陸奥圓明流外伝 修羅の刻

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陸奥圓明流外伝 修羅の刻
ジャンル 格闘歴史少年漫画
漫画
作者 川原正敏
出版社 講談社
掲載誌 月刊少年マガジン
レーベル 講談社コミックス
発表号 (1) 1989年7月号、1990年1 - 2月号
(2) 1990年8 - 9月号、1991年8 - 9月号
(3) 1992年10月号
(4) 1993年11月号 - 1994年3月号
(5) 1997年1 - 12月号
(6) 2001年9月号 - 2002年4月号
(7) 2003年10 -11月号
(8) 2005年9 -11月号
巻数 15+1(十三巻裏)巻(2007年8月現在)
5巻(愛蔵版)
小説:修羅の刻 陸奥圓明流外伝
著者 川原正敏
イラスト 川原正敏
出版社 講談社
レーベル マガジン・ノベルズ
発売日 1995年9月
アニメ
監督 三澤伸
シリーズ構成 武上純希
キャラクターデザイン 浜津武広
アニメーション制作 スタジオコメット
製作 テレビ東京創通映像
マーベラス音楽出版
放送局 テレビ東京系
放送期間 2004年4月6日 - 9月28日
話数 全26話
テンプレート - ノート
ウィキプロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメ

陸奥圓明流外伝 修羅の刻』(むつえんめいりゅうがいでん しゅらのとき)は、川原正敏による日本格闘歴史漫画作品、及びこれを原作とする小説テレビアニメ

目次

概要[編集]

修羅の門』の主人公・陸奥九十九の先祖である代々の陸奥圓明流の使い手達が史上に名高い猛者と闘い、影に隠れながらも日本の歴史を動かして来た様を描く連作シリーズ。時代を動かしてきた中心人物の生き様と陸奥の名を背負った主人公との友情や愛情、そしてその時代に生きる人々の想いを通し、「人と人との関わり」にまで踏み込んで、その「刻」を浮き彫りにしている。1つ1つのストーリは最長でも単行本4冊、多くは1・2冊で完結しており原則としてそれぞれ独立した話となっている。

1995年には作者自身の手によって「宮本武蔵編」が小説化されている。2004年には「宮本武蔵編」・「寛永御前試合編」・「風雲幕末編」3編がテレビアニメ化されテレビ東京系で放送された。

初出・収録[編集]

初出はいずれも講談社の『月刊少年マガジン』で、1989年7月号以降断続的に発表されている。初期には「修羅の門」との同時掲載もあったが、主に長期連載を一時休載して一編を短期集中連載する形で発表されている。

単行本は〈講談社コミックス月刊マガジン (KCGM) 〉より15巻までと13巻裏の計16冊が発売さており(2011年9月現在)、巻数の表示には大字が使われている。また2003年にはテレビアニメ化に合わせ、「宮本武蔵編」・「寛永御前試合編」・「風雲幕末編」のハードカバー・ハードケース入り愛蔵版が計5冊で発売された(各巻の書誌情報については書誌情報を参照)。

  • 収録巻はKCGM版のみ。愛蔵版は書名に編名が含まれているため省略する。
章名 編名 話数 掲載号 収録巻 長期連載作品
1 陸奥八雲の章 宮本武蔵編 3 1989年7月号、1990年1 - 2月号


第二部と同時掲載
2 陸奥出海の章 風雲幕末編 4 1990年8月号・9月号 第二部と第三部の間の休載時に掲載
1991年8月号 第三部と同時掲載
1991年9月号 第三部を休載して掲載
3 (陸奥)雷の章 アメリカ西部編 1 1992年10月号
4 (陸奥)圓の章 寛永御前試合編 5 1993年11月号・12月号 第三部と第四部の間の休載時に掲載
陸奥天斗の章 1994年1月号 - 1994年3月号
5 陸奥鬼一の章 源義経編 12 1997年1月号 - 12月号 七 - 拾 「修羅の門」第四部と「海皇紀」の間に連載
6 陸奥辰巳の章 織田信長編 7+1 2001年9月号・10月号 十一

休載して掲載
虎彦と狛彦の章 2001年11月号 - 2002年4月号 十二・十三(表/裏)
7 陸奥天兵の章 西郷四郎編 2 2003年10月号・11月号 十四
8 陸奥左近の章 雷電爲右衞門編 3 2005年9月号 - 11月号 十五

宮本武蔵編[編集]

月刊少年マガジン1989年7月号及び1990年1月号・2月号に、本編である「修羅の門」と同時に掲載された。なお、同時連載されたのはこの「宮本武蔵編」のみであり、以降の部は「修羅の門」もしくは「海皇紀」を休載しての掲載となっている。単行本の壱巻及び、愛蔵版「宮本武蔵編」に収録。

江戸時代初期を舞台に、27代目陸奥八雲と宮本武蔵の対決を描く。

あらすじ(宮本武蔵編)[編集]

陸奥一族の陸奥八雲(やくも)は腹が空き山茶屋で麦飯を食べていると、突然その土地の若様・吉祥丸が何者かに追われ林の中から現れる。吉祥丸は八雲の目の前で刺客により斬られそうになるが、宮本武蔵が現れて助けられる。武蔵は吉祥丸の家老から用心棒になるよう頼まれるがこれを断り、代わりに麦飯の椀に止まった蝿を無造作に箸でつまんだ八雲を推挙した。文無しであった八雲は山茶屋の勘定5を払ってくれることを条件に用心棒になるが吉祥丸は信用しなかった。吉祥丸は男の格好をしていたが、実は藩主である父を殺して家を乗っ取った叔父に復讐するため、家老に男として育てられた姫なのであった。家老は刺客に狙われないため女に戻るように薦めるが吉祥丸は頑として拒否する。そして、吉祥丸が外に出歩いていると柳生兵馬が率いる新たな刺客に囲まれるも、八雲がこれを倒す。5文ぶんの働きはしたと、八雲は去っていった。

一年後、女に戻った詩織は政略結婚させられそうになり、八雲を追って城を飛び出していた。安芸国で詩織は、再び食事の勘定を払えずにいた八雲と再会するも、安芸国福島家の雪姫が八雲を気に入ってしまったことで、兵法指南役の九鬼一門と八雲との争いに巻き込まれてしまう。詩織を人質に捕り、鉄砲隊までそろえていた九鬼一門であったが、八雲に倒される。九鬼一門との闘いを見守っていた武蔵は八雲に闘いを挑み、二刀流を持って八雲を追いつめるも、奥義『無空波』に敗れる。しかし、八雲のほうも武蔵の刀を受けるため自身の刀を抜いてしまったため「引き分け」という評を下していた。

八雲を新たな兵法指南役に召し抱えようとする雪姫に、詩織の払った飯代の働きが済んでいないと八雲は辞して、詩織と2人でいずこかへと旅立つのであった。

登場人物(宮本武蔵編)[編集]

武芸者[編集]

