特異星

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特異星(Peculiar star)は、少なくともその表面において、金属量の組成が他の恒星とかなり異なっている星である。

化学特異星は、水素を燃料とする高温の主系列星で見られる。これらの高温の特異星は、スペクトルに基づき、A型金属線星 (Am, CP1) 、磁変星 (CP2) 、水銀・マンガン星 (HgMn, CP3) 、弱ヘリウム星 (He-weak, CP4) の4種類に分類することができる[1]

A型金属線星には、1価イオン化したカルシウムスカンジウムの弱い線が見られるが、重元素が豊富に存在する。またゆっくりと自転しており、実効温度は7000Kから10000Kの間である。磁変星は、強い磁場を持つのが特徴であり、ケイ素クロムストロンチウムユウロピウム等の元素を多く含む。また通常ゆっくりと自転している。実効温度は8000Kから15000Kであるが、このような特異星の温度を計算することは大気の構造のせいで難しい。水銀・マンガン星も磁変星のカテゴリーに含まれるが、強い磁場は見られない。その名のとおり、1価イオン化した水銀マンガンが多い。非常にゆっくりと自転している。実効温度は10000Kから15000Kである。弱ヘリウム星は、UVB色から推定されるよりも弱いヘリウム線を持つ。

一般に、特異星の表面に観察される組成は、恒星外層での拡散や磁場の影響等、星形成の後の過程によるものと考えられている[2]。このような過程により、ヘリウム、窒素酸素等の元素が大気の下層に留められ、マンガン、ストロンチウム、イットリウムジルコニウム等の元素が表面に浮上させられることによって、観測のようなスペクトルの特徴を示す。恒星の中心や恒星全体のおおまかな組成は、形成時のガス雲の組成を反映して、通常の恒星とそれほど違うものではないと推測されている[3]。このような拡散や上昇が起こってその組成が保持されるためには、特異星の大気は、対流による均質化が起こらない程度に安定であるはずである。このような安定性をもたらすメカニズムとしては、非常に大きい磁場が考えられている。

スペクトル型がG以降の低温の種類もあるが、このような恒星は通常主系列星ではなく、通常「特異星」とは呼ばれない。低温の特異星の多くは核融合生成物が恒星の核から表面まで混合された結果である。これには、炭素星S型星のほとんどが含まれる。他のものは連星系からの質量転移の結果であり、バリウム星やS型星の一部が例として挙げられる[4]

出典[編集]

  1. ^ Preston, George. Annual Review of Astronomy and Astrophysics, vol 12, p 257, 1974 [1]
  2. ^ Michaud, G. Astrophysical Journal, vol 160, p 641, 1970
  3. ^ Preston, George. Annual Review of Astronomy and Astrophysics, vol 12, p 257, 1974 [2]
  4. ^ McClure, R. Journal of the Royal Astronomical Society of Canada, vol 79, pp. 277-293, Dec. 1985