ティム・リンスカム
フリーエージェント | |
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ジャイアンツ時代 | |
基本情報 | |
国籍 | アメリカ合衆国 |
出身地 | ワシントン州ベルビュー |
生年月日 | 1984年6月15日(39歳) |
身長 体重 |
5' 11" =約180.3 cm 170 lb =約77.1 kg |
選手情報 | |
投球・打席 | 右投左打 |
ポジション | 投手 |
プロ入り | 2006年 ドラフト1巡目(全体10位)でサンフランシスコ・ジャイアンツから指名 |
初出場 | 2007年5月6日 フィラデルフィア・フィリーズ戦 |
年俸 | $17,000,000(2014年)[1] |
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度) | |
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この表について
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ティモシー・リロイ・リンスカム(Timothy LeRoy Lincecum , 1984年6月15日 - )はアメリカ合衆国ワシントン州出身のプロ野球選手(投手)。現在はフリーエージェント。
父はアメリカ人で、母はフィリピン人でハーフである[2][3]。
ニックネームはザ・フランチャイズ(The Franchise)、ザ・フリーク(The Freak)。サンフランシスコでの人気は高く、特に若い女性からの人気が高い[4]。
経歴
プロ入り前
2003年、シカゴ・カブスに48巡目(全体1408位)で指名されるが拒否してワシントン大学に進学。大学時代は野球のほかにアメリカンフットボールではクォーターバック、バスケットボールではポイントガードとして活躍し、ゴルフでも才能を発揮[5]。野球では2004年に大学のパシフィック・テン・カンファレンス史上初の新人賞と最優秀投手賞を同時受賞[6]。2005年にはクリーブランド・インディアンスにMLBドラフト42巡目(全体1261位)で指名されるが契約で折り合いが付かず大学に残った[4]。
2006年、12勝4敗・199奪三振・防御率1.94を記録。2度目の最優秀投手賞を受賞し、大学通算491奪三振はリーグ新記録となった[6]。身長の低さと特殊な投球フォームのためドラフトで多くの球団が指名を見送るも[7]、サンフランシスコ・ジャイアンツGMのブライアン・サビーンは「ロイ・オズワルトか右のビリー・ワグナーになる」と評し[5]、1巡目(全体10位)で指名。6月30日に入団し、ワシントン大学出身者初の1巡目指名選手となった[6]。7月26日にA-級でプロデビューを果たし、8月5日にA+級に昇格し、2つのクラスで31.2回を投げ、58奪三振を記録した。
ジャイアンツ時代
2007年、3Aで4勝0敗、防御率0.29の好成績を挙げ、5月6日にラス・オルティスが怪我により離脱したため昇格[8]。同日のフィラデルフィア・フィリーズ戦でメジャーデビュー。メジャー初勝利は5月11日のコロラド・ロッキーズ戦。7月1日のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦で記録した1試合12奪三振は1958年にサンフランシスコ移転後の球団史上の新人選手として歴代4位[8]。
メジャー1年目は7勝5敗。投球回数を上回る150奪三振を記録し、新人選手としてリーグ最多となった[8]。チームは地区最下位に終わり、バリー・ボンズの退団や得点力不足を補うための補強が急務となる中、シーズン終了後にアレックス・リオスや松井秀喜といった強打者を獲得するためのトレード候補として、リンスカムの名前が報じられた[9][10]。しかし、FAとなっていたアーロン・ローワンドを獲得し、リンスカムのトレードは行われなかった。
2008年、前半戦終了時に11勝2敗の成績でオールスターに初めて選出されたが、発熱のため登板はしなかった[4]。9月23日のロッキーズ戦でシーズン奪三振数がジェイソン・シュミットの1958年にサンフランシスコ移転後の球団記録(251)を更新。シーズン最後の登板となった9月28日のロサンゼルス・ドジャース戦では、1986年のシド・フェルナンデス以来となる最初のアウトから9連続で奪三振によりアウトを取る[11]。結局7回1失点に抑え、13奪三振を記録し球団記録を265まで伸ばした。2位とは50以上もの差をつけて奪三振のタイトルを獲得し、18勝・防御率2.62・勝率.783はいずれもリーグ2位の好成績を記録した。シーズン終了後に最多勝利のブランドン・ウェブや最優秀防御率のヨハン・サンタナを押しのけてサイ・ヤング賞を受賞した。
