ULTRAMAN (映画)

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ULTRAMAN
監督 小中和哉
脚本 長谷川圭一
製作 鈴木清
出演者 別所哲也
遠山景織子
大澄賢也
裕木奈江
広田亮平
永澤俊矢
隆大介
草刈正雄
角田英介
佐藤夕美子
エド山口
清水一哉
市村直樹
駒田健吾
木之元亮
田中秀幸
小西克幸
音楽 小澤正澄池田大介・鎌田真吾
主題歌 TMG「NEVER GOOD-BYE」
撮影 大岡新一
編集 松木朗
公開 日本の旗2004年12月18日
上映時間 97分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
前作 ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス THE FINAL BATTLE
次作 ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟
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ULTRAMAN』(ウルトラマン)は、2004年12月18日から劇場公開されたウルトラシリーズ映画作品であり、ULTRA N PROJECTの一つ。東京国際映画祭・特別招待作品。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


概要

テレビシリーズ『ウルトラマン』第1話での出来事が現代社会において現実に起こった場合を想定する形でリメイクされた作品。また、今作の公開時に放映されていたテレビシリーズ『ウルトラマンネクサス』と同じ世界観であり、『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』同様、テレビシリーズの前日談である。

それまでのイメージから大きく外れたデザインや、映像表現の難しい10m級の身長など、ウルトラマン自体の表現にも数多くの意欲的な試みがなされた。

小中和哉長谷川圭一などの平成ウルトラシリーズメインスタッフから菊地雄一板野一郎などのかつてウルトラシリーズに関わった人物、松本孝弘などウルトラシリーズに馴染みの薄い人物までが幅広くスタッフ参加。CGを多く取り入れた作品になっており、クライマックスの空中戦シーン(板野サーカス)が大きな見所となった。この技術はのちの作品にも大きく取り入れられている。また防衛庁の全面協力を受けており、F-15の離陸シーンなどは全て実物である。

元々は「YELLOW EYES」というシリアスかつダークな作風のウルトラマンの予定だったが、9.11を見たスタッフらによって方向転換され、現在のような「ウルトラマンとなった父親」が主人公の家族向け映画として作られた(下記の制作関連の項目を参照)。そのためリアルな怪獣災害という側面を持ちながら、父親が子供のために戦うストーリーなど、暗くならない配慮がなされている。また随所にウルトラマン・ウルトラQなど過去作品へのオマージュも込められている。

制作の背景には『バットマン』や『スパイダーマン』が大人も楽しめる映画として成功を収めたことがあり、その日本版を狙って制作されたが、ウルトラシリーズの劇場版としては宣伝や上映館数が少なかった事も影響してか、興行収入は1億5000万円と振るわなかった。

続編『ULTRAMAN2 requiem』(ウルトラマン2 レクイエム)の制作も予定され、公開時には本編後に「2005年冬 公開」を知らせる特報も流されたが、その後は公式アナウンスも行われないままフェードアウトした(板野一郎は自身のトークショーの場で「中止になった」旨を明言した)。

興行成績は振るわなかったものの作品自体の評価は低くなく、DVD(2005年7月22日発売)は好セールスを記録している。

ラストシーンの街頭テレビを観る群衆の中に、本作の特技監督を務めた菊地雄一が紛れているシーンがある。

ストーリー

海上自衛隊所属の有働は、未確認飛行物体の調査中、突如あらわれた青い発光体「BLUE」に激突し、凶悪なビースト・ザ・ワンに変化してしまう。

その3ヵ月後、航空自衛隊の除隊を控えたイーグル・ドライバーの真木は、謎の飛行物体の調査へとスクランブル発進、その飛行物体である発光体「RED」に激突してしまう。奇跡的に無傷で生還した真木だが、ザ・ワンの事例から彼を危険とみた特殊機関「BCST」は彼に付きまとい、強制的に監視される身となってしまう。