陸奥 八雲(むつ やくも、27代)
159?年生まれ。「織田信長編」の主人公の1人である狛彦の子(母は雑賀孫一の娘の蛍?)。飄々としており、掴みどころの無い、まさにの如き人物。無手にも関わらず、並みの軍勢なら楽に一掃してしまうほどの実力を持つ。陸奥圓明流は無手で闘うため、剣などの武器は使わないのだが、武蔵との死闘では、防御のためとはいえ、陸奥の歴史上初めて利用してしまう。それ故、武蔵との死闘は「敗北」ではないが「勝利」でもない、「引き分け」というのが八雲による評。
宮本 武蔵(みやもと むさし)
『修羅の刻』において、本来は無手の武術である陸奥圓明流の使い手が刀を抜かされ唯一引き分けた相手(武蔵は負けたと思っている)。生涯無敗の剣客とされ、鬼神の如きを発する(ただし気配を感じさせずに忍びの背後を易々と獲るなど、同シリーズに登場する柳生十兵衛とは似て非なる点がある)。二天一流の開祖だが、あまりに強すぎるため二刀を抜いて構えたことがないといわれる。他を圧倒する「気」に加え、一寸の見切り(「後の先」と称される)、二刀を自在に使いこなすなど作中最強とも思える人物。また、眼力も確かなものを持ち、初対面で八雲の実力を見抜いている。八雲と引き分けてからは武芸者として一線を退き、芸術などに時間を費やすようになった。養子宮本伊織がいる。自身の流派を円明流と称していた時期があり、寛永御前試合編ではそれについて陸奥圓明流との関連を匂わせる台詞が出てくる。
柳生 兵馬(やぎゅう ひょうま)
暗殺、抹殺の手練である実力者。柳生流を脅かす存在を陰で仕留める役目を持つ裏柳生という流派の人物で、詩織への刺客として現れるが用心棒の八雲が放った陸奥圓明流の技・「雷」を受け死亡。
九鬼 数馬(くき かずま)
九鬼兄弟長男。九鬼無双流の使い手。八雲に斬馬剣をかわされた上に殴られ死亡。
九鬼 源次郎(くき げんじろう)
九鬼兄弟次男。九鬼無双流の使い手で、新三郎からは剣の腕はあるいは日本一かと評されるほどの実力者。ただしこれに弟の新三郎は「性格さえまともなら家督を継げた」と付け加えており、本人も自身の素行の悪さを認め、亡き父からも嫌われていた。作中を通して道場の権威争いを他人事のように傍観している点をみると、本人もその類の政治的な物事に全く興味ない模様。
しかし武芸者としては芯が通っているようで、正々堂々と八雲との一対一の立ち合いを挑んだ。無手の八雲に剣の間合いを悟られないよう居合いを使って一撃必殺で仕留めようとするが、抜き手の拳を殴られて体勢が崩れたところを、八雲の間髪入れぬ一撃を受けて敗れた。なお、亡き父が遺した「陸奥とは絶対に戦うな」という遺言を最期まで気に留めていた。
小説版では、強姦に失敗した新三郎に、抜刀してその恐怖で詩織に貞操を諦めさせる場面があり、漫画版ではなかった凶悪な一面が描かれた。
九鬼 新三郎(くき しんざぶろう)
九鬼兄弟三男。九鬼無双流の使い手。「戦いは兵法」とする知略家で、鉄砲まで用意して、周到に準備を重ねたうえ多勢をもって八雲と戦う。しかしこの「兵法」のために詩織を人質に取る卑怯さ(これには源次郎も軽蔑するような態度をとっている)に八雲は激怒し、陸奥圓明流の技の前に策略は一切通用することは無かった。最期は八雲に投げられたうえ、首に膝を叩き付けられ死亡。
小説版では、新三郎の心情がより克明に記され、長男の数馬を八雲に倒させることで、冷や飯食らいの三男の境遇から抜け出し、九鬼無双流の家督を継いで当主になろうと考えていた。そのために人質に取った詩織を強姦しようとした(詩織の抵抗と源次郎の乱入があり、プライドの高い性格から興醒めして事には至っていない)。

その他(宮本武蔵編)[編集]

詩織(しおり)
父を亡き者にした叔父に復讐するため男装し吉祥丸と名乗っていた。用心棒として雇った八雲を最初は嫌っていたが徐々に惹かれていく。宮本武蔵と八雲の決闘の数少ない目撃者。伊織との面識がある。最終的に八雲と結ばれたかは不明。
伊織(いおり)
武蔵を慕い、弟子入りのために彼の跡を追い旅をする少年。
沢庵宗彭(たくあん そうほう)
諸国を巡っている。不思議な男と感じた八雲の居場所を武蔵に教える。
雪姫(ゆきひめ)
八雲に惚れ、詩織の恋のライバルとなる。九鬼一門を兵法指南役に雇っている安芸50万石福島家

風雲幕末編[編集]

『月刊少年マガジン』1990年8月号・9月号(「修羅の門」第二部と第三部の間)および1991年8月号・9月号(同第三部途中)に「修羅の門」を休載して掲載。単行本の弐・参巻、及び愛蔵版「風雲幕末編」壱・弐巻に収録。

幕末を舞台に36代目出海と坂本龍馬新撰組との交流及び闘いを描く。

あらすじ(風雲幕末編)[編集]

時は幕末、黒船が来航してから日本は乱れに乱れていた。そんな中、江戸は土佐藩邸にて行われた御前試合で坂本龍馬の剣の才能を目の当たりにした陸奥一族の陸奥出海(いずみ)。龍馬はずば抜けて強いが優し過ぎて全力を出していない、と感じた出海は本気の龍馬と戦いたいと思い、彼の通う千葉道場に居候を決め込む。そして彼らは友達となった。ある日、龍馬と出海は試衛館へ立ち寄る。そこには、剣の天才沖田総司がいた。試衛館は小さな道場であったため、土佐藩邸での試合に参加できなかった。そのことに対し出海が挑発とも取れる無神経な発言をし、沖田の反感を買う。沖田は出海に試合を挑むが、天才ながらも若すぎた沖田は出海との差をまざまざと見せ付けられる。結局この試合は人斬り鬼・土方歳三により止められ、出海はもう少し月日が流れたら再び試合をしようと沖田と約束をする。土方は出海と龍馬、2人のどちらかが新撰組の邪魔をするようなことがあればその時は斬ると言い放つ。試衛館を去った後、出海と沖田の対決を見てついに「本気」になった龍馬は、闘いたいと出海に告げる。闘いの末に敗れた龍馬は剣一筋に生きることを諦め、世界の海へと旅立つことを夢見る。

龍馬は自分の新たな夢をかなえるために幕末の世界を動かし、ついには薩長同盟が成立。しかし、それを良しとしない薩摩の手の者や伊東甲子太郎らによって暗殺される。龍馬を守りきれなかった出海は、無為に時を過ごしていたが、沖田との約束を思い出し、病床の沖田と対戦。沖田の三段突きをかわし、死傷するほどの蹴りを入れた際に、遺言として土方を「よろしくお願い」されたことで、北走する土方を追うように北海道へ。

五稜郭から一騎で新政府軍本陣まで討って出た土方の前に出海が立ちふさがり、土方と闘う。土方の刀をあえて踏み込み、斬撃の勢いの乗らない鍔元部分を身体で受け止め組み付いた出海の拳(虎砲と思われるが明示されてはいない)を受け土方は敗北。土方はもう思い残すことは無いと新政府軍へ突撃し、銃弾に倒れた。

登場人物(風雲幕末編)[編集]

主要人物[編集]

陸奥 出海(むつ いずみ 36代)
1839?年生まれ。土佐藩での御前試合桂小五郎らを破り優勝した坂本龍馬を最強の剣豪と見なし闘いを挑み、紙一重で勝利する。その後龍馬を影で支えていく。龍馬の死後、ボーっと海を見ていたが沖田との試合の約束を思い出し沖田と戦う。「西郷四郎編」にも登場しており、陸奥としては唯一の再登場を実現している。その底の見えない性格はまさに「の如し」とは龍馬による評。戦う様は「修羅の如し」とは土方による評。
坂本 龍馬(さかもと りょうま)
北辰一刀流塾頭。
北辰一刀流免許皆伝の腕前を持つ。しかし、実際はそれ以上の実力を持つが、その優しさゆえに、自分も知らぬような本当の力を抑えている。陸奥出海に負けた後、剣の時代は去ったと悟り自ら剣術を封印。その後、護身用として拳銃を携帯していたが、脅しに使う程度で人を撃つ気はなかった。力で物事を決めるのを嫌い、血を流さずに倒幕しようとする。その後、大政奉還を実現し時代を変えるが、それ故に新撰組などの敵を作ってしまう。龍馬は刀を抜き相手を斬り殺せば切り抜けられたにもかかわらず、最後まで人を殺すことを拒み、伊東甲子太郎に暗殺される。その豪胆な性格、剣技を「海の如し」とは出海による評。

新撰組[編集]