2009年、初の開幕投手を務め、6月には月間最優秀投手に初めて選出された。6月23日から7月9日にかけての29イニング連続無失点は、1958年にサンフランシスコに移転して以降の球団史上、ゲイロード・ペリーの40イニング(1967年)と39イニング(1970年)に次ぐ3番目の長さとなった[12]。2年連続の選出となったオールスターではナリーグ先発を務めた。7月27日のピッツバーグ・パイレーツ戦では自己最高の15奪三振で完投勝利を記録し、1958年以降の球団史上3人目となる1試合15奪三振を達成[13]。背中を痛め先発予定だった9月8日のサンディエゴ・パドレス戦を回避したが[14]、9月14日のロッキーズ戦で復帰。
シーズンを15勝7敗・防御率2.43・261奪三振の成績で終え、サイ・ヤング賞の投票では、最優秀防御率のクリス・カーペンターと最多勝利のアダム・ウェインライトのカージナルス勢を抑え、2年連続サイ・ヤング賞を受賞した。また、15勝での選出は、フルシーズンを過ごした先発投手としてはメジャー史上最少(ストライキで短縮されたシーズンを除く)となった[15]。
シーズン終了後の10月30日、スピード違反で取り締まりを受けた際、約3.3グラムのマリフアナを所持していたことが明らかになった[16]。11月6日に検察側と罰金250ドルで司法取引が成立し、起訴は免れた[17]。スーパー2により年俸調停権を取得したリンスカムは、2010年の年俸として球団側に1300万ドルを要求したが、最終的には年俸調停を避け、同年2月12日に2年2300万ドルで合意した[18]。
2012年1月24日にジャイアンツと総額4050万ドルの2年契約に合意[19]。この年は球速が大きく低下する中で大不振に陥り、大量失点を繰り返した。結果的に15敗はリーグ最多敗戦であり、暴投、失点、自責点でもリーグ最多を記録。防御率5.18、WHIP1.47も、規定投球回に達した投手の中ではリーグで最も悪い成績であった。しかし中継ぎにまわったポストシーズンでは一転好投を見せ、チームのワールドシリーズ優勝に貢献した。同年オフには第3回WBC予選のフィリピン代表での出場要請を受けたが、辞退した[20]。
2013年、7月13日の対パドレス戦において、自身初・チーム史上15人目となるノーヒッターを達成。打者32人に対して148球を投げ、13奪三振4四球1死球。試合はジャイアンツが9-0で勝利した。この年は32試合に登板し、10勝14敗、防御率4.37だった。オフの10月25日にジャイアンツと総額3500万ドルの2年契約に合意した[21][22]。
2014年、6月25日の対パドレス戦で昨年に続いて、2年連続自身2度目のノーヒッターを達成。2回に四球を与えたのみの準完全試合となった[23]。
2015年9月3日に股関節の手術を受けシーズンを終える。
投球スタイル
ボブ・フェラーやサンディー・コーファックスと比較する声が上がるほどの逸材[7]。
公称身長5′11″(約180cm)と決して大きくはないが、オーバースローから全身をしならせた投球フォームで、2011年までは平均球速92.8mph[24](約149.3km/h)、最速99mph[25](約159km/h)の速球(フォーシームとツーシーム)を投げ込み、縦に大きく落ちる軌道が持ち味のカーブとフォークボールの握りから投げるシュート気味に落ちるチェンジアップで打者の打つタイミングを外して三振の山を築く。他にスライダーも交える。大学時代はチェンジアップは投げなかったが、マイナー時代に習得。その後メジャーに昇格した2007-08年にかけて上達し、今やメジャー屈指と言われるまでになった[5]。2012年以降は平均球速89.8mph[26](約144.5km/h)と球速が下がり、スライダーやチェンジアップの投球割合を増やし緩急をつける投球となった。
リンスカムの投球フォームは他の投手のそれとは全く異なる非常に独特なもので、全身をダイナミックに使って投げ込んでくる。通常の投手のストライドは身長の77-87%程度であるが、リンスカムの投球時のストライドは身長の127%である[27]。
父のクリスも野球選手だったが、マイナー止まりで引退。その後も独学で投球のバイオメカニクスを勉強し、それを少年時代のティムに教えた。メジャーに昇格した後も続けているトレーニングは、父が作ったものである[5]。投球フォームはリンスカム自身がファンだというコーファックスのマネと言われるが、父の教えだという[5]。
詳細情報
年度別投球成績
年 度 |
球 団 |
登 板 |
先 発 |
完 投 |
完 封 |
無 四 球 |
勝 利 |
敗 戦 |
セ 丨 ブ |
ホ 丨 ル ド |
勝 率 |
打 者 |
投 球 回 |
被 安 打 |
被 本 塁 打 |
与 四 球 |
敬 遠 |
与 死 球 |
奪 三 振 |
暴 投 |
ボ 丨 ク |
失 点 |
自 責 点 |
防 御 率 |
W H I P |
