ポンド (質量)

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ポンド
pound
記号 lb
度量衡 ヤード・ポンド法
質量
SI 0.453 592 37 kg(常衡、定義値)
由来 人間が1日に消費する大麦の重さ
語源 ラテン語 pondus(重さ)
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ポンドオランダ語: pond)またはパウンド英語: pound)は、ヤード・ポンド法などにおける質量単位である。1 lb = 453.592 g

単位記号はlb。イギリスなどの通貨単位ポンドは同一語源(ラテン語で重さを表すpondus)で、多くの言語で同じ名称だが、記号は異なる。日本ではの漢字をあてていた。

同じ「ポンド」という名称で、少くとも4種類の異なる質量の単位がある。このうち、トロイポンドと薬用ポンドは同じ値である。

  • 常用ポンド (avoirdupois pound) または国際ポンド (international pound) - 常衡
  • トロイポンド (troy pound) - トロイ衡
  • 薬用ポンド (apothecaries' pound) - 薬衡
  • メートルポンド (metric pound) - メートル法

通常、単に「ポンド」と言えば常用ポンドのことを指す。1959年7月1日以降、1常用ポンドは0.453 592 37キログラムに等しいと定義されている。以下、特に説明のない場合、単に「ポンド」と書いた時は常用ポンドのことを示す。

ヤード・ポンド法の質量の単位には他にオンス (oz)、グレーン (gr)、トン(英トン、米トン)などがある。現在では、1ポンド = 16オンス = 7000グレーンと定義されている。なお、1グレーンの質量は、常用ポンドでもトロイポンドでも、同じ質量である。

呼び名[編集]

代表的な言語での呼び名は以下のとおり。

起源[編集]

歴史的には、メソポタミア地方で大麦1粒の重さを元にグレーンが定められ、その倍量単位としてポンドが定められた。使用法としては、人間が1日に消費する食糧としての単位であり、1ポンドの製粉によって焼かれたパンが1日分の主食量に相当する。

古代ローマではこの単位を天秤の意味の「リブラ (libra)」と呼んでおり、これがポンドを表す記号“lb”の由来である。また、通貨の単位のポンドの略号“£”もlibraに由来する。「○○リブラの重さ」を“○○ libra pondus”と言い、このことから“pondus”がリブラの別名となった。

英米のポンド[編集]

常用ポンド の定義[編集]

常用ポンドは1303年ロンドンの商人によって導入された。

ローマからイングランドにグレーンやポンドが伝えられた。ポンドとグレーンの換算には様々なものがあったが、おおむね5000グレーン程度であり、13世紀ヘンリー3世の時代には1ポンド = 5400グレーン = 12オンスとされていた。しかし、後に1ポンド = 16オンスとされるようになり、エリザベス1世の時代、1584年に法律で1ポンド = 7000グレーン = 16オンスと定められた。このポンドを常用ポンド (avoirdupois pound) と言い、他のポンドと区別する必要があるときには"lb av"という記号で表す。この関係はエリサベス1世の時代から今日まで変わっていない。後にポンドの方を質量の基本単位とし、ポンドの定義を「大英帝国標準ポンド原器の質量」と定めた。

イギリス系とアメリカ系の間にわずかの差があったが、1958年にオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、南アフリカ、イギリス、アメリカの6カ国による国際協定によって共通の値1ポンド = 0.453 592 37キログラム(正確に)に統一した。この数値は1ポンド = 7000グレーンであることを考慮し、数値が「7」で割り切れるように定義したものである。したがって、1グレーンは、正確に 64.798 91ミリグラムとなった。国際協定による共通値はアメリカでは1959年7月1日から[1]、イギリスでは1963年に法律を改正して適用された。これが「国際ポンド」と呼ばれているものである。

ただし日本国内では1993年まで、1ポンド = 0.453 592 43 kgが使われ続けた。この値はアメリカにおける1894年の定義、1ポンド = 0.453 592 4277 kgに基づき、1953年制定の計量法施行法および(旧)計量単位令に法定されていたものであって、1958年の国際ポンドとの齟齬が(新)計量単位令(別表第7 項番2[2])の施行まで35年間も放置されていた。

常用ポンド の経緯[編集]