近藤 勇(こんどう いさみ)
新撰組総長。
土方、沖田達が尊敬する人物。戊辰戦争の時は土方よりいち早く投降する。
土方 歳三(ひじかた としぞう)
新撰組副長。
通称「冷徹な人斬り鬼」。剣技、用兵は相当な手練であり、戊辰戦争の最後の攻撃では、敵陣に単騎で乗り込みかけたほどである。近藤を慕っており沖田と仲が良く、また、他の新撰組隊士からも慕われている。戊辰戦争では投降した近藤に代わり土方が新撰組の指揮を執る。試衛館で出海と龍馬に出会った時に新撰組の前に立ちはだかれば殺すと言い、戊辰戦争で官軍に単騎で乗り込む時に出海が現れ勝負を挑む。天然理心流の腕前に加え、引くことを知らず鬼の如く斬りかかる実戦的な戦法で、出海と死闘を繰り広げた後、思い残すことはこの世に無い、と官軍に突撃し多数の銃弾を受け戦死。
沖田 総司(おきた そうし)
新撰組一番隊組長。
優しい性格で、かなりの美少年。しかし、勝負をする時は人が変わったように勝負に執着する。天然理心流の使い手で、剣の天才と出海に言わしめるほどの人物。龍馬を殺したのが新撰組であると思った出海が屯所に乗り込んだ時、それは誤りであると伝え、去っていく出海に勝負を申し込むが肺を病んでいることを見破られ、治った時に勝負しようと約束される。戊辰戦争の時は病(労咳)が悪化し自宅療養していたが、出海が来たときには「治った」と言い勝負を挑んだ。まるで同時に3本の刀が襲って来るようにしか見えない、三段突きという驚異の技を繰り出すが、途中病で体がうまく動かなくなってしまう。出海の励ましによって最後の渾身の力で三段突きを出す。その突きは出海をかすめるが、逆に蹴りを食らい、さらに病で吐血。自分は幸せだったと土方に伝えるよう頼み絶命。ルビは定説とされる「そうじ」ではなく、「そうし」の方が採用されている。
伊東 甲子太郎(いとう きねたろう)
元新撰組参謀。
本作中での龍馬暗殺の張本人。時勢が変わり新撰組を抜けて、武力で幕府を倒すのに邪魔な龍馬の首を手土産に薩摩に取り入る。出海が外で半次郎と戦っている時に、人を斬ることを拒み、最期まで刀を抜かなかった龍馬を斬り殺した。土方にも強いと評価されるほどの腕だったが、龍馬殺害が伊東一派の犯行だと知った出海の逆鱗に触れ、瞬時に倒され死亡。ルビは定説とされる「かしたろう」ではなく、「きねたろう」の方が採用されている。

その他(風雲幕末編)[編集]

西郷 隆盛(さいごう たかもり)
中村半次郎らを従える、薩摩藩の人間。
中村 半次郎(なかむら はんじろう)
通称「人斬り半次郎」。示現流の使い手で暗殺や剣はかなりの手練。薩摩藩の人間で西郷隆盛のためなら死ぬことも厭わず、また、邪魔をする者は消すという人物。龍馬を殺しに行こうとしたため出海と闘う。出海に敗れ、とどめを討たれる直前に出海と龍馬とで撮った写真が出海の懐から落ち、出海が取って返したため、一命を取り留める。
千葉 定吉(ちば じょうきち)
坂本龍馬の剣の師。出海の力量を見抜いた剣を理解する人物。ルビは定説とされる「さだきち」ではなく、「じょうきち」の方が採用されている。
千葉 さな子(ちば さなこ)
千葉道場の娘。龍馬に思いを寄せる。形見となった龍馬の片袖は、実際に龍馬が着ていた着物の袖を破り出海に託した物となっている。
(らん)
沖田の看護をしていた、異国の血が混じった女性。自分の髪や目などが日本人と違うことからコンプレックスを抱いている。しかし、沖田に綺麗だと言われたことにより沖田に好意を抱く。そんな中、沖田との約束を果たすべく現れたのが出海であった。蘭の目前で沖田を殺された蘭は怒り、そして沖田の仇を討つために彼の愛刀を抱いて、出海が土方を追って北へと行く道中も片時も離れずについて行く。だが函館の地で土方と出海が対決するその直前、仇であった出海にも綺麗だと言われる。
おりょう
坂本龍馬に好意を抱いていた女性。後に龍馬の妻となる。

アメリカ西部編[編集]

『月刊少年マガジン』1992年10月号に、第三部途中であった「修羅の門」を休載して掲載。単行本四巻に収録。なお、この単行本四巻のみ、他の巻と異なりカバー裏が西部開拓時代風の装丁となっていて裏返して使用することが可能である。

西部開拓時代アメリカ合衆国を舞台に第二部の主人公・出海の弟である雷(あずま)とインディアン達の交流を描く。

他の部同様に「アメリカ西部編」のみで完結したストーリーとはなっているが、本編は『修羅の門』のストーリーとも深い関わりを持ち、また唯一日本以外が舞台となっている等、『修羅の刻』の中においてやや特殊な部となっている。

あらすじ(アメリカ西部編)[編集]

1人の男が日本からアメリカに渡り砂漠で行き倒れていた。男は死を覚悟するが、そこにネズ・パース族の酋長マッイイツォが通りかかり、彼から「干し肉」を分け与えられる。男はマッイイツォに雷(あずま)と名乗り、「死ぬことをやめ」てネズ・パース族の村へ向かうことにする。雷はそこで、領土と家族を奪った白人への復讐心に燃える少女、ニルチッイと出会う。ニルチッイは弱虫の雷を嫌い、彼が止めるのも聞かずに復讐のため1人で仇の白人である「死の五人組」の住む村へ向かう。そして雷もニルチッイを追った。

雷の助力もあり、ニルチッイの復讐は完遂。しかし、アメリカ政府軍はこの復讐行をインディアンの反乱とみなして、騎兵隊による大規模な攻撃をネズ・パース族に加えることになった。全滅覚悟で部族の誇りと共に死のうとするマッイイツォらに雷は自分が騎兵隊を食い止めるから、逃げられるのならば逃げるように進言する。

雷は単独で騎兵隊の大軍に立ち向かい、将軍を殺害することで騎兵隊の進行を一時停止させた。

全身に銃弾を受け死にゆく雷に、マッイイツォは弱虫あつかいしたことを涙ながらに詫び、その上で部族を助けた理由をたずねた。雷は陸奥の家訓である「富める者からの恵みは感謝するだけで良いが、そうで無い者からの恵みの恩を忘れない」ことを理由に答えた。そして、将来、この地に陸奥を名乗る者が馬鹿が神に戦いを挑んできたときの助力を請うて息を引き取った。

ニルチッイは、雷の最期の言葉「死ぬなよ」を守り、130歳以上生きることになり、マッイイツォの名を継いだ若者は陸奥九十九に助力することになる。

登場人物(アメリカ西部編)[編集]

(陸奥) 雷(むつ あずま)
風雲幕末編」の出海の弟。小船で寝ていた所、知らない内に船が沖へ流され遭難。偶然通りがかったアメリカの船舶に救助され、そのまま単身アメリカへと渡る。なお、雷は陸奥の名を継いでいないため単行本目次では「陸奥雷の章」の「陸奥」の字が薄く印刷されている。極端なのんき者で臆病なところがあるが、非常に心優しく義理堅い性格の人物。兄の出海も「変わり者」と評している通り、風変わりな言動をネズ・パース族から「ドロッイイ(イタチ、弱虫の意)」とからかわれながらも周囲に溶け込んでいく。最後はネズ・パースを逃がすため、銃武装した騎兵隊1000名以上を相手に単身で突撃し、これを撃退するものの、全身に無数の弾丸を浴びたために直後に倒れ、ジルコォーとニルチッイにある「約束」を遺して死亡した。
自分が本来の圓明流の技を使えば簡単に人が死んでしまうことから、自らの手で直接人を殺めることを忌避し、物語の最後で騎兵隊に突撃する時まで一切打撃技を使わなかった、という陸奥の一族としては変わり者の性格だが、出海自身が「自分が死ねば弟が「陸奥」になる」と評していたように、その実力は歴代の「陸奥」と比べても遜色ない。雹(弾丸などを素手で飛ばす技)を得意としており、その早撃ちの速度はワイアット・アープ自身が「生涯最速」と称した早撃ちをも凌ぐ。
ジルコォー・マッイイツォ
ネズ・パース族の長。名前は「優しい」の意。物語冒頭で飢え死にしかけた雷に干し肉を与えた命の恩人。このことが後の『修羅の門』のストーリーに関連付けられており、ネズ・パース族を代表する男として同じ名前を受け継いだ人物が登場する。
ニルチッイ
「死の五人組」に家族と領土を奪われ、復讐を誓う少女。名は「風」の意。弓矢を用いた射撃の名手。しかしその一方で、接近し自分の力で相手を絶命させることが慣わしとされる復讐「クー」を果たすことに強いこだわりを持つ。最初は雷のことを弱虫と嫌っていたが、雷に助けられてからはその考え方を改める。その後100年以上を生き、一族からは「大ばば様」と呼ばれ、雷の話を後世のネズ・パース族に伝えた。100年以上も生きたのは雷が自分と交わした「死ぬな」という「最後の約束」を果たすためである。
ワイアット・アープ
雷が潜入した町を担当する保安官。愛用のバントラインスペシャルを用いた早撃ちでその名を轟かせ、西部最強のガンマンと称されている[注 1]。雷の強さを見抜き、トンプスン兄弟の死を予言した。
リーガン
町の権力者。「死の五人組」を金で雇い私腹を肥やしている。ニルチッイに「クー」を果たされ死亡。
ベン・トンプスン
ワイアット・アープと西部で一・二を争うガンマン。「死の五人組」の1人。ビル・トンプスンの兄。ニルチッイを傷つけたため、雷の怒りに触れ瞬殺される。
ビル・トンプスン
「死の五人組」の1人。ベン・トンプスンの弟だが、射撃の腕前はさほどではない。兄共々、雷に殺される。
ジェイク
「死の五人組」の1人。銃を抜くのが速く、それをいいことにギャンブルではイカサマがばれても開き直り、相手を脅して金を巻き上げる。ニルチッイにで射られて死亡。

