ニュートン (単位)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ニュートン
newton
記号 N
国際単位系 (SI)
種類 組立単位
組立 kg·m/s2
定義 1 kgの質量を持つ物体に1 m/s2の加速度を生じさせる力
語源 アイザック・ニュートン
テンプレートを表示

ニュートン: newton、記号: N)は、 国際単位系 (SI)における単位。1ニュートンは、1 kgの質量を持つ物体に1 m/s2の加速度を生じさせる力である。名称は古典力学で有名なイギリスの物理学者アイザック・ニュートンに因む。

名称[編集]

1946年国際度量衡委員会 (CIPM) において、力の単位は1キログラムの質量に1 m/s2加速度を生じさせる力であるとの定義が決議された。1948年の第9回国際度量衡総会 (CGPM) は、このMKS単位系における力に「ニュートン(newton)」の名称と記号「N」を与える決議を採択した[1]

ニュートンの名称は、1904年ブリストル大学のデビッド・ロバートソン(en:David Robertson (engineer))が提唱していたものである[2][3]

人名に因むため、記号は大文字・立体の「N」と表記される。ただし英語で本単位の意味であるニュートンと書き出す場合は「newton」とする(国際単位系#単位の英語名称、一般的にアイザック・ニュートンを含め人名を示す場合は「Newton」とする。)。

定義[編集]

1ニュートンは、1キログラム質量をもつ物体に1メートル毎秒毎秒 (m/s2) の加速度を生じさせる力と定義される。運動の第2法則F = maとし、Fm質量a加速度である。単位で表すと以下のようになる:

F = m a
1 N = 1 kg m/s2

つまり、基本単位で書き表すと N = kg·m/s2 (キログラムメートル毎秒毎秒)となる。

また、次元解析を力、を質量、を長さ、を時間とした場合の式:

重量[編集]

重量重力によって2つの物体の間に働く力と定義されているので、ニュートンはまた重量の単位でもある。重力加速度は地球上の場所によってわずかに異なるが、地球表面において質量1キログラムの物体の重量は約9.81ニュートンである。

重量キログラム標準重力上で質量1 kgの物体の重量を1 kgfと定義している。

リンゴによる力の表現[編集]

ニュートンのリンゴについての逸話にちなんで、力学の教科書での重力の説明にリンゴを用いたり[4]リンゴ1個に働く重力が 1 N であるという説明がなされることがある[5][6]

より正確には質量102 g のリンゴに働く重力が、0.102 kg × 9.80665 m/s2 = 1.00 N ということになる。ただし、日本で流通しているリンゴは海外と比較して大きいものが多く、質量が102 g を上回る品種がほとんどである[7][8][9][10]。しかし質量が102 g を下回る小さいリンゴの品種も一部存在する[11][12]

リンゴの比重が 1.0 (水と同じ)であり、真球であるとすると、質量102 g のりんごの直径は 5.8 cm となる(超球の体積#公式)。このことからも、実際の市販されているリンゴとしては小さすぎることが分かる[13][14]。このため、リンゴに替えて、1 N を、みかんキウイまたは単1乾電池 1個に働く重力との説明もある[15]

換算[編集]

力の単位
変換後
ニュートンSI単位)
N
ダイン
dyn
重量キログラム
kgf
重量ポンド
lbf
パウンダル
pdl
変換前 1 N =1 kg·m/s2 =105 dyn ≈0.10197 kgf ≈0.22481 lbf ≈7.2330 pdl
1 dyn =10−5 N =1 g·cm/s2 ≈1.0197×10−6 kgf ≈2.2481×10−6 lbf ≈7.2330×10−5 pdl
1 kgf =9.80665 N =980665 dyn =gn·(1 kg) ≈2.2046 lbf ≈70.932 pdl
1 lbf =4.4482216152605 N ≈444822 dyn ≈0.45359 kgf =gn·(1 lb) ≈32.174 pdl
1 pdl =0.138254954376 N ≈13825 dyn ≈0.014098 kgf ≈0.031081 lbf =1 lb·ft/s2
重量ポンドの値は、公式には重量キログラムによって定義されている標準重力加速度 gn を用いて計算している。
力学の単位の3つのアプローチ[16][17]
基本単位 力・長さ・時間 重さ・長さ・時間 質量・長さ・時間
(F) F = ma = wa/g F = ma/gc = wa/g F = ma = wa/g
重さ (w) w = mg w = mg/gcm w = mg
単位系 BG GM EE M AE CGS MTS SI
加速度 (a) ft/s2 m/s2 ft/s2 m/s2 ft/s2 Gal m/s2 m/s2
質量 (m) slug slug lbm kg lb g t kg
力 (F) lb kgf lbF kgf pdl dyn sn N
圧力 (p) lb/in2 at PSI atm pdl/ft2 Ba pz Pa

