アロス・コン・ポーヨ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
アロス・コン・ポーヨ

アロス・コン・ポーヨアロス・コン・ポージョスペイン語:Arroz con pollo)とは、鶏肉を主材料とした、スペインラテンアメリカカリブ海の島々そしてアメリカ合衆国ニューメキシコ州に定着した料理である。なお、米と鶏肉を主要な食材としつつも、その他に使われる食材などは地域によって差異も見らる。また、呼び名もロクリオ・デ・ポーヨ(locrio de pollo)やロクリ・デ・ポーヨ(lokri de pollo)、ロクレオ・デ・ポーヨ(locreo de pollo)などと変わることがある。

概要[編集]

ペルーのアロス・コン・ポージョとパパ・アラワンカイナ

アロス・コン・ポーヨとそれに似た料理はスペインおよび旧スペイン領のラテンアメリカやカリブ海の島々などで食べられている。カリブ海の島々では、特にキューバ[1]ドミニカ共和国プエルトリコなどで、大陸側では、特にホンジュラスコスタリカベネズエラコロンビアパナマエクアドルペルーなどで食べられている。現在ではこの地域で広く食べられるようになった料理なので、「ラテンアメリカの伝統的な料理の1つ」とも説明される。しかし、この料理の原型はスペインからこの地域に持ち込まれた米を使った料理だとされていて、それがこの地域に広まったものとされる[2][3][4][5][6]。したがって、その意味では「外来の料理」と見ることもできる。なお、スペインのアロス・コン・ポーヨがラテンアメリカのアロス・コン・ポーヨの原型だとは言っても、そもそもこの地域にスペインからアロス・コン・ポーヨという料理が持ち込まれた時点で、そのスペインのアロス・コン・ポーヨ自体が、もうすでに他地域の料理の影響を受けていたとの指摘もある[2]。例えば、アロス・コン・ポーヨには主要な食材として米が使われるわけだが、そもそも米はアジアからアラブ人によってスペインに持ち込まれたものである[2]。さらには、スペインでアロス・コン・ポーヨに使われることのあるトマトピーマンも、原産地がスペインから遠く離れた新大陸だったりすることからも、スペインのアロス・コン・ポーヨが他地域からの影響を受けていることは明らかである[2]。スペインではシンプルなパエリアの一種あるいはそれに準ずる料理とされ、パエリア鍋で調理される[7]

呼称について[編集]

この料理がアロス・コン・ポーヨ(Arroz con pollo)と呼ばれている地域は、主にスペイン、キューバ、プエルトリコ、グアテマラ、ホンジュラス、コスタリカ、ベネズエラ、コロンビア、パナマ、エクアドル、ペルーである。ドミニカ共和国では主にロクリオ・デ・ポージョ(locrio de pollo)と呼ばれている。セント・マーチン島ではロクリ・デ・ポーヨ(lokri de pollo)やロクレオ・デ・ポーヨ(locreo de pollo)と呼ばれている。

レシピ[編集]

既述の通り、アロス・コン・ポーヨは米と鶏肉を主要な食材とした料理である。しかし、その他に使われる食材などは地域や料理人によって差異が見られる。例えば、スペインではパエリア同様サフランで黄色みをつけるが、サフランは高価なことから上流階級以外は熱帯地域ではベニノキの種子、冷涼なサンタフェ・デ・ヌエボ・メヒコではベニバナで代用することが多かった[8]サンタフェに伝わるアロス・コン・ポーヨの古いレシピは、米とタマネギベーコンの脂で茶色く炒めてから鶏肉とベニバナを加えて炊いただけの、ひどく簡素な料理である[8]。 他にも、材料にビールが加えられたり、使用されなかったり、野菜とハーブを炒めたソフリートが加えられたり、加えられなかったりなどと違いが見られる。アロス・コン・ポーヨがどのように作られているのかを示すため、以下にレシピの例を記載する。

材料の例[編集]

作り方[編集]

  1. 米を十分な量の水で洗ってザルにあけ、水をきっておく。ニンニクは潰しておき、ピーマンとタマネギはみじん切りにしておく。
  2. 深めの大きな鍋(全ての材料と水を加えても大丈夫な大きさの鍋)で、ラードを熱して溶かす。
  3. ラードが溶けたら潰したニンニクを加え、そこでみじん切りにしたピーマンとタマネギを炒める。
  4. 野菜に火が通ったら、ここにニワトリのもも肉を入れて、肉の表面がキツネ色になるまで炒める。
  5. 肉の表面がキツネ色になったら、水3カップ(およそ600ml)を加えて煮る。
  6. ここで、食塩、ターメリック、ローリエを加えて、スープの味を整える。
  7. 鶏肉が煮えたら、水を切っておいた米を加え、鍋に蓋をして弱火で煮る。米が炊けたら完成である。

備考[編集]

  • ターメリックの代りに、適量のサフランを使っても良い[9]
  • 米を加えて以降の調理(米を炊く工程)は、適切な大きさの炊飯器を使って行うことも可能である[9]

雑学[編集]

既述のようにアロス・コン・ポーヨは、キューバでも作られている。キューバでは、1990年現在、主に旅行客向けのホテルのビュッフェでも、アロス・コン・ポーヨが定番の料理の1つとなっていた[1]。コスタリカでは国民食とされる[10]

注釈[編集]


出典[編集]

  1. ^ a b 広瀬 香代子 『中南米のエスニック料理入門』 p.34 千早書房 1990年12月15日発行 ISBN 4-924784-72-9
  2. ^ a b c d Elisabeth Lambert Ortiz (9 September 1998). "Cocina latinoamericana." p.251 EDAF. ISBN 978-84-414-0421-2
  3. ^ Alice L. McLean (30 August 2006). "Cooking in America, 1840~1945." p.139 Greenwood Publishing Group. ISBN 978-0-313-33574-7
  4. ^ Robert M. Weir; Karen Hess (March 1998). "The Carolina Rice Kitchen: The African Connection." p.39 Univ of South Carolina Press. ISBN 978-1-57003-208-0
  5. ^ Kellie Jones; Amiri Baraka; Lisa Jones; Hettie Jones, Guthrie P. Ramsey (6 May 2011). "EyeMinded: Living and Writing Contemporary Art." p.285 Duke University Press. ISBN 978-0-8223-4873-3
  6. ^ D. H. Figueredo (16 July 2002). "The complete idiot's guide to Latino history and culture." p.250 Penguin. ISBN 978-0-02-864360-1
  7. ^ Casas, Penelope (1982). The Foods and Wines of Spain. New York: Knopf. pp. 179. ISBN 0394513487. 
  8. ^ a b Dent, Huntley (1985). The Feast of Santa Fe: Cooking of the American Southwest. New York: Fireside. pp. 278. ISBN 0671873024. 
  9. ^ a b 広瀬 香代子 『中南米のエスニック料理入門』 p.35 千早書房 1990年12月15日発行 ISBN 4-924784-72-9
  10. ^ Castro, Nelly U. (1997). My Kitchen: Costa Rican Typical Recipes. San Jose, Costa Rica: Betancourt. pp. 41. ISBN 9968975036. 

主な参考文献[編集]

  • 広瀬 香代子 『中南米のエスニック料理入門』 千早書房 1990年12月15日発行 ISBN 4-924784-72-9
  • Elisabeth Lambert Ortiz 『Cocina latinoamericana.』 EDAF. 1998年9月9日発行 ISBN 978-84-414-0421-2