監視を続けられる真木の元に、有働が変貌した「ザ・ワン」が襲撃、自衛隊員達が迎え撃つも、進化した「ザ・ワン」になすすべも無い。そして「ザ・ワン」に襲われる真木。彼も「ザ・ワン」の熾烈な攻撃を浴び倒れるがその時、真木の肉体にも変化が現れる、真木もまた謎の発光体との激突で肉体が「ザ・ネクスト」と呼ばれる未知の存在へと変化していたのだ。真木は”第二の存在"「ザ・ネクスト」へと変身、「ザ・ワン」と対峙する。

主な登場人物

真木 舜一(まき しゅんいち)
本編の主人公で34歳。少年期に田舎のいとこと釣りに行く途中にはぐれ、航空自衛隊の戦闘機を見上げてから空に憧れ、航空自衛隊パイロットに就職。イーグルドライバーであるが、病弱な息子・継夢のため、退官を予定している。スクランブル発進により、「赤い発光体」と衝突。奇跡の生還を果たすが、ビースト・ザ・ワン撃退のため防衛庁の特務機関BCSTの監視を受ける立場となる。偶然ではあるが彼が第1のデュナミストである。宣伝コピーにある「銀色の流星」とは、彼が少年時に目撃して憧れたマルヨンの機影のことである。愛する家族達を守るため、運命を狂わせた者を倒すために、ザ・ネクストとなって戦う決意をする。
水原 沙羅(みずはら さら)
特務機関BCSTの監察官の28歳。真木の監視の手段として様々な強圧的な手段を取るが、そうなった裏には恋人・有働貴文がザ・ワンの犠牲となった過去がある。一見冷徹に見えるが、本人自身は目的のために手段を選ばない程非情になりきれてはいないようである。ザ・ワンの細胞を分析して生みだした様々な毒薬や化学兵器に、最終的な真木の協力で、ザ・ワンの暴走を止めようとする。
有働 貴文(うどう たかふみ)
海上自衛官の30歳。水原沙羅の恋人であり、婚約者だったが、潜水艇にて「青い発光体」ザ・ワン探索に携わったことから、ザ・ワンに身体と記憶を乗っ取られる。完全に支配される前に沙羅に自分を殺す様に懇願していたが、ザ・ワンは有働の全てを支配した後も、沙羅の動揺を誘うために、彼の人格を参照に精神攻撃を行った。
真木 蓉子(まき ようこ)
真木舜一の妻で29歳。病弱な息子と、危険と隣り合わせの世界で仕事をする夫を案じている。
真木 継夢(まき つぐむ)
真木舜一の5歳の息子。先天的疾患のための病弱体質ながらも、それ以上に父親の身を案じるあまりに倒れてしまう。父親のようにいつかF15パイロットとなって空を飛ぶことが夢。
部屋にブースカぬいぐるみを飾っている。
倉島 剛(くらしま たけし)
航空自衛隊パイロット。イーグルドライバーであり、真木舜一の同僚で親友。BCSTの依頼で真木の妻子の監視役をさせられるが、真木の置かれた状況を察し、水原沙羅を脅し妻子との再会を実現させる。ザ・ネクストとザ・ワンの空中戦においては、F-15戦闘機隊の隊長として、ザ・ネクストとして戦う真木を、それと知った上で援護した。
曽我部 一佐(そがべ いっさ)
特務機関BCSTの責任者。沙羅のように、ザ・ワンとザ・ネクストが根本的に違う存在であるとの認識はなく、真木舜一を「いずれは怪物と化す危険な存在」と考えている。
万城目 社長(まんじょうめ しゃちょう)
航空自衛隊を退官した真木舜一の再就職先、星川航空の社長。社員の一平や由利子と共に、真木の身を案じる蓉子を励まし続ける。
以前発生した強盗事件で、空から犯人を追跡し、逮捕へと繋がった事で会社の事務所に警察から贈られた感謝状が額縁に飾ってある。
一平(いっぺい)
星川航空の整備員。社長や由利子と共に、真木とその家族の身を案じていた。
由利子(ゆりこ)
星川航空の事務員。社長や一平と同じく、真木とその家族を気遣っている。
矢代(やしろ)
特務機関BCSTの隊長。沙羅と共にザ・ワンから逃げ出そうとするが、ザ・ワンの尻尾で叩き潰されるも生存し、「お前の作戦ミスで 俺は多くの部下を失った」と沙羅に銃を向けたが、ザ・ワンとの交戦に向かう真木と沙羅を見送った。