寛永御前試合編[編集]

『月刊少年マガジン』1993年11月号から1994年3月号にかけ、「修羅の門」第三部と第四部の間に掲載。単行本伍・六巻および愛蔵版「寛永御前試合編」壱・弐巻に収録。

江戸時代初期、寛永年間を舞台に、陸奥を名乗る少女・圓と彼女への助力を約束した謎の人物・天斗の2人を中心に、御前試合の顛末を描く。「宮本武蔵編」の続編に当たり、宮本武蔵伊織親子が再登場している。

あらすじ(寛永御前試合編)[編集]

関ヶ原の戦い大阪の陣徳川家康が天下を平定してから19年が経った。既に家康はこの世に亡く、3代将軍徳川家光の治世。寛永11年、家光は天下一の武芸者を決める寛永御前試合を開催すべく武芸者を招集する。今の天下に響く剣豪・宮本武蔵に出場を依頼したが、武蔵はそれを断り、養子・宮本伊織を推挙した。

御前試合出場のための江戸への道中、伊織は柳生の手の者に囲まれる。伊織が彼らを片付けようとした時、突然、陸奥圓(つぶら)を名乗る女が乱入し、伊織に勝負を挑んできた。しかしその時、天斗(たかと)と名乗る男にがとともに2人の間に突っ込む。

圓は実は真田幸村の九女であり、武名の高い「陸奥」を騙り出場者を討つことで御前試合に出場し、試合を観覧する家光を討つことを目的としていた。

野営の際、何者かに圓が捕らわれてしまう。天斗と佐助は柳生屋敷に乗り込むが、圓を捕えたのは柳生ではなかった。しかし、柳生屋敷で柳生十兵衛三厳に見初められ、天斗も御前試合への参加が決まる。圓を捕えていたのは、南光坊天海であった。天海は松平伊豆守信綱と共謀し、政治権力を増す柳生を潰す手駒として御前試合に送り込む武芸者を探していたのだった。真の目的を知らせず、金のためと思わせ、圓も御前試合への出場が決まった。

御前試合当日。天斗も圓も1回戦は勝ち上がったが、2回戦の圓の対戦相手は十兵衛となった。圓の高い技量は、十兵衛の本気を呼び起こす。勝ち目を見いだせない圓は、含み針で十兵衛を牽制すると、家光に襲いかかった。しかし殺害には失敗。圓の身代わりとなり、佐助が死んでしまう。天斗の助けで、家光を人質に立ち去ろうとするが、天斗の前に十兵衛が立ちふさがり、死合いを挑んだ。

登場人物(寛永御前試合編)[編集]

試合出場者[編集]

陸奥 天斗(むつ たかと、28代)
1613年?生まれ。「宮本武蔵編」の主人公である八雲の子(母は詩織?)。圓に協力する形で御前試合に出場する。一見すると飄々としたのんき者だが、内実はまだ見ぬ強者との戦いを強く待ち望んでいる。彼の本性を十兵衛は「俺と同じ、強い者と戦いたいだけの馬鹿」、宮本伊織は「内に化物(けもの)が棲んでいる」と評した。片目を瞑るのが癖であり、これは十兵衛と同じく強さの追求のためであった。
最初は陸奥の一族であることを秘密にしており、圓が陸奥の名を騙っているのを知りつつ同行、御前試合に赴く。
柳生 十兵衛 三厳(やぎゅう じゅうべえ みつよし)
素人には分からないが、佐助曰く「武蔵よりずっと穏やかではあるものの、同じ質の剣気を持つ」という男。その圧倒的な剣気ゆえに、自ら抑えることが難しいと語っている。また、立ち合いにおいて本気を出した際の「気」は武蔵にも匹敵する強烈なものである。冷静だが好戦的な性格で、「強い者と戦いたいだけの馬鹿」と自認している。少し手を合わせた程度で天斗の実力を見抜き、自身と同じく強者を求め続ける本性を察した。歴史上では隻眼だったとされるが、この物語では眼帯を着けているものの実は両眼とも見えている。これは強さを求めるあまり、あえて片目を眼帯で隠すことで更なる高みを得ようとしたためである。天斗との対決でその眼帯を外し、自らが追求した真の剣技を発揮するも敗北(その際、天斗に眼を潰され本当に隻眼になる)。父である宗矩には嫌われており、十兵衛も剣より弁舌で出世した宗矩を内心馬鹿にしている。御前試合から年月を経た後、天斗との2度目の戦いに応じ敗北。楽しかったと言い残し死亡。
(つぶら)
真田幸村の九女。真田の生き残り。将軍家光の首を狙うため、御前試合への出場を目論んで陸奥を騙り、高名な兵法者に次々と勝負を挑む。
真田家に仕えていた佐助から護身術として忍びの技を仕込まれたが、佐助の想像を超える天稟を持っていたため、遂には佐助が持つ全ての技術を習得するに至った。そのため、暗器の扱いや戦闘はかなりの腕前。しかしこの類稀な才能が仇となり、並の武芸者なら適当にあしらっていた十兵衛を本気にさせてしまう。
男勝りな性格で非常に負けん気が強い。一人称は「オレ」。
宮本 伊織(みやもと いおり)
宮本武蔵篇に登場した少年が、武蔵の養子・弟子となり成長した青年。武蔵直伝の二天一流の継承者であり、師の代役として御前試合に赴く。
穏やかな性格の好人物で、天斗が評するところでは「剣の腕は十兵衛に伍するが、人の良さは師の武蔵に似ない」という。伊織自身も天斗や十兵衛のような「鬼」や「修羅」を自らの内に秘めていないと悟っており、本作中では2人とは戦わなかった。
しかし天斗が評する通り、一寸の見切りや二刀流などの技を自在に使いこなす剣の達人。師である武蔵も、彼の実力について「伊織が負けた場合、この武蔵が負けたと受け取ってもらって結構」と断言するほど信頼を寄せている。試合では柳生利厳を二刀を用いた一瞬の早業で倒してのけ、二刀は実戦で使える技ではないという周囲の評価を翻した。
柳生 利厳(やぎゅう としとし)
尾張柳生の頭首で宗矩の甥。
老齢だが相当の手練。新陰流の正統は尾張柳生だと証明し、とって代わるために兵法指南役に命じられている江戸柳生を倒そうと試合に出るが、二回戦で伊織との試合で惜敗。また昔、武蔵が尾張徳川家に仕官しようとした時、「武蔵の剣は凡人に真似できるものではない」と諫め、武蔵の仕官を阻んだという過去を持つ。
東郷 重位(とうごう しげたか)
薩摩藩、島津家に仕える示現流の太祖。
老齢だが十兵衛も認める実力者。その初太刀は自らは「ゆすの木」にもかかわらず、木刀を一刀に両断するほどの威力を持つ。一回戦で天斗と試合をするが己の意地を懸けた初太刀をかわされ、自ら負けを認めて退場。
田宮 長勝(たみや ながかつ)
抜刀田宮流の太祖田宮重正の子。
居合を旨とする流派であるため、例外的に刃引きの刀を用いて御前試合に臨む。その太刀筋の速さは、常人の目には映ることすらないと評されている。一回戦の圓との対戦前、刃引きではあれ刀が命中した際の危険性を警告する。しかし田宮流の特徴である長い柄を足で蹴り戻され、抜刀することなく敗北した。
小野 忠常(おの ただつね)
小野派一刀流の使い手。
二回戦に出場する。しかし、天斗には程なくやられてしまう。柳生と同様、兵法指南役として試合に臨む。
高田 又兵衛(たかだ またべえ)
宝蔵院流槍術の高弟(後、宝蔵院流高田派槍術の開祖)。
槍を得物に、二回戦に登り詰める。
羽賀井 平馬(はがい へいま)
羽賀井流の使い手。
一回戦にて伊織と試合をするがあっけなく敗退。
山崎 与左衛門(やまざき よざえもん)
新当流高弟
一回戦で十兵衛と試合をするが、一瞬のうちに木刀を弾き落され敗北。十兵衛曰く「つまらん相手」。

