赤色矮星

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赤色矮星のイメージ

赤色矮星[1](せきしょくわいせい、: red dwarf[1])とは、主系列星の中で特に小さい恒星のグループ。主にスペクトル型M型の主系列星を指すが、低温のK型主系列星の一部を含めることもある。

特徴[編集]

主系列星質量が小さいものほど以下の特徴を強く示すようになる。

  • 直径が小さい
  • 表面温度が低く、放つ光が赤みを帯びる(黒体を参照)
  • 明るさが暗い
  • 恒星としての寿命が長い

赤色矮星は主系列星の中でも特に質量が小さく、これらの特徴が顕著である。また、赤色矮星は活発なフレア活動を示す傾向があり、閃光星と呼ばれる変光星に分類されるものが多い。

赤色矮星のサイズや明るさは様々である。太陽系に最も近い恒星のプロキシマ・ケンタウリは、質量・半径がともに太陽の7分の1程度、可視光での明るさは1万8000分の1に過ぎないが、最大級の赤色矮星であるラランド21185は、質量・半径ともに太陽の半分弱、明るさは180分の1に達する。

最小の赤色矮星の質量は太陽質量の8%程度である。これより質量の小さい天体は、中心部の温度が上がらず、軽水素核融合反応を起こせない。このような天体は、恒星ではなく褐色矮星に分類される。一方、最大の赤色矮星の質量は太陽質量の46%程度と考えられ、これより質量の大きい恒星は終末期に膨張して赤色巨星へと変化することが予想されている。

赤色矮星は宇宙で最もありふれた恒星でもある。個数ベースで見ると、太陽近傍にある恒星と白色矮星のうちM型の赤色矮星が6割を占め、白色矮星を除くとその割合は8割弱に達する[2]

一生[編集]

赤色矮星の中心部は他の恒星よりも低温で、核融合反応は穏やかに進む。赤色矮星は質量が小さいので核融合の燃料となる水素が少ないが、それ以上に水素の消費が遅いため、質量の大きい恒星と比べて寿命はむしろ長くなる。具体的な寿命の数値は赤色矮星の質量に左右されるが、短くても1000億年、長ければ10兆年以上に及ぶと推測される(ちなみに太陽の寿命は約100億-120億年である)。赤色矮星の寿命は、宇宙が誕生してから現在までの時間(約138億年)よりも長いため、一生を終えた赤色矮星は現在の宇宙にはまだ存在していないと考えられている。

また、赤色矮星は中心部がヘリウムの核融合が始まるほど高温にならないため、水素が燃え尽きても赤色巨星にはならずに、そのままヘリウム型の白色矮星になると予想されている。ただし、前述の通り赤色矮星の寿命は現在の宇宙の年齢よりも長いため、ヘリウム型の白色矮星はまだ存在していないと考えられている。

惑星[編集]

赤色矮星は恒星の大部分を占めているが、初期に太陽系外惑星が見付かった恒星の多くは太陽に似た主系列星だった。これは、赤色矮星の光度が暗く、彩層が活発なため精確な観測が難しいことや、系外惑星の探査が太陽に似た星を主なターゲットとして行われていたことが影響している。しかし2004年ごろから赤色矮星の周りを回る惑星も発見され始めた。

2007年グリーゼ581と呼ばれる赤色矮星の付近に発見されたグリーゼ581cは、地球質量の5倍と、それまでに発見された系外惑星の中では特に小さい上に、発見当初は、ハビタブルゾーン内の軌道を持っているのではないかと言われたため注目を集めた。この惑星がハビタブルゾーンの範囲にあるという考えに対しては後に否定的な研究が発表されたが、2010年には完全にハビタブルゾーンに収まる惑星グリーゼ581gが発見され、再び注目を浴びた。

2006年に銀河系バルジを対象に行われた太陽系外惑星の探査 (SWEEPS) では、太陽の4割の質量を持つ赤色矮星とみられる恒星の周りに、公転周期10時間の惑星の候補天体が見つかっている。この観測で発見された合計5つの周期1日以下の惑星候補はいずれも太陽より小さく暗い星を公転していた。このことから、赤色矮星のように質量が小さい恒星では超短周期の惑星が形成されやすいことが示唆されている[3]

赤色矮星は活発なフレア活動を起こす閃光星である場合が多い。また、赤色矮星のハビタブルゾーンは太陽系よりも主星に近い。そのため、仮に赤色矮星の周りを回る惑星上に生命がいるとすれば、フレアに伴って放出されるX線などの電磁波は生命にとって脅威となるかもしれない。一方で、強いフレアは大気に厚いオゾン層をもたらし、生命に対するフレアの影響を減少させるという考え方もある[4]。また、フレアによって星の明るさが不規則に変化することも生命にとって不利な条件となりうる。しかし、こういった要素が生命にとってどれだけの制約となるかはよく分かっていない。

赤色矮星を回っている惑星で進化した植物は、フレアから身を護る機能を発達させるとともに、光を効率的に吸収するために地球の植物とは違う色合いになり、場合によっては黒く見えるだろうという研究が発表されている[5]

その他[編集]

赤色矮星 (Red Dwarf) は、イギリスのSFTVドラマ『宇宙船レッド・ドワーフ号』の原題でもある。

脚注[編集]

  1. ^ a b 『天文学大事典』 地人書館、初版第1版、374頁。ISBN 978-4-8052-0787-1
  2. ^ Ledrew, Glenn (2001年). “The Real Starry Sky”. Journal of the Royal Astronomical Society of Canada 95: 32. http://adsabs.harvard.edu/abs/2001JRASC..95...32L. 
  3. ^ Sahu, K. C. et al. (2006年). “Transiting extrasolar planetary candidates in the Galactic bulge”. Nature 443 (7111): 534-540. http://ads.nao.ac.jp/cgi-bin/nph-bib_query?2006Natur.443..534S. 
  4. ^ Turnbull, M. 2003 SETI Institute News 12(3), 12
  5. ^ ナショナルジオグラフィックニュース 連星系の惑星で育つ植物は黒くなる?

関連項目[編集]