こと座RR型変光星

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こと座RR型変光星(ことざRRがたへんこうせい、RR Lyrae variable)は、脈動変光星の一種である。天文学で距離を測定する際の標準光源としてしばしば用いられる。

物理的性質[編集]

こと座RR型変光星の名前はこの種の変光星の典型例であること座RR星から名付けられている[1]銀河ハロー球状星団に存在するため「星団型変光星[2] (cluster-type variables)」や、DCEP型やCW型より周期が短いことから「短周期ケフェイド[2] (short-period Cepheids) 」と呼ばれることもある[1]

こと座RR型変光星は脈動変光星で、HR図上で水平分枝に位置し、質量は太陽の約 1/2 である。こと座RR型変光星は脈動変光星となる前に質量を放出するため、主系列星の時代には太陽と同程度かそれよりやや大きな質量を持っていた。こと座RR型変光星の脈動のしくみはケフェイド変光星とほぼ同じだが、いくつかの点で重要な違いがある。こと座RR型変光星は年齢が古く、相対的に質量の小さい星が多い。そのため、こと座RR型変光星はケフェイド変光星に比べて数が多いが明るさはより暗い。こと座RR型変光星の平均的な絶対等級は0.75等で、太陽に比べて約40~50倍明るいだけに過ぎない。こと座RR型変光星の変光周期は短く、典型的には1日以下で、中には8~9時間のものも存在する。

こと座RR型変光星の2割程度は、変光周期と振幅が数十日から数百日の周期で変化している[3]。この現象は、1907年にりゅう座RW星で初めて発見され、発見した旧ソ連の天文学者セルゲイ・ブラツコにちなんで「ブラツコ効果英語版[3]」と呼ばれる。この現象が起きるメカニズムは1世紀を経た2017年現在も議論の的となっている。

こと座RR型変光星のタイプ[編集]

こと座RR型変光星には3つの主な種類が存在し、それぞれRR(B) 、RRAB、RRCと呼ばれている[1]

  • RR(B):同時に2つの振動モードが混在して見られる。ベースとなるモードをP0、それより振動数の多いモードをP1という。P1/P0はおよそ0.745である[1]。しし座AQ星が典型例とされる[1]
  • RRAB:非対称形の光度曲線を持つ。変光周期は0.3~1.2日、光度の振幅は可視光域で0.5~2等級程度[1]
  • RRC:ほとんど対称形の、ときには正弦曲線の光度曲線を持つ。変光周期は0.2~0.5日、光度の振幅は可視光域で0.8等級を超えない[1]。おおぐま座SX星が典型例とされる[1]

こと座RR型変光星の変光周期と絶対等級の関係は、近距離、特に銀河系内での距離測定において良い標準光源となる。この変光星は銀河系の銀河ハロー部分に存在する球状星団の距離測定にも用いられるが、系外銀河のこと座RR型変光星を観測するのは困難である。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h “GCVS Variability Types and Distribution Statistics of Designated Variable Stars According to their Types of Variability”, General Catalogue of Variable Stars: new version. GCVS 5.1, http://www.sai.msu.su/gcvs/gcvs/vartype.htm 2017年3月18日閲覧。 
  2. ^ a b 『オックスフォード天文学辞典』 朝倉書店、初版第1刷、133、154頁。ISBN 4-254-15017-2
  3. ^ a b 岡崎彰 『奇妙な42の星たち』 誠文堂新光社1994年4月1日、53-56頁。ISBN 978-4416294208

関連項目[編集]