試合を取り巻く者[編集]

佐助(さすけ)
真田幸村配下の熟練の忍者。大坂夏の陣の最後の戦いの直前、幸村から村正を託され、圓を身篭っていた側室、苗を大坂城から逃がすよう頼まれた。圓が生まれて苗が死ぬと、親代わりとして圓を育て上げる。
徳川 家光(とくがわ いえみつ)
3代目、徳川家将軍。歴史上では幕府の基盤を固めた人物とされるが、本作ではいざと言う時に失禁・気絶してしまうなど気が弱い。
柳生 宗矩(やぎゅう むねのり)
柳生新陰流の頭首で家光から惣目付に命じられている。柳生の剣を王者の剣、活人剣と謳い剣禅一如を語り将軍家に取り入った。そのため、十兵衛や利厳などからそのことを馬鹿にされ、政治外交剣、出世の剣と皮肉られている。
南光坊天海(なんこうぼう てんかい)
100に近い年齢でありながら未だ権力を求め、惣目付に命じられた柳生を潰そうと松平信綱と共謀する。
松平 伊豆守 信綱(まつだいら いずのかみ のぶつな)
天海と共謀して柳生を潰そうと企む。知恵伊豆とも呼ばれる策士。
宮本 武蔵(みやもと むさし)
本作ではシルエットのみ登場。御前試合への出場を断り、自分の代わりにと養子の伊織を推薦する。しかし、常人離れしたその剣気はいまだ衰えていないようで、御前試合への出場を勧めた使者を圧倒していた。
真田 幸村(さなだ ゆきむら)
すでに故人。圓の父で、村正を子の守り刀として佐助に託す。村正は徳川に祟ると言われるため、圓はこの刀を「徳川を討て」という幸村の遺志だと思っている。

源義経編[編集]

『月刊少年マガジン』1997年1月号から12月号にかけて、「修羅の門」第四部終了と「海皇紀」の開始の間に掲載。単行本の七巻から拾巻に収録されている。1年に渡って連載され、単行本も4冊と最長の作品となっている。

平安時代末期を舞台に、9代目鬼一と源義経の交流を描く。

あらすじ(源義経編)[編集]

源氏平氏の2つの武家平治の乱の平氏の勝利により、誰もが源氏の滅亡を考えていた。そんな中、源氏勢の若武者「牛若丸」は、平氏勢から追われ逃げ惑っていた。橋の下へ逃げ込んだ所で、彼は巨躯を誇る僧兵に出会う。

登場人物(源義経編)[編集]

陸奥一族(源義経編)[編集]

陸奥 鬼一(むつ きいち、9代)
115?年生まれ。妹の静と共に五条大橋に(作者によれば五条大橋ではなく、京の北東賀茂川を渡って下鴨神社に向かうための橋)夜な夜な現れ、数多くの武士を打ち倒していたため『鬼』と恐れられていた。この地で武蔵坊弁慶と闘い勝利し、その場に居合わせた牛若丸(源義経)の人を惹き付ける魅力と、その正直さから来る危うさに好感を持ち、陸奥に伝わる金璽を授け義経に奥州へ行くように助言。義経が奥州藤原家と強い繋がりを持つきっかけを作った。義経が挙兵した後も、度々義経の前に現れ、助言をしたり、時には自ら戦ったりするなど、義経が数々の戦に勝利するきっかけを与える。
その後、頼朝に処刑されかけた甥を奪い返し、妹・静に「源氏では無く陸奥として育てろ」と後事を託し、鎌倉の強大な圧力に屈した藤原泰衡の命で館を襲撃された義経のために自ら身代わりとなり、壮絶な最期を遂げる。
(しずか)
静御前として知られる実在の人物。本作では陸奥鬼一の妹として陸奥の一族に連なる人物とされている。舞いの名手で絶世の美女。義経と両思いになり虎若(後の虎一)を産む。
陸奥 虎一(むつ こいち、10代)
幼名・虎若(とらわか)。1186年生まれ。義経と静の息子。生後間もなく砂浜に埋められながらも強靭な生命力で生き延び、鬼一に助けられる。その後祖父によって陸奥として育てられ、母から鬼一の刀と陸奥の名を継ぎ、「虎一」の名を与えられた。
鬼一の父
名前・生没年不明。鬼一・静の父で、鬼一、そして虎一を鍛える。

義経の仲間[編集]

源 義経(みなもと の よしつね)
力もなく武士らしからぬ容貌でよく泣くが、まっすぐな瞳で人を惹き付ける魅力は抜群にあり、用兵や統率力に優れ大将の器を持つ若武者。また、しばしば鬼一の助言に従い戦をする。陸奥鬼一をして「誰よりも丈夫(ますらお)の心を魅く丈夫だ」と言わしめるほど、その実直な人柄は、弁慶や鬼一を始めとする多くの者たちに慕われた。
武蔵坊弁慶(むさしぼう べんけい)
義経四天王。薙刀を得物とし、怪力無双の巨体を持つ僧兵。その強さゆえに昔からのようだと言われているが(義経は鬼は鬼でも善鬼と呼ぶ)普段は穏やかで礼儀があり、鬼のようになるのは丈夫と戦う時だけである。
伊勢 義盛(いせ よしもり)
義経四天王。坂東の武士だったが、平治の乱で平氏に源氏が敗れたことにより野盗になる。その後、奥州まで逃げる時に捕まりそうになったところを義経一行に助けられる。義経のまっすぐさに魅せられ、また、まっすぐなだけでは世の中は渡れぬと義経の供をする。吉野山で追っ手に囲まれた時に義経の影武者となった忠信の付き人として戦い、囲みを破って逃走した後、伊勢で守護を襲い奮戦の後、自害する。
佐藤 嗣信(さとう つぐのぶ)
奥州藤原氏に仕える佐藤兄弟の兄。後に、義経に惚れ込み、義経四天王として付き添う。
短気でせっかちな性格。義経が、自分の弱弓が平氏の手に渡ると馬鹿にされて味方の士気が下がるからと、落とした弓を拾おうとした際、義経を狙った教経の矢から身を挺して庇い死亡。
佐藤 忠信(さとう ただのぶ)
佐藤兄弟の弟。後に義経四天王。
嗣信と対照的に温和で、冷静な性格。兄と同様に義経に付き添う。吉野山で追っ手に囲まれた時に影武者として義経を逃がすための囮となり死亡。

源氏勢[編集]

源 頼朝(みなもと の よりとも)
源氏の棟梁として平家打倒に立ち上がる。義経の兄だが源氏の棟梁が2人になることを恐れ、出来のいい弟を疎んでいる。知盛曰く、猜疑心が人並み外れて強く、哀れなほど奥州藤原氏を恐れている。北条家を後ろ盾としており、妻政子には頭が上がらない。
北条 政子(ほうじょう まさこ)
源頼朝の妻。頼朝は側室も作れないほど彼女を恐れている。かなりの権力を持ち、実質的に鎌倉を動かしていると言っても過言ではない。時に、頼朝も戸惑うほど非情な手段を用い、義経達を苦しめる。頼朝の死後、待っていたかのように牙を剥き、瞬く間に幕府を乗っ取る。
梶原 景時(かじわら かげとき)
頼朝が源氏の棟梁を2人と作らないために義経の軍監として功を立てさせないようにつけた、いわゆる「梶原の讒言(ざんげん)状」で有名な人物。しかし、義経一行には軽くあしらわれ、頼朝への報告に事実を曲げ義経の功を伏せることしかできない。しかし、それが頼朝の猜疑心によって功を奏し、義経追討の引き金となった。最終的には北条氏から危険因子と見なされ、殺されてしまう。
畠山 重忠(はたけやま しげただ)
坂東一の武士。頼朝には疑問を抱きつつも、忠実に従う家臣。鬼一と勝負するが、自分には鬼一と戦った弁慶、教経のような「鬼」は備わっていないと悟り、敗北する。
土肥 実平(といの さねひら)
平家討伐の際に範頼の軍監として加わる。義経にも協力的。
土佐坊 昌俊(とさのぼう しょうしゅん)
頼朝の命で義経の館を襲ったがために鬼一に殺される。
木曽 義仲(きそ よしなか)
入京した後の我が物顔の振舞いが法皇の怒りに触れ、義仲追討の命が出される。義経はその討伐に向かい、義仲に降伏するか、それが叶わぬなら木曽に逃げるように言う。本来、義経の勝ち戦にもかかわらず逃げるように言った、その人柄に感服して木曽に帰る。その間際、鎌倉と法皇には心を許すなと告げる。
巴御前(ともえ ごぜん)
女武者だが強い、義仲と愛し合っている人物。

