きりん座
Camelopardalis | |
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属格形 | Camelopardalis |
略符 | Cam |
発音 | [kəˌmɛləˈpɑrdəlɨs] Camélopárdalis, 属格の発音も同一 |
象徴 | the Giraffe |
概略位置:赤経 | 6 |
概略位置:赤緯 | +70 |
正中 | 2月1日21時 |
広さ | 757平方度[1] (18位) |
主要恒星数 | 2, 8 |
バイエル符号/ フラムスティード番号 を持つ恒星数 | 36 |
系外惑星が確認されている恒星数 | 3 |
3.0等より明るい恒星数 | 0 |
10パーセク以内にある恒星数 | 0 |
最輝星 | β Cam(4.02等) |
最も近い星 | GJ 445;(17.0光年) |
メシエ天体数 | 0 |
流星群 | October Camelopardalids |
隣接する星座 |
りゅう座 こぐま座 ケフェウス座 カシオペヤ座 ペルセウス座 ぎょしゃ座 やまねこ座 おおぐま座 |
きりん座(きりんざ、麒麟座、Camelopardalis)は北天の星座の1つ。天の北極の近くに位置しており、日本では1年中見ることができる。明るい星がなく星座が作られなかった領域に17世紀に新たに作られたため、神話や伝承の類いもなく、知名度の低い星座である。
主な天体[編集]
恒星[編集]
以下の恒星には、国際天文学連合により正式な固有名が定められている。
- HD 104985 (HR 4609):トナティウ (Tonatiuh) は6等星だが、太陽系外惑星が発見されており、メキシコの太陽神の名前にちなんで命名された。
- HD 32518:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でドイツに命名権が与えられ、主星はMago、太陽系外惑星はNeriと命名された[2]。
その他、以下の恒星が知られている。
星団・星雲・銀河[編集]
- NGC 1502:散開星団。α星とC星の中間に位置する。
- NGC 2403:渦巻銀河。51番星の近くに位置する。
- IC 342:銀河
- MACS0647-JD:2012年当時地球から最も遠い天体とされた、銀河と思われる天体。
- NGC 1961
由来と歴史[編集]

1612年に、オランダの神学者で天文学者のペトルス・プランシウスが自作の天球儀に「Camelopardalis」としてキリンの姿を描いたことに始まる[3]。この名前は、ヘレニズム期にコイネーでキリンを表すのに使われた、キリンの長い首をラクダに、斑点模様をヒョウに喩えた合成語「καμηλοπάρδαλις」に起源を持つ[3]。Camelopardalisは、コイネーのκαμηλοπάρδαλιςをラテン語化したもので、マルクス・テレンティウス・ウァッロや大プリニウスもキリンを表すのにこの表現を使っていた[4]。
ドイツの天文学者ヤコブス・バルチウスが1624年[注 1]に出版した著書『Usus astronomicus planisphaerii stellati』の中で「Camelopardalis」を紹介していた[6]ことから、誤ってバルチウスが作った星座と紹介されることもあった[7]が、バルチウス自身は1621年にアイザック・ハプレヒト2世が作った星座であると勘違いしていた[3]。また、バルチウスはこの星座をラクダと勘違いしており、このCamelopardalisを「旧約聖書の創世記でリベカがイサクの元へ嫁ぐエピソードに登場するラクダを記念したもの」と誤解に基づく説明を残している[3][6]。
プランシウスやバルチウスは現代と同じく「Camelopardalis」と綴ったが、のちのヨハネス・ヘヴェリウスやヨハン・ボーデが「Camelopardalus」と綴ったため、表記に混乱が生じた。その混乱も、1908年に「コイネーや古典ラテン語での表記」「動物学者に使われる表記」「天文学者が最も良く使う表記」の3つの観点から「Camelopardalis」が最も相応しいとする研究結果がエドワード・ピッカリングらによって発表された[4]ことにより決着がつけられた[3]。
イギリス生まれの天文学者リチャード・アンソニー・プロクターは、この星座をラクダを意味する「Camelus」と呼んでいたが、追随する者も少なく廃れた[5][7]。また、アメリカの学者ウィリアム・クロスウェルは、カシオペヤ座との境界に近いこの星座の領域に自らが考案した「モモンガ座 (Sciurus Volans)」を配したが、のちに取り上げる者もおらず廃れている[8]。
日本では、一貫してキリンの星座として受容されており、ラクダの星座とされたことはない。
ギャラリー[編集]
NGC 1961 ハッブル撮影
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ “星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
- ^ “Approved names”. Name Exoworlds. 国際天文学連合 (2019年12月17日). 2020年1月4日閲覧。
- ^ a b c d e f Ridpath, Ian. “Camelopardalis”. Star Tales. 2022年10月4日閲覧。
- ^ a b Pickering, Edward C. (1908-12). “The Constellation Camelopardalis”. Harvard College Observatory Circular 146. Bibcode: 1908HarCi.146....1M.
- ^ a b Allen, Richard H. (2013-2-28). Star Names: Their Lore and Meaning. Courier Corporation. pp. 106-107. ISBN 978-0-486-13766-7
- ^ a b Bartsch, J. (1624) (ラテン語). Usus astronomicus planisphaerii stellati. J. ab Heyden. p. 52 2022年10月4日閲覧。
- ^ a b 原恵 『星座の神話 -星座史と星名の意味-』(新装改訂版第四刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、32,232,233頁。ISBN 978-4-7699-0825-8。
- ^ Barentine, John C. (2016-04-04). Uncharted Constellations: Asterisms, Single-Source and Rebrands. Springer. pp. 137-139. ISBN 978-3-319-27619-9 2022年10月5日閲覧。