地軸

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地球の自転とその地軸を視覚化したアニメーション

地軸(ちじく)とは、地球自転する際の軸であり、北極点南極点とを結ぶ運動しない直線を指す。地球以外の惑星及び衛星についても地軸と呼ぶ。地球の地軸は、公転面の法線に対して、約23.43度傾いている。以降、特に断らない限り、地球の地軸について述べる。

地軸と季節の変化[編集]

地軸の傾きが日常生活に最も関連するのは季節の移り変わりだろう。地軸が傾いていることから、夏季には日が高く昇り、昼の時間が長く、冬季には日が低く、昼が短い。単位面積当たりの太陽エネルギーの照射量と日照時間とが変化することで、季節が生じる。北緯23.43度(23度26分)を走る北回帰線上では、1年に1度、夏至に太陽の南中高度が90度になる。これも地軸の傾きによる。逆に90−23.43の北緯66.56度(66度33分)の北極圏では、夏至に太陽が沈まず(白夜)、冬至に日が昇らない。なお、南半球では暦と季節との対応が反対(6月は冬、12月は夏)となるため、南回帰線上では12月の冬至(現地の夏)に太陽の南中高度が90度となり、南極圏では冬至を含む12月前後(現地の夏)に白夜となる。

地軸と北極星[編集]

地軸は、公転の影響を受けないため、常に一定の方向を指す。そのため、天球北半球と地軸の交点付近の恒星である北極星は、1日のどの時刻であっても、1年のどの季節であっても同じ高度(角度)に見える。この高度は観測者の居る地点の緯度によってだけ決まるので、北極星の高度を測定すれば(もちろん北極星の見える北半球においてであるが)、地球上のどの地点であっても緯度を計算できるのである。GPSなどが発達する以前、数百年にわたって北極星が航海などに役立ってきたのは、こうした地軸の性質による。

ただし、非常に長い期間を想定した場合、地軸自体の指す方向は変化する。これを歳差運動と呼ぶ。歳差運動自体は珍しいものではなく、コマの首振り運動のように日常観察できるものである。地軸の歳差運動の周期は約2万5,800年である。このため、北極星に該当する恒星も相対的に変化しているように観察される。

地軸の傾きを計算する方法[編集]

地軸が傾いていること自体は、季節によって日の出、日の入りの時刻が異なることから予想することができた。それでは、地軸の傾き自体はどのように測定できるのだろうか。まず、北極星の高度から緯度 x を測定する。北極星が観測者の真上に見えれば緯度90度、水平線であれば緯度0度である。次に、一日で最も日が短くなる北半球の冬至の南中時に高さ h の物体の影の長さ l を測定する。すると、次の式から太陽の高度 θ が分かる。

北半球であれば、地軸の傾き φ は、

φ = 90 - x - θ

である。

地震による地軸への影響[編集]

超巨大地震による地形の変形により極運動が励起され、地軸がずれることが知られる[1]。地軸がずれた結果、地震の前後で地球の自転周期がわずかに変化し、2004年スマトラ沖地震、2010年チリ・マウレ地震、2011年東北地方太平洋沖地震では、何れもマイクロ秒オーダー(10-6s)で自転周期が速くなったという観測結果もある[2][3]

他の惑星の地軸[編集]

太陽系の他の惑星に目を向けると、地軸の傾き(赤道傾斜角)はさまざまである。地軸の傾きが最も小さいのは水星(0度)。水星では季節の変化が起こらない。もっとも軌道の離心率が0.20と大きいため、太陽からの距離の変化に強い影響を受ける。

地軸の傾きの絶対値が最も大きい太陽系の惑星は、天王星(97.86度)である。ほとんど横倒しのまま自転していることになる。天王星の公転周期は84年であるから、例えば、極地から観測すると約40年間昼または夜が続くことになる。

脚注[編集]

  1. ^ 小林裕太 (2012年2月9日). “最近の大地震およびプレート運動による極運動の励起”. 北海道大学・宇宙測地学研究室. 2018年9月16日閲覧。
  2. ^ “Japan Quake May Have Shortened Earth Days, Moved Axis”. NASA. (2011年3月14日). http://www.nasa.gov/topics/earth/features/earth-20100301.html 2018年9月16日閲覧。 
  3. ^ “Chilean Quake May Have Shortened Earth Days”. NASA. (2010年3月1日). https://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?release=2011-080 2018年9月16日閲覧。