うさぎ座
Lepus | |
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属格形 | Leporis |
略符 | Lep |
発音 | [ˈliːpəs]、口語:/ˈlɛpəs/; 属格:/ˈlɛpərɨs/ |
象徴 | the Hare |
概略位置:赤経 | 6 |
概略位置:赤緯 | −20 |
20時正中 | 2月6日 |
広さ | 290平方度[1] (51位) |
主要恒星数 | 8 |
バイエル符号/ フラムスティード番号 を持つ恒星数 | 20 |
系外惑星が確認されている恒星数 | 1 |
3.0等より明るい恒星数 | 2 |
10パーセク以内にある恒星数 | 3 |
最輝星 | α Lep(2.57等) |
最も近い星 | Gl 229;(19光年) |
メシエ天体数 | 1 |
流星群 | 無し |
隣接する星座 |
オリオン座 エリダヌス座 ちょうこくぐ座 はと座 おおいぬ座 いっかくじゅう座 |
うさぎ座(うさぎざ、兎座、Lepus)は、オリオン座の南に位置する星座で、トレミーの48星座の1つ。比較的小さいながらもそこそこ明るい星があり、均整の取れた形で覚えやすく、古くから親しまれてきた星座である。
主な天体[編集]
恒星[編集]
以下の恒星には、国際天文学連合によって正式な固有名が定められている。
- α星:うさぎ座で最も明るい恒星で3等星[2]。A星の固有名「アルネブ[3] (Arneb[4])」は、アラビア語で「ウサギ」を意味する言葉に由来している[5]。
- β星:うさぎ座で2番目に明るい恒星で3等星[6]。A星の固有名「ニハル[3] (Nihal[4])」は、α星・β星・γ星・δ星の4星で描く四辺形をアラビアで「アル・ニハル」(「のどの渇きを癒し始めたラクダたち」の意)と呼んだことから来ている[5]。
その他に以下の恒星が知られている。
- γ星:地球から約29光年の位置にある連星系であり、アメリカ航空宇宙局のTerrestrial Planet Finderの候補天体の1つとなっていた。
- R星:炭素星に分類される赤色巨星でミラ型変光星[7]。発見者のジョン・ハインドにちなんで、別名ハインドのクリムゾン・スターと呼ばれる。
- RX星:SRB型の半規則型変光星。
- HD 33283:惑星を持つG型主系列星。
- SN 2002bj:2002年に銀河NGC 1821で発見された超新星[8]。2009年に新型の超新星(.Ia型)と確認された[9]。
星団・星雲・銀河[編集]
歴史[編集]
オーストリアのアッシリア学者ヘルマン・フンガーとアメリカの数理天文学・古典学者のデイヴィッド・ピングリー (David Pingree) が解読した、紀元前500年頃のメソポタミアの粘土板文書『ムル・アピン (MUL.APIN)』に記された星や星座の記録によると、今のうさぎ座の領域の星々は「雄鶏」と呼ばれていたとされる[10]。エジプト デンデラのハトホル神殿で発見された紀元前50年頃の天体図でも同じく「雄鶏」とされている[11]。
紀元前3世紀頃の詩人アラトスは詩篇『ファイノメナ』の中で、オリオンの足元で大犬に追われるウサギとしている[12]。紀元前200年頃にアレクサンドリアで活躍したギリシャ人学者エラトステネスは著書『カタステリスモイ』の中で、その脚の速さを称えたヘルメスによって星々の間に置かれた、とする話を伝えている[13]。
中国では二十八宿の1つ「参宿」の一部とされ、α・β・γ・δの4星が「トイレ」を意味する「厠」、ε・μの2星が「屏風」を意味する「屏」、ι・κ・λ・νの4星が「軍の井戸」を意味する「軍井」という星官とされた[14]。
神話[編集]

ヒュギーヌスは以下の話を伝えている。ドデカネス諸島のレロス島にはウサギがいなかった。あるとき、ウサギに興味を持った少年が海外から妊娠したメスのウサギを連れてきて出産するまで世話をした。ウサギが生まれると、多くの島民も興味を持ち、購入したり贈答品としてもらったりした。やがてウサギは島全体に広がり、作物は打撃を受け、人々は飢餓に苦しむこととなった。そこで島の人々はウサギを撲滅した。のちに「人生において一時の喜びよりも大きな苦痛を伴わないことのほうがはるかに望ましい」という戒めとして、ウサギの姿を星座とした[12][13]。
出典[編集]
- ^ “星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
- ^ "alp Lep". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月6日閲覧。
- ^ a b 原恵 『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、228頁。ISBN 978-4-7699-0825-8。
- ^ a b “IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合 (2022年4月4日). 2022年11月4日閲覧。
- ^ a b Kunitzsch, Paul; Smart, Tim (2006). A Dictionary of Modern star Names: A Short Guide to 254 Star Names and Their Derivations (2 ed.). Sky Publishing. p. 43. ISBN 978-1-931559-44-7
- ^ "bet Lep". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月6日閲覧。
- ^ "R Lep". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月6日閲覧。
- ^ "SN 2002bj". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月5日閲覧。
- ^ Poznanski, Dovi et al. (2010). “An Unusually Fast-Evolving Supernova”. Science (American Association for the Advancement of Science (AAAS)) 327 (5961): 58-60. doi:10.1126/science.1181709. ISSN 0036-8075.
- ^ 近藤二郎「第1章天文学発祥の地メソポタミア」 『わかってきた星座神話の起源 古代メソポタミアの星座』誠文堂新光社、2010年12月30日、21-33頁。ISBN 978-4-416-21024-6。
- ^ 近藤二郎 『わかってきた星座神話の起源 エジプト・ナイルの星座』誠文堂新光社、2010年5月30日、118頁。ISBN 978-4-416-21010-9。
- ^ a b Ridpath, Ian. “Star Tales - Lepus”. 2022年11月5日閲覧。
- ^ a b Condos; Theony (1997). Star myths of the Greeks and Romans : a sourcebook containing the Constellations of Pseudo-Eratosthenes and the Poetic astronomy of Hyginus. Grand Rapids, MI, U.S.A.: Phanes Press. p. 115-117. ISBN 978-1-60925-678-4. OCLC 840823460
- ^ 大崎正次「中国の星座・星名の同定一覧表」 『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年。ISBN 978-4639006473。