ウルトラマン・ザ・ネクスト

青い発光体(ビースト・ザ・ワン)を追って地球にやってきた赤い発光体が、航空自衛隊のパイロット真木舜一と融合することによって出現した銀色の巨人。日本へ2番目に飛来した地球外生命体として「ザ・ネクスト」のコードネームで呼ばれ危険視されるが、ザ・ワンとの戦いで人々を守り抜いたことから、子供達を始めとした人々から憧れを込めて「ウルトラマン」と呼ばれるようになる。作品としての『ウルトラマン』の、次世代のウルトラマンとしてのダブルミーニングでもある。

ウルトラマン・ザ・ネクストのデザインは歴代のウルトラマンの中でも特徴が多いウルトラマンである。ウルトラマンノア、ウルトラマンネクサスと同様に胸に赤いY字状のエナジーコアと呼ばれるデザインや、黒(アンファンス)や赤(ジュネッス)の部分は筋肉繊維を髣髴とさせ、銀の部分は装甲を被せた様なデザインが採用されたが、設定ではよりウルトラマンらしいスマートなデザインのネクサスやノアと同一の存在とされた。同一人物のネクサスと姿が異なるのは「デュナミストが異なるため」だと放送当時の雑誌で設定されている。

また、ビースト・ザ・ワンがベムラーをモチーフにしたようにウルトラマンのAタイプとBタイプとウルトラマンネクサスのアンファンスとジュネッスを組み合わせてネクストがデザインされている。特にアンファンスは全身の凸凹がAタイプをモチーフにされている。

アンファンス
最初に出現したザ・ネクストの不完全体。身体の各部が未発達で本来の能力を発揮することができない。また真木の意志が強いため、戦い方は泥臭い。そのため腕の刃や光刃による攻撃は可能だが威力は低く、殆どは強化された身体能力を駆使した肉弾戦のみで戦う。従来のデザインは銀と並んで配色の多い赤い部位は胸のエナジーコアと頭部のそりこみの一部のみであり、ジュネッス時に赤くなる筋繊維状の部分は黒くなっている。また後頭部にある襟足の部分も短く、その意味ではより初代に近いデザインとなっている。
  • 年齢:35万歳以上
  • 身長:10メートル
  • 体重:2.5トン
ジュネッス
ザ・ワンとの最終決戦時に出現したザ・ネクストの完全体。身長も40メートルと巨大になり、超音速飛行も可能となる。アンファンスでは黒かった筋繊維状の部位は赤くなり、配色はよりウルトラマンのイメージに近くなっている。また、後頭部襟足に突起物(あるいは肉厚なヒレ状の部位)が生まれており、後の形態ウルトラマンネクサスのそれに近くなっている。体には血流をイメージした赤いラインが入る。腕は鋭い武器となり、飛行の安定に役立ちながら、更に光線発射時の源ともなるエルボーカッター「ストラトスエッジ」が出現する。また、背中や脹ら脛に姿勢制御用のヒレ(フィン)が存在する。アンファンスよりも体つきはよく、よりパワフルに、よりスピーディーに動くことが可能。
  • 身長:40メートル
  • 体重:2万6千トン