平氏勢[編集]

平 宗盛(たいら の むねもり)
清盛亡き後の暗愚な大将。負けそうになると一番に逃げ出し、他の親族からの信頼は薄い。
平 教経(たいら の のりつね)
平氏の勇将。鬼一も認める実力者で戦には欠かせない人物。知盛の知略に全幅の信頼を置いており、また、知盛からもその勇猛さに絶対の信頼を置かれている。壇ノ浦の戦いでは鬼一との死闘の果てに負けを悟り、義経を道連れに海へ身を投げようとするが、またも鬼一に阻止され、鬼一と共に海中に消える(鬼一はその後、海から生還する)。
平 知盛(たいら の とももり)
惰弱な大将の宗盛を補佐する実質的な平氏の指導者。手練の兵法家であり智謀知略に富んでいる。陣立てや戦況、人相を見る観察眼はかなりのもので、他の親族からの信頼は厚い。壇ノ浦の戦いで完璧と思われた陣立て、戦法をとるが、教経が鬼一に敗れるという計算外の事態が起こり、また、そうしているうちに潮の流れが変わったために敗北。鎧を二領、装着して海へ身を投げ死亡。

奥州藤原氏[編集]

藤原 秀衡(ふじわら の ひでひら)
奥州17万騎を擁し、唯一平氏から独立している武家集団の長。かなりの老人だが王者の風格を備える名君。奥州は昔、陸奥一族により守られた過去があるので奥州は陸奥と共にあり、陸奥は奥州の守護神という言い伝えから鬼一の金璽をことのほか重んじる。
藤原 泰衡(ふじわら の やすひら)
秀衡の亡き後に家督を継ぎ、義経と国衡で3人で力を合わせて奥州藤原氏を守ることを誓う。しかし、鎌倉の強大な圧力に屈してしまい、義経の館を襲撃する。
藤原 国衡(ふじわら の くにひら)
秀衡の長男。

その他(源義経編)[編集]

湛増(たんぞう)
21代熊野別当。兵2000、船200艘を率いる熊野水軍の長。
鬼一と静の仲介で義経と会い、そのまっすぐな人柄に魅せられ源氏に味方することを決める。
後白河法皇(ごしらかわほうおう)
義経と頼朝を仲間割れさせて、権力を取り戻そうと企む。

織田信長編[編集]

『月刊少年マガジン』2001年9月号から2002年4月号にかけて、「海皇紀」を一時休載して連載。単行本の十一巻から十三巻及び十三巻裏に収録。

戦国時代を舞台に、伯父である織田信長のためにと暗躍する陸奥の双子・虎彦と狛彦を描く。陸奥圓明流から不破圓明流が分かれた経緯が明かされている。

最終話は双子のそれぞれに焦点を合わせた表と裏の2話が描かれ、この裏を収録した単行本が十三巻とは別に「十三巻裏」として発売された。最終話以外はほぼ同じ内容だが、連載時に掲載された話から、表裏の視点に合わせて一部描写を抜き取る形で収録されている。

あらすじ(織田信長編)[編集]

混沌とした戦国時代。日本各地で戦があり、大大名に小さな家は飲み込まれ消えていっていた。尾張織田家もその中にいた。名君、猛将として家を守りぬいた織田信秀は病に負け、跡を継いだ大うつけと言われる織田信長相撲や遊びに明け暮れ家臣は絶望し、織田家は最早風前の灯だった。そんなある日、信長が相撲をしていると陸奥一族の陸奥辰巳(たつみ)が現れた。信長の部下や信長自身も相撲で倒すと、賭けの代金として握り飯をもらうが、自身が賭けの対象だと思った琥珀は辰巳について行き、信長も「鬼」との血縁を求めて琥珀を辰巳に嫁がせた。

数年後、今川義元が上洛すべく軍勢を動かしたさいに、討って出た信長の前に辰巳の子供、狛彦と虎彦が現れ義元が桶狭間に本陣を構えたことを伝える。野営のため、桶狭間山に本陣を構えていた義元であったが、辰巳の襲撃により山を追い落とされてしまう。その混乱の中、信長の軍が義元を討ち取る。その後、辰巳から琥珀が死んだことを伝えられた信長は、琥珀への手向けと天下布武へと本格的に乗り出す。

金ヶ崎の退き口では、殿軍となった木下藤吉郎に狛彦と虎彦が策を授けると共に助力を行った。

浅井氏朝倉氏石山本願寺甲斐武田信玄らに信長包囲網を破れずにいる中、武田信玄が動き出す。信長はこれに対するため、狛彦と虎彦に武田信玄と雑賀孫一を討ち取ることを依頼する。狛彦と虎彦は共に「つわもの」である孫一を討つ事には異論が無かったが、信玄を討つことは断った。信長は無理強いはせず、浅井・朝倉の押さえに派遣している藤吉郎や自身の勝ちすら覚束ない戦いを行おうとしたが、虎彦が信玄を暗殺することを受けた。

戦場で狛彦と戦い倒れた孫一を信長が晒し首にしたことで狛彦は信長から離れ、一方、虎彦は信長の下で暗殺を続けた。やがて、本能寺の変。信長を護ろうとする虎彦の前に狛彦が立ちふさがる。人の世のことは(修羅ではない)人同士で決めれば良い。根が優しい虎彦を本気にさせるには、このような時しかない……と。

孫一と闘ったことで恐怖を知っていた狛彦は、狛彦との対戦で初めて恐怖を知った虎彦に辛勝し、「陸奥」の名を継ぐ。

信長の遺体を安土城の焼け跡に埋葬した虎彦は、もう負けたくはないと心情を吐露し、辰巳から「不破」の名を与えられる。

登場人物(織田信長編)[編集]

陸奥一族(織田信長編)[編集]

陸奥 辰巳(むつ たつみ、25代)
若き織田信長と出会い、成り行き上信長と試合を行うが、完膚なきまで組み伏せ、信長に初めて『恐怖』を教える。その時に、賭けの代償として信長の腹違いの妹・琥珀を妻として貰い受ける(辰巳が欲しかったのは、琥珀の持っていた握り飯だったのだが、琥珀の意思もあって結局琥珀を貰い受けることになる)。その後、桶狭間の戦いにて窮地の信長の前に現れ助力し、織田軍が勝利するきっかけを作る。
桶狭間の戦いの後、姿を現さなかったが、狛彦と虎彦の闘いの後、それぞれの前に現れ、狛彦に陸奥の名を継がせ、虎彦に不破の名を与える。
ちなみに妻・琥珀亡き後は一線を退き、妻の墓守をして過ごしていた。
セガのトレーディングアーケードカードゲーム『戦国大戦』にSS(戦国数寄)陸奥辰巳としてカード化されている。
狛彦(こまひこ、26代)
1555年生まれ。辰巳と琥珀の子で虎彦とは双子の弟。虎彦と共に伯父である信長を助けながらも、信長の苛烈な性質に徐々にその心を離していく。虎彦との闘いに勝ち、陸奥の名を継ぐ。
虎彦(とらひこ、不破初代)
1555年生まれ。辰巳と琥珀の子で狛彦とは双子の兄。伯父である信長を思いやり、暗殺等によってその手を汚していく。狛彦との闘いに破れた後、父によって不破の名を与えられ、陸奥から分家する。
琥珀(こはく)
織田信長の腹違いの妹。賭けの代償として信長が陸奥辰巳に差し出そうとするが、拒否した辰巳に対し、自分の意思で辰巳の後を追い、妻となる。信長と非常によく似た性格をしており、信長も「一度こうと決めたら絶対に曲げぬ」と辰巳に教えた。
双子(後の狛彦と虎彦)を産み、自分の名を削ってそれぞれに名づけた。しかし、双子を産んだことが原因で体調を崩し、双子が5歳になった後に病死。

織田家[編集]