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2007 | SF | 24 | 24 | 0 | 0 | 0 | 7 | 5 | 0 | 0 | .583 | 618 | 146.1 | 122 | 12 | 65 | 5 | 2 | 150 | 10 | 0 | 70 | 65 | 4.00 | 1.28 |
2008 | 34 | 33 | 2 | 1 | 1 | 18 | 5 | 0 | 0 | .783 | 928 | 227.0 | 182 | 11 | 84 | 1 | 6 | 265 | 17 | 2 | 72 | 66 | 2.62 | 1.17 | |
2009 | 32 | 32 | 4 | 2 | 1 | 15 | 7 | 0 | 0 | .682 | 905 | 225.1 | 168 | 10 | 68 | 2 | 6 | 261 | 11 | 0 | 69 | 62 | 2.48 | 1.05 | |
2010 | 33 | 33 | 1 | 1 | 0 | 16 | 10 | 0 | 0 | .615 | 897 | 212.1 | 194 | 18 | 76 | 7 | 5 | 231 | 9 | 0 | 84 | 81 | 3.43 | 1.27 | |
2011 | 33 | 33 | 1 | 1 | 1 | 13 | 14 | 0 | 0 | .481 | 900 | 217.0 | 176 | 15 | 86 | 5 | 6 | 220 | 9 | 0 | 74 | 66 | 2.74 | 1.21 | |
2012 | 33 | 33 | 0 | 0 | 0 | 10 | 15 | 0 | 0 | .400 | 825 | 186.0 | 183 | 23 | 90 | 3 | 4 | 190 | 17 | 2 | 111 | 107 | 5.18 | 1.47 | |
2013 | 32 | 32 | 1 | 1 | 0 | 10 | 14 | 0 | 0 | .417 | 841 | 197.2 | 184 | 21 | 76 | 8 | 7 | 193 | 11 | 2 | 102 | 96 | 4.37 | 1.32 | |
2014 | 33 | 26 | 1 | 1 | 1 | 12 | 9 | 1 | 0 | .417 | 673 | 155.2 | 154 | 19 | 63 | 0 | 5 | 134 | 15 | 1 | 86 | 82 | 4.74 | 1.39 | |
2015 | 15 | 15 | 0 | 0 | 0 | 7 | 4 | 0 | 0 | .636 | 333 | 76.1 | 75 | 7 | 38 | 2 | 1 | 60 | 5 | 0 | 37 | 35 | 4.13 | 1.48 | |
通算:9年 | 269 | 261 | 10 | 7 | 4 | 108 | 83 | 1 | 0 | .565 | 6930 | 1643.2 | 1438 | 136 | 646 | 33 | 42 | 1704 | 104 | 7 | 705 | 660 | 3.61 | 1.27 |
- 2015年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
獲得タイトル・表彰
- ナショナルリーグ最多奪三振 3回:2008年、2009年、2010年
- ナショナルリーグサイ・ヤング賞 2回:2008年、2009年
- MLBオールスターゲーム選出 4回:2008年、2009年、2010年、2011年
- ゴールデンスパイク賞 1回:2006年
- プレイヤーズ・チョイス・アワーズ優秀投手 1回:2008年
- ピッチャー・オブ・ザ・マンス 1回:2009年6月
- ベーブ・ルース賞 1回:2010年
記録
- ノーヒッター:2回(2013年、2014年)
脚注
- ^ “San Francisco Giants Salaries - 2009” (英語). ESPN.com. 2009年11月21日閲覧。
- ^ http://archives.manilatimes.net/national/2008/nov/16/yehey/sports/20081116spo3.html
- ^ http://www.sfgate.com/giants/article/Grand-night-for-Renteria-3244037.php
- ^ a b c 石井孝尚 「見かけは少年、投げれば豪腕 ティム・リンスカム [ジャイアンツ #55]」『スラッガー』2008年12月号、日本スポーツ企画出版社、2008年、雑誌 15509-12、24 - 27項
- ^ a b c d e 水次祥子 「人物クローズアップ ティム・リンスカム[ジャイアンツ・投手] 強烈なる異端」『メジャー・リーグ記録集計号 ザ・スタッツブック 2008』、ベースボールマガジン社、2008年、雑誌 20449-11/20、73 - 76項。