必殺技

エルボーカッター
アンファンス時に使用。上腕部にある刃物。意識を集中させることで黄色く発光して、あらゆるものを切断する。首に巻きついたザ・ワン・レプティリアの尻尾を切り落とした。さらに光の刃を放つことも可能で、ザ・ワンを撃退している。
パンチ
フックやアッパーなど、ボクシングの技のようなパンチを放った。
キック
人間の比ではないパワーから生み出すキック。勢いをつけ、連続でビースト・ザ・ワンに見舞ってひるませた。また、敵に背を向け、しゃがんだ状態で体の前方に両手をつき、揃えた両足を跳ね上げて放つキックも披露し、ザ・ワン・レプティリアにダメージを与えた。
ヘッドロック
両腕でザ・ワン・レプティリアの首を締めつけて、動きを封じた。同時にひざ蹴りを繰り出すことで、さらなるダメージを与えた。
ラムダ・スラッシャー
ストラトスエッジから三日月状の光刃を発射する。ザ・ワン(ベルゼブア・コローネ)との空中戦では両腕のストラトスエッジの力を集中して大型のスラッシャーを発射。更に両手から2つ同時に発射することも可能で、ザ・ワンの翼を切り落とした。後のネクサスでもこうした光刃技は数多く存在している。
エボルレイ・シュトローム
強力なエネルギーを両腕に生み出し、さらに両手を十字に組んで凄まじい光エネルギーの奔流を放射するザ・ネクストの最終究極光線。ザ・ワンを分子レベルで消滅させた(ただし、細胞を完全に消滅させることは出来ず後にスペースビーストが生まれる要因となっている)。従来の光線と違い、光の流れ方にムラがある。ネクサス同様に「~レイ・シュトロームという呼称」「対象を分子・原子レベルで分解して消滅させる」という特徴を有する。

真木との融合

作中ではザ・ネクストはどこからやってきたのか、何者なのかが殆ど説明されることはなく、僅かにザ・ワンとザ・ネクストが敵対関係にあること、ザ・ネクストはザ・ワン殲滅を目的として来訪してきたことが説明される程度である。ザ・ワンが海上自衛官・有働貴文の記憶・能力を我が物にしたことを始め、融合する地球の生物の能力・生命力を無制限に吸収していく一方で、ザ・ネクストはやろうとするなら同じことが出来るにも拘わらず、真木瞬一の人格・自立性を尊重する、モラルや理性を持った存在として描かれている。人間形態でESP(超感覚的知覚)を発現させたが、これは真木の病弱な息子・継夢を案じる気持ちからである。

作中でもアンファンス、ジュネッスとも長期戦になって胸部エナジーコアが点滅し、危険信号を発していた。それは真木と完全な融合を果たしていないがための代償であることが、ザ・ワンに言及されている。それでもザ・ワンとの決戦で、ザ・ネクストから生命の危機を警告されても真木自身の意志を持って戦いを続け、最終的には空中戦でザ・ワンを圧倒し、そして自衛隊の支援も受け、地上へと引きずり下ろしたザ・ワン殲滅を果たしている。

ウルトラマンネクサスでの出演

映画と同一の世界観であるテレビシリーズ『ウルトラマンネクサス』の第33話「Episode.33 忘却 -A.D.2004-」のテレビシリーズの防衛組織TLT(ティルト)内の回想シーン(本作の映像)に加え、水原沙羅も登場。『ネクサス』の5年前の物語である事が明かされた。

TLT設立によって、スペースビーストへの記憶消去装置である来訪者のレーテが使用されて、TLT設立のメンバーを除いた全ての一般大衆の記憶から新宿での戦いの事実は消され、ザ・ワンだけではなくザ・ネクストの存在も忘れ去られてしまった。

しかし、最終話「Final Episode 絆 -ネクサス-」では、レーテの消滅と同時に人々から5年前の記憶と共にウルトラマンも蘇り、ダークザギと戦うネクサスを応援した。

ビースト・ザ・ワン

他の生物に寄生・吸収する事で成長・進化することができる存在。青い発光体の状態で地球に飛来し、調査に来た自衛隊員・有働貴文と融合した。「ザ・ワン」とは日本で初めて確認された宇宙生物であることから名付けられたコードネームである。ベルゼブアの形態になってからは吸収した生物の頭を模した首が肩に現れる。

