ベネラ14号
ベネラ14号 | |
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![]() ベネラ13号・14号を描いた切手 | |
所属 | ソビエト連邦 |
任務 | フライバイ |
周回対象 | 金星 |
打上げ日時 | 1981-11-04 at 05:31:00 UTC |
打上げ機 | プロトン |
COSPAR ID | 1981-110A |
ベネラ14号(Venera 14、ロシア語: Венера-14)は、金星を探索したソビエト連邦のベネラ計画の探査機である。
ベネラ14号はベネラ13号と全く同じ構造である。ベネラ13号は1981年10月30日6時4分00秒(UTC)に打ち上げられ、ベネラ14号は同年11月4日5時31分00秒(UTC)に打ち上げられた。両機の軌道上乾質量は760kgであった。
設計[編集]
それぞれのミッションは、巡航段とランダーで構成された。
巡航段[編集]
金星までの飛行の巡航段では、衛星バスは金星をフライバイしてランダーからのデータを中継し、その後太陽周回軌道に入る。ガンマ線分光計、紫外線単色光分光計、電子及び光子分光計、ガンマ線バースト検出器、太陽風プラズマ検出器、2周波数通信装置を備え、観測を行った。
ランダー[編集]
ベネラ14号(ランダー) | |
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所属 | ソビエト連邦 |
任務 | 金星のランダー |
打上げ機 | ベネラ14号バス |
COSPAR ID | 1981-110D |
質量 | 760 kg |
ランダーは加圧された密閉容器で、内部に観測機器や電子装置のほとんどを含み、環状の着陸プラットフォームの上に載せられ、上部にはアンテナが設置された。設計は、以前のベネラ9号からベネラ12号のランダーと似たものであった。化学的性質、同位体の測定、散乱日光のスペクトルのモニター、降下中の放電の記録等を行う機器を持っていた。また、カメラシステム、X線蛍光分光計、スクリュードリル、地表のサンプラー、透過度計、地震計等も搭載された。
ランダーに搭載された実験機器は、次の通りである。
- 加速度計、衝突分析器 - Bison-M
- 温度計、気圧計 - ITD
- 分光計/指向性光度計 - IOAV-2
- 紫外線高度計
- 質量分析器 - MKh-6411
- 透過度計/土壌抵抗計 - PrOP-V
- 酸化還元指示器 - Kontrast
- 2色遠隔カメラ - TFZL-077
- ガスクロマトグラフィー - Sigma-2
- 無線/マイクロフォン/地震計 - Groza-2
- 比濁計 - MNV-78-2
- 比重計 - VM-3R
- X線蛍光分光計(エアロゾル)BDRA-1V
- X線蛍光分光計(土壌) - Arakhis-2
- 土壌ドリル装置 - GZU VB-02
- 安定発信器/ドップラー無線機
- 小型太陽電池 - MSB
着陸[編集]
打上げ後、4ヶ月の飛行を経て、ランダーがバスから分離し、1982年3月5日に金星の大気に入った。大気圏突入後、高度約50kmでパラシュートが展開し、単純な空力ブレーキシステムで減速して地上に降りた。
ベネラ14号は、ベネラ13号の着陸地点から南西に約950km離れたフェーベ地域と呼ばれる玄武岩平原の東側近く、南緯13.25°東経310°の地点に着陸した。
ランダーはカメラで地表の写真を撮影し、バネのついた腕で土壌の圧縮率を測定を開始した。水晶製のカメラの窓はレンズキャップで覆われており、着陸後に外されたが、ランダーのすぐそばにおち、結局レンズキャップの圧縮率を測定することとなってしまった[1][2]。
土壌サンプルの組成は、X線蛍光分光計によって測定され、ソレアイト質玄武岩に似ていることが示された。
ランダーの寿命は32分間という計画であったが、気温465℃気圧9.5MPa(地球の94倍)という環境で57分間稼働した。その間、軌道上のバスを使って伝送が維持された[3]。