TRAPPIST-1

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TRAPPIST-1[1]
みずがめ座におけるTRAPPIST-1の位置
みずがめ座におけるTRAPPIST-1の位置
星座 みずがめ座
視等級 (V) 18.80 ± 0.08[2]
分類 赤色矮星(超低温矮星)
位置
元期:J2000.0[3]
赤経 (RA, α) 23h 06m 29.283s[4]
赤緯 (Dec, δ) -05° 02′ 28.59″[4]
赤方偏移 -0.000188[3]
視線速度 (Rv) -56.3 km/s[3]
固有運動 (μ) 赤経: 922.1 ミリ秒/[3]
赤緯: -471.9 ミリ秒/年[3]
年周視差 (π) 82.58 ± 2.58 ミリ秒[3]
距離 39.48 ± 1.24 光年[注 1]
(12.11 ± 0.38 パーセク[注 1])
絶対等級 (MV) 18.4 ± 0.1
物理的性質
半径 0.117 ± 0.0036 R[5]
質量 0.0802 ± 0.0073 M[5]
自転周期 3.30 ± 0.14 [6]
スペクトル分類 M8[7]
表面温度 2,559 ± 55 K[5]
明るさ(可視光 0.00000373 L[注 2]
明るさ(全波長 0.000524 ± 0.000034 L[5]
金属量[Fe/H] 0.04 ± 0.08[2]
年齢 30 - 80億年[6]
別名称
別名称
2MASS J23062928-0502285, 2MASSI J2306292-050227, 2MASSW J2306292-050227, 2MUDC 12171
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TRAPPIST-1は、太陽系から約39.13光年 (12.0 pc) の距離に存在する極めて小さな赤色矮星である[2][8]みずがめ座の方角に位置している。2MASS J23062928-0502285という名称も持つ[3]。このサイズの天体として初めて惑星系を持つことが確認された[9][注 3]

概要[編集]

TRAPPIST-1は、スペクトル分類がM8型の赤色矮星で、表面温度は2,559 Kと赤色矮星の中でも極めて低く、超低温矮星 (Ultra-cool dwarf[10]) といった表現も用いられる[2][5][8][9]。その大きさは太陽の0.117倍と、木星とほぼ同じ大きさ(1.11倍)である。質量は太陽の0.08倍(木星の約80倍)と、恒星としての下限に近い。年齢は30億年から80億年の間と見積もられており[6]、TRAPPIST-1のような超低温矮星は4~5兆年という長大な寿命を持つと考えられている[2][11]

大きさの比較
木星 TRAPPIST-1
木星 Exoplanet

惑星[編集]

TRAPPIST-1とその3惑星のイメージ動画

2017年2月現在、7つの惑星が発見され、そのうち少なくとも内側の6つは地球型惑星と推定されている[12][5][13]

2016年5月、ベルギーリエージュ大学英語版の天文学者ミカエル・ギヨン[14] (Michaël Gillon) のチームにより、チリアタカマ砂漠ラ・シヤ天文台TRAPPIST英語版 (Transiting Planets and Planetesimals Small Telescope) 望遠鏡を用いた観測で[15]、惑星の存在が確認された。トランジット法による観測では3つの地球サイズの惑星が発見され、そのうち内側の2つは自転と公転の同期を起こすほど近いが、外側の1つは液体の水が存在可能なハビタブルゾーンの内側かまたはちょうど外に位置していると考えられた[8]。この観測結果は2016年5月に科学誌『ネイチャー』にて公開された[15][2]

2017年2月22日、NASAはTRAPPIST-1星系に7つの惑星があり、そのうち3つ(e、f、g)がハビタブルゾーンを周回する軌道にあることを発表した[11][12][16]。2016年9月19日から20日間連続で行われたスピッツァー宇宙望遠鏡による観測によって、既に発見されていた惑星bとcに加え、軌道が確定していなかった「d」がd、e、f、gの4つの惑星であったことが判明した[5]。またこれらとは離れた外側の軌道に惑星hが発見され、7つの惑星からなる星系であるとされた[5]。bからgまでの内側6つの惑星の間には、その公転周期に軌道共鳴の関係が見られる[5][注 4]。このことから、現在よりも外側で形成された惑星がより内側の軌道へと移動してきたものと考えられている[5]。また、これら6つの惑星と主星との質量比0.02%は、ガリレオ衛星と木星との質量比と近く、その形成過程が似通っていることを示唆していると考えられている[5]

