ポンプ座

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ポンプ座
Antlia
Antlia
属格 Antliae
略符 Ant
発音 英語発音: [ˈæntliə]、属格:/ˈæntlɪ.iː/
象徴 実験用真空ポンプ
概略位置:赤経 10時
概略位置:赤緯 −30度
広さ 239平方度[1]62位
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
9
3.0等より明るい恒星数 0
最輝星 α 星(4.25
メシエ天体 0
隣接する星座 うみへび座
らしんばん座
ほ座
ケンタウルス座
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ポンプ座(ポンプざ、Antlia)は、南天の星座の1つ。フランスの天文学者ニコラ=ルイ・ド・ラカーユによって1756年に設定された[2]。他の新しい星座と同じく、明るい星がなく目立たない。

主な天体

恒星

ポンプ座には明るい星がない。この星座で最も明るい星は4等星である。

  • HD 93083:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でコロンビアに命名権が与えられ、主星はMacondo、太陽系外惑星はMelquíadesと命名された[3]
  • α星:ポンプ座で最も明るい恒星だが、視等級は4.25等である。橙色の巨星

星団・星雲・銀河

由来と歴史

モチーフとなったポンプは、水を汲み上げるポンプではなく、科学実験において真空状態を作り出すための真空ポンプである[4]。そのため英語名を the Air Pump ともいい[4][5]、日本でも排気器座(はいききざ)と呼ばれたこともあった[6][7]

1756年にラカーユは、南天の星座のない領域を埋めるために13の星座[注 1]を設定した。そのうちの1つがこのポンプ座である。ラカーユの南天天球図[8]には、フランスの発明家ドニ・パパンが1670年代前半に使用した単気筒式の旧式ポンプが Machine Pneumatique として描かれている[9][10]。ドイツの天文学者ヨハン・ボーデ星図『ウラノグラフィア』には、パパンがパリからロンドンに渡ってボイルと共同で改良した二気筒式の真空ポンプが描かれている[5]

なお、この星座の由来について、「アイルランドの物理学者ロバート・ボイルが、ドイツの物理学者オットー・フォン・ゲーリケの考案した真空ポンプを改良した記念として設定した」とする説明が流布されたこともあったが[7][10]、正しくは前述のとおりである。

脚注

注釈

  1. ^ らしんばん座を含めると14星座。

出典

  1. ^ 星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
  2. ^ de Lacaille, N. L., "Table des Ascensions Droites et des Déclinaisions Apparentes.". Mémoires de l'Académie Royale des Sciences pour 1752, 1756.
  3. ^ Approved names” (英語). Name Exoworlds. 国際天文学連合 (2019年12月17日). 2019年12月31日閲覧。
  4. ^ a b Allen, Richard. H. (1963), Star Names: Their Lore and Meaning, New York: Dover Publications, p. 42 
  5. ^ a b Ridpath, Ian. “Antlia, The air pump”. Star Tales. 2013年4月11日閲覧。
  6. ^ 東京天文台 編『理科年表 第16冊』丸善、1940年、B 24頁頁https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1244761 
  7. ^ a b 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、88-89頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  8. ^ 『フラムスチード天球図譜』(新装)恒星社厚生閣、1980年、図29頁。 
  9. ^ Ridpath, Ian. “Lacaille’s Antlia”. Star Tales. 2013年4月5日閲覧。
  10. ^ a b 村山定男『キャプテン・クックと南の星』(初)河出書房新社、2003年5月10日、44-45頁。ISBN 978-4-309-90533-4