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 電気単位の定義(PV, 20, 132-133)決議2 および側方の注記、国際度量衡委員会(CIPM),1946年、国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版
  2. ^ 15.2 MEASUREMENT UNITS U.S. Metric Study Interim Report, Engineering Standards, National Bureau of Standards, Special Publication 345-11, July 1971、 「Professor David Robertson of Bristol University in a letter to the 'Electrician' in April 1904 independently advocated the adoption of a similar MKS system by the St. Louis International Electrical Congress and suggested the "newton" for the unit of force and the "kram" for the unit of mass in order to eliminate the prefix in the base unit "kilogram."」
  3. ^ 1941 Obituary, David Robertson Grace's Guide to British Industrial History、「He was an advocate of the MKS system of units, and 36 years ago proposed the "Newton" for the unit of force, and the "Volt-second" for the unit of flux in that system.」
  4. ^ 兵頭俊夫、『考える力学』第2版、p.16、「たとえば、手に持ったリンゴを離すと、下に落ちる。これはリンゴが地球から§2.2で学ぶ万有引力F1を受けているからである。」、学術図書出版社ISBN 978-4-7806-0941-7、2021年10月31日第2版第1刷
  5. ^ ニュートン単位っていったい何? 株式会社 大里
  6. ^ What is a Force Gauge? force & torque measurement, imada.com
  7. ^ りんごサイズ比較 大湯ファーム、Sサイズの質量は220~250 g となっている。
  8. ^ りんご カロリーSlim、りんごSサイズ(170g)となっている。
  9. ^ 食文化の違い。大きいりんご、小さいりんご”. malus.my.coocan.jp. 2022年4月14日閲覧。
  10. ^ mrn (2017年6月28日). “日本のリンゴは大きくて、海外のリンゴは小さい?その理由は?” (日本語). MyReviewNote:色んなレビューや感想. 2022年4月14日閲覧。
  11. ^ ミニフジコ | MINI FUJI-CO | 小さくおいしいリンゴの物語” (日本語). ミニフジコ. 2022年4月14日閲覧。
  12. ^ アルプス乙女(あるぷすおとめ) | りんご大学”. www.ringodaigaku.com. 2022年4月14日閲覧。
  13. ^ ニュートン先生のリンゴの木&1ニュートン[Nのお話(3)-リンゴの重さがポイント?!] 宙をめざせ!、神奈川工大機械工学科 航空宇宙専攻、「ちなみにニュートン先生のリンゴは日本で普通にみられるリンゴ(約300グラム前後)の3分の1程度の大きさです。」
  14. ^ How much is 100 grams? 100gは、中サイズのリンゴの半分としている。by Daisy Whitbread, Half a medium sized apple, Last Updated: 2021-07-28
  15. ^ りんごにはたらく重力 力 ニュートン、大日本図書
  16. ^ Michael R. Lindeburg (2011). Civil Engineering Reference Manual for the Pe Exam. Professional Publications. ISBN 1591263417 
  17. ^ Wurbs, Ralph A, Fort Hood Review Sessions for Professional Engineering Exam, オリジナルの2011年8月15日時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/20110815173559/engineeringregistration.tamu.edu/tapedreviews/Fluids-PE/PDF/Fluids-PE.pdf 2011年10月26日閲覧。