岐阜かかみがはら航空宇宙博物館
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![]() 航空宇宙博物館 Gifu-Kakamigahara Air and Space Museum | |
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![]() ロゴマークと岐阜かかみがはら航空宇宙博物館 | |
施設情報 | |
正式名称 | 岐阜かかみがはら航空宇宙博物館 |
愛称 | 空宙博(そらはく) |
前身 |
|
専門分野 | 航空宇宙 |
館長 | 常田佐久 |
管理運営 | 公益財団法人岐阜かかみがはら航空宇宙博物館 |
開館 | 1996年(平成8年)3月23日 |
所在地 |
〒504-0924 岐阜県各務原市下切町5丁目1番地 |
位置 | 北緯35度23分17.1秒 東経136度51分44.9秒 / 北緯35.388083度 東経136.862472度座標: 北緯35度23分17.1秒 東経136度51分44.9秒 / 北緯35.388083度 東経136.862472度 |
外部リンク | 公式ウェブサイト |
プロジェクト:GLAM |
岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(ぎふかかみがはらこうくううちゅうはくぶつかん)は、岐阜県各務原市にある博物館。
概要[編集]
- 航空宇宙に関する資料(国産の航空機や実験機、航空関連資料、さらに宇宙開発関連資料など)の収集展示、将来の航空宇宙産業を担う人材の育成を図ることを目的とする博物館である[1]。1996年(平成8年)3月23日に「かかみがはら航空宇宙博物館」として開館。全面的なリニューアルを約49億円をかけて行い、2018年(平成30年)3月24日に「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」に改称する。
- 開館当初は各務原市の施設であり、運営も各務原市が行っていた。2018年のリニューアル後は岐阜県と各務原市の設置となり、岐阜県と各務原市により設立された、公益財団法人岐阜かかみがはら航空宇宙博物館が運営する[2]。
- 「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」の作者である松本零士が開館時から2021年(令和3年)3月まで名誉館長を務めていた[3][4][注 1]。
- 周辺には現存する日本最古の飛行場で航空自衛隊の飛行開発実験団が所在している岐阜基地や、日本では数少ない航空機製造工場である川崎重工業岐阜工場が基地の反対側にあり、「飛行機の街・各務原」の中心となっている。
- 開館当初の延床面積は8476.00m2、展示面積は4950m2[5]。2018年のリニューアル時の増築により、敷地面積は78206.98m2、建築面積は11996.20m2、延床面積は12320.05m2[2]。展示面積は9400m2と従来の1.7倍になった。リニューアル後は世界で唯一、戦時中の姿をとどめる旧陸軍三式戦闘機「飛燕」の機体などが展示されている[6]。リニューアルに合わせて宇宙飛行士の山崎直子がアンバサダーに就任している。
- 展示機の増加等により企画展スペースが不足しているため、企画棟の建設が計画されている[7]。
- 開館当初は「PURURU」というマスコットキャラクターが存在し、グッズの販売や、PURURUを模した屋外のロードトレインも運行されていた。リニューアルを機にマスコットキャラクターは廃止されている。
沿革[編集]
- 1996年(平成8年)3月23日 - かかみがはら航空宇宙博物館として開館。各務原市が所有し、直接運営。
- 2005年(平成17年)4月 - 科学関連資料の展示を充実をはかり、かかみがはら航空宇宙科学博物館に改称。
- 2016年(平成28年) - 建物増築による展示スペースの増床、展示レイアウト大幅変更、飛燕などの展示物を増やす[8]などの全面的なリニューアルを行うため一時閉館となる[9]。本館閉館中は2017年(平成29年)11月13日まで収蔵庫の限定公開が行われた[10][11]。
- 2018年(平成30年)3月24日 - リニューアルオープン。同時に各務原市と岐阜県の共同設置となり岐阜かかみがはら航空宇宙博物館に改称。この年は各務原飛行場開設100年にあたる2017年度(平成29年度)にあたる。
