トル

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トル
torr(Torrとしない)
記号 Torr(torrとしない)
メートル法
圧力
SI ~133.322 368 Pa
定義 101 325 / 760 Pa[1]
由来 標準大気圧の760分の1の圧力
語源 エヴァンジェリスタ・トリチェリ
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トル(torr、記号: Torr)は、圧力単位である。トールとも言う。メートル法に基づくが、SI単位ではない。

トルは日本の計量法において正確に101325/760 Paと定義されている[2]。これは標準大気圧の標準大気圧1760という意味である。約133.322 Paである。

現在では、日本においては、1トルは水銀柱ミリメートルと完全に同一の定義である[3]

この単位の名は、1644年に気圧計の原理を発見したイタリアの科学者、エヴァンジェリスタ・トリチェリに因む[4]

分量単位[編集]

トルは国際単位系(SI)の単位ではないが、SI接頭辞をつけた以下の分量単位が使われる。

  • ミリトル(mTorr) = 10−3 Torr
  • マイクロトル(μTorr) = 10−6 Torr

単位記号[編集]

トルの単位記号は、「Torr」である[5]。これは接頭辞や他の単位を伴う場合も同じである(例 mTorr、Torr·L/s)[6]。先頭の文字が大文字であることに注意。これはトルが人名(エヴァンジェリスタ・トリチェリ Evangelista Torricelli)に由来するからである。したがって、ミリトルとマイクロトルの単位記号は、mTorr、μTorr である。

トルは時々、誤って記号"T"で表されることがあるが、これは本来はSI単位テスラの記号であり、混乱を招くので使用するべきではない。"Tor"と書かれることもあるが、これも誤りである。

なお、単位の名称は英語で"torr"と書かれる。この場合は、「Torr」とはしない。

歴史[編集]

トリチェリが初の水銀気圧計を公表したとき、かなりの注目を集めた。彼は、気圧について初の現代的な説明をした。科学者は、気圧計の液面の高さの小さな変動をよく知っていた。これらの変動は気圧の変化の徴候として説明され、気象学が生まれた。

時間とともに、0における高さ760ミリメートルの水銀柱が与える圧力は、標準的大気圧と等しい考えられるようになった。0℃における高さ1ミリメートルの水銀柱が与える圧力を圧力の単位とし、トリチェリを記念して「トル」と命名された。しかし、重力加速度が高度と緯度によって変わるため、水銀柱の重さが変わり、トルの値が場所によって異なることになる。

1954年の第10回国際度量衡総会で、気圧の定義が改められ、1気圧は正確に101325 Paに等しいと定められた[7]。また、トルは1気圧の1760として再定義された。これは、水銀の密度や重力加速度の測定値から独立した、明確で正確な定義である。

水銀柱ミリメートルとの関係[編集]

現今では、日本の計量法は、トルも水銀柱ミリメートルも、定義は全く同じ「101 325/760 パスカル」としている[8]。したがってその数値に違いはない。

関連項目[編集]

圧力の単位
パスカルSI単位) バール 工学気圧 気圧 トル psi
1 Pa ≡ 1 N/m2 = 10−5 bar ≈ 10.2×10−6 at ≈ 9.87×10−6 atm ≈ 7.5×10−3 Torr ≈ 145×10−6 psi
1 bar = 100 000 Pa ≡ 106 dyn/cm2 ≈ 1.02 at ≈ 0.987 atm ≈ 750 Torr ≈ 14.504 psi
1 at = 98 066.5 Pa = 0.980665 bar ≡ 1 kgf/cm2 ≈ 0.968 atm ≈ 736 Torr ≈ 14.223 psi
1 atm = 101325 Pa = 1.01325 bar ≈ 1.033 at p0 = 760 Torr ≈ 14.696 psi
1 Torr ≈ 133.322 Pa ≈ 1.333×10−3 bar ≈ 1.360×10−3 at ≈ 1.316×10−3 atm ≡ 1 mmHg ≈ 19.337×10−3 psi
1 psi ≈ 6894.757 Pa ≈ 68.948×10−3 bar ≈ 70.307×10−3 at ≈ 68.046×10−3 atm ≈ 51.7149 Torr ≡ 1 lbf/in2

出典[編集]

  1. ^ 計量単位令別表第6 項番11、生体内の圧力の計量、トルの欄
  2. ^ 計量単位令別表第6 項番11、生体内の圧力の計量、トルの欄
  3. ^ 計量単位令別表第6 項番11、生体内の圧力の計量、トルの欄及び項番12、血圧の計量の欄、水銀柱ミリメートル
  4. ^ 水銀ではなく水を使った、最新の気圧計に類似した装置は、1640年代前半に何人かの科学者によって研究されていた(History of the Barometerを参照)。トリチェリによる気圧計の原理の説明は、1644年6月11日の日付のあるミケランジェロ・リッチあての手紙で初めて示されている。
  5. ^ 計量単位規則 別表第4、生体内の圧力の計量、トルの欄
  6. ^ Rules and style conventions”. NIST. 2012年9月29日閲覧。
  7. ^ BIPM – Resolution 4 of the 10th CGPM
  8. ^ 計量単位令 別表第6(第5条関係)項番11及び項番12