地球からの距離が、比較的近いため、2018年以降の打ち上げを予定しているジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって、これらの惑星の大気組成等についてより詳細な観測が可能になることが期待されている[13]

TRAPPIST-1の惑星[2][5][17]
名称
(恒星に近い順)
質量 軌道長半径
天文単位
公転周期
()
軌道離心率 軌道傾斜角 半径
b 0.79±0.27 M 0.01111 1.5108739±0.0000075 0.019±0.008 89.65±0.25° 1.086±0.035 R
c 1.63±0.63 M 0.01522 2.421818±0.000015 0.014±0.005 89.67±0.17° 1.056±0.035 R
d 0.33±0.15 M 0.02145 4.04982±0.00017 0.003+0.004
−0.003
89.75±0.16° 0.772±0.030 R
e 0.24+0.56
−0.24
 M
0.02818 6.099570±0.000091 0.007±0.003 89.86±0.11° 0.918±0.039 R
f 0.36±0.12 M 0.0371 9.20648±0.00053 0.011±0.003 89.680±0.034° 1.045±0.038 R
g 0.566±0.038 M 0.0451 12.35281±0.00044 0.003±0.002 89.710±0.025° 1.127±0.041 R
h 0.086±0.084 M 0.0596 18.76626±0.00068 0.086±0.032 89.80±0.07° 0.715±0.047 R
TRAPPIST-1星系の惑星について、主星からの距離、直径、質量に関する利用可能なデータに基づいて描かれた想像図。
(データは2017年2月下旬時点)

惑星の大気[編集]

2016年5月4日、TRAPPIST-1bとTRAPPIST-1cが共に同時にトランジット(恒星面通過)を起こした。その様子はハッブル宇宙望遠鏡によって観測され、大気成分の分析を試みた。その結果、詳細な大気成分は判明しなかったが、少なくともガス惑星のように水素などで満たされた大気ではないと判明した[18][19]

その他[編集]

2017年2月23日、TRAPPIST-1の惑星系の発見を祝って、この日のGoogle Doodleは、TRAPPIST-1の惑星系をモデルにしたものになった[20]

画像[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算(誤差も同様)、光年はパーセク×3.26より計算。各有効桁小数第2位。
  2. ^ TRAPPIST-1 の絶対等級 、太陽の絶対等級 から、太陽を1としたときの光度は により計算される。
  3. ^ 同じような恒星系として、やや大きいがケプラー42系が発見されている。
  4. ^ Pc/Pb = 8:5, Pd/Pc = 5:3, Pe/Pd = 3:2, Pf/Pe = 3:2, Pg/Pf = 4:3

出典[編集]