- 2022年(令和4年)5月15日 - リニューアルオープン後の来館者数が100万人となる[12]。
館長[編集]
- 名誉館長
- 館長(岐阜かかみがはら航空宇宙博物館リニューアル後)
- アンバサダー
施設概要[編集]
- 1階
- 展示エリア ※主に航空機関連
- 航空機と航空機産業の始まり
- 戦前・戦中の航空機開発
- 戦後の航空機開発
- 航空機のしくみ
- 空から宇宙へ
- シアタールーム
- オリエンテーションルーム
- ミュージアムショップ
- 空宙博カフェ(レストラン)
- ベビールーム・キッズルーム
- 中2階
- 休憩コーナー
- 2階
- 展示エリア ※主に宇宙関連
- 宇宙への出発 -ロケット-
- 宇宙から地球のくらしを支える -人工衛星-
- 人を宇宙に送る -有人宇宙開発-
- 宇宙と生命の謎を探る -宇宙探査-
- 屋上
- 展望デッキ
- 屋外
- 屋外実機展示場
- 遊具広場
- 芝生広場
- イベントテント
他に、収蔵及び修復施設の第1収蔵庫、第2収蔵庫。塗装施設の塗装庫がある(非公開施設)。
展示機種[編集]
開館時には展示機は24機(実機(供試体を含む)・レプリカ)であった。2021年時点の展示機は53機(実機(供試体を含む)38機・レプリカ15機)である[2]。2023年にはF-4EJ改戦闘機(実機)が追加されるなど展示物は増加している。☆は日本航空協会の「重要航空遺産」に認定。★は日本航空宇宙学会の「航空宇宙技術遺産」に認定。△は経済産業省の近代化産業遺産に認定。
屋外展示[編集]
屋外展示の機体の特徴[編集]
屋外展示の機体は、それぞれ数年 - 10年おきに塗り直しを行っている。
実際に展示している屋外展示の機体[編集]
- KV-107ⅡA-4 51804
- YS-11A-213 JA 8731
- US-1A 9078
- P-2J 4782
屋外展示のギャラリー[編集]
-
屋外展示機
-
KV-107ⅡA-4輸送ヘリコプター
-
YS-11A-213中型輸送機
-
US-1A救難飛行艇
-
P-2J対潜哨戒機
過去に展示していた屋外展示の機体[編集]
- SA 316B JA9023
- 元名古屋市消防局「なごや」。2016年まで展示。
-
SA 316B
屋内展示[編集]
屋内展示の機体は、屋外展示よりも多数の機体を展示している。
実際に展示している屋内展示の機体[編集]
- ライトフライヤー号 (レプリカ)
- グラーデ単葉機 (レプリカ)
- 乙式一型偵察機 (レプリカ) 1001 △
- 十二試艦上戦闘機(A6M1)(レプリカ) 三菱201
- 三式戦闘機二型「飛燕」(キ61-II改) 川崎6117 ☆△
- KAL-1連絡機 JA3074
- KAT-1練習機 JA3084
- 製造された機体(2機)のうちの1号機。2号機(JA3100)は収蔵庫に保管。
- T-33A改 61-5221(飛行開発実験団特別仕様機)
- F-104J戦闘機 36-8515
- サーブ・サフィール91B改 X1G1B TX-7101(高揚力研究機) ☆
- T-1B 05-5810(飛行開発実験団特別仕様機・ADTW50周年特別塗装)
- 試作1号機の801号機(T1F2 82-5801 → T-1B 85-5801)は収蔵庫に保管。
- N-62 イーグレット JA3251
- 学校法人日本航空学園の手により飛行可能な状態に修復。飛行許可を受け、1998年(平成10年)11月8日に山梨県の日本航空学園滑走路から岐阜基地飛行場を飛行している。
- UF-XS オ-991(実験飛行艇) ☆
- VTOL実験機フライングテストベッド(JR100リフトジェットエンジンによるVTOL試験機)
- FA-200改型STOL実験機 JA3263
- T-3初等練習機 11-5547
- T-2 19-5173(ブルーインパルス)
- T-2 CCV研究機 29-5103
- F-4EJ改戦闘機 07-8431[17][18]
- 飛鳥 8501(STOL(短距離離着陸)飛行実験機) ★
- N-70 シグナス モーターグライダー
- HYPER・CHick KoToNo Limited(人力飛行機)
- 1992年(平成4年)に日本人女性初の人力飛行機の記録を樹立した機体。第16回鳥人間コンテスト選手権大会出場(4位入賞)時にコクピット部などが破損しているため、修復している。
