カシオペヤ座
Cassiopeia | |
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属格形 | Cassiopeiae |
略符 | Cas |
発音 | [ˌkæsi.ɵˈpiː.ə] Cássiopéia, 口語的に/ˌkæsiˈoʊpiː.ə/ Cássiópeia; 属格 /ˌkæsi.ɵˈpiː.iː/ |
象徴 | the Seated Queen |
概略位置:赤経 | 1 |
概略位置:赤緯 | +60 |
広さ | 598平方度 (25位) |
主要恒星数 | 5 |
バイエル符号/ フラムスティード番号 を持つ恒星数 | 53 |
系外惑星が確認されている恒星数 | 3 |
3.0等より明るい恒星数 | 4 |
10パーセク以内にある恒星数 | 3 |
最輝星 | α Cas(2.23等) |
最も近い星 | η Cas;(19.04光年) |
メシエ天体数 | 2 |
流星群 | ペルセウス座流星群 |
隣接する星座 |
きりん座 ケフェウス座 とかげ座 アンドロメダ座 ペルセウス座 |
カシオペヤ座 (カシオペヤざ、Cassiopeia) は、北天に見られる星座。トレミーの48星座の1つ。
5個の2, 3等星がローマ字のWの形に並ぶ。周りには、他に明るい星が無いので、比較的探しやすい。ポラリス(現在の北極星)を探すために用いられる。
北極に近い地方では、現在、この星座は一晩中見える周極星となる。
主な天体[編集]
恒星[編集]
α星、β星、γ星の3つの2等星がある[1][2][3]。α星、β星、γ星、δ星、ε星の5つの恒星が、独特の「W」字を形作る。
以下の恒星には、国際天文学連合によって正式な固有名が定められている。
- α星:シェダル (Schedar) は、オレンジ色の巨星[1]。
- β星:カフ (Caph) は、恒星時を計るためのおおざっぱな指針としても使われる。ほぼ赤経 0h に位置するため、この星が子午線上にある場合、恒星時は0時となる。
- δ星:ルクバー (Ruchbah) は、2.680等星の白色準巨星。
- ζ星:附路 (Fulu) 。
- ε星:セギン (Segin) は、3.37等星の青色巨星。主要5星の中で一番暗い。
- η星:A星にはAchirdという固有名が付けられている[4]。太陽によく似た黄色の主系列星を主星に持つ実視連星。
- υ2星:固有名はカストゥラ (Castula)[4]。
- HD 17156:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でアメリカ合衆国に命名権が与えられ、主星はNushagak、太陽系外惑星はMulchatnaと命名された[5]。
その他の特徴的な恒星には以下のものがある。
- γ星:ツィーは、特有の変光星である。視等級は1.6~3に変わる。γ星は連星であると考えられ、伴星は中性子星であると考えられる。これは最も明るいX線連星である。ほかに肉眼で見えるX線星の連星はない。アメリカの宇宙飛行士ガス・グリソムのミドルネーム Ivan にちなんだ Navi という名前でも知られる。
- μ星:黄色準矮星。
- ρ星:SRD型の半規則型変光星。
- R星:ミラ型変光星。
- RZ星:食変光星。
- TZ星:赤色超巨星でLC型の脈動変光星。
- V509星:SRD型の半規則型変光星。
星団・星雲・銀河[編集]
カシオペヤ座には、超新星残骸が2つある。
- SN 1572:1572年にティコ・ブラーエが観測した超新星の名残りで、「ティコの星」の名前で知られる。
- カシオペヤ座A:強力な電波源となっている。元の星は計算上1667年ごろ爆発したと推測されているが、その光が届かなかったためか発見の記録はない。
その他に、以下の星団・星雲・銀河が知られている。
由来と歴史[編集]
古代アラビアでは、「ヘナで染めた手」と呼ばれていた。ヘナ(マニキュアの顔料)で爪を染めた女性の五本の指に見えることを由来とする呼称である[6]。
神話[編集]
カッシオペイア(カシオペヤ)は、エティオピア王ケーペウス(ケフェウス座の由来である)の妻で王妃であり、アンドロメダー姫(アンドロメダ座の由来である)の母親である[7][8]。自慢好きの王妃で、カッシオペイアが「自分の美貌はネーレーイス(ネレイス、海のニュムペー)に優る」と自惚れたことに腹を立てたネーレーイスたちがポセイドーンに訴えたところ、ポセイドーンはエティオピアに海の怪物ケートス(くじら座)を遣わし、災害を引き起こした[7]。ケーペウスが神託を立てたところ、災害を止めるにはアンドロメダーをケートスに生贄として捧げなければならないとのことだった。神託に従ってアンドロメダーは生贄に出されたが、勇者ペルセウス(ペルセウス座)によって助けられた[7][8]。
カシオペヤ座は北半球の大部分の地域では水平線下に没することがない。これは、ポセイドンが彼女が海の下に降りて休息する事を許さず、為に彼女は常に天空を巡り続けているからであるという。
呼称と方言[編集]
その特徴的なWの形から「錨星」「山形星」などの呼称が伝わっている。
日本では、1944年1月に学術研究会議から刊行された小冊子でカシオペイア座を正式とし、カシオペヤ座も並行して使ってよいとされた[9]。その後、1957年から1960年にかけての日本学術会議で議論の結果、カシオペヤ座のみが正式な呼称とされ[9]、1989年に刊行された「学術用語集」天文学編(増訂版)でもこの結論が引き継がれている[10]。しかし、カシオペア座と誤表記されるケースも見られ[11]、日本国語大辞典など見出し語にカシオペア座を採用している国語辞典もある[12]。
カシオペヤ座に由来する事物[編集]
出典[編集]
- ^ a b “Results for NAME SCHEDAR”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2013年2月2日閲覧。
- ^ “Results for V* bet Cas”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2013年2月2日閲覧。
- ^ “Results for * gam Cas”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2013年2月2日閲覧。
- ^ a b “IAU Catalog of Star Names (IAU-CSN)”. 国際天文学連合 (2017年11月19日). 2018年5月21日閲覧。
- ^ “Approved names” (英語). Name Exoworlds. 国際天文学連合 (2019年12月17日). 2020年1月4日閲覧。
- ^ 林完次 『宙の名前』角川書店、155頁。ISBN 978-4-04-854483-2。
- ^ a b c Ridpath, Ian. “Star Tales - Cassiopeia”. 2014年1月31日閲覧。
- ^ a b 長島晶裕/ORG 『星空の神々 全天88星座の神話・伝承』新紀元社、2012年。ISBN 978-4-7753-1038-0。
- ^ a b 原恵 『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂)恒星社厚生閣、1996年6月30日、44頁。ISBN 4-7699-0825-3。
- ^ “オンライン学術用語集”. 国立情報学研究所. 2015年8月10日閲覧。
- ^ “カシオペア座”. 宇宙情報センター. 宇宙航空研究開発機構. 2015年8月10日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “日本では「いかり(錨)星」とも”. 毎日ことば (2021年9月2日). 2021年9月2日閲覧。