チャプスイ

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チャーハンの上に鶏肉入りのチャプスイを載せたもの
ロサンゼルスリトル・トーキョーのファーイースト・チャプスイ・レストラン。かつては全米にこのようなチャプスイ店が存在した。

チャプスイ広東語 雜碎英語 chop suey)は、アメリカ式中華料理の一種である。広東省台山市名物の広東料理炒雜碎(チャーウチャプスイ)がもとになった料理[1]で、豚肉鶏肉タマネギシイタケモヤシなどを炒めてスープを加え煮た後に水溶き片栗粉でとろみをつけ、主菜としてそのままあるいは白飯中華麺に掛けて食す。

概要[編集]

八宝菜に酷似するも詳細は地域や店舗により様々異なり、北アメリカ独特の材料としてトマトハムを用いることもある。アメリカ合衆国とカナダの田舎ではテイクアウト中華料理の定番商品で、南アメリカインドの中華料理店でも広く提供されている。アメリカで1910年代から1920年代にかけて流行したアメリカン・チャプスイ英語版は刻んだタマネギやピーマン挽肉を炒めてマカロニトマトを加えて煮込んだもの[2]で、混ぜ煮料理である以外はチャプスイとの共通点はほとんどない。台山市以外で雜碎はもつの混ぜ煮を指し『西遊記』には孫悟空がこの雜碎を作って食べようと言う記述がある。宴会料理のごった煮は、特に李公雜碎李鴻章雜碎とも)と称されて一般料理とは大きく異なり豪華で、1999年横浜の中華料理店が復元調理している。

起源と歴史[編集]

朝末期の政治家李鴻章1896年に渡米した際に出された料理が口に合わず、全ての料理を細かく刻み一つの鍋で煮て食していた[要出典]ことや、料理人が自発的に広東風混ぜ煮を調理して薦めると李が大変美味いと褒めた[要出典]ことや、李鴻章が宴会を催した際に宴会料理の残りを混ぜ煮にしたところ大変美味だった[要出典]ことなど、起源は諸説伝聞されている。しかし、ニューヨーク州立大学パーチェス校の歴史学教授レンチュー・ユーの研究では、李鴻章がアメリカ合衆国でチャプスイを食べたという記録は見つからなかった。李鴻章の訪米には中国人の料理人が3人同行しており、外遊先で外食したり、新しい料理を発明したりする必要はなかったはずである。ユーはアメリカの商売上手な中華料理店主たちが宣伝のために李鴻章の訪米を利用し、チャプスイが李鴻章の好物だという評判を広めたのではないかと推測している[3]

アメリカ合衆国では1888年に初めて印刷物に登場し、「レバー砂肝ブタハチノスモヤシ香辛料と共に煮込んだ料理」[4]と定義されている。梁啓超はアメリカ合衆国滞在中の1903年に、中国人が経営する料理店にチャプスイがあるが中国系の住民は食べない[5]と記録している。20世紀前半には広く人気を博し、ハロルド・ロイドの映画『チャプスイ&Co.』やシンクレア・ルイスの小説『バビット』 、レイモンド・チャンドラーの小説『さらば愛しき女よ』、ルイ・アームストロングの楽曲『コルネット・チャプスイ』、ロジャース&ハマースタインのミュージカル『フラワー・ドラム・ソング』、エドワード・ホッパーの同名の絵画作品にも登場している。しかし、1960年代ジュリア・チャイルド英語版ジェームズ・ベアード英語版クレイグ・クレイボーン英語版ら料理研究家が台頭し、アメリカ人の食の好みが本物志向に傾くにつれ、より本格的な中華料理が求められるようになり、伝統料理でないチャプスイの人気は衰えた[6]

日本の地域性[編集]

1931年に出版された料理書[7]に「野菜のチャプスイ」のレシピが載っている。シイタケとタマネギを刻みバターで炒め、ジャガイモサヤインゲンセロリを塩茹でして加え、バター、小麦粉、野菜のゆで汁でルーを作りとろみをつけて醤油少々とコショウで調味するもの[7]で、中華料理とも西洋料理とも分類し難い調理手順である。北九州市大阪府名古屋市神奈川県など各地で給食に提供されている時期もある。[独自研究?]米軍統治の長かった沖縄県では一般的な料理となっており、大衆食堂のメニューやスーパーマーケットの惣菜売り場などでチャプスイが見られる[8]

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ E.N.Anderson, Jr. and Marja L. Anderson, "Modern China: South" in K.C. Chang, Food in Chinese Culture: Anthropological and Historical Perspectives, Yale, 1977. p. 355
  2. ^ Anderson, Jean (1997). The American Century Cookbook: The Most Popular Recipes of the 20th Century. New York: Potter. pp. 106. ISBN 0-517-70576-1. 
  3. ^ Yu, Renqiu. "Chop Suey: From Chinese Food to Chinese American Food," Chinese America: History and Perspectives 87 (1987): 91-93
  4. ^ Current Literature, October 1888, p. 318, as quoted in the Oxford English Dictionary, Second Edition, 1989.
  5. ^ 梁啓超、1903年。新大陆游记. 北京: Social Sciences Documentary Press (reprint 2007). ISBN 7802304717
  6. ^ The Chop Suey Story(英文)
  7. ^ a b 『経濟で美味い家庭料理千種』 主婦之友社編輯局編、主婦之友社1931年9月。全国書誌番号:47037913 47037913NCID BA81485613
  8. ^ チャプスイとは何か

外部リンク[編集]