イギリスでは、1878年度量衡法によってポンドが正式に定義された。この時の定義は、キログラムで表すと約0.453 592 338キログラムである。この定義は帝国ポンドと呼ばれ、1959年以降は使用されていない。

アメリカでは、1893年4月5日のメンデンホール指令英語版によって、ヤードメートルを基準として、ポンドキログラムを基準として定義されることになった。メンデンホール指令による換算値は1ポンド = 約0.453 592 91 kgであった(1ポンド =(正確に)1/2.204 62 kg)。しかし、翌年の1894年には、1ポンド = 約0.453 592 4277 kgと修正された[3]。さらに前述のように1959年に現在の値となった。1894年の定義値と1959年の定義値との違いは約1千万分の1である。

1常用ポンドは16オンス、7000グレーンに等しい。前述の通り1959年の国際ポンドの定義値は、7で割り切れるように定義されたので、1グレーンは正確に0.064 798 91グラムである。この常用ポンドとグレーンとの関係は、1584年に再定義された時から変わっていない。それまでは1常用ポンドは7002グレーンに相当していた。それ以来、グレーンは常衡の一部とされるようになった。

トロイポンド[編集]

トロイポンドは、イギリスの薬剤師や宝石商によって使用されていた単位である。その名前は、中世フランスの重要な商都であったトロワ (Troyes) に因む。カナダ、オーストラリア、イギリスなどでは、現在はトロイポンドは法的単位ではない。しかし、その分量単位であるトロイオンスは、メートル法が施行されている国でも使用が認められている。

1トロイオンスは480グレーンに等しく、1トロイポンドは5760グレーンに等しい。したがって、1トロイオンス =(正確に)31.103 4768グラム、1トロイポンド =(正確に)373.241 7216グラムである。トロイポンドと常用ポンドとの比率は144/175である。なお、1トロイポンド = 12トロイオンスである。

英米以外のポンド[編集]

メートル法以前[編集]

イギリス以外のいくつかのヨーロッパ諸国でも、古くからポンド(またはその訳語)と呼ばれる単位が使われていたが、その量は国と時代によって異なる。たとえば、1820年ごろのアムステルダムポンドは494.09グラムだった。

それらは現在では使われないか、メートルポンドに取って代わられた。

メートルポンド[編集]

国際単位系 (SI) を使ういくつかの国では、ポンド(またはその訳語)は、非公式ではあるが500グラムの意味で用いられる。これは、フランス革命後のメートル法の草創期にフランスで定められた値である。それらの国の多くでは、19世紀に正式にその単位名称を導入することが検討されたが、現在はどの国でも正式な単位名称としては認められていない。

オランダでは、ポンド (pond) は正式に1キログラムとして、オンスは100グラムとして再定義された。しかし、前者は今日では使用されず、オランダでポンドと言えば、現在では他の国と同じ500グラムである。100グラムのオンスは限られた用途で現在でも使われている。

メートル法を採用している国では、ポンドという言葉は俗語としては使われているが、はかりなどの計量装置にポンドは書かれていない。目盛りはグラムやキログラムで書かれており、グラムで測ってからポンドに直す必要がある。

関連項目[編集]

質量の単位
キログラム
SI単位)
グレーン 常用オンス 常用ポンド
1 kg = 1 ≈ 15432 ≈ 35.274 ≈ 2.2046 ≈ 266.67 ≈ 1.6667 ≈ 0.26667
1 gr = 0.00006479891 = 1 ≈ 0.0022857 ≈ 0.00014285 ≈ 0.0172797 ≈ 0.000107998 ≈ 0.0000172797
1 oz = 0.028349523125 = 437.5 = 1 = 0.0625 ≈ 7.5599 ≈ 0.047249 ≈ 0.0075599
1 lb = 0.45359237 = 7000 = 16 = 1 ≈ 120.96 ≈ 0.75599 ≈ 0.12096
1 匁 = 0.00375 ≈ 57.871 ≈ 0.13228 ≈ 0.082673 = 1 = 0.00625 = 0.001
1 斤 = 0.6 ≈ 9259.4 ≈ 21.164 ≈ 1.3228 = 160 = 1 = 0.16
1 貫 = 3.75 ≈ 57871 ≈ 132.28 ≈ 8.2673 = 1000 = 6.25 = 1