バール (単位)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
バール
bar
記号 bar
度量衡 メートル法
圧力
SI 100 kPa[1]
定義 パスカル又はニュートン毎平方メートルの十万倍[2]
由来 106 dyn/cm2
テンプレートを表示

バール: bar)は、圧力単位である。105 Pa に等しい。メートル系の単位であるが、非SI単位である。国際単位系の国際文書では、「その他の非SI単位」(表8)としている[3]。これはバールが「様々な理由により特定の分野で使用されている非 SI 単位」であるからである。

日本の計量法では、使用分野を特に限定することなく、圧力の単位として認めている[4]

SI接頭辞はバールと併用することができる[5]

バールの 1/1000 であるミリバール (mbar) は、かつて気象分野で使われたが、1992年以降はヘクトパスカル (hPa) に置き換えられた。

定義と大きさ[編集]

元々のバールの定義は、106 ダイン (dyn)(1メガダイン)の力が 1平方センチメートル (cm2) の面積に作用する時の圧力であった。これは 1 atm(1気圧)にできるだけ近い値として定められたものである。正確には 1 atm = 1.013 25 bar = 1013.25 mbar = 1013.25 hPa である。約 1.3 % の差があるが、気圧計の測定精度を考えると、実用上はほぼ同じとみなせる。

これはCGS単位で表すと 1 b = 106 dyn/cm2MKS単位 (SI) で表すと 1 b = 105Pa = 105 N/m2 である。

1気圧にほぼ等しい単位として定められたため、CGS単位系においてもSIにおいても、基本単位だけから組み立てることはできず、10のの係数が付く(一貫性がない)。このため非SI単位である。

単位記号[編集]

バールの単位記号は、barである[6]国際単位系 (SI) でも同じである。

ミリバールの単位記号は mb とすることもあったが、バール単独、あるいは他の派生単位中のバールを b とすることはあまりなかった。なお b は本来は、バリ (barye) の記号である。

歴史[編集]

1911年、気象学者V・ビヤークネスが提唱し、1914年から気象通報に使われ始めた[7]

バールの名は、ギリシャ語重さを意味する báros に由来する。同じ語源の単位にCGS単位系の圧力の単位バリ (barye) があり、かつてはそれをバールと呼ぶこともあった[7]

日本の気象分野では古くは水銀柱ミリメートル (mmHg) が使われていたが、1945年からミリバール (mbar) に切り替り、更に1992年12月にヘクトパスカル (hPa) に切り替わった。

ヘクトパスカルの採用理由[編集]

ミリバールからヘクトパスカルに変更された理由は、計量法が改正され、圧力の単位は1992年12月から国際単位系 (SI) であるパスカルを使用することになったからである。

ここで本来ならば、他の単位と同じように、103 ごとのSI接頭辞を用いて、キロパスカル (kPa) に移行し、例えば 1000 ミリバール → 100 キロパスカルとすべきところである。しかし、気象関係者が、ヘクトパスカルを要望したため、通常はほとんど使われないSI接頭辞である「ヘクト」を用いて、ヘクトパスカル (hPa) が採用された。

1 bar = 105 Pa なので、1 mbar = 10−3 bar = 10−3 × 105 Pa = 102 Pa = 1 hPa となって、ヘクトパスカルはミリバールに等しい。したがってミリバールからヘクトパスカルへの移行の場合、数値がそのまま使える。これがキロパスカルが採用されず、ヘクトパスカルが採用された理由である(ヘクトパスカル#ヘクトの位置づけを参照)。

派生単位[編集]

かつては倍量単位としてはメガバール Mbar、キロバール kbar が、分量単位としてはミリバール mbarがよく使われた。絶対圧であることを明示した bara、ゲージ圧であることを明示した barg も使われた。

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 独立行政法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター 『国際文書 国際単位系 (SI)』、2006年、第 8 版日本語版。 p. 40 表8
  2. ^ 計量単位令 別表第1 項番22、「圧力」の欄
  3. ^ 独立行政法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター 『国際文書 国際単位系 (SI)』、2006年、第 8 版日本語版。 p. 40 表8
  4. ^ 計量単位令 別表第1 項番22、「圧力」の欄
  5. ^ 独立行政法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター 『国際文書 国際単位系 (SI)』、2006年、第 8 版日本語版。 p. 39
  6. ^ 計量単位規則 別表第2 「圧力」の欄
  7. ^ a b 『丸善単位の辞典』 二村隆夫監修、丸善2002年ISBN 4-621-04989-5

関連項目[編集]

外部リンク[編集]


圧力の単位
パスカルSI単位) バール 工学気圧 気圧 トル psi
1 Pa ≡ 1 N/m2 = 10−5 bar ≈ 10.2×10−6 at ≈ 9.87×10−6 atm ≈ 7.5×10−3 Torr ≈ 145×10−6 psi
1 bar = 100 000 Pa ≡ 106 dyn/cm2 ≈ 1.02 at ≈ 0.987 atm ≈ 750 Torr ≈ 14.504 psi
1 at = 98 066.5 Pa = 0.980665 bar ≡ 1 kgf/cm2 ≈ 0.968 atm ≈ 736 Torr ≈ 14.223 psi
1 atm = 101325 Pa = 1.01325 bar ≈ 1.033 at p0 = 760 Torr ≈ 14.696 psi
1 Torr ≈ 133.322 Pa ≈ 1.333×10−3 bar ≈ 1.360×10−3 at ≈ 1.316×10−3 atm ≡ 1 mmHg ≈ 19.337×10−3 psi
1 psi ≈ 6894.757 Pa ≈ 68.948×10−3 bar ≈ 70.307×10−3 at ≈ 68.046×10−3 atm ≈ 51.7149 Torr ≡ 1 lbf/in2