]
  • 宇宙科学研究所の小惑星探査戦略に、DESTINY+などと同じく位置づけが明確化された[14]

国際協力[編集]

アメリカ航空宇宙局 (NASA)、ドイツ航空宇宙センター (DLR)、フランス国立宇宙研究センター (CNES) 、ヨーロッパ宇宙機関 (ESA) も参加する日本主導の国際ミッションでもある[6][15][16]

NASAからはガンマ線・中性子分光計(名称MEGANE)が提供され、MMXに搭載される。開発を担当するのは、ジョンズ・ホプキンズ大学応用物理研究所である[17]

CNESDLRは、小惑星探査機はやぶさ2に搭載した小型着陸機MASCOTの後継として小型ローバーを開発し、MMXに搭載する。小型ローバーはMMXの着陸より前に火星衛星表面に降り立ち、表面レゴリスの組成を分析し、MMXのミッションリスク軽減するとともにミッションを最適化する。またMASCOTでは一次電池であったが、小型ローバーには太陽電池が搭載され、数ヶ月の表面観測が可能となる[18]

2019年6月18日、JAXAとDLRは協定を結び、MMX探査機に搭載する小型ローバーのCNESとの共同検討の他、ドイツ国内の落下塔を使用した実験機会を提供することや、サイエンスを通じたドイツ科学者の参画を支援することが取り交わされた[19]

2019年6月27日、JAXAとCNESはMMX探査機に搭載する近赤外分光計(MacrOmega)、飛行力学の知見、小型ローバーの提供を受けることについて、開発に向けた準備段階の共同検討を行うことに合意した[20]

その他[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 実際には火星を周回する軌道にあるが、フォボスとほぼ同じ軌道でフォボス付近を公転するため、フォボスの周囲を公転しているように見える軌道のこと[5]準衛星も参照。
  2. ^ 火星衛星の探査機ではなく火星探査機であること、カプセルの直径が4mと非常に大きいことや、往路モジュールが接続されたままであることなどの差異がある。

出典[編集]

  1. ^ a b c MMX(Martian Moons eXploration)”. 宇宙航空研究開発機構. 2019年4月24日閲覧。
  2. ^ a b c 火星衛星探査計画(MMX)”. 宇宙航空研究開発機構. 2019年4月24日閲覧。
  3. ^ a b c ミッション概要・ミッションフロー”. 宇宙航空研究開発機構. 2019年4月24日閲覧。
  4. ^ a b 第18回宇宙開発戦略本部会合”. 宇宙開発戦略本部 (2018-12-11}). 2019年5月19日閲覧。
  5. ^ JAXAとフランス宇宙機関、火星衛星サンプルリターンミッション計画(MMX)で協力へ | 月探査情報ステーション”. 月探査情報ステーション (2017年4月18日). 2019年5月22日閲覧。
  6. ^ a b c d MMX・DESTINY+・JUICE (PDF)”. 文部科学省 (2018年7月5日). 2019年4月25日閲覧。
  7. ^ 火星衛星のレゴリスをごっそり採ってきたい – MMX Mission News”. MMX Mission News. JAXA (2017年7月18日). 2019年5月22日閲覧。
  8. ^ 佐藤泰貴 (2017年12月25日). “レゴリス採取の裏ワザ、空気銃”. MMX Mission News. 宇宙科学研究所/宇宙航空研究開発機構. 2019年4月27日閲覧。
  9. ^ NASA confirms contribution to Japanese-led Mars mission – Spaceflight Now”. Spaceflight Now (2017年11月20日). 2019年5月22日閲覧。
  10. ^ 「火星の月の石」を地球に持ち帰れ!世界初への挑戦”. 三菱電気 (2017年4月20日). 2019年4月25日閲覧。
  11. ^ 日仏共同の火星衛星のサンプルリターンミッション「MMX」”. AstroArts (2017年4月11日). 2019年4月25日閲覧。
  12. ^ 第2回宇宙科学・探査小委員会”. 宇宙開発戦略本部 (2015-6-9}). 2019年5月22日閲覧。
  13. ^ 第2回宇宙科学・探査小委員会”. 宇宙開発戦略本部 (2015-6-9}). 2019年5月22日閲覧。
  14. ^ 第17回宇宙科学・探査小委員会”. 宇宙開発戦略本部 (2018-3-14}). 2019年5月22日閲覧。
  15. ^ 火星衛星サンプルリターンミッションの検討に関するフランス国立宇宙研究センター(CNES)との実施取決めの締結、及び署名式の実施について, , 宇宙科学研究所 (宇宙航空研究開発機構), (2017年4月10日), http://www.isas.jaxa.jp/topics/000947.html 
  16. ^ “火星衛星探査計画に関するフランス国立宇宙研究センター(CNES)およびドイツ航空宇宙センター(DLR)との共同声明について” (プレスリリース), 宇宙航空研究開発機構, (2018年10月3日), http://www.jaxa.jp/press/2018/10/20181003_mmx_j.html 
  17. ^ 草野広樹 (2017年12月11日). “火星衛星を見る“眼鏡”:NASAがガンマ線・中性子分光計を選定”. 宇宙科学研究所/宇宙航空研究開発機構. 2019年4月27日閲覧。
  18. ^ “仮訳 宇宙航空研究開発機構(JAXA) フランス国立宇宙研究センター(CNES) ドイツ航空宇宙センター(DLR)による火星衛星探査計画(MMX)搭載小型ローバーの共同研究に関する共同声明” (プレスリリース), 宇宙航空研究開発機構, (2018年10月3日), http://www.jaxa.jp/press/2018/10/files/Joint_Statement_MMX_ja.pdf 
  19. ^ 火星衛星探査計画に関するドイツ航空宇宙センター(DLR)との実施取決めの締結について”. JAXA (2019年6月20日). 2019年6月29日閲覧。
  20. ^ フランス国立宇宙研究センター(CNES)との火星衛星探査計画(MMX)、および、小惑星探査機「はやぶさ2」に関する実施取り決めの締結について”. JAXA (2019年6月27日). 2019年6月29日閲覧。
  21. ^ 日大阪・関西万博で火星を探査機で生中継へ JAXA構想”. 産経新聞 (2019年5月8日). 2019年5月18日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]