- 後部席・操縦席搭乗体験用
- OH-1 (モックアップ)
- ベル式47G3B-KH4 JA7110
- 川崎KHR-1リジッドローター実験ヘリコプター 2500 (無関節型ローター実験機)
- リジッドローター以外の部品の大部分が失われていたため、KH-4の他の機体を使用して復元されている。
- OH-6J改 川崎KA370 JG1058 (「新ローター・システム」飛行試験に使用された機体)
- 飛行試験後は通常のOH-6(31058号機)に復元され陸上自衛隊で運用されていた。1996年の開館時はOH-6(31058号機)として展示されたが、2004年から新ローター・システムの飛行試験時に復元して展示。
- OH-6J 31081(陸上自衛隊)
- ヘリコプター原理説明用及び操縦体験用(実際のヘリコプターの操縦桿などを使用してラジコンのヘリコプターを操縦)。
- りゅうせい(レプリカ)
- H-IIロケットの衛星フェアリングに内蔵した状態で展示。
- 名古屋大学が開発した超小型衛星。ChubuSat-1の後継機に該当。
- UNIFORM2(レプリカ)
- UNIFORMプロジェクト(日本主導の超小型衛星網UNIFORMの基盤技術研究開発と海外への教育貢献プロジェクト)として和歌山大学が開発した超小型衛星。UNIFORM1は実際に打ち上げられ、UNIFORM2は製造訓練教材として使用されている。
- 日本実験棟 きぼう(レプリカ)
- はやぶさ2(レプリカ)
- ミネルバ1A・2A・Ⅱ2(レプリカ)
- MASCOT(レプリカ)
- 火星探査車 マーズ・エクスプロレーション・ローバー (レプリカ)
- 愛・地球博アメリカ館で展示されたもの
- 火星探査車 キュリオシティ (レプリカ)
- 愛・地球博アメリカ館で展示されたもの
- 光衛星間通信実験衛星 きらり (レプリカ)
- レプリカだが、機体の一部は実物である。
- 開発過程での熱試験で使用された機体
- エンジニアリングモデル
- CUTE-I
- さつき1号ロケット
- 1992年に日本宇宙少年団各務原分団で製作されたモデル・ロケット
- 東京工業大学開発の2機、岐阜大学開発の2機、岐阜県立可児工業高等学校開発の1機など
- ほか、実験機など多数
過去に展示していた屋内展示の機体[編集]
- 人力ヘリコプター YURI-I
- 2016年まで展示[注 2]。
- SS-2型上級単座滑空機 JA2114(中日本航空専門学校)
- 2016年まで展示。
- 三田式3改1型上級複座滑空機 JA2091(中日本航空専門学校)
- 2016年まで展示。
- FA-200-180 JA3483(中日本航空専門学校)
- 機体の一部をカットし、飛行機の構造説明及び搭乗体験用として2016年まで展示。2023年現在、岐阜県立岐阜工業高等学校の「モノづくり教育プラザ」で実習用として使用。
- BK117
- 構造試験用の試作2号機。搭乗体験用。BK117に災害対策用として搬送実験を行ったバイク(カワサキ・スーパーシェルパ)と合わせて展示。2016年まで展示。
- レット・ナドニー・ポドニク・クノビーチェ式L-13型 JA2235 法政大学体育会航空部「かわせみⅣ」
- 2016年まで展示。
- 防大B-5型グライダー
- 正式な展示はされず、修復工房(現・オリエンテーションルーム)で修復中の状態で見学可能な状態であった。2008年頃まで展示。
- 2002年に開催された丸の内ビル完工記念「After5 Years Technology Exhibition 近未来技術展」で展示された実物大模型、及び2002年8月に飛行実験に用いた1/3スケールの機体。2016年まで展示。
- 消防・防災無人観測機
- 幼児用搭乗体験用の機体
- 飛行機(FA-200。胴体のみ)とヘリコプター(機種不明。機体前部のみ)が存在。2016年まで展示。
屋内展示のギャラリー[編集]
-
乙式一型偵察機 1001号機レプリカ
-
三式戦闘機二型 6117号機
-
十二試艦上戦闘機 201号機レプリカ
-
KAL-1 JA3074号機
-
F-104J 36-8515号機
-
T-2 19-5173号機
-
F-4EJ改 07-8431号機
-
飛鳥
-
屋内展示
連携施設[編集]
国内[編集]
国外[編集]