ザ・ワン自体は本作の劇中でウルトラマン・ザ・ネクストに倒されるが、その破片は後に『ウルトラマンネクサス』に登場するスペースビーストに成長する。スペースビーストのうち『週刊 ウルトラマンオフィシャルデータファイル』ではガルべロス、ノスフェル、リザリアスはビースト・ザ・ワン の要素を受け継ぐ上級ビーストとされている(ノスフェル・リザリアスは取りこんだ生物がモデルに、ガルベロスはザ・ワンの核に当たるものが犬を取り込んでおり、そのフォルムなどに特徴を色濃く残している)。

真木の人格と生命を尊重したザ・ネクストとは対照的に、有働を完全に取り込んで自分の意志で支配し、生命も人格も全て奪い去った。非常に狡猾で残忍な性格で、邪悪な生命体であることが作中でも明らかにされている。取り込んだ生物は吸収されても短時間ならば、分離・解放することが可能な模様。

ザ・ワン(イドロビア)

  • 身長:3メートル
  • 体重:920キログラム

有働と融合したザ・ワンが成長した姿。素早い動きで壁や天井を自由に駆け回る。形態は人間に近い面が多いほか、口元などは筋繊維を皮膚が覆っていないなど、未だ未感染二な印象を与える姿をしている。また、その身体能力の高さと天井などに張り付くことの出来る特性以外は、怪獣と言うほどすさまじいものではない。本作の映像特典では、監督に花束を送るお茶目さも見せた。

ザ・ワン(レプティリア)

  • 身長:10メートル
  • 体重:4万4千トン

自衛隊の攻撃を受けたザ・ワン・イドロビアが周囲にいたヤモリを吸収して成長した姿。より怪獣らしい姿となった。大幅に成長を遂げているほか、尻尾による攻撃を可能としたことでより幅広く高い戦闘力を身につけている。ただし、まだ火炎を吐くなどの能力は有していない。

ザ・ワン(ベルゼブア)

  • 身長:50メートル
  • 体重:9万9千トン

新宿の地下(首都圏外郭放水路)でウルトラマン・ザ・ネクストと対決したザ・ワン・レプティリアが周囲のネズミを吸収して巨大化した姿。最も怪獣らしい姿をしているが、全体的に骨がそのまま装甲化したような部位も見られ、グロテスクさにかけては拍車をかけている。また首元に吸収した鼠の首が二本生えている。口から青い火炎弾を放つようになり、また強力な咆哮で周囲を振動させて生物を苦しめている。下記のベルゼブア・コローネの翼を破壊された際はこの形態に戻っている。

ザ・ワン(ベルゼブア・コローネ)

  • 身長:50メートル
  • 翼長:250メートル
  • 体重:12万トン

ジュネッス形態になり飛行能力を得たウルトラマン・ザ・ネクストに対抗し、大量のカラスを取り込んだ姿。全長のおよそ5倍の巨大な翼で空を飛ぶ。水原沙羅や真木舜一は羽根を拡げたその不気味な姿を「悪魔」と称した。首の付け根にある小さな頭部二つの口から鳥類のような頭部を新たに生やしている。ザ・ネクストと渡り合えるほどの飛行能力を持ち、また火炎弾に加えてザ・ネクストからエネルギーを吸収する能力も発揮した。なお、余談であるがザ・ワンのモデルであるベムラーは前身が「烏天狗のような姿の謎の生命体」である。