  1. ^ TRAPPIST-1b”. Open Exoplanet Catalogue. 2016年5月2日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g Gillon, Michaël; Jehin, Emmanuël; Lederer, Susan M.; Delrez, Laetitia; de Wit, Julien; Burdanov, Artem; Van Grootel, Valérie; Burgasser, Adam J. et al. (2016). “Temperate Earth-sized planets transiting a nearby ultracool dwarf star”. Nature 533 (7602): 221-224. arXiv:1605.07211. doi:10.1038/nature17448. ISSN 0028-0836. http://www.eso.org/public/archives/releases/sciencepapers/eso1615/eso1615a.pdf. 
  3. ^ a b c d e f g 2MASS J23062928-0502285 -- High proper-motion Star”. SIMBAD. 2016年12月18日閲覧。
  4. ^ a b Cutri, R.M.; Skrutskie, M.F.; Van Dyk, S.; Beichman, C.A.; Carpenter, J.M.; Chester, T.; Cambresy, L.; Evans, T. et al. (June 2003). “2MASS All Sky Catalog of point sources”. VizieR Online Data Catalog (ヨーロッパ南天天文台 with data provided by the SAO/NASA Astrophysics Data System) 2246. Bibcode 2003yCat.2246....0C. 
  5. ^ a b c d e f g h i j k l Gillon, Michaël; Triaud, Amaury H. M. J.; Demory, Brice-Olivier; Jehin, Emmanuël; Agol, Eric; Deck, Katherine M.; Lederer, Susan M.; de Wit, Julien et al. (2017). “Seven temperate terrestrial planets around the nearby ultracool dwarf star TRAPPIST-1”. Nature 542 (7642): 456-460. doi:10.1038/nature21360. ISSN 0028-0836. http://www.eso.org/public/archives/releases/sciencepapers/eso1706/eso1706a.pdf. 
  6. ^ a b c Luger, Rodrigo; Sestovic, Marko; Kruse, Ethan; Grimm, Simon L.; Demory, Brice-Oliver (2017年3月12日). “A terrestrial-sized exoplanet at the snow line of TRAPPIST-1”. arXiv:1703.04166 [astro-ph.EP]. 
  7. ^ Costa, E.; Mendez, R.A.; Jao, W.-C.; Henry, T.J.; Subasavage, J.P.; Ianna, P.A. (August 4, 2006). “The Solar Neighborhood. XVI. Parallaxes from CTIOPI: Final Results from the 1.5 m Telescope Program” (PDF). The Astronomical Journal (アメリカ天文学会) 132 (3). Bibcode 2006AJ....132.1234C. doi:10.1086/505706. http://iopscience.iop.org/article/10.1086/505706/pdf. 
  8. ^ a b c Three Potentially Habitable Worlds Found Around Nearby Ultracool Dwarf Star - Currently the best place to search for life beyond the Solar System”. ヨーロッパ南天天文台 (2016年5月2日). 2016年5月2日閲覧。
  9. ^ a b 超低温の矮星の周りに、生命が存在しうる地球サイズの惑星3つを発見”. AstroArts (2016年5月9日). 2016年5月12日閲覧。
  10. ^ Glossary”. アメリカ航空宇宙局. 2017年2月26日閲覧。
  11. ^ a b Wall, Mike (2017年2月22日). “Major Discovery! 7 Earth-Size Alien Planets Circle Nearby Star” (英語). space.com. 2017年2月23日閲覧。
  12. ^ a b NASA Telescope Reveals Largest Batch of Earth-Size, Habitable-Zone Planets Around Single Star”. アメリカ航空宇宙局 (2017年2月23日). 2017年2月23日閲覧。
  13. ^ a b 40光年彼方に地球サイズの7惑星”. AstroArts (2017年2月23日). 2017年2月24日閲覧。
  14. ^ 【解説】地球に似た7惑星を発見、生命に理想的 - 太陽系から近いことが地球外生命の研究を前進させる”. ナショナルジオグラフィック (2017年2月23日). 2017年2月26日閲覧。
  15. ^ a b Could these newly-discovered planets orbiting an ultracool dwarf host life?”. ガーディアン (2016年5月2日). 2016年5月4日閲覧。
  16. ^ TRAPPIST-1 Planet Lineup”. ジェット推進研究所 (2017年2月22日). 2017年2月23日閲覧。
  17. ^ Wang, Songu; Wu, Dong-Hong; Barclay, Thomas; Laughlin, Gregory P. (2017年4月13日). “Updated Masses for the TRAPPIST-1 Planets”. arXiv:1704.04290 [astro-ph.EP]. 
  18. ^ de Wit, Julien; Wakeford, Hannah R.; Gillon, Michaël; Lewis, Nikole K.; Valenti, Jeff A.; Demory, Brice-Olivier; Burgasser, Adam J.; Burdanov, Artem et al. (2016). “A combined transmission spectrum of the Earth-sized exoplanets TRAPPIST-1 b and c”. Nature 537 (7618): 69-72. doi:10.1038/nature18641. ISSN 0028-0836. 
  19. ^ 地球サイズの系外惑星の大気を初観測”. AstroArts (2016年7月25日). 2017年2月23日閲覧。
  20. ^ Radowitz, John von (2017年2月23日). “Exoplanet discovery celebrated with Google Doodle after three planets found”. mirror. http://www.mirror.co.uk/science/exoplanet-discovery-celebrated-google-doodle-9901030 2017年2月24日閲覧。 
  21. ^ Ultracool Dwarf and the Seven Planets – Temperate Earth-sized Worlds Found in Extraordinarily Rich Planetary System”. 2017年2月24日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]


座標: 星図 23h 06m 29.383s, −05° 02′ 28.59″