- シアトル航空博物館 - 2021年9月にパートナーシップ協定を締結[2]。
- スミソニアン航空宇宙博物館 - 2016年9月に連携協定を締結[2]。
- ル・ブルジェ航空宇宙博物館 - 2018年10月に基本協定を締結[2]。
- サンクトペテルブルク歴史博物館 - 2019年9月に覚書を締結[2]。
- モスクワ宇宙飛行士記念博物館 - 2020年1月に覚書を締結[2]。
- K.ツィオルコフスキー記念宇宙飛行史博物館 - 2020年1月に覚書を締結[2]。
交通アクセス[編集]
バス[編集]
- 各務原市ふれあいバス稲羽線、川島線「航空宇宙博物館」バス停下車すぐ。
- 名鉄各務原線 各務原市役所前駅からの所要時間は、川島線(平日:5便、土日祝:4便)で約15分、稲羽線(平日:7便、土日祝:3便)で約20分。
自動車[編集]
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ “岐阜かかみがはら航空宇宙博物館条例”. 各務原市. 2022年2月23日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i 年報2021(令和3)年度版を公開します
- ^ “松本零士さん「マニアにとって感涙」空宙博名誉館長25年。幼少期に各務原市在住、岐阜との縁”. 岐阜新聞 (202-02-21). 2023年2月24日閲覧。
- ^ “岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の名誉館長20年以上。松本零士さん死去”. 中日新聞 (202-02-21). 2023年2月24日閲覧。
- ^ かかみがはら航空宇宙科学博物館リニューアル基本構想(平成27年9月)岐阜県・各務原市
- ^ “「飛燕」の機体など展示 岐阜の航空宇宙博物館新装”. CHUNICHI Web. 中日新聞社 (2018年3月24日). 2018年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年3月29日閲覧。
- ^ 予算要求 資料(令和5年度当初予算)岐阜かかみがはら航空宇宙博物館企画棟整備事業費
- ^ “「飛燕」お帰り 戦後70年、各務原で修復”. 岐阜新聞 (岐阜新聞社). (2015年9月9日). オリジナルの2016年11月16日時点におけるアーカイブ。 2017年7月8日閲覧。
- ^ “リニューアル工事に伴い博物館本館を一時閉館します”. 各務原市 (2016年8月23日). 2017年7月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月8日閲覧。
- ^ “航空宇宙科学博物館の収蔵庫が公開中”. 各務原市 (2017年1月10日). 2017年7月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017-07-08日閲覧。
- ^ “収蔵庫公開中(平成29年11月13日まで)”. 各務原市 (2017年7月6日). 2017年7月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月8日閲覧。
- ^ “空宙博、来館者100万人 18年オープン「驚異的なスピードで達成」”. 岐阜新聞 (2022年5月16日). 2022年5月22日閲覧。
- ^ “「夢与えてくれた」名誉館長務めた松本零士さんに感謝 航空宇宙博物館”. 毎日新聞 (2023年2月20日). 2023年9月14日閲覧。
- ^ “松井孝典館長の逝去に関するお知らせ”. 岐阜かかみがはら航空宇宙博物館 (2023年5月29日). 2023年9月14日閲覧。
- ^ “岐阜かかみがはら航空宇宙博物館 館長の委嘱について” (PDF). 岐阜県. 2023年9月14日閲覧。
- ^ “ようこそ知事室へ(平成30年3月)”. 岐阜県. 2023年9月14日閲覧。
- ^ F-4搬入イベント「F-4EJ改431号機 つなひきイベント」 (岐阜かかみがはら航空宇宙博物館)2023年2月8日
- ^ F-4搬入によるレイアウト変更について(2月6日から3月10日まで)(岐阜かかみがはら航空宇宙博物館)2023年2月18日
- ^ 人力ヘリコプター”YURI-1”特別公開(岐阜かかみがはら航空宇宙博物館)2019年9月24日