こぐま座

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
こぐま座
Ursa Minor
Ursa Minor
属格 Ursae Minoris
略符 UMi
発音 [ˌɜrsə ˈmaɪnər]、属格:/ˌɜrsiː mɨˈnɒrɨs/
象徴 The Little Bear
概略位置:赤経 15
概略位置:赤緯 +75
正中 6月25日21時
広さ 256平方度[1]56位
主要恒星数 7
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
23
系外惑星が確認されている恒星数 1
3.0等より明るい恒星数 2
10パーセク以内にある恒星数 0
最輝星 ポラリス(α UMi)(2.02
最も近い星 UU UMi;(42.60光年)
メシエ天体 0
流星群 こぐま座流星群
隣接する星座 りゅう座
きりん座
ケフェウス座
テンプレートを表示

こぐま座(こぐまざ、小熊座、Ursa Minor、英語: Little Dipper)は、北天の星座で、トレミーの48星座の1つ。北半球では1年中見ることができる。小北斗七星と呼ばれる事がある[2]。α星のポラリスは、現在の北極星である。

主な天体[編集]

恒星[編集]

α星[3]、β星[4]の2つの2等星がある。

β星とγ星は「矢来(やらい・楯がわりの柵)星」とも呼ばれた。北斗七星を矢に見立て、それから星達を守っているという意味である。

由来と歴史[編集]

この星の並びを「小さな熊」と呼んだのは、紀元前6世紀古代ギリシア天文学者タレスであると言われる[7]。少なくとも、タレスより2世紀ほど前の時代の人物であるホメロスおおぐま座にだけ言及し、こぐま座については触れていない[7]。タレスがこぐま座を考案したのか、フェニキア人の血を引く彼がフェニキアの星座をギリシアに紹介したのかは定かではない[7]

神話[編集]

星図カード集『ウラニアの鏡』(1824年)に描かれたりゅう座とこぐま座

紀元前3世紀頃のギリシャの詩人アラートスは、著書『ファイノメナ(Phaenomena、現象)』で、ディクテー山ゼウスを育てたニュンペーキュノスーラの姿であるとする話を伝えている[8]。キュノスラはヘリケーとともに、ゼウスの父クロノスから匿ってゼウスを養育したことを称えられ、ヘリケーはおおぐま座に、キュノスラはこぐま座になったとされる[8]。しかし同時代の学者エラトステネースの名で伝わる『カタステリスモイ』においては、アラートスの話としてヘリケーがこぐま座であると言われている[9]

エラトステネースは上記アラートスの引用を含めて3つの説を述べているのだが、第1の説としては、当時一般にポイニーケーと呼ばれていたと言っている[9]。これはおおぐま座カリストーの話と同工異曲で、同じようにゼウスに犯されたためにアルテミスに見限られて野獣に変えられた、それがこぐま座であるとされている。また彼はアグラオステネースの著述として、前述のキュノスーラであるとする見かたを記録している[9]

ビブリオテーケー』の著者偽アポロドーロスは、ゼウスを育てた2人のニュンペーをアドラステイアーとイーダーとしており、それぞれおおぐま座をアドラステイアー、こぐま座をイーダーに見立てている[7]

カリストーの話を伝えるエラトステネースの『カタステリスモイ』やオウィディウスの『変身物語』『祭暦』では、アルカスはうしかい座となったと伝えられている[10][11][12][13]が、1717年にイギリスのサミュエル・ガースが出版した『変身物語』の英訳書の中で、詩人ジョゼフ・アディソンによって「ゼウスによってアルカスがこぐま座に変えられた」と翻案された[14]。日本ではこぐま座はアルカスが変身させられたとする話が主流となっている[15]

出典[編集]

  1. ^ 星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
  2. ^ 「道しるべ」~導く星☆北極星~”. 鹿角平天文台通信. 2022年3月26日閲覧。
  3. ^ * alf UMi -- Classical Cepheid (delta Cep type)”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2013年2月8日閲覧。
  4. ^ * bet UMi -- Variable Star”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2013年2月7日閲覧。
  5. ^ a b c d IAU Catalog of Star Names (IAU-CSN)”. 国際天文学連合 (2017年6月30日). 2017年10月2日閲覧。
  6. ^ * gam UMi -- Variable Star of delta Sct type”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2013年3月30日閲覧。
  7. ^ a b c d Ian Ridpath. “Star Tales - Ursae Minoris”. 2017年10月2日閲覧。
  8. ^ a b 『グロティウスの星座図帳 : ゲルマニクス“アラトスのファイノメナ"の邦訳』千葉市立郷土博物館〈天文資料解説集〉、1999年3月、24頁。 NCID BA84126606 
  9. ^ a b c 伝エラトステネス『星座論』(1) おおぐま座・こぐま座”. 2022年8月31日閲覧。
  10. ^ Ian Ridpath. “Ursa Major”. Star Tales. 2016年12月29日閲覧。
  11. ^ Ian Ridpath. “Boötes”. Star Tales. 2017年2月28日閲覧。
  12. ^ Wolfgang Schadewaldt 著、河原忠彦 訳 『星のギリシア神話』白水社、1988年9月10日、28頁。ISBN 4-560-01877-4 
  13. ^ 伝エラトステネス『星座論』(3) へびつかい座・さそり座・うしかい座”. 2022年8月31日閲覧。
  14. ^ Allen, Richard H. (2013-02-28). Star Names: Their Lore and Meaning. Courier Corporation. p. 420. ISBN 978-0-486-13766-7. https://books.google.com/books?id=vWDsybJzz7IC 
  15. ^ 原恵 『星座の神話: 星座史と星名の意味』(新装改訂版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、132頁。ISBN 978-4-7699-0825-8https://books.google.com/books?id=8_z9ewEACAAJ 

外部リンク[編集]

座標: 星図 15h 00m 00s, +75° 00′ 00″