HR 8799

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HR 8799
データ
元期 J2000
星座 ペガスス座
赤経 23h 07m 28.7150s[1]
赤緯 +21°08′03.302″[1]
視等級 (V) 5.964[1]
特徴
スペクトル分類 A5V[1]
色指数 (B-V) 0.234[1]
色指数 (U-B) −0.04[2]
変光星 Gamma Doradus[1]
アストロメトリー
視線速度 (Rv) −11.5 ± 2[1] km/s
固有運動 (μ) 赤経: 107.88[1] ミリ秒/
赤緯: −50.08[1] ミリ秒/年
年周視差 (π) 25.38[3] ± 0.70[3] ミリ秒
距離 129 ± 4 光年
(39 ± 1 パーセク
絶対等級 (MV) 3.0[4]
詳細
質量 ~1.5 ± 0.3[5] M
半径 ~1.6[6] R
金属量 −0.47 [Fe/H][5]
自転速度 45[2] km/s
年齢 6000万[5]
他の名称
ペガスス座V342, BD+20°5278, FK5 3850, GC 32209, HD 218396, HIP 114189, PPM 115157, SAO 91022, TYC 1718-2350-1[1]
Template (ノート 解説) 天体PJ

HR 8799は、ペガスス座に属し、太陽系から129光年(39パーセク)の距離に存在するかじき座ガンマ型変光星である。HR 8799という名称は輝星目録における識別子である。

惑星系[編集]

HR 8799 には、2010年までに4つの太陽系外惑星が知られている。これらは惑星の光を直接撮影して発見された。惑星から恒星までの距離はそれぞれ15AU、24AU、38AU、68AUで、質量はいずれも木星の5~10倍程度と推定されている。また、惑星系には細かなダストが多く存在しており、原始天体同士の衝突によりダストがばら撒かれるプロセスが進行していると考えられている[7]。惑星系は、誕生から6000万年程しかたっていない、若い惑星系と推定されている。

観測[編集]

2008年11月ヘルツバーグ天体物理学研究所クリスチャン・ マロイスと彼のチームは、ハワイW・M・ケック天文台ジェミニ北望遠鏡を用いて恒星の軌道上に3つの惑星を直接観測したことを発表した[8][9][10]

2009年4月には、1998年にハッブル宇宙望遠鏡で撮影されたHR 8799の画像を最新の処理技術を用いて分析したところ、一番外側の惑星bが写っていたことが確認された[11]。同年5月には、2002年にすばる望遠鏡で撮影された画像にも惑星bが写っていたことが確認された[12]

惑星bのすぐ外側には太陽系のエッジワース・カイパーベルトに似た塵の円盤が存在している。これは地球から300光年以内に存在する中でもっとも大型な物のひとつで、星系の内側には地球型惑星が存在できる余地がある[9]

2010年1月、ヨーロッパ南天天文台超大型望遠鏡を用いて行ったHR 8799 cの観測成果を発表した。この観測では、太陽系外惑星が放つ光が世界で初めて直接的な形でスペクトルに分解された[注 1][13]

2010年12月、4つ目の惑星HR 8799 eの存在が発表された。他の3つの惑星と同じく、直接撮影による方法で発見された。また、軌道のすぐ内側に小惑星帯がある可能性も示されている[14]

HR 8799の惑星
名称
(恒星に近い順)
質量 軌道長半径
天文単位
公転周期
(year)
軌道離心率 半径
小惑星帯(推定)  ? AU
e 9 ±4 MJ ~ 14.5 ±0.5 ~ 50  ?
d 10±3 MJ ~ 24 ~ 100 >0.04
c 10±3 MJ ~ 38 ~ 190  ?
b 7 +4/-2 MJ ~ 68 ~ 460  ?
塵の円盤 75 AU

脚注[編集]

  1. ^ ただし、惑星が恒星に掩蔽される際の減光として間接的にスペクトルが測定された例や、惑星か褐色矮星かが不明な天体のスペクトルが捉えられた前例はある。

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j V* V342 Peg -- Variable Star of gamma Dor type, entry, SIMBAD. Accessed on line November 14, 2008.
  2. ^ a b HR 8799, database entry, The Bright Star Catalogue, 5th Revised Ed. (Preliminary Version), D. Hoffleit and W. H. Warren, Jr., CDS ID V/50. Accessed on line November 14, 2008.
  3. ^ a b van Leeuwen, F. (2007年). “HIP 114189”. Hipparcos, the New Reduction. 2008年10月13日閲覧。
  4. ^ From apparent magnitude and parallax.
  5. ^ a b c Schneider, J.. “Notes for star HR 8799”. The Extrasolar Planets Encyclopaedia. 2008年10月13日閲覧。
  6. ^ HD 218396, database entry, Catalog of Apparent Diameters and Absolute Radii of Stars (CADARS), 3rd edition, L. E. Pasinetti-Fracassini, L. Pastori, S. Covino, and A. Pozzi, CDS ID II/224. Accessed on line November 14, 2008.
  7. ^ “Small, Ground-Based Telescope Images Three Exoplanets”. NASA JPL. (2010年4月14日). http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2010-128 2010年4月22日閲覧。 
  8. ^ Marois, Christian; et al. (November 2008). “Direct Imaging of Multiple Planets Orbiting the Star HR 8799”. Science Forthcoming. doi:10.1126/science.1166585. http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/sci;1166585v1 2008年11月13日閲覧。.  (Preprint at exoplanet.eu)
  9. ^ a b “Astronomers capture first images of newly-discovered solar system” (プレスリリース), W. M. Keck Observatory, (2008年11月13日), http://www.keckobservatory.org/article.php?id=231 2008年11月13日閲覧。 
  10. ^ Achenbach, Joel (2008年11月13日). “Scientists Publish First Direct Images of Extrasolar Planets”. The Washington Post (The Washington Post Company). http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/11/13/AR2008111302267.html 2008年11月13日閲覧。 
  11. ^ 古いハッブル画像から惑星を発見”. ナショナルジオグラフィック (2009年4月3日). 2011年2月14日閲覧。
  12. ^ すばる、系外惑星の撮影に成功”. 国立天文台ハワイ観測所 (2009年5月21日). 2009年5月27日閲覧。
  13. ^ “VLT Captures First Direct Spectrum of an Exoplanet”. ESO. (2010年1月13日). http://www.eso.org/public/news/eso1002/ 2010年1月14日閲覧。 
  14. ^ “系外惑星系に異質な第4の惑星”. ナショナルジオグラフィック. (2010年12月9日). http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20101209001 2010年12月13日閲覧。