吸収されたカラス達は戦闘中ザ・ネクストに解放され、新宿に落下。それがザ・ワンの敗北を決定付けた。

  • ザ・ワン(ベルゼブア・コローネ)の着ぐるみは制作されておらず、空中シーンはCG、顔のアップはザ・ワン(ベルゼブア)を使っている。

キャスト

スーツアクター

映画のクレジットによる。

  • ウルトラマン・ザ・ネクスト:長谷川恵司
  • ビースト・ザ・ワン(レプティリア、ベルゼブア):山本諭
  • ビースト・ザ・ワン(イドロビア):岩本淳也

スタッフ

音楽

NEVER GOOD-BYE」(主題歌)
  • 作詞:ジャック・ブレイス / 作曲:松本孝弘 / 編曲:松本孝弘・徳永暁人 / 歌:TMG
Theme from ULTRAMAN」(テーマ曲)
  • 作曲:松本孝弘 / 編曲:松本孝弘・徳永暁人

制作関連

恵制作当初の題名は『ULTRAMAN THE NEXT』(ウルトラマン・ザ・ネクスト)であった(DVDのメイキングより)が、途中で題名が変更された。この名前は本作のウルトラマンの名前、漫画版のタイトルとして使われている。また公開当初は2004年夏に公開されて、『ウルトラマンネクサス』に繋げる予定だった。

本作や、後の『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』等といった映画作品は、ウルトラシリーズ中でも空中戦をメインにしている部分が多い。アニメーションでの空中戦で高い評価を持つ板野一郎をフライングシーケンスディレクター(空中戦担当)として参加させることでCGを中心とした空中戦を最大限まで引き出した。ウルトラマン・ザ・ネクスト(ジュネッス)とザ・ワン(ベルゼブア・コローネ)の戦闘シーンは今までのウルトラシリーズには無い映像であり、板野の空中戦シーンは同時進行であったテレビシリーズのネクサスや、翌年の『ウルトラマンマックス』と、更に翌年の『ウルトラマンメビウス』での戦闘機の動きやミサイル発射、ウルトラマンの飛行戦闘等に用いられている。

また本作はテレビシリーズ『ウルトラマン』第1話「ウルトラ作戦第一号」のリメイクとなっているため、真木舜一の搭乗しているF-15が赤い発光体(ウルトラマン・ザ・ネクスト)に接触するのは、ハヤタの搭乗したビートルがウルトラマンに衝突するオマージュで、ザ・ワン(特にレプティリア)のデザインは同話に登場の怪獣ベムラーを意識したもの(青い怪光も含めて)になっている。

ザ・ワンはネクサスでの最後のスペースビーストイズマエルに改造された他、ネクサス最終話でのノアVSザギの最終決戦の舞台も映画同様新宿であり、『ULTRA N PROJECT』の一連の決戦は新宿で始まり、新宿で終わるという形になった。

未公開シーンが幾つか存在し、後に発売されたDVDの映像特典で視聴できる。

  • ULTRA N PROJECTの企画は本映画を始めに立てられている(詳細は『ULTRA N PROJECT』の項目を参照)。
  • 最初の企画では『Yellow Eyes』という、よりダークでハードな作風の「力を手にした青年が戦いの中で正義に目覚めていく」物語の予定だったが、アメリカ同時多発テロ事件の影響から会議の後方向性を転換、現在の作品のような「親子で見るヒーロー」物として制作された。なお、初期タイトル『Yellow Eyes』はウルトラマンの目と、危険信号としての黄色のダブルミーニングである。

他媒体展開

漫画版

ウルトラマン THE NEXT』のタイトルで『特撮エース』に連載(作画:沢樹隆広)。基本的には映画版と同一の内容だが、最終話で『ウルトラマンネクサス』へと繋がる描写が追加されている。

角川書店から発売された単行本(全1巻)は途中までの収録となっていたが、2008年ウェッジホールディングスより最終話まで収録した完全版(全1巻)が発売された。

ゲーム

プレイステーション2ゲームソフト『ウルトラマンネクサス』では、ウルトラマン・ザ・ネクスト(ジュネッス)とビースト・ザ・ワン(ベルゼブア・コローネ)も登場し、ゲームで条件を満たせばvsモード等で操作可能になる。

関連項目

外部リンク