織田 信長(おだ のぶなが)
織田家の当主。
帰蝶(きちょう)
信長の妻。双子から「母さまのにおいがする」と懐かれ、信長から琥珀の子と聞かされる。子がいなかったためにどちらかを養子として貰い受けようとしたが、辰巳に「陸奥の子は陸奥(しゅら=修羅)にしかなれない」と断られてしまう。
木下 藤吉郎(きのした とうきちろう)
信長に付き従う、金ヶ崎の退き口ではしんがりを務めるほどの忠臣。しばしば虎彦と狛彦の助言に従い手柄をあげる。
明智 光秀(あけち みつひで)
本能寺の変を起こす。秀吉の軍勢に敗れた後、怒りに燃える虎彦に殺される。

雑賀衆[編集]

雑賀 孫一(さいか まごいち)
傭兵集団雑賀衆を率いる鉄砲大名の頭。その鉄砲は神業の域に達しており、驚くべき遠さから正確無比に標的を貫くことができる。百戦錬磨の兵法家でもあり、戦の統率力、用兵は信長も認めるほどである。織田と本願寺が対立した際には、顕如を手助けして、本願寺側につく。
(ほたる)
雑賀孫一の娘。孫一の才能を継ぎ、鉄砲の天才的な技量を持つ。父、孫一の仇と狙う信長を、本能寺の変にて鉄砲で撃ち、とどめを刺す。
小一(こいち)
雑賀孫一の長男。10歳前後でその早蓋は孫一に天下一と認められるほど。孫一の立派な右腕として活躍する。

織田家の敵[編集]

本願寺 顕如(ほんがんじ けんにょ)
雑賀孫一率いる雑賀衆を雇う。織田家と対立し、熱戦を繰り広げるが、顕如自身は戦には出ない。他の坊官と違い権力を振りかざさない、穏やかで物腰柔らかい人柄。
今川 義元(いまがわ よしもと)
駿河に勢力を持つ大大名。桶狭間の戦いで信長に破れ討ち死にする。
浅井 長政(あざい ながまさ)
お市を娶り信長と同盟を組むが、信長を裏切り、古くからの縁がある朝倉方につく。その後、金ヶ崎にて木下藤吉郎と対峙する。
武田 信玄(たけだ しんげん)
武田騎馬隊乱波衆を擁する、信長ですら脅威とする老練の将。三方ヶ原の戦い徳川家康に勝利を収めるが、上京する進軍中に虎彦に暗殺される。

西郷四郎編[編集]

『月刊少年マガジン』2003年10月号から11月号にかけて、「海皇紀」を一時休載して連載。単行本の十四巻に収録。

明治時代を舞台に37代目天兵と西郷四郎の闘いを描く。

他の部同様に「西郷四郎編」のみで完結したストーリーとはなっているが、『修羅の門』の第四部へ繋がる深い関わりを持つ。

あらすじ(西郷四郎編)[編集]

西郷四郎が去った後、講道館に入った前田光世は、ある日、ヤクザに車屋がぶつかり殴られているところに西郷が現れ瞬速の投げ技を使い助ける所を目撃する。会津弁に加え見事な技を見た前田は、まさかと思うものの西郷が講道館を去った理由を知りたくこっそりついていった。そこで原っぱに、西郷が座り込んで前田に独り言で良いならと昔話をする。西郷の口から、講道館を去った理由と、陸奥との因縁が語られる。

登場人物(西郷四郎編)[編集]

陸奥一族(西郷四郎編)[編集]

陸奥 天兵(むつ てんぺい、37代)
1872年生まれ。出海の息子(母は蘭?)。初登場は10歳の頃であり、四郎と初めて対峙する。その時には寒気がするような感覚を覚えた四郎に、子供ながら脳裏を離れない強烈な印象を放つ。それから8年、田中十蔵の娘のきっかけもあり四郎に果たし状を渡し、青い月の下で決闘をする。
陸奥 出海(むつ いずみ、36代)
天兵の父。天兵に陸奥の名を譲る。「風雲幕末編」の主人公。

講道館[編集]

嘉納 治五郎(かのう じごろう)
講道館柔道の創設者。
四郎の天賦の才を見抜き、井上道場から譲ってもらう。元は学士であるが、本物を見抜く心眼を備えている。太平洋上、氷川丸船中にて肺炎のために急逝。享年79。
西郷 四郎(さいごう しろう)
講道館四天王の1人。
『修羅の門』、『刻』シリーズには珍しく陸奥よりも身長が低い。5尺そこそこの体格ながら、山嵐御式内などの技に加え、蛸足ネコなど柔道家としての天賦の才を持つ。そのことから、嘉納は「私の柔道の結晶」とまで言わしめる。会津藩家老・西郷頼母の隠し子。そのため、会津弁である。天兵との決闘では、初めは瞬たく暇も与えないような投げ技で圧倒する。しかし、足を払うだけの技では人は死なないと悟ると同時に、強い者と戦う高揚した気持ちが抑えきれずに、禁じられていた御式内を開放する。自分でも感じていた「鬼の血」をさらけ出し追い詰めるが、天兵が渾身の力で放った「雷」を受け敗北。その時の負傷により、蛸足を失う。その後は、田中十蔵の娘の家で療養して一命を取り留めた。表面では、嘉納に留守を託されたが出奔、そのために講道館を追放となったということになっている。後に、嘉納に宛てた詫び状と「支那渡航意見書」が発見される。しかし、出奔後は鈴木天眼を頼るも大陸には渡ることはなかった。尾道にて病没。享年56。没後、講道館より六段を追贈される。
横山 作次郎(よこやま さくじろう)
講道館四天王の1人。井上道場から譲ってもらう。良移心頭流中村半助と引き分けるほどの実力を持つ。
山田 常次郎(やまだ つねじろう)
講道館四天王の1人。後、光世と共に、柔道の海外普及のために渡米する。
山下 義韶(やました よしあき)
講道館四天王の1人。眼鏡をかけている。
前田 英世(まえだ ひでよ)
後に前田光世と改名。四郎が去った後に講道館に入る。横山作次郎に鍛えられ三段を与えられ、道場では敵無しの実力となる。作次郎には「お前は四郎に似とる」と言われ、気にかかっていた。
四郎に陸奥の話を聞いた後、どうすれば陸奥に勝てるかと聞くと「道を捨てること」「実戦」「他国の武技とやってみるのも良い」と言われる。そのことから、後に海外普及のために山田常次郎と共に渡米。各国でボクシングレスリングなどと1000回近くの試合をしてほぼすべて勝利を収め、コンデ・コマと称される。その後、ブラジルグラシエーロ柔術を確立させる。ブラジル・ベレンにて没。享年64。尚、『修羅の門』では、養子「前田三郎」が存在して、それは「修羅の門」第四部及び「修羅の門 第弐門」に深く関わり結びつくこととなる。

その他(西郷四郎編)[編集]

田中十蔵
戸塚派揚心流柔術師範。仲間と共に講道館へ道場破りに来たが西郷四郎に敗れる。その後の講道館柔道の隆盛に、世間からは古い柔術は弱いと印象をもたれ、少ない門弟も去り落ちぶれてしまう。その後、金のために見世物に出場してアメリカ人の拳闘家くずれと惨敗し(ただし、それを見ていた天兵には、最初の一手を誤っただけで弱くないと評されている)、自宅で療養するが死亡する。
田中十蔵の娘
田中十蔵の娘。柔道で楊心流柔術の門弟を破った四郎に、逆恨みとは分かっていながらも憎しみを抱いている。
天兵と西郷四郎の死闘を見届ける。

雷電爲右衞門編[編集]

『月刊少年マガジン』2005年9月号から11月号にかけて、「海皇紀」を一時休載して連載。単行本の十五巻に収録。

江戸時代を舞台に雷電爲右衞門と陸奥3代との闘いを描く。この戦いは本作の執筆以前の『修羅の門』第四部で陸奥九十九による言及がわずかにある。

あらすじ(雷電爲右衞門編)[編集]

祭礼の御前相撲に飛び入りで参加した太郎吉は見事な張り手で勝利を収めたものの、対戦相手を殺してしまう。また殺人を犯すことを恐れ力士になることをためらうが、殺害相手の息子から受けた言葉をきっかけとして力士になることを決意する。谷風に師事した太郎吉は、雷電爲右衞門四股名で最強と謳われるようになる。そんな彼の前に陸奥左近が突如現れ、試合を申し込む。

登場人物(雷電爲右衞門編)[編集]

陸奥一族(雷電爲右衞門編)[編集]