- ^ a b c “Player Bio: Tim Lincecum” (英語). GoHuskies.com. 2008年11月25日閲覧。
- ^ a b 「注目のルーキーたち 明日のスターを探せ!」『スラッガー』2007年5号、日本スポーツ企画出版社、2007年、雑誌15509-3、55頁。
- ^ a b c “Tim Lincecum 2007 Career Highlights” (英語). The Official Site of The San Francisco Giants. 2008年5月24日閲覧。
- ^ 三尾圭 「MLB30球団レポート&2008シーズン全試合日程 サンフランシスコ・ジャイアンツ/SF 未来の殿堂入り投手は手放すことはできず」『スラッガー』2008年2月号、日本スポーツ企画出版社、2008年、雑誌 15509-2、86項
- ^ King, George. “YANKS WOULD DEAL MATSUI AT RIGHT PRICE” (英語). 2007年12月12日閲覧。
- ^ Haft, Chris (2008年9月28日). “Lincecum wins as Giants say farewell Right-hander caps season by striking out 13 Dodgers” (英語). MLB.com. 2009年1月22日閲覧。
- ^ Haft, Chris (2009年7月10日). “Lincecum flirts with history, settles for win” (英語). MLB.com. 2009年11月21日閲覧。
- ^ Pentis, Andrew (2009年7月28日). “Lincecum K's career-high 15 in Giants' win” (英語). MLB.com. 2009年11月21日閲覧。
- ^ Haft, Chris (2009年9月8日). “Lincecum scratched with back spasms” (英語). MLB.com. 2009年11月21日閲覧。
- ^ Haft, Chris (2009年11月15日). “Lincecum's the one; that makes two Cys” (英語). MLB.com. 2009年11月21日閲覧。
- ^ Haft, Chris (2009年11月5日). “Lincecum cited for marijuana possession” (英語). MLB.com. 2009年11月6日閲覧。
- ^ Street, Jim (2009年11月6日). “Lincecum reaches plea, awaits approval” (英語). MLB.com. 2009年11月21日閲覧。
- ^ “Tim Lincecum agrees to 2-year deal” (英語). ESPN (2010年4月2日). 2010年4月3日閲覧。
- ^ Chris Haft (2012年1月24日). “Lincecum, Giants cut two-year, $40.5M deal”. MLB.com. 2014年7月27日閲覧。
- ^ Lincecum not suiting up for PH in Classic despite clearance from Giants SPIN.PH
- ^ “Giants re-sign RHP Tim Lincecum to a two-year contract”. MLB.com Giants Press Release (2013年10月25日). 2014年7月27日閲覧。
- ^ Chris Haft (2013年10月22日). “Giants reach two-year deal with Lincecum”. MLB.com. 2014年7月27日閲覧。
- ^ またパドレス戦!リンスカム 2年連続ノーヒッタースポーツニッポン2014年6月26日配信
- ^ FanGraphs Pitch Type(San Francisco Giants 2007~2011)
- ^ FanGraphs PITCHf/x
- ^ FanGraphs Pitch Type(San Francisco Giants 2012~2015)
- ^ Verducci, Tom (2008年7月1日). “How Tiny Tim Became a Pitching Giant” (英語). SI.com. 2010年4月28日閲覧。
外部リンク
- 選手の通算成績と情報 MLB、ESPN、Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube、Baseball-Reference (Register)
- How Tiny Tim Became a Pitching Giant from "Sports Illustrated"