Nano-JASMINE

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
Nano-JASMINE
所属 国立天文台
公式ページ JASMINE計画
東京大学 ISSL
状態 開発を終えて保管中
目的 位置天文学
観測対象 恒星
計画の期間 2年
打上げ日時 2017年12月(予定)[1]
物理的特長
本体寸法 508x508x512mm
質量 約35kg
姿勢制御方式 3軸制御
軌道要素
周回対象 地球
軌道 太陽同期軌道(予定)
搭載望遠鏡
口径 5cm
焦点距離 1.67m
観測波長帯 zwバンド

Nano-JASMINE(ナノ・ジャスミン、Japan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration)とは、日本国立天文台が開発している人工衛星である。重量35kgの超小型衛星で、太陽同期軌道から恒星天球上での位置を測定することを目的とする。打ち上げは2017年12月に予定されている。

概要[編集]

Nano-JASMINE は日本初の位置天文衛星で、大気の影響を受けない宇宙空間から恒星の位置を高い精度で測定し、恒星までの距離(年周視差に基づく)や固有運動を明らかにすることを目的としている。順調に打ち上げられれば1989年に欧州宇宙機関が打ち上げたヒッパルコス衛星に続く世界2番目の位置天文衛星となる予定であったが、2013年12月に欧州宇宙機関ヒッパルコス衛星の後継機であるガイア衛星を打ち上げたため、世界で3番目の位置天文衛星となる見込みである。日本で計画されているJASMINEシリーズの最初の一機と位置づけられており、将来的に打ち上げが予定されているより大型の「小型JASMINE」や「JASMINE」に向けて技術の検証を行うことが目標の1つとなっている[2]

設計[編集]

衛星は一辺50cmの立方体で、35kgの質量がある。観測のための開口部は2箇所にあり、99.5度離れた2方向を同時に観測することで精度を高めるように工夫されている。これは基本的にヒッパルコス衛星ガイア衛星と同じ方式である。恒星の光は口径5cmの赤外線望遠鏡に集められ、時間遅れ積分 (TDI) と呼ばれる技術を用いてCCDセンサーで記録される。2方向同時観測やTDIを実現するため、Nano-JASMINE には超小型衛星としては高い姿勢制御・温度制御の精度が要求される[3]。観測波長は近赤外のzバンド(波長0.9μm)を中心とした広い波長帯(zwバンド)である。

開発は国立天文台東京大学中須賀研究室京都大学の共同で行われており、費用はおよそ1億円である。

目的[編集]

Nano-JASMINE は日本の位置天文衛星の技術検証としての位置づけとともに、科学的成果も期待されている。小型衛星であるため欧州宇宙機関ガイア衛星に比べて観測精度はかなり劣るが、ガイア衛星では観測困難な明るい星でも観測可能であるため、貴重な観測データが得られると期待されており、最終的にはガイア衛星のデータとNano-JASMINEのデータをまとめた統合カタログを作成することになっている[4]

Nano-JASMINEは重量35kgの小型衛星だが、重量1400kgのヒッパルコスと同程度の観測精度を持っている。ヒッパルコスが観測した恒星の位置情報は、恒星の固有運動のため次第に不正確になりつつある。Nano-JASMINEはこれを再び精確なものに更新することが期待されている。また、ヒッパルコスのデータと組み合わせると、従来より一桁高い精度で恒星の運動を決定できると考えられている[5]

打ち上げ[編集]

当初は2011年8月にブラジルアルカンタラ射場からウクライナ製のツィクロン(サイクロン)-4ロケットで打ち上げられる予定だったが[6]ロケット側と射場側の財政問題でスケジュール延期が続いていた[7]。この打ち上げは新型ロケットの試験飛行を兼ねるため、無料で提供されることとなっていた[5]。2014年5月の情報では、打ち上げは2015年第二四半期となっていたが、ウクライナ情勢の影響を受けさらに不透明さが増していた[8]。衛星は2010年には組み立てが完了したが、東京大学で保管された状態のままであった[9]

2015年に入りガイア衛星の研究チームが本ミッションへの支援を申し出、欧州宇宙機関が無償で打ち上げを行うことになった[1]。2015年9月現在、打ち上げは2017年12月頃の予定。

脚注[編集]

  1. ^ a b 小型JASMINE計画”. 光学赤外線天文連絡会 (2015年9月15日). 2015年11月27日閲覧。
  2. ^ 日本初の位置天文観測衛星「ナノジャスミン」、2011年8月打ち上げ”. AstroArts (2010年4月13日). 2010年5月7日閲覧。
  3. ^ 観測のしくみ”. 東京大学ISSL. 2010年5月7日閲覧。
  4. ^ “「Nano-JASMINEサイエンス検討会」報告”. 国立天文台ニュース2015年6月号 (国立天文台): 7. (2015-06). http://www.nao.ac.jp/contents/naoj-news/data/nao_news_0263.pdf. 
  5. ^ a b 大塚実 (2010年4月16日). “日本初の位置天文学衛星「Nano-JASMINE」 - 2011年の打ち上げが正式決定”. マイナビジャーナル. http://journal.mycom.co.jp/articles/2010/04/16/nano-jasmine/index.html 2010年5月7日閲覧。 
  6. ^ 打ち上げ情報”. 東京大学ISSL (2010年2月). 2015年11月28日閲覧。
  7. ^ JASMINEホームページ - ニュース”. JASMINE. 2010年1月1日閲覧。
  8. ^ PROJECT STATUS - ウェイバックマシン(2015年10月3日アーカイブ分)
  9. ^ “宙に浮く日本初の位置天文衛星 国際情勢が翻弄”. 日本経済新聞. (2014年5月17日). http://www.nikkei.com/article/DGXZZO71244570V10C14A5000000/ 2014年5月21日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]