陸奥 左近(むつ さこん、33代)
1749年生まれ。雷電と闘おうとするがその足りない物に気付いて勝負を預け、足りない物が埋まったら再度闘うことを約束して去る。しかし、再会を果たさずに病に倒れ死亡。
(陸奥)葉月(はづき)
1785年?生まれ。左近の娘。幼少時に雷電を見、その足らない物を父よりも先に見抜く。成長後に雷電と再会。父以上の素早さを持つが、体の小ささと女であることからその技は軽く、弱さ故に陸奥でありながら陸奥を名乗れないことを告げる(このため、正式に陸奥の名を継いでいるかどうかは不明)。雷電に20年後に陸奥を連れてくることを約束し、息子の兵衛を連れて再度雷電の前に現れた。
陸奥 兵衛(むつ ひょうえ、34代)
1805年?生まれ。葉月の息子。その技は葉月より速く、左近より重い。父親は不明(作中で葉月に「父親は雷電ではないか」と聞くが否定されている。作者あとがきでは、「答えないことにしている」「(読者にとって)より好きな方が正解」とも述べられている)。母と共に雷電の前に現れて、対決する。見事に雷電を破り、正式に陸奥を継ぐ。

力士[編集]

雷電 爲右衞門(らいでん ためえもん)
本名は太郎吉。史上最強とも評される力士。大関まで昇進したが、何故か横綱免許は受けなかった。大石村で百姓の子として生まれる。祭礼の御前相撲で対戦相手を殺し、その息子から受けた言葉から自分を殺せる相手を求めて力士となり、谷風に師事する。最強との闘いを求め葉月と共に現れた陸奥左近と勝負をするが、足りない物があるとして勝負を預けられる。10年の後、葉月と再会するが、今度は葉月の側に足りない物があったため20年後の再勝負を約束する。20年後、より鍛え抜かれた体を以て葉月の息子兵衛と闘い敗れ、見事な立ち往生を遂げる。
谷風 梶之助(たにかぜ かじのすけ)
雷電の師匠で相撲の達人。最初に登場した時には既に大関で、後に横綱免許を受けた。田舎の力士で敵なしだった雷電を圧倒したほどの人物。初めに雷電を試したとき、雷電の張り手は下手をすれば人を殺すと思い禁じ手とする。陸奥圓明流の存在を知っており、陸奥左近に出会った後、雷電は本気で勝負をしたいだろうと思い、死の間際、雷電に対し10年間相撲界を支え、その後は張り手の使用の解禁も含め、したいようにすれば良いと遺言を残す。

その他[編集]

八重(やえ)
雷電爲右衞門の妻。長きにわたり雷電を支えた良妻で、兵衛との闘いで立ち往生を遂げた雷電を背負い、家に連れ帰った葉月に感謝の言葉を述べるなど、気丈な姿を見せる。

小説[編集]

1995年9月に発売。原作の第一部「宮本武蔵編」を作者である川原正敏本人がノベライズした作品。挿絵も作者本人が描いているが、原作が掲載されてから、小説が発売される間に作者の絵のタッチが変わったため、登場人物達の顔が若干変更されている。

テレビアニメ[編集]

2004年4月6日から2004年9月28日にかけてテレビ東京系列で放送された。

アニメ化されたのは原作の内、江戸時代を舞台とした物に限定され、第1・2・4部となる「宮本武蔵編」・「風雲幕末編」・「寛永御前試合編」の3編のみ。なお、第8部となる「雷電為右衛門編」も江戸時代を舞台としているが、アニメ化当時には執筆されていなかった。なお、アニメでの順番は時代順に変更されており、「第一部 宮本武蔵編」・「第二部 寛永御前試合編」・「第三部 風雲幕末編」となっている。また、アニメ化に先立つ形で、この3部の愛蔵版が同じ順番で発売されている。

キャスト[編集]

第一部 宮本武蔵編
第二部 寛永御前試合編
第三部 風雲幕末編


スタッフ[編集]

主題歌[編集]

オープニングテーマ「identity」
作詞・作曲 - 木谷雅 / 編曲 - sacra & 平川達也 / 歌 - sacra
エンディングテーマ「夏日星」
作詞 - 田中渉 / 作曲 - 飛澤正人 / 編曲 - 西川進 / 歌 - 大沢あかね

各話リスト[編集]

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督 放送日
1 雲の如き男 武上純希 三澤伸 南康宏 浜津武広 2004年
4月6日
2 天下無双の器 吉川浩司 興村忠美 4月13日
3 烈風の鎖鎌 早川正 湖山禎崇
工藤柾輝
湖山禎崇 工藤柾輝 4月20日
4 再会 武上純希 葛谷直行 米田光宏 小菅和久 4月27日
5 闇の兵法 土屋日 山崎友正 小林勝利 5月4日
6 三本松の果し合い 早川正 南康宏 青野厚司 5月11日
7 戦いを極めし者 武上純希 吉川浩司 興村忠美 5月18日
8 天斗と圓 湖山禎崇 工藤柾輝 5月25日
9 その男、梟雄 武上純希
早川正
米田光宏 小菅和久 6月1日
10 陸奥を巡る権謀 武上純希 橋本昌和 佐藤雅弘 6月8日
11 たぎりおちる滝 武上純希
早川正
土屋日 山崎友正 滝川和男 6月15日
12 寛永御前試合 早川正 吉川浩司 興村忠美 6月22日
13 継ぐもの... 武上純希 菱川直樹 南康宏 青野厚司 6月29日
14 化物 湖山禎崇 伊藤秀樹 7月6日
15 眠れる龍 米田光宏 小菅和久 7月13日
16 大海の志士 早川正 松澤健一 山本秀世 鈴木大
佐藤雅弘
7月20日
17 新撰組 武上純希 高林久弥 滝川和男 7月27日
18 龍の化身 吉川浩司 興村忠美 8月3日
19 漆黒の海戦 早川正 三澤伸 南康宏 青野厚司 8月10日
20 示現流の刺客 武上純希 高林久弥 米田光宏 小菅和久 8月17日
21 我が友、坂本龍馬 湖山禎崇 をがわいちろを 8月24日
22 さらば友よ 早川正 湖山禎崇 松本剛 滝川和男 8月31日
23 約束 吉川浩司 興村忠美 9月7日
24 雪の如く 武上純希 米田光宏 9月14日
25 北へ 早川正 伊藤秀樹 三浦唯 小菅和久 9月21日
26 鬼と修羅 武上純希 三澤伸 浜津武広 9月28日

書誌情報[編集]

いずれも著者は川原正敏講談社からの発行。


脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ ただし、彼が実際にバントラインスペシャルを使用していたかどうかについては疑問説がある。

出典[編集]

月刊少年マガジンWeb[編集]

以下の出典は月刊少年マガジン公式サイト『月刊少年マガジンWeb|講談社コミックプラス』(講談社)内のページ。書誌情報において発売日の出典としている。

  1. ^ 修羅の刻 (1)|作品紹介” (n.d.). 2011年9月19日閲覧。
  2. ^ 修羅の刻 (2)|作品紹介” (n.d.). 2011年9月19日閲覧。
  3. ^ 修羅の刻 (3)|作品紹介” (n.d.). 2011年9月19日閲覧。
  4. ^ 修羅の刻 (4)|作品紹介” (n.d.). 2011年9月19日閲覧。
  5. ^ 修羅の刻 (5)|作品紹介” (n.d.). 2011年9月19日閲覧。
  6. ^ 修羅の刻 (6)|作品紹介” (n.d.). 2011年9月19日閲覧。
  7. ^ 修羅の刻 (7)|作品紹介” (n.d.). 2011年9月19日閲覧。
  8. ^ 修羅の刻 (8)|作品紹介” (n.d.). 2011年9月19日閲覧。
  9. ^ 修羅の刻 (9)|作品紹介” (n.d.). 2011年9月19日閲覧。
  10. ^ 修羅の刻 (10)|作品紹介” (n.d.). 2011年9月19日閲覧。
  11. ^ 修羅の刻 (11)|作品紹介” (n.d.). 2011年9月19日閲覧。
  12. ^ 修羅の刻 (12)|作品紹介” (n.d.). 2011年9月19日閲覧。
  13. ^ 修羅の刻 (13)|作品紹介” (n.d.). 2011年9月19日閲覧。
  14. ^ 修羅の刻 (13) 裏|作品紹介” (n.d.). 2011年9月19日閲覧。
  15. ^ 修羅の刻 (14)|作品紹介” (n.d.). 2011年9月19日閲覧。
  16. ^ 修羅の刻 (15)|作品紹介” (n.d.). 2011年9月19日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

テレビ東京 火曜18:00枠
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陸奥圓明流外伝 修羅の刻